ハイスクールD×J~噛み砕け、俺のジョーカー!~   作:伊達 翼

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第十三話『なんで俺まで付き合わにゃならんのだ!?』

 その日、オカルト研究部の部活、及び悪魔稼業は急遽中止となり、グレモリー先輩は姫島先輩と共に旧校舎の奥へと引っ込み、用事を済ませようとした俺も結局は引き返す羽目になる。

 頬に負った傷はアーシアさんに治癒してもらったので、明香音には気付かれないだろう。

 イッセーもアーシアさんと一緒に帰ってしまうから事情を聞けなかったのも痛い。

 つか、唐突過ぎて意味がわからない。

 なんで、俺が巻き込まれにゃならん? 間が悪い、と言えばそれまでだが…だからと言って何の説明もないのは納得がいかん。

 

 そこで俺は帰宅する中では、比較的雰囲気が穏やかな木場を取っ捕まえて事情を聞き出すことにした。

 

「おい、木場。一体何がどうなってやがる? なんで、俺まで巻き込まれてるんだ?」

 

 旧校舎の玄関で木場に接触した俺は、木場を問い詰める。

 

「なんというか…ご愁傷様という他ないけど…そうだね。巻き込んでしまったのはこちらだし、きちんと話すよ。ただ、部長は今、色々とご多忙だろうから、僕から簡単に説明するよ」

 

 そうして俺は木場からある程度の事情を聞いた。

 

 要約するとこうだ。

 まず、グレモリー先輩には婚約者がいる。もちろん、悪魔のだ。

 そのお相手がさっきいたキザったらしいホスト風の男…名を『ライザー・フェニックス』というらしい。

 ただ、グレモリー先輩は親が決めたその婚約に反発しているようだ。

 

 そして、さっきライザーが訪問してきたのは最後の話し合いをしに来たためなんだと。

 これで決着がつかない場合、グレモリー先輩とライザーの親御さんはレーティングゲームで決着をつけるように仕向けていたようだ。

 レーティングゲームは本来成熟した悪魔にしか参加権はないらしいが、非公式では結構よくあるとのこと。まぁ、それも身内同士であったり、お家同士のいざこざでの場合が多いらしいが…。

 

 で、グレモリー先輩はそのゲームを受けた。

 しかし、相手のライザーは成熟している上に、プロのレーティングゲームにも参加していて白星が多いとのこと。これは本人の言から聞いた話らしいのだが…。

 さらにライザーの眷属は見た通り、十五人。全ての駒を一個ずつ用いたフルメンバーである。

 対するグレモリー先輩の眷属は姫島先輩、木場、塔城、イッセー、アーシアさんの五人だけだったのだが…。

 そこに運悪く足を運んでしまった俺が、何故かグレモリー先輩の勧誘を受けているということになり、さらにはライザーの提案もあって参加する流れとなったというわけだ。それでも六人、王を含めても七人という数的不利には変わりないのだが…。

 

 ゲームは十日後なので、その間にイッセーを鍛え上げるように言われているようだが…。

 そんな短期間で劇的なパワーアップなんかできるもんなのか?

 

 つか、そんな変なタイミングで部室を訪れてしまった俺も、相当間が悪いな!?

 

「紅神君の参戦はおそらく上役の方々にも認められる可能性が高いかな。部長がスカウトしている人材ということで、騎士か戦車…どちらかの枠として参戦することになると思うよ?」

 

「あ~、くっそ…マジかよ。つか、俺は誘いを蹴った身なんだが?」

 

 堕天使との一件時、俺は悪魔の庇護を拒否したんだがな。

 

「部長はまだ諦めていないようだったらしいね。まぁ、あれだけの存在を間接的に下僕にできるのなら、大きな武器になりそうだし」

 

『勝手を言ってくれる』

 

 木場との会話の際、天狼もそのように言っていた。

 

「生憎と、俺はグレモリー先輩の下僕になんざならねぇからな?」

 

「それは残念。とは言え、今回は不可抗力でも参戦してもらうことになるかな」

 

「はぁ…厄介なことに巻き込まれちまったな…」

 

 そう呟いて俺はガリガリと頭を掻く。

 

「まぁ、正式な眷属でない紅神君は特例扱いになると思うから、そこまで気にすることもないと思うよ?」

 

「俺はその厄介事に関わりたくなかったぜ…」

 

 木場の慰めっぽい言葉には悪態を返しておく。

 

『宿主もほとほと運がないようだ』

 

 天狼も俺の運のなさに呆れているようだが、こんなもん、どう回避しろと?

