ハイスクールD×J~噛み砕け、俺のジョーカー!~   作:伊達 翼

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第二十一話『思いがけない事実』

 さてさて…何やら天狼と焔鷲が危険を察知したというので、こうして駒王学園近くまで来たのに、シスター服を着た女に白い包みに覆われた『何か』を突きつけられてしまっていた。

 下手に動けずにいるが、こうしている合間にも事態は動き始めているはず。

 どうにかしなくては…。

 

 そんなことを思っていると…

 

ゴゴゴゴゴ…!!!

 

 駒王学園を覆うようにしていた光の壁が鳴動しだした。

 

「ちっ、始まったようね」

 

 女は舌打ちすると、白い包みを下げ…

 

「命が惜しかったら関わらないことね、変な探偵!」

 

 光の壁の一部を白い包みに覆われた『何か』で壊すと、そのまま中へと入り込んでしまった。

 

「今の内に…天狼、焔鷲、召喚!」

 

 俺は胸ポケットから二枚のカードを出すと、そのまま天狼と焔鷲を呼び出す。

 

『これが、外の世界…!』

 

 初めて召喚した焔鷲の姿は、燃え盛るような紅蓮の羽衣に三対六枚もの翼、朱色の瞳を持った鳳だった。

 その焔鷲は初めて出た外の世界に目を輝かせていた。

 天狼にも勝るとも劣らない神秘的で、神々しいとすら思えてしまう姿に、俺は目を奪われた。

 

 一方で…

 

『ふむ。この匂い、堕天使がまた暴れているようだな。しかもこの匂い…上級…いや、幹部級か?』

 

 女が壊した光の壁の一部から漏れ出た匂いを嗅ぎ、天狼が何やら分析していた。

 

『いずれにせよ。主には厳しい相手だ。焔鷲よ。目を輝かせるのもいいが、此度はお前の力が有用だろう』

 

『あ、うん。そうだね。でも、主のキャパシティってどのくらいなの?』

 

『さてな。そこはお前が合身して直接調べろ』

 

『はいはい、わかりましたよ』

 

 などとよくわからない会話をしていた。

 

「???」

 

 俺が二体の会話に首を傾げていると…

 

『そういうわけで、主よ。今回は焔鷲と合身することだ。こやつの固有能力の方が今回は役立つ』

 

「固有能力…?」

 

 また新しい言葉が出てきたな…?

 

『え? て、天狼。もしかして、主に僕達の固有能力のこと…』

 

『………しまった。言い忘れていた…』

 

 天狼も今気づいたように視線を逸らしてきた。

 

「ちょっ!? 固有能力って何よ!?」

 

 初耳なワードに混乱した俺が天狼を問い詰めると…

 

『う、うむ。簡単に説明すれば、我等が持っている力の事だ。いずれの存在も二つは持っている。我の場合、片方があまり戦闘向きとは言えないがな』

 

 本当に簡単に説明しれくれた。が…

 

「そういう大事な情報はもっと早く教えてくれねぇかな!?」

 

『すまぬ。なにせ、初めて目覚めたからな。完全に失念していた』

 

 申し訳なさそうに謝ってくる天狼にそれ以上の文句を言うのもお門違いだと思い、俺は言葉を飲み込む。

 

「で、その固有能力ってのは俺でも使えるのか?」

 

『合身すれば問題あるまい』

 

『まぁ、場合というか、モノによっては主の命が危ないんですが…僕の固有能力ならそれほど問題ないかと…』

 

 言い方的に比較的大丈夫そうな焔鷲の固有能力でも『それほど』なのか…。

 まぁいい。

 とにかく、今は光の壁の内部の様子も確認すべきだろう。

 相当に危険なら逃げるだけだが…。

 

「なら、焔鷲。合身だ」

 

『はい!』

 

「『合身』!」

 

 光の壁の中に入る前に俺は焔鷲と合身を果たす。

 

バサァ!!

 

 なんか背中から生えた?

 感覚的に背中に凄い違和感を覚えた俺は、後ろを見るのだが……その前に紅蓮の羽が見えた。

 天狼の時もそうだが…なんだってこうなるかね?

 これ、俺は飛べるのか?

 

『主、飛行は僕の方で制御しますから、主は力の行使に集中してください』

 

 俺の中にいる焔鷲からそのように言われたので、力の行使に集中はしたいが…

 

「具体的にお前等の固有能力とはなんぞ?」

 

 それを知らなければ、俺も使い様がないのだが…。

 

『あまり時間もないようだ。我は事が終わった後でもいいだろう。焔鷲』

 

『はい。ザックリと言うと、僕の力は焔を媒介にして攻撃する力と、吸収という力です』

 

 天狼の言葉に焔鷲がそう答える。

 

 焔鷲君、本当にザックリ過ぎやしないかい!?

 って、もう地面から離れて飛んでるようですが!?

