リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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勢いで、書いちゃった。
百合の間に挟まる大罪を犯してしまったぜ。


第一話

疲れた身体を引きずるように帰宅。

深夜に電話で叩き起こされ、強制的に押し付けられた仕事を片付けた後、なんとか朝日が登る時間には家に帰って来れた。

 

「疲れた……。まったく、あの人もいきなり無理を言い出すんだから困るな。あー、本当に困るしんどい疲れた眠い……」

 

数時間ぶりの我が家に安心感を抱きつつ、ソファに荷物を投げ捨てキッチンへと向かう。

疲れのあまりボーッとする頭を起こせるくらいに濃いコーヒーを用意しながら、ふと自分の臭いを嗅いでみる。

 

「臭うな……。あれだけ暴れてバカスカ撃ちやがったら仕方ないか。先にシャワーだな」

 

自分の匂いが気になると、先にシャワーを浴びたくなってきた。冷めるのは少し勿体無いと思いつつも、淹れたコーヒーを一口だけ飲む。

 

「苦っ!けどうま……」

 

コーヒーの苦さで少し気分が良くなり脱衣所に移動。風呂に入る準備をしながらこれからの優先順位を考えてみた。

シャワーを浴びて、洗濯をして、少しでも何か食べたいな。そんで、早朝のニュースでも見ながら洗濯が終わるのを待って干してから……。

あぁ、道具も片付けないと……。くっそ。

 

「四時間は寝れるか」

 

今日も夜まで仕事と考えた時、少し憂鬱な気分。

先生に連絡したら休ませてくれないだろうか?いや、休憩中にでも賑やかなやつが乗り込んできそうだ。キチンと出勤しないと逆に疲れるな。

 

「あー。スッキ……嫌な、予感。スッキリしたかったなぁ」

 

熱いシャワーを浴びている時、脱衣所に置いたスマホが鳴っているのに気がついた。

無視しようかと思ったが、後の面倒さを考えた時逃げることはできなかった。身体が濡れたままで、ため息をつきながらも手に取ったスマホには『ミカ先生』の文字。

 

「……もしもし」

 

『修哉、すまないがすぐ出れるか?』

 

「えぇ……。ねぇ先生知ってる?俺って今帰ったばっかりだよ?まだシャワーを浴びた所だし、飯も食べたいし、何より寝たい」

 

『そうも言ってられん。トラブルだ』

 

うっそだろオイ。

これからの俺の予定すべてが吹っ飛んだ瞬間だった。

 

「クッソぉぉ。何が治安維持八年連続一位の日本だよ。全然平和じゃねぇよくそぉ」

 

『とにかく、早く出てくれ。終わったら店で休んでいいぞ』

 

……店でなのね。

こうなれば断る事なんてできない。

 

「はぁ、美味い飯もお願い」

 

せめてもの抵抗というかご飯も要求。

この人なら引き受けてくれるから、つい甘えてしまうな。

 

『任せておけ。場所はすぐに送る。じゃあ頼んだぞ』

 

「すぐ行くよ」

 

今日は厄日だな。

急いで着替え、ソファに放り投げた荷物を掴み部屋を飛び出て、階段を駆け降りるのも面倒に思いマンションの廊下から下に飛び降りる。四階から飛び降り、三階、二階と塀に掴まりながら地上におりて、バイクに飛び乗り現場へと向かう。

早朝ということもあり、まだ道に車は少ない。先生から送られてきた現場を確認したが、ここから現場まで飛ばせば、それほど時間はかからないだろう。

 

「ご近所さんごめんなさい!!」

 

バイクの騒音を響かせながら現場に向かった。

 

 

 

エンジン音で気付かれないように現場から少し離れた所にバイクを停めて走り出すと同時に、まるで見ていたかのようなタイミングで連絡が入る。まぁ見られてるんだけど。

空に浮かぶドローンを見ながら通信に出る。

 

「先生、状況は?」

 

『リコリスが一人、人質になっている。千束と合流後、突入して救出だ』

 

