第二水雷戦隊壊滅ス   作:鉄玉

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最近pixivで陽炎のイラストとか漫画見てたら陽炎型箱推しになりました。


第十三駆逐隊と陽炎

二水戦に依頼された教導任務で一番初めに派遣する事になったのは私の率いる第一水雷中隊第十三駆逐隊だった。

当初は狭霧達をどう扱き倒そうかと楽しみにしていたけどいざこうして教導先に向かうとなると途端に憂鬱な気持ちになってきた。今からでも代わってくれないかしら。

第二水雷戦隊の他の部隊に関しては不知火と黒潮を中心に桂島で訓練学校の生徒に対して訓練を行っている。これも上層部から依頼のあった事でしばらくの間は各鎮守府にある訓練学校で授業を行う事になっている。

 

「アンタ達、出発前にも言ったけど二水戦に相応しくない行動とったら承知しないからね」

 

「陽炎教官その話もう数えきれないほど聞いたっぽい」

 

「何度言っても不安が拭えないから言ってるのよ」

 

これから行くのは呉からほど近い大阪湾にある阪南泊地。ここに四国や和歌山などの艦娘が集まり私達の教導を待ち受けている。

それだけなら私もここまで心配しなかったけど今回ばかりはそうはいかなかった。

 

「なんてったって今回の任務、連合艦隊旗艦が視察に来るかもしれないのよ」

 

「連合艦隊旗艦って……それ本当ですか!?」

 

「あくまでも予定が合えばの話だけどね。教導任務を行う1週間、その内のどこかで来る可能性は極めて高いわ」

 

一度壊滅した二水戦がどこの程度使い物になるのか、多分それを判断する目的もあって連合艦隊旗艦は教導の視察にらのだろうからヘマはできない。

 

「だからもし二水戦に相応しくない行動を取ったらドラム缶に詰めて大阪湾に沈めるから」

 

あまりにも大きなやらかしがあると連合艦隊旗艦だけでなく教導相手の艦娘達からも幻滅されかねない。

日本の切り札たる二水戦が不甲斐ないところを見せる訳にはいかない。

 

「ドラム缶に詰めるのはダメって言ってましたよね?」

 

「そうだったかしら?」

 

「ボケたんですか?歳ですねおばさん」

 

「あ゛?」

 

コイツ言うに事欠いて!

 

「ちょっと本気切れ(マジギレ)はやめてくださいよ!冗談じゃないですか!!」

 

艦歴の短い艦娘が影で艦歴の長い艦娘の事をおばさんやらお婆さん呼ばわりするの事は割とよくある事だし私自身言った事はあるけど…

 

「面と向かって言われるとムカつくわよ」

 

それが自分の生徒だった小娘に言われると尚更よ。

 

「あの……謝りますから手に持った主砲は降ろしてくれませんか?」

 

「なら今後は不用意な発言は慎むことね」

 

私の言葉に狭霧が力無くはいと答えると夕立がそう言えばと前置きして言った。

 

「教官の煙草も二水戦に相応しくないっぽい?」

 

嫌なとこをつかれたわね。

 

「そんな事より」

 

「そんな事じゃないですよ! 栄えある二水戦が喫煙なんかで後ろ指刺される訳にはいけません!」

 

「そうだよ。やっぱり喫煙しようよ」

 

真剣そうな表情を作っているけど2人とも笑みが隠しきれていない。狭霧も敷波もここぞとばかりに私を口撃してくる。

 

「ちゃんと喫煙所使うわよ」

 

「本土じゃ喫煙所のない泊地も増えてるらしいですよ〜」

 

「ええ、そうなの?」

 

喫煙者に厳しい世の中になったわね。

 

「巻雲は煙草吸ってる教官はかっこいいから好きですよ〜」

 

「ありがとう巻雲。巻雲も吸ってみる?」

 

煙草の箱を差し出すと巻雲は慌てたように両手を振った。

 

「それは遠慮しときます〜」

 

「あら残念。けどそれがいいわね」

 

わざわざ自分の部下に不健康になる事を勧める必要もないわね。

……そのままポケットに戻すのもなんだか馬鹿みたいだし折角だから一本吸おうかな。

そう思って軽く箱を振って煙草のフィルター部分を露出させ、口に加える。マッチを取り出そうとポケットに手を入れると後ろから手が伸びて咥えていた煙草がとられた。

 

「ちょっと何するのよ」

 

振り向くと私が咥えていた煙草を巻雲が手に持っていた。

 

「航行中の煙草は御法度ですよ〜」

 

ニコニコと笑みを浮かべて言っているけどなんと言うか…目が笑っていない。巻雲、こんな表情もできたのね。

 

「ちょっとくらいいいじゃない。スリランカから帰る時だって吸ってたんだし」

 

「ここは民間船も多いですし誰が見てるかわかないですよ〜」

 

「栄えある二水戦が規則違反なんて情けないですよ教官」

 

「そうそう。やっぱり煙草は良くないよ」

 

ほんと、この2人はここぞとばかりに来るわね。一体誰にこんな性格の悪いこと習ったのかしら。

 

「まぁ、たしかにここは民間船舶も多いし見られる可能性は高いわね」

 

