第二水雷戦隊壊滅ス   作:鉄玉

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ハーメルン艦これの新作結構増えた気がしますね。アニメ効果でしょうか。


タカハトコウモリ

「みんな朗報よ。チャゴス諸島に戦艦棲姫とその艦隊がいる事が確認されたわ。それに伴って第四艦隊及び東洋艦隊はチャゴス諸島奪還作戦の発令をするとともに、その前衛を私達二水戦に任せることを決定したわ」

 

戦艦棲姫の艦隊と交戦した翌日、皆がお昼ご飯を食べている前で発表してやると大きく分けて二つの反応が返ってきた。一つは好意的な反応、もう一つが否定的な反応だ。前者は雪風、狭霧、夕立など二水戦でも武闘派の連中で後者は親潮、敷波、巻雲など比較的穏健派と言える艦娘達だ。例外として黒潮と不知火が呆れたような視線を向けてきているけどそれは無視する。

 

「嬉しくなさそうね親潮」

 

「そんな事は……」

 

「別に責めているわけじゃないから何か言いたい事があるなら言いなさい」

 

私の言葉に親潮は少し躊躇う様子を見せた後口を開いた。

 

「この戦いに二水戦が参加する意義が見出せません。敵は潜水艦艦隊を合わせればかなりの数になりますが四水戦の前に潜水艦は無力、実際は水上艦艇2、30隻が主力となるでしょう。もし仮にPTの群れがいたとしても水上艦艇の総数が第四艦隊と東洋艦隊を超える事はないでしょうから第四艦隊と東洋艦隊で十分対応が可能だと思います」

 

親潮の意見は理屈の上では正しい。けどそれが必ずしも正解とは限らないのが人という生き物だ。現に武闘派連中は不愉快そうな表情を浮かべて親潮の方を見ている。対して敷波みたいな穏健派は親潮の近くでその通りだと言わんばかりに頷いている。

 

「元々戦艦棲姫を撃破する事が任務だったのだから私達が加わるのは当然の事じゃないかしら?」

 

「それはそうですけど戦艦棲姫含む艦隊には大きな打撃を与えました。深海棲艦のインド洋での行動を制限すると言う意味では目的は達したとみていいのではないですか?」

 

ああ、あの可愛い雪風が言葉では言い表せないような顔をしているわね。

 

「戦略目標は達したわ。けど親潮も知っての通り上層部は私達が戦艦棲姫を撃破することを望んでいるのよ」

 

「第四艦隊はそれを望んでいませんよね。なら私達は後方に予備戦力として控えて作戦には参加したと言う名を取るべきではないですか?」

 

……そろそろ親潮を黙らせないとこの後が怖いわね。

 

「たしかに二水戦が参加した作戦で戦艦棲姫を撃破した、これで十分ではあるわ。けどあちらが望んでいるいないは置いといて二水戦が参加する事で第四艦隊の被害を減らす事ができる事も評価すべきよ」

 

「それはそうですけど…」

 

「何より昨日の戦いでは不完全燃焼な子が大半なのよ、戦う理由はそれだけで十分じゃないかしら?」

 

この言葉でようやく親潮は雪風達の事に気付いたみたいで表情を硬らせた。

 

「そ、そうですね」

 

これで穏健派の筆頭たる親潮の同意は得られたし二水戦の意見はまとまったとみていいだろう。

いや、敷波や巻雲を筆頭に何人かまだ不満そうな顔をしてるわね。当然か、トップが納得したからその下の個人までもが同じ意見になると考えるのは流石に軽率だったわね。

 

「巻雲は何か意見があるかしら?」

 

私が問いかけると巻雲は分かりやすく肩を震わせた。

 

「別に出撃する事そのものに異論はないですけどできれば1週間くらい休憩する時間が欲しいなぁなんて思うんですけど…」

 

「安心なさい。方針を決めて準備もせずにそれを実行に移すほど第四艦隊司令部は無能じゃないわ」

 

創設されて10数年の歴史は無駄に積み重ねてきたものじゃない。

 

「きっかり一週間後、作戦が発令されるわ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!」

 

「どうしたの親潮」

 

納得したと思っていたのにまだ何か言いたい事があるみたいね。

 

「一週間ってそんな短期間で作戦計画や補給計画が立てられるわけがありません。仮に立てられたとしても実務面で間違いなく不具合が出るに決まってます!!」

 

たしかに第四艦隊と二水戦、それと東洋艦隊を合わせるとざっと150隻ほどの艦娘が集まる事になる。その数の艦娘で作戦を行おうとすれば1ヶ月近い準備期間がいるだろう。

 

「元々第四艦隊は私達が戦艦棲姫を叩いた3日後にチャゴス諸島を奪還するための作戦を始動する予定だったわ。だから事前準備は万全、後は私達二水戦の物資を用意すればそれでよかったのよ」

 

第二艦隊司令部や連合艦隊司令部、大本営が了承するかはともかく、第四艦隊司令部だってあわよくば二水戦を予備兵力として後方に待機させておくくらい考えていても不思議ではない。実際は補給計画に変更なんて殆どなかったんじゃないだろうか。

 

「ですがそんな行き当たりばったりで大丈夫でしょうか」

 

「偵察によると深海棲艦はレ級2隻を中心に20隻から30隻くらいの艦隊が島の周囲を固めていて私達が戦った戦艦棲姫は見当たらずおそらく島内で身を休めていると考えられるわ」

 

おそらく私達が戦った戦艦棲姫の部隊の生き残りもいるだろうけど数は多くないだろうから大した問題にはならないだろう。

 

「第四艦隊と東洋艦隊が合わせて約100隻、それに二水戦が加われば130隻を超えてくるわ。敵の四倍もいながら負けるなんて事があり得ると思う?」

 

