ハイスクールD×J~噛み砕け、俺のジョーカー!~   作:伊達 翼

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第十七話『探し物はあった。が、どうしたもんかね…?』

 運動場を通り過ぎ、新校舎へと侵入を果たした俺は、そのまま正面から生徒会室へと向かった。

 

「妨害の類はない、か」

 

 廊下を歩きながら俺は独り言ちる。

 

『強者の余裕というやつであろう』

 

 未だ合身中のため、天狼の声が頭の中に響いてくる。

 

「強者、ね。確かに間近で見たあいつはそれなりにヤバい感じはしたが…」

 

『我らと比較してはならん。我等単体ずつならただの異形程度に後れを取るつもりはないが…主はそうはいかん』

 

「そらそうか。いくら合身してるとはいえ、俺は生身の人間だしな」

 

『そういうことだ』

 

 天狼の声は頭の中に響いているが、俺は声を出してるので、傍から見たら独り言と捉えられても仕方ないが…。

 あ、そういや、鳥野郎や先輩の家の関係者とか、魔王が観戦してるとかどうとか言ってたな。

 ……………ま、いっか。どうせ俺には関係のないことだ。

 

 

 

 そうして俺は生徒会室の前までやってきたのだが…。

 

「………………」

 

『主よ。どうした?』

 

「いや、敵とは言え、礼儀を失していいものかとな」

 

 こういうところ、日本人の悪い癖なのかな?

 

『……敵が待ち伏せしている可能性もあるぞ?』

 

「とは言え、相手は格上だしな。俺相手に待ち伏せする意味もないだろ」

 

 と言いながら俺は一応ノックすることにした。

 

コンコン。

 

 すると…

 

「誰だ?」

 

「人間風情だ、鳥野郎。腕試しに来てやったぞ」

 

 中から声がしたので、挨拶してやった。

 

「ほぉ? お前か。確か、カーラマイン達が相手をしていたと思ったが…」

 

「テメェの妹に通させてもらった。確か、余興がどうとか言ってたがな?」

 

「レイヴェルか。勝手なことを…まぁいい。入れ」

 

 入れと来たか。室内戦は都合が良いが…まぁ、それよりも聞きたいことがあるしな。まずはそっちを優先するか。

 

「失礼するぜ」

 

 そう言って俺は生徒会室に入り、鳥野郎…ライザーと対面する。

 

「敵地に単独で攻め込んできた蛮勇は褒めてやろう」

 

 生徒会長のデスクに腰掛けてたライザーが大仰に俺を出迎える。

 

「そいつはどうも。早速やるか、と言いたいが…一つ、アンタに聞きたことがある」

 

「うん? 聞きたいことだと?」

 

「あぁ。単純な質問さ」

 

「ふむ…あまり時間もないんだが…いいだろう。一つだけなら許す」

 

 時間がない?

 どういうことだ?

 

 ライザーの言葉に違和感を覚えつつも、俺は胸ポケットから天狼のカードを取り出してライザーに見せる。

 

「これと似たようなカードを知らないか? つい最近、出現した代物でな。似たような気配をこちらで感じたんだよ」

 

「---」

 

 ライザーが一瞬眉を動かすのを俺は見逃さなかった。

 

「………知らんな」

 

 それから少ししてそのような答えを言ってきた。

 

「そうか」

 

「それだけか? ならば、屋上に行こう。そこでの方がお互いに戦いやすいだろう」

 

 俺の素っ気ない反応に対して何事もないかのようにライザーは提案してくる。

 

「いいぜ。どうせ、俺はアンタらの事情なんて知ったこっちゃねぇしな」

 

「ほぉ? それならば、何故リアスに与する?」

 

「ただの依頼の延長だ。詳しい事情までは知らんし、これが終われば俺は部外者だ」

 

「物好きな人間だな」

 

 ライザーの問いに俺がそう答えると、ライザーは面白そうに笑っていた。

 

 こっちは笑い事じゃねぇんだがな。

 

 そんな風に時間を費やしていたら…

 

「ライザー!!」

 

 そんな怒声と共にグレモリー先輩がアーシアさんを伴って生徒会室にやってきていた。

 

「すまんな、人間。時間切れだ」

 

「なるほど。そういう意味だったか」

 

 さっきの時間がないという言葉の真意を察し、俺はグレモリー先輩を見た。

 

「紅神君!? どうしてここに…それに、その姿は!?」

 