しょうがない諦めるとしましょう。

私がため息をついて前を向くと2人は拍子抜けしたようだった。

 

「え、教官本当に吸わないんですか?」

 

「いつもみたいに屁理屈捏ねたらどうなの?」

 

こいつら私に煙草を吸わさせたくないのか吸わせたいのかどっちなのよ。いや、これはいつもの意趣返しで徹底的に私を叩きたかったと言うところかしら。

 

「吸わないわよ、規則だもの。それともアンタ達は私に規則違反を犯してほしいの?」

 

「そ、そ、そ、そんなわけないじゃないですか!」

 

「……そうですよ」

 

吃りながら狭霧が反論しそんな狭霧に呆れたような視線を送りながら敷波が同意した。狭霧って嘘とか上手だった気がするけどなんで今回に限ってこんなに動揺してるのよ。

 

「ふーん、ならお言葉に甘えて吸おうかしら」

 

そう言うと狭霧は露骨に嬉しそうな表情を浮かべた。火をつけた瞬間に非難する気満々じゃない。露骨すぎるでしょ。

 

「けどやっぱり規則は規則だしなー」

 

「いやいやそんなの気にするなんて教官らしくありませんよ! 規則は破る物、そう教えてくれたのは教官じゃないですか!」

 

「そんなの一度も教えたことないわよ」

 

思わず睨みつけたけどそれも仕方がないだろう。事実を捏造した上にその事実がすこぶる不名誉なものだったのだから。

 

「え? だってスリランカから帰還する時二水戦では自分が規則だって言ってたじゃないですか。あれって規則破ってますよね?」

 

「……私は一度も規則の破り方は教えてないじゃない」

 

「上官や先輩から直接教えてもらうだけでなく見て自分で学ぶ。素晴らしき艦娘の伝統じゃないですか!」

 

ヤバイ、何も言えない。確かに訓練学校で学ぶ以外の基本的な事は上官や先輩から教えてもらったり自分で見て学ぶから狭霧の言い分は間違っていない。けどだからと言って規則破りに関してまで同じと思わなくてもいいじゃない。

 

「狭霧、私と貴女では立場が違うわ。だからこの件についてはもうこれで終わり!」

 

もう話す事はないとばかりに狭霧達から顔を背けて前を向くと嬉々とした声で更に追撃を仕掛けてきた。

 

「逃げるんですか教官! 部下への説明責任を果たそうとは思わないんですか!!」

 

「そうですよ! そんな短い一言では納得できません!! 悪い事ならそう言ってきちんと謝罪すべきじゃないですか!?」

 

弱みを見せたらここぞとばかりに追撃するのは敵に対してするなら手放しで褒められる事だけどこんな仲間内でやられたら面倒な事この上ない。一体誰がこんなこと教えたのかしら。

 

「部下への説明責任なんて守秘義務の一言で済むのよ」

 

「ふざけないでください。二水戦司令部は説明責任を果たすべきです」

 

「そうだそうだ! 市民が納得しないぞ!」

 

「アンタ達はマスコミが何か? 市民にバレてないんだから説明責任なんて発生しないわよ」

 

そもそも艦娘が海上で煙草を吸った事でとやかく言う市民はいない。

 

「二水戦司令部は事実を隠蔽するんですか!?」

 

「責任者をだせー」

 

いよいよ攻め方が雑になってきたわね。

 

「責任者は私よ。

遊ぶのもそろそろ終わりにしましょう。もう30分もしないうちに阪南泊地に到着するんだから」

 

私の言葉にはーいと間延びした返事で2人は答え真剣な表情を作った。

 

「ところで泊地に到着する時って礼砲はいるんですか?」

 

「外国の港じゃないからいいわよ。那覇でもしなかったでしょ?」

 

狭霧の質問に呆れ混じりに答えた。

 

「そうですけどどうせなら何かしたくないですか?」

 

「必要ないわって言いたいところだけど今回は教導だしね。なにか派手な事をして二水戦の練度を知らしめるのもいいかもしれないわね」

 

礼砲は事前に通達していないと無駄な誤解を生みかねないから却下。

整然とした艦隊運動を見せてもいいけど駆逐艦5隻じゃインパクトに欠ける。

 

「いっそのこと最大船速で泊地に突入、出迎えの艦娘達の目の前ギリギリで止まるなんてどう?

もちろん相手に波をかけたりするのはダメよ」

 

「あの、ギリギリってどれくらい……」

 

「海上で艦娘が停止して話をする距離、つまり1メートルよ。もちろん出迎えの艦娘の前では今の単縦陣から単横陣に切り替えるから」

 

そう言って首だが振り返ると夕立、敷波、巻雲が狭霧を睨みつけていた。

最大船速で相手の前に出て波をかけるななんて言うのは無理難題もいいところ。余計な事を言った狭霧睨みつけたくなるのも当然だ。

 

「少しでも失敗してみなさい。帰った時には教導隊の訓練の数倍キツい訓練を受けさせるから」

 

私の言葉に狭霧達は震え上がっていたけど多分訓練を受ける事はないだろう。最低限二水戦に足ると考えて彼女達の入隊を許可しているわけだし失敗する事はない…と思う。多分。

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