TS少女はその恋に気付くのか?   作:愚者かくあるべし。ぺしぺし。

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それっぽく格好いい文章が書きたかった。

※書き直し前のやつなので読まなくて結構です。


見なくても良いやつ
それは愚かな傍観者から。


 結論から述べるとするならば。

 

 

 

 そのTS少女は恋をした。

 焔の様な恋をした。

 

 

 

 

 だがしかし、彼女はその感情に気付いていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 果たして、彼女はその恋に気付くのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 。 。 。 。

 

 

 

 

 突然だが、この話を聞く上で一つ、頭に入れておいて欲しいことがある。

 それは何か。私の事はそんなに詮索しないで欲しいと言う事だ。ああただ勿論、気になるならば君なりに考えてみれば良い。

 

 おや。なら何故態々そんな断りを入れたかって疑問に思っているね?簡単な事さ。

 私は謂わばナレーション、語り部、まあ呼び方は何だっていい。つまるところ、私は只の舞台装置なのだよ。

 だから考察することなんて殆どない。私は読者諸君が無為な時間を消費してしまうのを恐れたから、態々こうやって断りを入れたのさ。

 

 はいはい。今は関係のない無駄話はもう終わり。

 そろそろ本題に入ろうじゃないか。

 

 

 

 

 さてさて、憚らずに言うのであれば()()の運命共同体である私だが。そんな私が評するに彼女は…少々奇怪だ。

 

 そうだな。まずは彼女について触れるとしよう。

 

 彼女の容姿を一言で喩えるとするならば…陳腐ではあるが()使()の様である。その体躯は実に華奢であり、少しの衝撃で脆く崩れてしまいそうだ。そしてその顔立ちも素晴らしい。ぱっちりとした目、空を描く睫毛。艶やかな肌、ほんのり紅を差したような頬。朱唇皓歯。彫刻品の様に整った鼻。どれを取っても幼気で、それでいて妖艶である。実に儚げだ。

 

 これだけを見れば庇護欲を誘われるものであるが、彼女は決して誰かに守られなければならないような人ではない。

 どんな状況であれど自分のなせる最大限の結果を目指し、未知に出逢えば必ずや既知のものとする。そんな信念を彼女は持っている。

 

 実に素晴らしい、文句のつけようがない。

 

 だが、其れでは覆せない程の汚点*1が彼女にはある。それ故に私は彼女を奇怪であると評したのだ。

 

 

 

 そう、彼女は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は、女性であると同時に男性でもあるのだ。

 

 此れは法螺や比喩の類ではない。純然たる事実である。

 此れはモナリザに宜しく両性具有ということでも、昨今話題であるマイノリティに類することでもない。

 

 訳がわからないという顔を君がするのも無理がない。私だって、その事が理解できた時には思わず空を仰いださ。まあ私には空を仰ぐ事など出来ないのだがね。ふふふ。失礼、無駄話が過ぎたようだね。

 一気に省かせて説明させてもらうとするならば、彼女は超常的なナニカによって性転換、所謂TSをして生まれ変わったのだよ。…私も存外にサブカルチャーに染まってしまったようだ。

 

 

 とまあそんな経緯がある故に彼女の精神は実に不安定だ。

 

 希望と絶望を一緒くたに混ぜたような、そんな色だ。

 

 自分は存在してはいけないとだなんて自己嫌悪に陥りながらも、その本心では消えたくないと願う。そしてその相反する抱えていることに気づきまた自分を責め立て、それで許された気になる。

 私から所感を述べるとするならば、実に面倒臭い。実に鬱陶しい。実に勝手だ。

 だが、其処も愛おしいという事でこの話を纏めるとしよう。

 

 

 

 そんな、普通とは違う事情を抱えている彼女の人生だが…つい最近まで、彼女にとっては灰色といって差し支えなかった様だ。

 

 ただそれは虐められていたと言うわけでも、家庭環境が劣悪であったと言うわけでもない。寧ろ逆にであると言える。

 その容姿と性格故に周りから一目置かれ、沢山の人が彼女と親しくなりたいと思っている。実際、休み時間になれば彼女の周りにはいつも人だかりが出来ている。

 家族だってそうだ。先ほども述べたように実に庇護欲を誘われる容姿をしているし、駄々をこねたりもしない。家事の手伝いも率先して行い、いつも感謝と労いの言葉をかけ続ける。こんな子供、誰が憎めるというのであろうか。