「敵は?片付けていいの?」

 

『いや、武器商人は捕らえたい』

 

「はいよ。適当に偉そうなのを死なない程度に捕らえるよ。……あー。どうせ聞いてるだろうし一言だけ言っとくけど、楠木さん人使い荒すぎだからね?」

 

ビルの階段を駆け上がりながら、深夜から人使いが荒い人に文句を言う。

通信の向こう側で表情一つ変えない人を恨みながらだと、いつもより速く動けてる気がした。

 

「到着」

 

中の状況を隠れながら一瞬確認。

見えた範囲では銃を構えてるのが五人。真ん中の男がセカンドリコリスを人質にしていて、敵の死者は四人か。

 

「先生。千束はまだ?」

 

『一応すぐそこまで来ているが……間に合いそうにないか?』

 

「うーん。武器商人のおっさんブチギレ状態だからね。この瞬間に撃たれてもおかしくない」

 

『そうか。少し待て千束を急がせる』

 

先生がそう言っているが、武器商人はさらにヒートアップしたのか声がだんだん大きく、言葉も荒くなっていく。

 

「いや、待てないでしょこれ。……楠木さーん。正直言って、この程度でセカンド失うのは勿体無くない?許可くれたら突入するけど?」

 

先生に繋がっている通信で呼びかけてみる。

どうせDAは、俺らの通信を把握してるだろうなぁと適当に思っているだけなのだが……。

 

『失敗は許さんぞ』

 

『行けるのか修哉』

 

帰ってきた声は楠木さんと先生のものだ。

ほらね、やっぱり聞いてた。ずっとドローン飛んでるし、今ここに本人が注目してるのはわかってる。

 

「人質になっても一応セカンドだし、こっちに気を引きつけてる間に逃げるでしょ。それで死んだらまぁうん。ね?」

 

『改めて言うが、武器商人は殺すな』

 

「殺したら怒られるからしないよ」

 

『なら行け』

 

「はいよ楠木さん。あ、ミカ先生、千束が来たら合わせるように言って」

 

『わかった』

 

フラッシュ・バンは深夜の任務で使い切っちゃったもんなぁ。あったら便利だったけど……。

そんなことを思いながら深呼吸を一回。手袋をギュッと着け銃を握る。

そして非常口を蹴り飛ばし突入。

 

「おっ邪魔しまーす!」

 

お邪魔しますってなんだよ。

寝てないせいの深夜テンション怖いわぁ。

 

「な、なんだぁ!?」

 

驚いた武器商人が大声を出すが、その腕に向けて発砲。命中した弾のおかげで、武器商人が武器を落とすのを確認。

そして状況を理解できなくても訓練されたセカンドリコリスが反射的に立ち上がり距離を取ろうとして、それを見た俺は標的確保のために武器商人の元へと向かう。周りの敵は任せたぞ元人質リコリスさん。

……ん?おかしい、変なのが見えた。

 

「は?」

 

戸惑いながらも身体は勝手に動き出す。

その視界の端には機関銃を構えようとする黒髪のセカンドリコリスがいた。

 

「ちょちょちょ!!あいつ馬鹿だろ!」

 

「へ?わっ!?」

 

逃げようとしたセカンドリコリスを捕まえ無理矢理引き寄せ抱えて走る。まずいまずいまずい!!

なりふり構わずに走り、敵の銃弾が掠るが気にしない。直撃さえしなければいいのだ。

俺は窓に向かって銃を撃ち窓ガラスを破壊。

特別製の手袋つけててよかったと思いながらセカンドさんと一緒に六階から飛び降りる。

 

「なんだあの黒髪ぃ!!!」

 

「きゃぁぁああ!」

 

窓枠を掴む為に身体を捻り窓枠を掴み勢いを殺す。二人分の体重で腕が軋むが、窓枠を掴んだ手は痛くない!手袋ありがとう!!

あとは五階!五階の窓破れてください!!死んじゃいます!!

