リコリス・リコイルの世界でレジスタンス活動   作:素人目

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「おい加藤、突入前の無線通信の時に、脅威度の報告し忘れただろ。青服主体でもおっかないのに、赤服も混じっていたと後で知ったときは寒気がしたな!」

「……すみません」


金欠は最大の敵

 

夢を見ている最中に、これは夢だとわかったときはあるだろうか?

自分はある。今の状況がそうだ。

 

 

 

 

 

 

『__________あー、また実験ですか?』

 

 

よくわからない装置を弄っている女性に話掛けている。望んだ通りの結果が出たのか、ニヤニヤと笑っていた。

 

なんだか不思議な気分だ。自分が当事者のはずなのに、まるで他人を覗き込んでいるように感じる。

 

 

『ああそうさっ!苦節42時間。摂取すればあっという間にラリるお薬の完成だ!!』

 

『加藤さん、マジで捕まりますよ。むしろ捕まれ』

 

『残念!これは普通の市販薬から取り出した、合法な成分だよ。特に使う予定も無いからセーフ!』

 

 

睡眠不足のせいだろうか?不自然にハイテンションな女性が、液体の入った試験管を自慢げに見せる。ぜひとも、その技術は別の方面に活かしてほしい。

 

この人は生粋のマニアだ。………薬物専門の。

なんでも、どこにでもある物から成分を抽出、合成するのが楽しいらしい。そして、実験の成果を棚に並べては悦に浸っていた。

 

 

『あと、仮にも恋人に、捕まれは酷いだろ!?』

 

『……妙なテンション。まさかその溶液を飲んでないですよね?人体実験とか言って』

 

『やだな〜、さすがにそんなことはしないよ。もしするならお前でやるし』

 

『シャレにならねえですよっ!』

 

 

クックックッ、と笑っている。自分はなぜこんな人と付き合っていたのだろうか。普段は普通の人なのに、実験が絡むとすぐこれだ。

 

まあ、笑っている姿は可愛らしいと思うが。

 

 

 

 

 

 

 

________________場面が変わる。

 

 

 

 

彼女の家の前には、大勢の野次馬がいた。

 

ガス爆発事故、住んでいた20代女性1人、死亡。

 

 

信じられなかった。彼女は安全には特に気を付けていた。実験の成果が出ずに悩むことはあっても、火や煙を吐くような失敗はしなかった。

それに、あの家でガスは使われていない。ガス栓はあるものの、自分も彼女も料理をしない。電子レンジやオーブントースターしか使っていなかった。

 

 

 

…………間に合わなかったか。

 

 

苦々しい声が耳に入る。振り向けば、さえない中年の男がいた。少々くたびれた上着からスマホを取り出すと、棒読みのような通話を始める。

 

 

『_______時雨です。すみません、事故があったらしく、人混みに巻き込まれました。車の手配をおねがいします。状況は後でお伝えします』

 

 

気がつけば、男の後を追っていた。自分が何をしたいかもあやふやなまま、声をかける。

 

 

『すみませんっ!あの、え、"間に合わなかった"ってなんですか!?』

 

『……訂正します。しばらく歩くので、車はけっこうです。____________なんの用ですか?』

 

 

スマートフォンを耳から離し、こちらを見つめる私服のおっさん。よく見れば、結構ガタイがいい。鍛えているのだろうか?

 

半ば思考放棄ぎみな頭で、会話を試みる。

 

 

 

 

________________また、場面が変わる。

 

 

 

自分は、公園のベンチにもたれていた。

ここは寂れた公園らしく、遊んでいる子が一人もいない。花壇には雑草が生い茂っているから、管理人にも忘れさられているのだろう。

 

話しかけたおじさんは、ベンチの傍らでタバコを吸いながら、事のてん末を話した。

 

 

"彼女は脱法薬物の売買に関わっており、それを問題視した組織に狙われていた。そこで逃亡を企てたが、実行する前に殺害された。"

 

 

『_________大体こんな感じだ。彼女が売買した薬物のレシピは違法ではない。だが中毒性がある麻薬には違いなくてな。目を付けられるには充分だって話だ』

 

『………組織というのは?』

 

『ふざけた奴らだ。国に認められているからたちが悪い。それ以上は言えん。__________________って、ここまで話しておいて何言ってんだろな?』

 

 

一応言っておくが、警察ではないぞ、と、補足された。

 

……正直、彼女の裏の顔には薄々気づいていた。合成した薬物の数々は、明らかに偏りがあった。

それに、彼女はパートの仕事はしていたが、部屋に並んでいた高価そうな装置を買うには不十分だろう。一度軽く調べた時は目を見張ったものだ。

 

