ルフィの母親が求道心、探究心溢れたプラント星出身のサイヤ人だった件 作:メカ好き
サヤがある覚悟を決めた翌朝
いつも通り家族全員で食卓を囲うモンキー・D一家。ここ最近、男3人の一食あたりの食事量が増え、ウタが一番早く食べ終わる様になっていた。今日も一番早く食べ終わり、自分の食器を持って席を立とうとした。
「ウタ、今日は話があるから残っていてくれないかい?」
「え?いいけど・・・」
「何だ何だ?」
「おいウタ、お前何かしたのか?」
「いや、流石にエースやルフィじゃ無いんだからそれは無いだろう」
「「何だと!!?」」
「煩いよ男共!!無駄口叩いてないで、さっさと食べな!!!」
「「「は、はい!!!」」」
サヤにどやされて食事を掻き込み、部屋を出ていく三兄弟。
「この家も賑やかになったもんだい」
「私達がサヤさんに拾われてから三年だもん。第一ルフィが居るのに静かになるわけ無いでしょ」
「全くその通りだね」
会話が途切れる。二人の間にまるで探り合うような、僅かな緊張が走った。
「・・・ウタに話さなきゃならない事がある。3年前のエレジアの一件の事だよ」
「エレジア・・・」
ウタにとってとても辛い過去。赤髪海賊団が訪れていた音楽の国エレジアを滅ぼした事件。そして、船長である赤髪のシャンクスの娘であったウタを置いていったのもその時だ。
「あの事件、世間では赤髪海賊団の犯行とされているけれど真実は違う」
「・・・え?待ってサヤさん!!!ゴードンは確かに赤髪海賊団がやったって!!それにシャンクス達はあの時・・・」
「いや、あれは赤髪海賊団が行った欺瞞工作だ。ゴードンはそれに協力したに過ぎない」
「じゃあ、一体誰がエレジアを」
「ウタ、アンタだよ」
「え?」
呆然とするウタにサヤは続ける。
「正確にはアンタであってアンタじゃない。ウタを操って自身に施された封印を解かせたトットムジカっていう魔王によって滅ぼされたんだよ、エレジアは」
「赤髪のボウヤを始めとした赤髪海賊団はアンタが世界政府に狙われる事、罪の意志に苛まれて廃人になっちまう事を恐れて自ら罪を被った。最初はゴードンが被るつもりだったようだけどね。そしてアンタに世界政府が目を付けない様に置いていった。これが三年前の真実だよ」
サヤの言葉を聞いてウタの脳裏にあの日の光景が蘇る。燃える街並み、息絶えた人々。それを成したのはシャンクス達では無く・・・
「(私が、私がエレジアを・・・)あ、ああ、あああ!!!」
「ウタ!!!」
錯乱しそうになった瞬間、ウタを大好きな温もりと匂いが包み込んだ。
「る、ルフィ?」
「お前は悪くねえ、ワリィのは魔王ってヤツだ!!!」
サヤは気が付いていたが、ルフィは外に行くふりをして扉の向こう側で話を聞いていたのだ。そして、居ても立っても居られず部屋に飛び込んできた訳である。
「でも、私が居なければエレジアは滅びなかった!!!シャンクスだってエレジアを滅ぼした大悪党の誹りを受ける事なんて無かった!!!私なんて産まれてこなければ良かったんだよ!!!」
「バカヤロウ!!!居なければだとか産まれてこなければ良かっただとか言うんじゃねェ!!!お前が居なくなるだなんておれが認めねェ!!!」
「どうしてだよ!!!何でルフィがそんな事を決めるの!!!」
「お前の事が好きだからに決まってるだろう!!!」
「え・・・」
予想外の返答に言葉が続かない。そんなウタに構わずルフィは続ける。
「お前、ちっちゃい頃に言ってたじゃねェか!!!お前の歌で皆を幸せにするって!!!新時代を作るって二人で誓っただろう!!!」
「でっ、でも!!私の歌がエレジアを滅ぼしたんだよ!!!私の歌は人を大勢殺したんだよ!!!」
「だから、それをやったのは魔王ってヤツだろう!!!それでもお前が自分を責めるってんなら、おれがずっと一緒に居る!!!お前を責めるやつが居るなら、おれが側にいて守る!!!絶対離さないからな!!!」
これまで二人を引き裂かんとした事件が二つあった。一つはエレジア滅亡、もう一つはウタの誘拐未遂事件。故にルフィは知っているのだ、ウタを失う恐怖を、自分がウタに抱く感情を。
「ルフィ・・・うっ、う゛っ、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
それがウタを見事に繋ぎ止めた。
母親の予想を超えて。
「全く、いつの間にあのヒトに劣らないくらいイイ男になっていたのやら。子供の成長は早いね。それに
二人に気付かれないように部屋を出たサヤは、宣言通り自分より強くなり、己の心を射止めて見せた自分の夫に似てきた息子に想いを馳せる。
一時間近く抱き合っていた二人はお互いを離した。とはいえ手を伸ばさなくとも触れ合える距離ではあるが。
「なあウタ、これを見てくれ」
そう言ってルフィは使い捨てのホイポイカプセルを取り出すとスイッチを入れて頭上に放おる。
BOM!!!
ちょっとした煙が発生したあと、それは姿を表しルフィの手に落ちてきた。
「これって・・・」
「ああ、シャンクスの帽子だ。おれ、約束したんだ。この帽子をウタと一緒に返しに行くって」
「ルフィ・・・」
「おれの独り立ちが後7年だから、7年後一緒にシャンクスに会いに行こう!」
「・・・うん、ルフィと一緒にシャンクスに会いに行く!そして
シャンクスを思いっきり引っ叩く!!!
「へ?」
ルフィはウタの言っている事が理解できず思わず宇宙猫の様な表情を晒す。内心それをかわいいと思いながらもウタは続けた。
「だって、幾ら私のためだって言ったって、十に満たない自分の娘を廃墟ばかりの島に置いてったんだよ!!しかも出会って一日の相手に預けて!!ゴードンは良い人だけどいきなりそんな状況に置かれたら辛いんだよ!!私、絶望とか不安だとかに押し潰されそうだったし!!!あーーー!!思い出しただけでも腹立つ!!!待ってなよシャンクス!!絶対に引っ叩いてやるんだから!!!」
決意に燃えるウタ。部屋の外で声を漏らさないように耐えながら静かに爆笑するサヤ。そんな中、ルフィは
(・・・まっ、自業自得だな。シャンクス、骨くらいは拾ってやるよ)
内心で友達を売り飛ばした。