過去一で最悪なアクロバットをしながら一瞬もといた六階へと目を向ける。視界には完全に機銃を構えた黒髪と唖然とこちらをみる武器商人たち。そして機銃からの轟音。

 

「うぉっほほほーって、うわぁああ!シュウが出てきたぁ!?」

 

なんか喧しい声が聞こえてきた気がする。

轟音と喧しい声。それを聞きながらの俺の願いは叶ったようで五階へと移動できた。

 

「うぉおお!すっごぉい!映画みたいな事してる!!」

 

死ぬかと思ったぁあ!!!

てかうるせぇ!何キャイキャイしとんじゃ千束ぉ!!

 

「いってえぇ……」

 

「ちょいちょい!シュウぅ!?大丈夫!?」

 

俺たちが居る五階へ千束が入ってきた。

 

「大丈夫に見えるか?てか千束?お前大笑いしてたな?」

 

「いやいや、仕方ないでしょあれは」

 

……まぁ、俺もアレを見たら興奮するかもしれない。

 

「あら、この子気絶してるね」

 

俺がなんとか救えたセカンドさん。

無理しすぎたせいで足とか手を少し切っているみたいだが、命に別状は無さそうだ。こいつも厄日だったな。人質から六階飛び降り、機銃掃射ときたら……気絶も仕方ないかな。

 

「短時間にストレスかけすぎたんじゃね?窓ガラスで多少切ってるが、命を救ったと言うことで勘弁してくれよな」

 

「よく無事だったねぇ。機銃が見えた時、流石に死んだかもなぁって思ったもん。あ、ほらこっち向いて、ほっぺた切ってるよ」

 

多少ふらつきながらも立ち上がり身体の確認していると、千束が頬の応急処置をしてくれる。治療を受けながら身体を確認したがどこも折れて無さそうだし、無理した腕も無事。夏だったら切り傷でズタボロだったかもしれんな。まだ長袖の時期でよかった。

 

「ありがとう千束。……はぁ、ほんとなんだあのバカ。ったく、今日は本当に厄日だ」

 

「いやぁ、ズダダダダ!って凄かったよ!」

 

「お陰で死にかけたわ!!」

 

『修哉無事か?』

 

千束の相手をしていると先生から通信が入った。

千束には助けたリコリスの手当てを任せて先生に答える。

 

「なんとか。リコリスは無事だよ」

 

『そうか。あまり無茶はするな』

 

「それはあのバカリコリスに言ってほしい。それよりごめん。武器商人は死んだと思う」

 

『大丈夫だ、楠木には俺から言っておく。気にしないでいい』

 

「そっか、ありがとうミカ先生」

 

いやぁ、この失敗でどんな無理難題をふっかけられるかと震えてた所だ。ミカ先生のおかげでそれはなんとか回避できそうである。

 

『それより状況終了だ。リコリスの回収はさっきの奴らに任せていい。千束と急いでその場から離れろ』

 

「了解」

 

「はーい先生。シュウ、歩ける?」

 

「歩けるよ」

 

千束と一緒にビルの下へと向かう。

ビルの下に着いた時、そこの光景を見た千束が絶望の声を上げた。

 

「うわぁあああ!なんでぇ!?」

 

「……真下に止めてたのか」

 

千束のバイクが六階の窓枠に潰されていた。

俺がぶち破ったやつだ。すまない。

でも真下まで気は向けられんよ。

 

「私の愛車がぁ……」

 

「すまん。帰りは乗せてやるから許せ」

 

「しばらく私の足になってもらうからね!?」

 

「はいはい。ほら、早く行くぞ」

 

面倒ではあるが仕方ない。

俺の家と千束の家は少し離れているとはいえ、この程度なら手間ではない。DAに後処理を任せて俺と千束は喫茶リコリコへと向かう。

これが俺たちのちょっと物騒な日常。

日本の治安を守る為に暗躍する組織。いつ死ぬかもわからない様な世界ではあるが平和の為。

普通に暮らせる幸せの為なら……やりがい……あると思いたいなぁ。

それより、腹減ったなぁ。

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