ルフィの母親が求道心、探究心溢れたプラント星出身のサイヤ人だった件 作:メカ好き
元々音楽の国と呼ばれた亡国エレジア。
その海岸にウタは来ていた。彼女の表情はフーシャ村に居た時には考えられないくらいに暗く、アメジストを思わせる程キレイだった瞳には光がなかった。
エレジアを滅ぼした育て親であったシャンクス率いる赤髪海賊団に置いて行かれて一ヶ月以上が経過していた。サヤの言葉の通りウタは傷付き続けていた。廃墟を目にするたびに思い起こされる滅びの日。燃える街並み、息絶えた人々。それを成したのが大好きだった家族だという事実が彼女の心を苦しめ続ける。そんな彼女の支えになっているのは、一人の少年との思い出だった。
(・・・ルフィ)
年相応に子供っぽいけどいざとなると頼りになる男の子。村外れで山賊達に襲われた時があったが、ルフィは一瞬で彼等を全員気絶させてしまった。ウタにはルフィが何をやったのかは分からなかったが、自分より背が小さい幼馴染みのその背中が大きく見え、シャンクスの背中と同じ様な安心感を覚えた。
『ウタ、この事はシャンクスには内緒な!!』
『いつかビックリさせてやるんだ』と笑う彼の表情に胸が高鳴り、顔が熱くなって咄嗟に顔を背けてしまった。一時期はマトモに顔を合わせられずギクシャクしたが、ルフィが『お腹が痛いのか?』『まさか病気か!?』と的外れな事を言うのでバカらしくなってしまった。
未だにこの感情の正体は分からない。しかし、ベクトルは違えどウタはルフィをシャンクス達と同じくらい愛していたのだとエレジアでの生活の中で自覚した。
「・・・ルフィ、会いたい・・・会いたいよ・・・」
「悪いね、迎えに来たのがウチのバカ息子じゃなくてさ」
「え?」
ウタは咄嗟に振り返る。そこには幼馴染みの母で、シャンクス以上にカッコイイ美女の姿があった。
「サヤ、さん?」
「ああ、そうだよ。久しぶりだね、ウタ」
「あ・・・うぅ・・・うわあああああああああん!!!!」
サヤは泣きながら飛び込んでくるウタを抱き止め、優しく頭を撫でる。
「サヤさん!!サヤさん!!シャンクスが!!シャンクスが!!大好きだったのに!!私、辛くて!!寂しくて!!」
「ああ、辛かったろう?よく頑張ったね。もう安心だよ」
「うわあああああああああああああああん!!!!」
(ホントこんないい娘をここまで追い詰めるなんて。赤髪のボウヤ達は次にあったらシバき上げるかね)
泣き付くウタを見て物騒な事を考えながらも受け止めあやすその手は止めない。
ウタが全てを吐き出し泣き終わるまで、サヤは彼女を抱きしめ続けた。