ルフィの母親が求道心、探究心溢れたプラント星出身のサイヤ人だった件 作:メカ好き
『わっはっはっはっはっは!!!』
夜、フーシャ村が中央広場に設けられたキャンプファイヤーに照らされる。ある者は踊り、ある者は歌い、ある者は呑み、ある者は食う。全員の顔には笑顔があった。その要因はキャンプファイヤーから少し離れた所にあった。鋭い牙がズラリと並んだ、ワニに似た顔の巨大なウツボの頭。小舟なら優に丸呑み出来るであろうそれは、近海のヌシと呼ばれた海王類。それが今日、仕留められた。
仕留めたのは銛突き漁を営むディック。偶然遭遇し、仕留めたのだ。強者の気配に敏感なせいでサヤでも補足できなかったそれを、ディックは見聞色の覇気の応用を持って仕留めた。普段から彼は、海の気配を見聞色で完全に把握し、それに自身の気配を合わせる事で獲物に近づき仕留める。それが幸を成し、近海のヌシがディックに気が付かずに接近し彼に捕捉された。そしてディックはまたとないチャンスと背後から忍びより、ここ最近完成した新技である『ノッキング』を使い生きたまま捕獲したのだ。
ディックはそのまま近海のヌシを持ち帰り、フーシャ村では歓声が上がった。この村で目出度い事があったのだ。そのまま宴が始まった。
ルフィ達が帰ってきたのは、丁度近海のヌシが生きたまま捌かれているところであった。エースとサボはその光景にド肝を抜かれた。そしてそのまま村人達の雰囲気にのまれて宴に参加する運びとなったのだ。
閑話休題
サボは誰かが呑ませたのか酔っ払っており、ルフィはヌシの肉を現在進行形で食いまくっている。ウタはゴードンとプチコンサートをしており、キャンプファイヤーを囲った一部の村人がそれに合わせて踊っている。そんな中、エースは少し離れたところでそれを見ていた。
「ちょっとお邪魔するよ」
「ッ!?」
そんな彼の横に、サヤが音もなく現れ座る。その手には大量の肉が盛られた大皿と、高級品だと分かるワインの瓶が握られていた。
「大人に盛って貰った分しか食べて無いだろう?男で食べ盛りなんだからたくさん食わないと大きくなれないよ」
「・・・あんたがルフィの母親か?」
「そう言うアンタは、あのバカの息子だね」
エースはサヤの言った事の意味が分からなかった。
「今回は巡り合わせってヤツに感謝だね。全くあのバカは、妻子が居るなら知らせろってんだい!!噂を知った時には既に海軍が彷徨いているわ、引いた後には妻子共々亡くなったと聞かされるわ、ホントにアイツは死んでも振り回してくれるね!!!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!!あんたはオレの父親の事を・・・」
「知ってるよ、バカだけど良いヤツだったさ。世界政府のアホどもにとっては都合が悪いから情報操作されて、一般的には大悪人のクズ野郎呼ばわりされちゃ居るけどね」
サヤはそう言うと、エースをそっと抱き寄せる。彼は何故か抵抗出来なかった。
「宴に巻き込まれてるところを遠目から見てびっくりしたよ。アンタの祖父母に見せて貰った写真の奥さんにそっくりな顔で、髪の色とクセはあのバカ譲りだから直ぐに分かったよ。大きくなったねえ」
「っ!」
「確かにあのバカは海賊だったから悪人には変わり無いさ。でもね、カタギには絶対に手を出さなかったし、寧ろ助けた事だってあった。出会った人間全員に好かれる様な凄いヤツだった。アンタが生まれた事を祝福してくれる人間は、案外たくさん居るんだよ。もちろんアタシもさ。だから
生まれてきてくれて、ありがとう
「・・・う゛っ、ぐ・・・うう・・・」
声を押し殺して泣くエース。そんな彼の背中を、サヤは優しく撫で続ける。空に浮かぶ月は、そんな彼等を見守っていた。