 側から見れば薔薇色としか思えない人生。だがそれは彼女にとっては違うようだ。彼女にとってはそれすらも灰色というのである。本当に、実に勝手である。此れの何が不満と言うのだろうか。

 

 だが、彼女からすれば仕方ないという理由があるようだ。成程。

 ではその言い訳を聞いてみることとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の二度目の人生は灰色だ。

 色づいたことは一度もない。

 私は異端だ。私はこの世に生まれるべきではなかった。

 

 

 

 

 

 私には前世があった。

 何の変哲もない、くだらない人生だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だけれど、夢があった。

 他人に言えば、鼻で笑われる様な夢だけど。

 それでも夢があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は諦めなかった。

 どれだけ嘲笑を浴びようとも、諦めなかった。

 夢へ向かって歩み続けた。

 

 

 そして。漸く、漸く夢が叶うその瞬間!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然今まで感じたことのない様な苦痛を感じ。

 私は死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死んだ筈だった。

 

 

 

 

 

 

 : : :

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めた時、そこには白い世界が広がっていた。まるで、端など無いというかのような。

 だけど、そんな事に気が付いたのは後のことで。

 

 私が先ず思ったことは。

 

 『ここは…何処だ?』

 

 ふと周りを見渡す。何かないものかと目を凝らすが何もない。

 ただ無だけがそこにあった。

 

 それに気がついた時。私には訳が分からなかった。

 

 

 

 

 何故だ、何故だ、何故だ?

 何故私は目を覚ました?私はあの時…そう、あの時に死んだ筈ではなかったのか。

 まさか、生きていたとでも言うのか。

 いや、違う。だとしたらここは何なんだ。こんな空間が世にある訳がない。

 

 

 

 

 まさか。

 

 

 

 

 気がついた時にはもう遅かった。

 私は気が狂った。

 ただただ慟哭し続けた。

 けれど、一切肉体的に疲れることはなくて。

 

 いい加減、精神的に疲れてきたと思ったその時。

 図ったかの様に。

 いや、実際図られたのだろう。

 

 

 不思議な声が響いた。

 その声曰く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 “我は神に類する身である“

 

 ”汝の末路。いや実に滑稽且つ劇的だ“

 

 ”我は汝が気に入った”

 

 ”故に汝にもう一度生を与えよう“

 

 ”嗚呼只、蘇るわけではないがな“

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 巫山戯るなと思った。

 

 

 私はお前の娯楽の為に生きてきた訳じゃ無い。

 私は心残りはあれど、生にしがみつきたいわけでは無いのだ。

 

 そう声に出そうとしたのに。

 何故か声にならなくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして神はもう一度こう言って。

 

 

 ”精々、玩具として波瀾万丈な人生で我を楽しませてくれ“

 

 

 

 やはり私の声は声にならなくて。それでも叫んで。

 

 

 そして視界は暗転し、再び目が覚めたら。

 

 

 

 

 

 

 

 (誰か)の人生が、再び始まった。

 

 

 

 

 

 

 : : :

 

 

 

 

 

 嗚呼死にたい。生きたくない。

 

 

 日々心の中で思う癖に。

 机の引き出しからカッターを取り出して、私は。

 

 

 

 …私は行動に出られなくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗚呼、死ねない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 ははっ。何度聞いても笑える言い訳だ。

 

 悲劇のヒーロー、いや、ヒロインにでもなったつもりか。

 お前が幾ら苦しもうと関係ない。

 お前のせいで消えた灯があることを知らない癖に。その灯を奪ってお前は生きている癖に。生かしてもらってる癖に。

 

 何が、死にたくないだ。何が生にしがみつきたい訳ではないだ。

 お前こそ巫山戯るな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …失礼。少し感情的になりすぎたよ。

 ナレーションに私情を挟むだなんて、私は語り部失格だね。失敬失敬

 

 

 

 兎も角。

 此れから始まる話はチープな恋愛話であると同時に、実に不快な男の話でもある。

 

 それでも聴きたいと言う物好きがいるならば。

 …まあ居ないだろうが。

 

 どうか、ご静聴いただきたい。

*1
まあ彼女が言うにはという注釈がつくがね。




文章、むずかしい。
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