謎は解けた。だが、資金源について今更知ったところで、どうしようもない。

 

墓石を叱りつけても、反応なんて返って来ないからだ。

 

 

『……………それで、あなたは何者なんですか?』

 

『_______夜逃げ屋みたいなものだ。最近では、レジスタンスなんて大層な名前で呼ばれてたりするな』

 

 

"なんで間に合わなかったんだ"と、怒鳴りつけたい気持ちを抑える。

代わりに口にしたのは、加入への申し入れだった。その仕事をやりたいと。どうせ自分はフリーターだ。

 

 

『……あまり良いものではないぞ。それに、いい答えを返せるかもわからない』

 

 

その後は、忠告され、たしなめられ、背後関係を洗われたりなんなりして、仕事をするようになった。

 

 

同じような境遇の人を増やさないため、という立派な志ではない。

実行犯を一発殴りたい気持ちはあるが、殺意までには至らないから、復讐心とも違う気がする。

 

 

しっくりくるのは、八つ当たりだろうか。

 

 

 

 

/////////

 

 

 

「起きやがれ!」

 

「んぐっ」

 

 

強めに頭を叩かれ、強制的に意識が覚醒する。どうやら居眠りしてしまったらしい。頭を上げると、バラされた外骨格が目に入る。あと、眉をひそめた技師さん。そういえば、今は外骨格のオプションパーツについての説明を受けていたか。

 

外骨格。

この身体強化ツールのおかげで、常人には辛い重量物を身に纏うことができる。具体的には、着弾時の衝撃すら吸収してしまう全身の防弾装備や、武器の数々だ。

これのおかげで、幼い頃から鍛え上げられた奴らと優位に戦える。

 

 

「寝るなら家でぐっすり眠れ。で、教えたところはどこまで覚えている?」

 

「あ、えー……花さんの一部部隊で新型徹甲弾の配備のあたりまでです」

 

「ったく。もう寝るなよ」

 

 

説明が再開される。

 

話は、花さんことリコリスから、亡命希望者がこちらに転がりこんできたことからはじまる。なんでも、時たまある話なんだとか。

そこで亡命のお代代わりに内部情報を聞くと、新型徹甲弾の存在が出てきた。

その後、福岡で花野郎ことリリベルとの戦闘で、拳銃から射撃可能かつ、こちらの防弾装備を貫通しうる徹甲弾が使用され、苦戦を強いられた。

拠点が襲撃された際に使われる、時間稼ぎ用の重装甲タイプが投入されなければ、全滅もあり得たという。

 

今までは、拳銃なんて恐れるに足らなかった。こちらが警戒するべきは、接近戦で押さえつけられることと、一部の狙撃銃ぐらいだった。

しかし、拳銃までもが脅威になり得るならば、外骨格の優位性が大きく揺らいでしまう。

 

 

「だが、重装甲タイプは現状、一部の港湾近くの拠点にしか配備されていないし、普段使いには向いていない。だからとりあえず、追加装甲で凌ごうというわけだ」

 

「機動力に関してはどうなりますか?」

 

「もちろん犠牲になる。だがその分、ジャンプ機能で補うことになるな。ガス圧式はガスの使用量を増やして、スプリング式はバネの強化だ。この際、武装のガス銃もジャンプ機能から独立化させる。このままでは継戦能力に支障が出かねないからな」

 

 

あまり評判よくないし、という小声が聞こえた。

 

重量がかさんだ分、エネルギーを脚部に送らないとだめらしい。

背中のユニットから圧縮空気・圧縮ガスを送るガス銃は、生産コストは安いらしいが、ホースが邪魔くさい。別々になってくれるのはありがたいものだ。

 

 

「って、継戦能力のことをいうのならば、スプリング式は廃止では?」

 

「いや、スプリング式は継続して使う。確かに継戦能力は低いが、外骨格単体での使用が可能なことと、ガス圧式とは比べ物にならないほどの信頼性と頑健さを持ち合わせるスプリング式は、未だ有効だ。生産コストも低いしな」

 

 

多分、最後のが主な理由なのだろう。

 

闇に両足を突っ込んだ組織でも、金欠から逃れることは出来ないらしい。

 

 

「えーと、その後はどうなりますか?まさか追加装甲貼っ付けただけの装備でずっと戦うはめになりませんよね?」

 

「………現在、追加装甲なしで徹甲弾に対抗できる装甲を開発中だ。完成まで耐えてくれ」

 

 

目をそらされた。

言われなくてもわかる。駄目そうだと。




説明回でした。
これで一段落したのかね?

できれば評価、コメントおねがいします。
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