ハイスクールD×J~噛み砕け、俺のジョーカー!~   作:伊達 翼

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第十四話『ゲーム開始…はいいんだが、俺は勝敗に興味がない』

 ゲーム当日。

 俺は駒王学園の制服を身に纏い、夜の通学路を歩いていた。

 親父達にはオカルト研究部の手伝いで出てくると伝えているので、問題はない、と思う。

 親父はオカルトと聞いて若干渋い顔をしていたが、依頼に貴賎なんてないと言って出てきた。

 流石に明香音には言っていない。こんな遅くに付き合わせるのも悪いし、何よりあのライザーとかいうのに明香音を見せたくない。眷属の構成からしてイッセーと少なからず似た趣味趣向の持ち主だと思うし…。まぁ、イッセーは弁えてくれるが、あのライザーとかいうのの本性までは知らんしな。

 

 まぁ、巻き込まれてしまったことはもう仕方ない。

 そこは割り切る。だが、相手にはこの溜まりに溜まった不満の捌け口になってもらうことにする。

 八つ当たり? だからなんだよ。

 こちとら、異形のいざこざにはうんざりしてるんだよ!

 

『しかし、宿主も律儀なものだ。どうせ、悪魔との口約束なのだから蹴ってしまえばいいものを…』

 

「だが、ある意味でこれは依頼だ。依頼は最後までキッチリやるのが俺のポリシーなんだよ」

 

 天狼の言葉に俺はそう答える。

 

『難儀な性格だな』

 

「自分でもそう思うよ」

 

 いや、割とマジで…。

 

 自分でも難儀な性分になったもんだと思いながらも俺は天狼と会話をしつつ、旧校舎にあるオカルト研究部の部室へと辿り着いた。

 

 

 

 部室の中では皆思い思いの方法で過ごしていた。

 まぁ、イッセーとアーシアさんについては緊張しているようにも見えたが…。

 かくいう俺も適当なソファに寝そべらせてもらったが…内心は緊張していたりする。

 

 いくらゲームの名を冠していようと、実際は俺達一人一人が駒として動くのだ。

 動くチェスとはよく言ったものだが、その戦略性・戦術性は想像以上に幅広いだろう。

 

 そんなことを考えていると、例の銀髪のメイドさんが魔法陣から現れる。

 

「皆さん、準備はよろしいでしょうか? 試合まで残り十分です」

 

 銀髪メイドさんの言葉に全員が立ち上がるのを見て俺も仕方なく立ち上がる。

 

「開始時間になりますと、ここの魔法陣より戦闘フィールドへと転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界です。そこは使い捨てのフィールドですので、どのような戦闘を繰り広げようと自由ですので、存分にどうぞ」

 

 銀髪メイドさんはそのように説明してくる。

 

 仮眠を一応取ってはきたが…俺は悪魔じゃないんで、若干眠い…。

 他の連中はそうでもなさそうだが…。悪魔ってのはいつ寝てんだか…。

 

「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆様の他、魔王ルシファー様もご覧になられていますので、お忘れなきように」

 

 あ? 魔王、だと?

 冥界とやらのトップが直々に見るたぁ…どういうことだ?

 

 その事実に俺は首を傾げ、イッセーが驚いていると…

 

「お兄様が…?」

 

 グレモリー先輩が小さく漏らす。

 

 兄? 今、兄と言ったか?

 魔王が兄だと…?

 そういえば、前に聞いた話だと、前の魔王が死んだから新しい魔王になってたんだっけか?

 それが先輩の兄貴…?

 

 イッセーも木場からその辺のことを聞いて驚いているらしい。

 

「そろそろお時間です。魔法陣へお集まりください」

 

 などと言っていると、集合がかかる。

 

「一度向こうへ行ったら、ゲームが終わるまでこちらへの転移は不可能なのでご了承を」

 

 そして、魔法陣に集まった俺達は、バトルフィールドへ…。

 

………

……

 

 魔法陣を通って俺達がいたのは…オカルト研究部の部室?

 

 転移ってのに失敗したのか?

 

 などと考えていると、まるで校内放送のような感じで、銀髪メイドさん…『グレイフィア』と名乗った人が色々と説明をしてくれた。

 

 曰く、転送されたこの場が、駒王学園を模したバトルフィールドだという。

 なんという精巧な造りだろうか…一瞬、本物かと思ってしまった。

 それはイッセーも同じようだったが…。

 

 ともかく、転移した地点が自陣の本陣。

 俺達はオカルト研究部の部室、ライザー側は新校舎の生徒会室らしい。

 兵士はその周辺に行けば昇格が使えるそうだ。

 

 あと、グレイフィアって人はこうも付け加えていた。

 

『なお、今回はリアス・グレモリー側の眷属に一人だけ人間が混ざっております。スカウト中だということで、特例での参加を認めていただきました。名は「紅神忍」。役割は騎士。転生悪魔でないため、魔力や耐久力はありませんが、騎士としてのスピードを付与した状態にしております。ライザー様側は彼を撃破する際は注意をお願いします』

 

 ………………神器宿している以外は、生身の人間ですが、何か?