 

『ま、我等がついているのだ。いざとなったら全力で逃げるさ』

 

『えぇ。空は僕の領分ですし、そこはお任せください』

 

 いや、逃げるのはもちろんだが…はたして、俺に何ができるよ?

 

 そう思いながらも焔鷲の飛行制御で学園に張られた光の壁の前(三メートルくらい上の部分)にやってくる。

 

 別に高所恐怖症ってわけではないが…マジで俺が飛んでるのな…。

 

『では、主。この結界の一部を破壊するため、吸収を使ってみましょう』

 

 と、焔鷲が言ってくる。

 

「吸収、と言われてもな? この壁に手でも付けて念じればいいのか?」

 

『そうですね。あ、ちょっとでいいですからね? 僕達と天狼が抜けるだけの穴が開けばいいので』

 

 それ、初心者には難しくありませんかね?

 念じると言っても、どう念じるべきか…。

 

 と思いつつも俺は壁に手を触れると…掃除機をイメージして力を吸うことにした。

 

ギュインッ!!

 

「うおっ!?」

 

 思った以上に吸い込んだらしく、なんだか身体が熱く感じてしまう。

 

『主! 吸い過ぎです! 僕の方で放出しますから、今のうちに入りますよ!』

 

 こういうのはやはり慣れ、というか経験値が圧倒的に足りないせいだろうな…。

 

 そうして俺の周囲に背中の翼から紅蓮の粒子が舞い散っていた。

 

 これが俺の吸ってしまった力、なのか?

 

『主よ、行くぞ!』

 

 光の壁…いや、結界とやらに開いた穴を通り、学園の中へと飛び込む天狼と、それを追う俺の身体(焔鷲によって飛行したまま移動したらしい)。

 

 そうして、結界内へと飛び込んだ俺達の前に広がる光景は…

 

 校庭に変な陣が広がっていて、その中心に青白いオーラを纏った剣が一本浮かんでいた。

 さらに上空にはどういう原理なのか、宙に浮かんだ椅子に足を組んでグレモリー先輩達を見下す堕天使の男(背に十枚の黒い翼が生えてた)が一人。

 あと、グレモリー先輩側の戦力はオカ研のいつものメンバーに加え、以前ファミレスにいたよくわからん外国語の女と、さっき俺と接触してたシスター服の女っぽい。

 そういえば、もう一人いたような気もしたが…。

 ついでに言えば、なんかの残骸が光の粒子となって消えかけてもいるのも見えた。

 

 わぁ…思った以上に修羅場っぽい。

 

 などと悠長に考えていたのがいけなかったのか…。

 

「む? 誰だ?」

 

 堕天使野郎が俺に気付いたらしい。

 

「忍!?」

 

 それに伴い、イッセー達も俺に気付いたようだ。

 

「あいつ、異種だったの?」

 

「-----?」

 

 二人組の女の方も俺の事を見て訝しげそうにしていたのだが…。

 気付かれたのなら仕方ない。

 

 俺が適当に何か言おうとした、その時…。

 

「こいつは、俺の未来の息子さ」

 

 俺の背後から俺の見知った声(・・・・・)が聞こえてきた。

 

「え…?」

 

 なので、俺が背後を見ると、そこには…

 

「ゼロ、おじさん…?」

 

 背中から十枚の黒い翼を生やし、漆黒の装いを身に纏った…俺の家の隣に住むはずの、ゼロおじさんの姿があった。

 その黒い翼を見て俺は、不思議と椅子に座ってふんぞり返ってる堕天使の翼よりも、おじさんの翼の方が綺麗に思えてしまった…。

 

「な、んで…?」

 

 俺が困惑していると…

 

「ゼロ? ゼロだと!?」

 

 堕天使の方も俺が呟いたおじさんの名を聞いて驚いたような声を上げていた。

 

「よぉ、『コカビエル』。相も変わらず、戦争戦争って言ってるのか?」

 

 俺の頭を軽くポンポンと撫でたおじさんは、堕天使…『コカビエル』というらしい…に軽い感じで話しかけていた。

 

「貴様! 今頃ノコノコ出てきて、どういうつもりだ!!?」

 

 しかし、コカビエルの方は怒りに満ちた表情でおじさんに食って掛かっていた。

 

「戦争バカのお前を一発殴りにきたに決まってんだろ~? お前が何しようが勝手だが、戦争を始めようとすんな。こちとら、迷惑なんじゃ」

 

 コカビエルの怒りを流しながら、おじさんは右手を左肩に乗せると、左肩を回し始める。

 

「上級の堕天使が、もう一人…!?」

 

 一方で、ゼロおじさんの登場にグレモリー先輩達は戦慄、或いは絶望の表情を浮かべていた。

 

 

 

 どういう、ことだ…?

 おじさんが…堕天使…?

 おばさんは、このことを知ってるのか?

 なら、明香音は……。

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