TS少女はその恋に気付くのか?   作:愚者かくあるべし。ぺしぺし。

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※没なので見なくても良いやつです。


涙する道化を人々は笑うのか。

 此れは(彼女)の懺悔だ。

 

 

 

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 君は性格が悪かった。

 

 何かと偉そうだし、愚痴も沢山吐いていた。何か気に食わないことがあればすぐに八つ当たりをしてくるし、私の本棚から無くしたと思ってた本を君の家で見つけたなんてことも多々あった。それどころか私のお菓子は勝手に食べるわ、私の部屋で服を脱ぎ散らかすわで…。…自分で挙げておいてなんだが、改めて見ると酷いものである。

 

 一時期は本当に気が滅入ってしまって、君と関わりたくないと思った事もある。

 

 

 

 

 …だけど、今考えてみれば。

 

 あれは、君なりの気遣いだったんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当に大切なものは失った時に気がつくとはよく言ったものだ。

 

 あの時の()は、まさか。

 

 

 

 

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 君は無意味な問答をするのが好きだった。

 

 例えば、過去があるから未来があるのか、未来があるから過去があるのか。とかね。因みに僕はどちらでも無いと思っている。現在(いま)があるから過去があり、未来があるのだとね。…だからと言って如何と言う訳もなく。本当に当たり前のことを口にしているだけなのだが。

 

 兎に角。君が聞いてくる事の大半は稚拙でくだらないものばかりで、だから僕も適当に流していた。

 …だけど。僕のそんなおざなりな行動が裏目に出るだなんて、考えもしなかった。

 

 

 

 

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 あの日、君と僕はいつものように僕の部屋に集まっていた。

 集まっていたと言っても、何をすると言うわけでは無い。此れが別の相手だったら話は違ったかもしれないが、生憎の所僕には君以外の友達はいなかったし、君だってそうだった。

 だから何の生産性もないお喋りはしながらも互いに目を合わせることはなく。

 君は寝台の上で寝転びながら僕の本棚から取った漫画を見ていたし、僕は勉強机で翌週が提出期限の課題の仕上げをしていた。

 

 やがて二人とも自分の世界に入り、会話も途切れ途切れになった頃。

 

 

 

 

 君は「——そういえば」と、思い出したかのように言った。

 

 「死ぬってさ、生きることより苦しい事なのかな」と。

 

 

 

 余りにも突然のことであったが、問題を解くのに難航していた僕はまたか…なんて。いつもとはテイストが違うなと思いながらも、手持ち無沙汰にペンを遊ばせながら適当に答えた。

 

 「んー。継続する苦痛よりも一過性の苦痛の方が楽なんじゃない?多分。だから死ぬ方が苦しくないと思うけど」

 

 何という無責任且つ倫理観のない回答だろうか。恐らくその時の僕は脊髄だけで会話をしていたのだろう。まるで人の心がない。

 

 だけど、君にとっては十分だったのか。ともすれば、最初から聞く気などなかったのか。

 只、君は何処か困ったような、それでいて安心したような口調で、ただ一言言った。

 

 「…そうかい」って。

 

 

 帰り際に見た君が、少し寂しそうに見えたのは、僕の見間違えだったのかな。

 此処での選択肢を誤らなければ君は——君と僕は、まだ一緒に笑い合えてたのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今でもさ、時々夢を見るんだ。

 

 

 8月7日。君の家を訪ねた日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 8月7日。君が死んだ日の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ねえ。君がいなくなってからさ、僕はいろんな事を知ったんだ。

 

 

 君の日記の中身を見ちゃってさ。…君の両親に言われたんだからな。「見てやって欲しい」って。…盗み見した訳じゃないからね。

 

 君が僕に構ってたのはさ、僕のためだったんだね。

 …馬鹿だなあ。そんなに不器用じゃ伝わるものも通じないよ。…分かんないよ。…教えてよ。

 

 

 苛つくような行動は、僕が泣きそうな顔をしている時に少しでも気を紛らわして欲しかったから。

 僕の家のものを勝手に持ち出したりしたのは、あの家から少しでもいて欲しくなかったから。

 

 …僕のお菓子を勝手に食べたのは特に深い意味はなく、ただ食べたかっただけのようだけど。

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 君が死のうと思った理由も、分かったんだ。

 

 

 

 

 

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 薄々気がついてはいるんだ。

 この体は()のものではないって。

 

 

 

 

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 これは、彼女が彼である為に。

 

 




お気に入り登録や評価等有難うございます。
まさか9の評価入れて貰えるとは思ってもいなかったのでウハウハです。駄作者は自己承認欲求高めなので凄く嬉しいです。

あと、誤字報告頂いたんですけどどこか分からなくてグダグダしてたら通知が消えていました…お手数かけますが、もし治っていなければ再度お願い致します。…また失敗するかもしれませんが。

八月が終わるという恐怖に身を震わせながら書いたので駆け足気味で荒いです。
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