 

 その最後の注意事項を聞いて、俺はブスッとした表情をしたに違いない。

 

『制限時間は人間界で言う夜明けまで。では、ゲームを開始してください』

 

 そうしてレーティングゲームの火蓋が切って落とされる。

 

 

 

 ……そのはずなんだが…。

 

「まずは全員、これを着けてちょうだい」

 

 そう言って配られたイヤホンマイクタイプの通信機器。

 

 こう言っちゃなんだが…悠長過ぎやしないか?

 もっと序盤から派手なことになるかと思ったが…そうでもないのか?

 まぁ、魔力で通信ってなったら、俺には手立てがないから助かるが…。

 

 そう思いながら俺は配られた通信機を耳に着ける。

 

 それから作戦会議が行われたのだが…。

 まずはこの旧校舎付近の森に罠を仕掛けるのだと…。その上で姫島先輩が相手にしか効かない幻術と霧を発生させるのだとか…。

 よくわからんが、魔力とはそんなことまでできるもんなのか?

 

 木場と塔城が罠を仕掛けに森に向かった後、イッセーは何故かグレモリー先輩に膝枕をされてたが…。

 まぁ、俺には関係ないことだ。

 今の内に天狼を呼び出しておくか。

 

「召か…」

 

「紅神君、待ちなさい」

 

「なんすか?」

 

 天狼を召喚しようとしたら呼び止められた。

 

「あなたのアレは私達にとってもワイルドカード。ここぞという時まで取っておきなさい」

 

「………………」

 

 グレモリー先輩の言うことは、非常に残念ながら俺も理解している。

 相手は天狼の存在を知らない。

 なら、それを切るタイミングも計れというのはわかる。

 が、しかし…。

 

「俺は別にアンタの正式な眷属ってわけじゃない。好き勝手に命令できると思うなよ?」

 

 悪いが、俺はこの人が勝とうが負けようが、どっちでもいい。

 巻き込まれた手前、一応協力の姿勢は見せよう。

 しかし、だからと言って全てを受け入れる気はサラサラない。

 

「正式な眷属にはちゃんと自分の言うことを聞く人材を見繕うんだな」

 

 そう言うと、俺は部室から出ようとする。

 

「待ちなさい! 何処に行くつもりなの!?」

 

「運動場だよ。悪いが、俺は俺の好きにさせてもらう」

 

「なっ!? こちらのゲームプランを壊す気!?」

 

「なら、『俺達』っていう駒も予測に組み込んでみろよ。出来るもんならな」

 

 それだけ伝え、俺は部室を後にする。のだが…

 

「ま、待てよ、忍!」

 

 イッセーが追い掛けてきて俺の肩に手を置く。

 

「悪いな、イッセー。いくら友人の頼みでも、今回はこの間と違う。俺は勝手に巻き込まれたんだ。良い感情なんて持てるわけがないだろ?」

 

 俺はそう言って肩に置かれたイッセーの手を払う。

 

「そ、それは…で、でも、こうして俺達のとこに来てくれたし…」

 

「ある種の依頼だと思ってるからだ。俺は依頼をキッチリ果たす。それがポリシーだからな」

 

「忍…」

 

 俺の冷淡な言葉にイッセーもどうやら戸惑っているらしい。

 

「安心しろ。悪魔であろうとイッセーは友人だ。それに変わりはない。だがな…俺の中でもキッチリ線引きはしておきたいんだよ」

 

 それだけはどうしても譲れない。いや、譲れそうにない。

 

「忍…」

 

「じゃあな。やられなかったらまた会おうぜ」

 

 イッセーの何とも言えぬ表情を見続けても仕方ないと感じ、俺はそう言って旧校舎を出ることにした。

 

 

 

 さてと…得物はない。

 戦うにしても素手になるか…。

 いや、待てよ? そういえば、アレ(・・)があったか…。

 まだ一度も試したことはないが…ぶっつけ本番でやるしかないな。こんなことなら、一回くらい試しときゃよかったかもな…。

 それに、このゲームとやらは両家やら魔王が見てるというが…。

 まぁいい。俺は俺で、戦ってやるさ…。

 その結果、先輩が勝とうが負けようが、俺には関係ないことだしな。

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