ハイスクールD×J~噛み砕け、俺のジョーカー!~   作:伊達 翼

21 / 27
第十九話『ちょっとした違和感』

 なんだかんだで球技大会の時期になっていた。

 一応、部活対抗種目もあるにはあるが、俺はあくまで探偵同好会なので、あまり縁のない話である。が、運動系の部活はこぞって俺を勧誘しにくる。理由は察しがつくだけに、やや億劫ではあるが…。

 とりあえず、俺はどこにも肩入れしないと宣言し、クラス対抗の方で適当にやるつもりである。

 

 片やイッセーの方は、オカ研に所属するようになってから毎日忙しなくしている様子だった。

 悪魔になったとはいえ、日々の学園生活もあるし、こういったイベント事もあるからな。友人としては、どこか生き生きとしている姿を見て安心を覚える。

 

 そうだ。

 イッセーと言えば、どうやらグレモリー先輩も兵藤家に住み始めたと聞いた。

 この間、イッセーが密かに教えてくれたのだ。

 流石に公にはできんだろうからな。学園のアイドルと学園の問題児が一つ屋根の下…俺は興味がないが、学園の大半を敵に回したようなもんだからな。

 とは言え、いずれはバレそうな気もするが…。

 

………

……

 

 とまぁ、そんなこんなで球技大会の日はすぐにやってきた。

 

 クラス対抗戦の種目は野球。

 守備は問題なかったのだが、どういうわけか俺の打順になると、どのクラスも敬遠しやがる。

 これでも運動神経は悪い方ではないと自負しているので、やや不満を覚える。

 まぁ、こちらのクラスにはダークホース的なイッセーがいるから問題はない。ないのだが、それとこれとは、やはり別問題だろう。

 

 そうしてプログラムは進んでいき、お昼を挟んで部活対抗戦になる。

 部活対抗戦はドッジボールらしい。

 たった一人の同好会では土台無理な競技なので、参戦しなくてよかったとは思っている。

 

 暇だったので明香音と共に観戦していたのだが…。

 オカ研と野球部の初戦を見て、俺はイッセーに同情した。

 そりゃ、オカ研には学園の人気者が何気に集まっているからな。イッセー以外には基本的に当てられないだろう。

 

 ただ、木場の様子が変だ。

 どこか上の空のようで、試合に集中していないのは見ててわかる。

 そんな木場を果敢にも標的にした野球部の部員の一投を木場は避ける気配がない。それを見てイッセーが庇いに入ったのだが、不幸にも弾道が急速に落ち、イッセーの玉に直撃する。

 同じ男としてその痛みはわからんでもないため、顔をしかめてしまった。いくら憎きイッセーでも同じ男として、その悲劇は観戦、または対戦してた男どもからも同情的な視線を向けられていた、ような気もするが…。

 

 まぁ、結果的にはオカ研の優勝だったが…木場の様子が終始変なのは変わらずだった。

 俺にはもう関係のない話だから、ここで訳を聞きに行くようなことはしないが…。

 

 また、変なことに巻き込まれなければいいけどな…。

 

………

……

 

 球技大会が終わって次の休日。

 俺は明香音をデートに誘っていた。

 最近、色々と依頼やレーティングゲームの疲れもあって明香音には寂しい思いをさせてしまったからな。

 そのお詫び、というわけではないが、たまには二人の時間を過ごすのもいいだろうさ。

 

 あと、天狼や焔鷲の仲間探しもあるが、当面は情報もないことだし、ゆっくりしようと思っている。

 一応、何が起こるかわからないので二体のカードも持ち歩くようにはしているが…。幸いなのは、二体とも空気を読んでか大人しくしてくれているけど…。

 

「ねぇねぇ、しぃ君。次はどこに行く?」

 

「そうだな。そろそろ飯時だし、近くのファミレスにでも行くか?」

 

「うん」

 

 そんな会話をしつつ、こうして腕を組んで歩いている俺と明香音。

 やはり、明香音といると穏やかな気分になる。これも惚れた者の弱みというやつだろうか?