 

 ともかく、俺は木場から事情を聞いた後、帰宅することにした。

 

 しかし、十日後に悪魔同士のゲーム、ねぇ…。

 だんだんと俺の日常も侵食されてる気がしないでもない…。

 

………

……

 

 その翌日。

 俺は何故か、イッセー経由でオカルト研究部に呼び出され、山籠もりの修行に付き合う羽目になった。

 

「……なんで部員でもねぇ俺が修行に付き合わにゃならんので…?」

 

 俺は眉をピクつかせながらもグレモリー先輩に文句の一つをぶつけていたのだが…

 

「仕方ないじゃない。あなたもゲームに参加するようになってしまったのだもの」

 

 悪びれた様子もなく返される。

 

「知るか。第一、ゲームを受けたのは先輩であって、俺は完全に巻き込まれた、ただの人間なんだが?」

 

 マジでイラッとしたので語気を強めにしてグレモリー先輩を睨む。

 

「あの場で死ななかっただけマシに思いなさい。あんな場面に遭遇したのはあなたの責任でしょう?」

 

「俺だってあんな場面に遭遇したくてしたんじゃねぇよ!」

 

 そんな風に俺がグレモリー先輩に突っかかっていると…

 

「ま、まぁまぁ…落ち着けって忍…」

 

 イッセーが俺を羽交い絞めにして落ち着くよう言ってくる。

 

「これが落ち着いてられるか! こちとら、責任者から何の説明もなく勝手に頭数にされてんだぞ!?」

 

 俺がそんな風に吠えると…

 

「それに関しては悪いと思ってるわよ。でも、仕方ないじゃない。あの場でああ言っておかないと、『グレイフィア』が口封じのためにあなたを殺してた可能性だってあるんだから」

 

 などとグレモリー先輩は言ってくる。

 

「くそ…堕天使の次は悪魔同士のいざこざかよ!」

 

 この憤り、何処へぶつけていいのかわからん…!

 

 俺のこのフラストレーションは修行で発散しろとグレモリー先輩に言われたが、色々と納得できそうになかった。

 

 

 

 ちなみに学園にはグレモリー先輩から連絡がいってるそうなので、問題ないとのことだが…。俺の家族や明香音は不審がるだろうが!? その辺どうするんだよ!?

 と俺が当たり前の疑問を持ち掛けるが、グレモリー先輩からは問題ないの一言。

 俺が家を出た後、使いの者を向かわせ、今回出した探偵への依頼の一環だと説明したそうだ。しかもご丁寧に簡単な暗示の類を用いたらしい。

 おい、悪魔…そこまでするのか!?

 

 そうして俺は山籠もりの修行に付き合うことになってしまった。

 とは言え、基本はイッセーへの修行がメインで他の面子は指導する側になっているようだ。

 

 そして、当の俺はと言えば…

 

「やるね、紅神君!」

 

「うるせぇ! こちとら、生身の人間なんじゃ!」

 

 イッセーが他の修行をしている間、俺は木場や塔城と模擬戦っぽいことをしていた。

 木場相手は木刀同士での剣戟、塔城相手では素手による組み手と、なかなかハードである。そのイッセーは木場の剣術指南に塔城の格闘指南に加え、体力作り、さらにイッセーには悪魔としての力…『魔力』がある。その辺の使い方も教わっているらしい。

 

 とは言え、神器が宿ってる以外は生身の人間な俺と、悪魔である木場達では地力が違う。

 木場本来のスピードにはついていけないし、塔城の怪力は当たるだけで危険だろう。

 それでも俺は生身の人間なりの戦い方で木場と剣戟を繰り広げ、塔城の怪力を受け流すようにして戦っていた。

 

 あと、俺のゲームでの役割だが…一応、騎士枠だそうだ。

 正式な眷属ではなく、単なる数合わせ的な意味合いが強いだろうが、特例でゲーム中は騎士の素早さを適用されるそうだ。

 そんなことされても逆に困るんだがな…。

 

 

 

 そんなこんなもあって俺も相手を気にすることなく動いてみた。

 どうせ、相手は格上相手なのだ。遠慮してたら、こっちが痛い目を見る。

 

 しかし、久し振りに思いっきり動いたせいか、翌日には軽い筋肉痛を発症してしまった。

 まぁ、イッセーは夜にも修行があるし、悪魔としての知識も蓄えないとならないらしいから、俺よりも酷い状態なんだろうが…。

 

 

 

 それから二、三日くらいが経ち、イッセーが見るからに元気がなくなっていくのがわかった。

 

 どうやら、自信をなくしているようだった。

 しかし、こればかりは俺から何かを言う資格はないだろうな。

 悪魔に転生したわけでもなく、生身で木場や塔城を相手してる俺の言葉は逆にイッセーを傷つけるだけだろう。

 イッセーの苦悩を知っておきながら手を差し出せない自分が、少し嫌になったね。

 

 そんな時、グレモリー先輩がイッセーと木場に模擬戦をやらせた。

 イッセーは神器を用いて力を増幅させた状態での模擬戦だ。

 正直に言うと、俺は木場と手合わせし、木場の力量の高さを目の当たりにしてたこともあってか、イッセーに不利だと思った。

 しかし、蓋を開ければ、なんとイッセーの優位で戦闘は進んでいた。

 この結果を受け、イッセーは自信をつけ、修行への身の入り方も格段に上がったようだ。

 

 

 

 こうして、俺達の山籠もりの修行は終わり、遂にライザー・フェニックスとやらとのゲームの日を迎える。

 結果として、俺は戦闘勘を取り戻していた。伯父さんに稽古をつけてもらう以上に冴えてきたと思う。

 とは言え、俺は本来ならこのレーティングゲームに参加することのない存在なんだがな…。

 仕方ない。ここまできたら、腹を括りますかね。

 溜まりに溜まったフラストレーションは、対戦相手にぶつけあっせてもらおう。

 つか、俺の参加を提案してきたのは、あのライザーとかいう奴だったな。

 一矢報いなきゃ、気が済まん。

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