憑依転生した俺は『呂布奉先』(リメイク)   作:げんぶ二世

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遅くなりました。


第一話

 孫家が袁術の庇護下に入ってから幾年月。

 袁術等の都合の良い駒として、西に東に走り回り、交わした約束はのらりくらりと躱される。

 そんな日々が続けば、いくら能天気な自覚のある私とて流石に辟易する。

 窓枠に寄り掛かりながら欠けた月を眺める。

 

 「策殿、入りますぞ」

 

 声の方を向く。

 そこには母さんの頃から孫家に付き従ってくれている黄蓋の姿があった。

 

 「祭。……どうしたのかしら」

 「一献付き合ってくれんかの?」

 

 彼女の手には酒瓶がぶら下がっていた。

 

 「良いわね」

 

 今も色々な策を夜通し考えている親友に悪いとは思いつつ、呑める理由がこちらにやってきてくれた事に喜ぶ。

 

 「外にでも行きましょうか」

 

 なんとなく、本当になんとなく外で呑めば良いなんて思った。

 それがあの男との出会いになるとは微塵も思わなかったのだが。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 私と黄蓋は馬に乗り、以前私が政務をサボって見つけた穴場へと向かっていた。

 地元の民に聞けば、以前この辺りを統治していた領主が愛妾との逢引のために秘密裏に作らせていた東屋らしい。

 この東屋が完成してすぐにここの領主は病を患い死去、愛妾もこの地を去り、今ではここを知る者たちの憩いの場となっている。

 そう説明をすると、黄蓋は「ほう」と感心するような声を上げた。

 

 「策殿の眼は侮れませんからな、期待させてもらいますぞ」

 

 こう言うところは敵わないと思う。

 年の功以上に彼女の人柄が良いのだ。

 

 「ここよ」

 

 馬を降り、ほんの少し歩いた先に私が見つけた東屋があった。

 

 「これは中々」

 

 昼に来た時とは違い、月明かりに照らされ、幻想的な表情を見せる。

 私とて、こう言う風情のある場所で酒を飲みたいと思う時もあるのだ。

 

 「でしょう?」

 

 卓に座ると、持ってきた酒と器を出す。

 

 

 「乾杯」

 

 注がれた酒を煽る。

 彼女は自他共に認める酒豪だ。

 それに酒の目利きも良い。

 

 「流石、祭。良い酒ね」

 

 器に入れた酒を半分飲み干すまで無言で呑み続けた。

 

 「ままならないものですな」

 「そうね」

 

 黄蓋の言葉に頷く。

 母さんが居た頃から孫家に仕えている彼女は袁術の下で忍従の時を過ごしている孫家の為に色々と動いてもらっている。

 だからこそ、私達は彼女に頭が上がらないのだ。

 

 「でも、なんとかなるでしょ」

 「ははっ、はははははははは!」

 「ふふ、ふふふふふふふふふふ!」

 

 二人で顔を見合って、笑う。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 何杯飲み交わしただろう。

 ほんのりと寄った頃、フワッと空気が変わった。

 

 「ねえ」

 「?どうかしましたか?」

 

 気の所為だとは思わなかった。

 席を立つと、私は気配のする方へと足を向けた。

 

 「策殿!」

 

 私の後ろで突然歩き出した私に驚くように声を掛ける祭を無視し、私は森の中を進んだ。

 そして、森の一角、木々が無く空が見える場所へと来た時、私が感じた気配の正体が目の前にあった。

 

 「男…?」

 

 漆黒の鎧を身に纏った大男が月明かりの下、岩に寄りかかりながら眠っていた。

 男の傍らには私の身長よりも遥かに大きな武器が地面に突き刺さっていた。

 

 「策殿!全く、今のご時世危ないのじゃから、勝手に行かんでもらいたいものじゃな!」

 「祭、アレを見て」

 「アレ?……男じゃな」

 

 私を後から追いかけてきた祭は私の指さす方を見ると、微かに警戒心を高めた祭が私を追いかける際に持ってきたであろう自身の愛弓を構える。

 そして、少しずつ近づいていくと足で男を小突いた。

 だが、男は一切身じろぎもせず、ただそこで目をつむっていた。

 

 「眠っているようね」

 「そのようじゃな。それで、策殿はこやつをどうなさりたいのですかな?」

 

 私の勘ではこの男に何の悪い物も感じていない。

 だが、いくら私の勘の冴えが良くとも不審な男を城に連れて帰っても問題ないとは言えない。

 

 「この時間にこんな所に居るのは不自然ね。兵を呼んで、こいつを城に連れて帰って尋問しましょう。もしかしたら間者かもしれないわけだし」

 「そうですな…。では、儂がひとっ走り城まで行って参ります故、先ほどの東屋まで戻って居てくだされ」

 

 「くれぐれも接触などされませぬよう」と言い残し、祭は馬に乗り、城まで戻っていった。

 その後ろ姿に私は軽く「ごめんね」と呟くと男のところまで戻った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 男の居たところまで戻ると、男は私が見つけたときと同じようにそこに座り眠っていた。

 ゆっくりと近づき、しゃがみ込んで男の顔を覗き込む。

 月明かりの下とは言え、影になって見えないが、男は野性味を感じさせるような顔つきをしていた。

 ジッと眺めていると「ん」と言う声と共に男が軽く目を開ける。

 そして、私の方を見ると「ここは極楽か?」と一言呟いた。

 「極楽には天女と呼ばれる絶世の美女が居ると言うが…」と続けて呟くとまた目を閉じ、また眠ってしまった。

 

 「フフ、面白い男ね」

 

 天女と呼ばれた気恥ずかしさもあるが、天女などとは真逆の私を見て天女と言ったこの男に興味が湧いた。

 尋問をするとは言ったが、この男を配下に組み入れたく思った。

 

 「次起きたとき、色々と聞かせてもらうわよ」

 

 そう言って私は後ろから聞こえてくる親友の怒号にどう言い訳をしようかと頭を悩ませながら、立ち上がった。




久々に恋姫プレイして、キャラの特徴掴み直さないといけないかと思い直しているので、プレイしていたら次話投稿が遅くなるかもしません。
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