「けどもしあの時みたいに島に大量の深海棲艦を隠していたら……」

 

「東南アジアと違ってインド洋では人類側の力が強いからあそこまで大規模な艦隊を用意できるほどの力は深海棲艦にはないわ」

 

なおも不満気な様子の親潮に私はダメ押しの一手を放った。

 

「何より第八艦隊と違って第四艦隊は優秀よ。偵察のミスなんてそうそう起こり得ないわ」

 

信用できる味方というものは何よりも得難いものだ。そして第四艦隊は信用できるだけの実績も実力もある。ならその偵察結果を信じないでどうするのよ。

 

「それはそうですけど……」

 

「親潮教官、もう決まった事に文句を言っても始まらないっぽい」

 

ついに武闘派連中が我慢できなくなったみたいね。

 

「陽炎教官が通達したという事は第四艦隊司令部だけでなく第二艦隊や連合艦隊司令部、大本営も了承済みという事です。今更ここで反対したところで結果は変わらないんじゃないでしょうか」

 

「それはそうですけど…」

 

夕立に続いて狭霧までもが参戦してきた事で流石の親潮も勢いを無くしたわね。

 

「夕立と狭霧の言う通りですよ。何より私達がその程度の理由で作戦参加を躊躇するなんて二水戦の名折れだよ」

 

感情的には敷波の意見には大いに賛成したいところではあるけど指揮艦としてはその意見に賛成はできないわね。

……………………うん?

 

「敷波、あんたさっきまで親潮の横で出撃に反対してなかった?」

 

いつの間に親潮の隣から夕立の隣に移動してさも武闘派の様に振る舞っているけどさっきまで親潮の隣にいたの知ってるんだからね。

 

「たしかに隣に立ってましたけど別に出撃に反対はしてないですよ?」

 

敷波の言葉に私だけでなく親潮や夕立達も不審げな表情を浮かべて敷波を見た。

 

「ただ親潮教官の意見があまりにも真っ当な意見だったから頷いていただけで私は別に反対なんて一言も言ってませんよ」

 

いや、まあ確かにそうなんだけどなんか釈然としないわね。

私の気持ちは他のみんなも一緒だったみたいで敷波には厳しい視線が向けられている。

 

「私は夕立達と同じで一貫して出撃に賛成の立場ですよ」

 

敷波の言葉に夕立達が一緒にしないでほしいと言わんばかりに一歩引いたけど、それに気が付かずに敷波はさらに続ける。

 

「何より私たち二水戦が作戦参加の機会を与えられておきながらそれを蹴るなんて事をできるはずないじゃないですか」

 

言っている事には同意するけどなーんか薄っぺらいのよね。

 

「狭霧もそう思うよね」

 

「え゛!?」

 

まさか自分に話が振られるとは思っていなかったのだろう狭霧は目を白黒させるとスッと視線を逸らした。

 

「えっと……まぁ、そうですね」

 

自分の思っていた反応と違ったのだろう今度は夕立に向かって同じ事を尋ねた。

 

「一緒にしないでほしいっぽい」

 

狭霧が言葉を濁したのに対して夕立は随分とストレートに言ったわね。いや、気持ちはわからないでもないけど仮にも教導隊でルームメイトだったのだからもう少しオブラートに包んだらよかったのに。

 

「雪風教官もこんな絶好の機会を逃すのは二水戦の名折れだとは思いませんか!?」

 

その辺で止めとけばいいのによりによって雪風に聞くなんて自殺行為じゃないかしら。現に剣呑とした表情をしているしいい気分でないのは間違いない。

 

「敷波、あなたの意見はよくわかったわ」

 

これ以上敷波にボロを出させるのも可哀想だし助け舟を出す事にしましょう。

 

「けどあからさまに意見を変えるのは感心しないわね。策士を気取るのもいいけど敷波は自分が思っている以上に感情が表に出やすいからまずはそれを直さないと悪戯に仲間からの信用を失う事になるわよ」

 

自分が顔に出やすい自覚がなかったのだろう驚いた表情を見せた。

 

「それと二水戦内で意見の対立があったからと言って和を乱すような事は私が許さないから安心して自分の意見を言えばいいわよ。それで敷波の不利益になるような事なんてないから」

 

「わかりました」

 

「さて、改めて聞くけど敷波は今回の出撃に賛成が反対かどっちなの?」

 

改めて敷波に聞くと嫌そうな表情を浮かべた。それはそうよね、今散々にこきおろした反対派の意見を言うことのなるんだし気まずいわよね。

 

「反対です。第一の理由は親潮教官の言うように第四艦隊と東洋艦隊がいればチャゴス諸島の奪還は容易な事、第二に二水戦が戦果も被害も一番大きそうな前衛を務める必要がないからです」

 

「さっきも言ったけど不完全燃焼な子が多いのよ。それだけで戦う理由としては十分じゃないかしら」

 

「それには同意します。けど三つ目の理由、敵潜水艦の所在が分からない事が尚更する気を無くすんですよ」

 

敵潜水艦の所在、確かにそれは気になるところではある。いくら駆逐艦でも敵の残存潜水艦艦隊に戦闘中横槍を入れられたら雷撃が命中する可能性は高い。できれば所在を明らかにしたいところではある。

 

「第四艦隊が潜水艦の情報を集めて所在を確認しているところよ。仮に敵潜水艦がチャゴス諸島周辺に多いようなら四水戦が責任を持って対応する事になるわ。対潜水艦戦のエキスパートがチャゴス諸島周辺の潜水艦の駆逐を任せろと言っているんだから信じましょう」

 

まだ少し不満そうな顔をしていたけど納得はしたようで頷くと一歩下がった。

 

「さて、じゃあもう意見はなさそうだし一週間後の作戦まで各員好きに過ごしなさい」

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