 この穏やかな気分のまま、今日みたいな日々を過ごしたいものだ。

 天狼や焔鷲には悪いとは思うがな。

 

 そう思いながら近くにあったファミレスに入ったのだが…。

 

「なんだってこうなるのか…」

 

 案内された席の隣には、何故かイッセーと塔城にどっかで見たような気がする男一人に、見知らぬ白フードを被った女性三人がいた。

 

 俺と面識のあるイッセーや塔城に挨拶すべきかとも思ったが、今は明香音とのデート中だ。

 変なことには関わりたくないんだが…

 

「あ、兵藤君だ。こんにちは」

 

「……よう、イッセー。お前らも飯か?」

 

 先に明香音がイッセーに挨拶したもんだから、俺も仕方なくイッセーにだけ挨拶する。

 

「よっ、忍に天道さん。まぁ、そんなとこだ」

 

 パッと見、向かいの女性陣しか食べてない気がするのだが…?

 また、何かあったんじゃねぇだろうな?

 

 そんなことを思いつつも、俺と明香音は向かい合って席に座ると、メニューを見始める。

 

「-----」

 

 時折隣の話が聞こえてくるが、外人なのか、サッパリ言語がわからん。

 

 と、その時…

 

「聖剣エクスカリバーの破壊? ゲームの話かな?」

 

 同じく隣の話が聞こえてきたのか、明香音が俺に向けて小声で言ってきて小首を傾げている…!?

 

「あ、明香音? 今のわかったのか?」

 

「え? うん。はっきり聞こえたよ? 兵藤君のゲーム仲間か何かかな?」

 

 不思議そうな表情をしながらヒソヒソと会話する俺と明香音。

 

 ど、どういうことだ?

 俺には外国語にしか聞こえてないのに、明香音には普通に聞こえただと…?

 なんか最近…どっかで似たようなことを聞いたような気が…。

 ………いや、まさか、な…。

 

「それより何食べよっか?」

 

「あ、あぁ…そうだな…」

 

 明香音は特に気にした様子もなく、メニューを見ているが…俺は正直、それどころではなかった。

 

 聖剣エクスカリバーの破壊だぁ?

 絶対にまたややこしいことに首突っ込んでるだろ、イッセー!!

 お願いだから俺を巻き込むなよ?

 

 隣の席で財布を心配しているイッセーをよそに俺は別の心配をしていた。

 

 

 

 その後、明香音はクリームパスタ、俺はハンバーグセットを頼み、適当に食事して、出来るだけ向こうの情報が耳に入らないように明香音との会話を楽しんでいた。いや、楽しむ余裕があったかはまたわからんが…。

 すると、そこに木場までやってきて、何やら秘密の会話が繰り広げられているのを隣で無関心を貫いていたのだが…

 

「今のゲームって進んでるんだね? 私にはよくわからないや」

 

 時折、こうして(何かのゲームと勘違いしているであろう)明香音がちょいちょい俺の耳に情報をくれるから困ったものだ。

 適当に返すわけにもいかず、俺もそれとなく答えてはいるが…。

 

 一応、木場も俺の存在には気付いているはず。

 頼む。俺に話の矛を向けるなよ?

 

 明香音は追加のチョコレートパフェ、俺は食後のコーヒーでまったりと寛いでいると…

 

「じゃあね、イッセー君! また奢ってね」

 

「路銀を使い果たす結果になったアンタが言うな…」

 

「-----」

 

 白フードの女性三人が席を立ってファミレスから出て行った。

 相変わらず、一人の言葉はわからなかったが…。

 何か、二人ほど大きな白い包みも持っていたようだが…。

 

 チラッとつい癖で観察してしまったが、あの大きさ…おそらくは武器の類か?

 楽器ならケースに入れてそのままケースで持ち運べるもんだしな。

 いや、偽装するならむしろそっちの方が…こんな町中であんなもんを持ってるのはどう見ても異質だ。

 あと、凄く適当そうに書いた絵画は何だ?

 路銀がなくなったとか言ってたから、それでか?

 持ち運ぶの面倒そうなことこの上ないぞ。

 

 などと内心でツッコミを入れる俺をよそにイッセー達の方も何やら会話が続いていた。

 

 聖剣計画?

 犠牲?

 処分?

 

 あまり聞きたくもないことだが…木場の過去っぽいな。

 なかなかにヘビィな話だ。

 明香音は幸せそうにパフェを食べてるのに集中してて、もう聞いてないっぽいのが救いか…。

 俺もコーヒーを一口飲んでから、ついつい隣の会話に耳を傾けてしまった。

 

 悪魔に肩入れなんぞしない。

 教会もなかなかにデンジャラスな組織だと認識もした。

 

 あとは、無事…巻き込まれないことを祈るのみだよ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。