「こっちも切り札を切ったつもりだったんですがね。ま、人の身の限界を悟ってたとこですよ」

 

 などと言いながら…

 

「そうそう。鳥野郎。カードを知らないのは嘘だな?」

 

 俺はライザーに再度問いかけることにした。

 

「……何故、そう思う?」

 

 感情が抜けた表情で問い掛けに返すライザーに俺は言ってやった。

 

「カードを見た時、眉が一瞬だが、動いてたぜ? 俺はそういうのは見逃さないようにしてるんでな?」

 

 それを聞き、ライザーは驚いたような表情をした後…

 

「目敏い奴め」

 

 そう言って気崩してたスーツの胸ポケットから紅蓮のカードを取り出して見せた。

 そのカードの表面には六枚もの翼を広げた鳳の全体像が金色の刻印で描かれていた。

 間違いなさそうだな。

 

「お前の言うカードとはこれのことだな? これを持ってから俺はすこぶる調子がいい。だから、簡単に渡すわけにはいかんな!」

 

 カードにそんな効果が?

 

『わからん。なにせ、現界するのは主が初めてだったからな』

 

 俺の中の天狼も驚いた様子だった。

 

「手にしたくば、俺から奪ってみるのだな!!」

 

 ライザーはそう言うと、カードを胸ポケットにしまい、炎の翼を生やして生徒会室の窓から外に出た。

 

「ちっ…結局は屋上か」

 

 それを見て、俺は生徒会室から出て屋上へ向けて走る。

 

………

……

 

 屋上へとやってきた俺は、ライザーの姿を探していると…

 

「はぁぁぁ!!」

 

 悪魔の翼を生やしたグレモリー先輩がライザーと戦っていた。

 

 ちっ…先輩も窓から外に出たか。

 アーシアさんを守りながらとは言え、よくやる。

 ………いや、むしろこれは…。

 

 戦況を分析していると…

 

『ライザー・フェニックス様の「騎士」二名、「僧侶」一名、「兵士」二名、戦闘続行不能です』

 

『リアス・グレモリー様の「女王」一名、戦闘続行不能です』

 

『リアス・グレモリー様の「騎士」一名、戦闘続行不能です』

 

 立て続けにリタイヤのアナウンスが響き渡る。

 

 運動場での戦闘か?

 しかし、向こうへの打撃も凄いが、こっちも大損害だな。

 ただ、聞いた限りではイッセーはしぶとく生き残っているようだな。

 

 となると、俺が聞き逃がしたりしてなければ、こちらは残り四人で、向こうは…多分、三人程度か?

 随分と拮抗した気がするが、相手には女王がいる。

 王同士の対決も見た限り、こちらが劣勢。

 フェニックス…つまるところ不死鳥か…。

 仮にイッセーが増援に来たとしても、これは詰んだかな?

 

 だが、俺にも引けない理由ができた。

 ライザーの持つ紅蓮のカード。

 はたして、何が出てくるのかな?

 

 俺は少しだけ昂揚するのを感じながら、その場からグレモリー先輩とライザーとの戦いに乱入するために駆け出す。

 

 

 

 とは言え、だ。

 魔力が飛び交う中で、飛び道具がない俺は無力である。

 いくら魔力の弾道が見えたとしても、回避するしかない以上、俺の出来ることは、ほぼない。

 力の使い方がなってないとしても、それは仕方のないことだろう。

 それに懐に飛び込んでの格闘戦をしても、あまり意味がないのはグレモリー先輩の攻撃を受けてピンピンしてるライザーを見れば、何となく察してしまう。

 

 そうこうしている内にイッセーも増援としてやってきたが…。

 正直、かなり無理しているのが見ててわかった。

 そして、それは俺ではどうしようもないことだとも悟ってしまった。

 

 

 

 結論から言えば、グレモリー先輩は負けた…いや、投了(リザイン)したのだ。

 イッセーも最後まで戦おうとしたものの、その意思に反して体が言うことを聞かないようだった。

 イッセーのその姿は見ていて痛々しかったが、勝負は勝負。

 いずれにせよ、勝ち負けはある。

 今回は負けた。それだけのことだ。少なくとも、俺にはそう感じられた。

 

 さてと、これで俺もやっと解放されるかな?

 しかし、それではライザーの持っていたあの紅蓮のカードを回収できないではないか。

 どうしたもんかな…?

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