リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

10 / 35
戦闘シーン難しい!!
アニメ見てなんとなくの場所とかを察してほしいと思ってしまう。


第九話

目撃者も出ない内にスーパーへとたどり着いた。

ここで全てを終わらせなければいけない。

千束と井ノ上さんに気づかれないように、ウォールナットに扮している着ぐるみのミズキさんを殺させる。

移動中に確認したが、ウォールナットにとってキャリーバッグは命より大事らしいからな。本人がここに入っているのは間違い無いだろう。

 

「シュウ、どう?」

 

「確実にいるな。気をつけていこう」

 

「なんのことですか?」

 

スーパーの中にミズキさんが応援に来るまでという体で隠れていた俺たち。周りを確認している俺に千束が敵がいるのかを確かめにきた。

そこに井ノ上さんがなんの会話なのかを聞いてくる。まぁ、まだ言ってなかったというか、タイミングがなかったからな。

 

「あぁ、たきなはまだ知らなかったよね。シュウは感覚なのかな?いや、勘?がいいんだよ。敵がいるとかも大体だけど分かっちゃうんだ」

 

「せめて直感と言ってほしい」

 

「やっぱり化け物じゃないですか」

 

井ノ上さんが得体の知れない者を見る目をしてくる。いやいや、さっきも移動中に否定したよ?流石に何回も言われると辛いよ?

 

「それはさっき否定したろ?一応人間だよ」

 

「一応ってあたりが怪しいです」

 

「まぁ、ちょっと特殊な訓練を受けた程度だよ」

 

ちょっと山奥で育てられただけだよ。

直感とか鍛えないと野生動物に殺されかけるしね。あそこの動物は獰猛すぎて、俺自身も何かを身につけないと死んでしまう環境だったし……。

やめよう。今こんなことを考えると鬱になる。

 

「はぁ、まだ納得はできませんが今はいいです」

 

『君達、意外と余裕だな。護衛されている身からしたら、もう少し真面目にしてほしいが』

 

「そうですね。あ、井ノ上さん、ミカ先生に今の状況の報告をお願い」

 

「わかりました」

 

ウォールナットの言うことはもっともだ。

いくらこの後のシナリオは決まっているとはいえ、何かの拍子に全てが崩れるのがこの世界なのだ。何もかもが終わってから、こんな筈じゃなかったと言わないようにしなければいけない。

 

「あ、きたよ」

 

「はい。急いでください。スーパーに避難していますが時間がありません」

 

外を警戒していた千束が敵を発見したらしい。

それと同時に井ノ上さんも状況説明が終わったようだ。

 

『わかった。急いで向かわせている。気をつけて行動してくれ』

 

さて、そろそろ状況が動くだろう。

相手のハッカーもこちらの状況をドローンなんかで確認しているだろうしな。

 

「まずはここから出る為に、裏口へ向かうとしようか。千束を先頭にウォールナットが続いて行こう。井ノ上さんはキャリーバッグを、俺は殿を務めるよ」

 

「オッケー。それじゃあウォールナットさん付いてきてください」

 

『わかった』

 

千束が先行しスーパーの奥へと向かう。

ウォールナットが商品棚の向こうにたどり着きかけた時だった。俺はドンと響く足音を捉えた。

 

「井ノ上さん!」

 

「え?きゃっ!」

 

俺は井ノ上さんの手を引く。

勢いよく引いたせいでバランスを崩した井ノ上さんが俺の方へと倒れ込んでくるが、うまく抱き寄せて怪我をさせないように抱える。その際、キャリーバッグは横倒しにした上で射線に出ないようにして、引き込み倒している。

物陰に全員が隠れた次の瞬間にはアサルトライフルの嵐が襲ってきた。

 

「た、助かりました」

 

「その、すまない。また君に乱暴をしたような形になってしまった」

 

「いえ、命を助け「シュウ貴様ぁ!またセクハラかコラァ!」……セクハラですか?」

 

「違います。抱き寄せたままなのも、貫通する銃弾から守る為です」

 

リコリスの制服は防弾加工がされている。

だが当たれば痛いのに変わりはない。その点、俺の身体は多少丈夫に出来ているし、井ノ上さんとウォールナットの安全の為に盾になっただけだ。他意はない。

 

「分かっています。それよりどうしますか?」

 

「どうしようかねぇ。……千束ぉ!そっちからいけるか!?」

 

「ちょっと待っててっ!よいしょ!」

 

ダンダンダン!と発砲音。

商品棚を器用に足場にして飛び上がった千束。

その撃ったゴム弾が敵の一人に当たったのかうめき声が聞こえてきた。

あれ、当たると俺でも痛いからな。

 

「ウォールナット!」

 

その隙に、俺は倒れているキャリーバッグを蹴って着ぐるみミズキさんの元へと滑らせる。

 

『うぇぇええ!!だ、大事なものだって言ってうっぷ、おぇ……!言ってるだろぅ……』

 

すまん!

聞こえてくるウォールナットの自動音声のような声が、すごい気持ち悪そうだった。

吐いてゲロだらけとかやめてね?

だがそんな事を気にしている暇はない。千束の銃弾で怯んだ敵と、おそらくリロードのせいでアサルトライフルからの銃弾が止まっている。今しかない。

 

「よいしょっと!!」

 

「流石にもう慣れてきました」

 

レジカウンターを襲撃者に向けて放り投げた。

その奇行に慣れてきた井ノ上さんが立ち上がりながら銃を撃ち牽制をする。って、しっかり当てているあたり本当にこの子は射撃が上手いな。

 

「千束、奥の通路、確保してくれ!」

 

「今行くよ!」

 

「任せた!ほら、おまけにコレもやるよ!」

 

キャスター付きの棚もアサルトライフルを持った襲撃者に向けて蹴り飛ばす。

おかしい。俺、今回は一人の時しか銃を使ってない気がする。

 

「井ノ上さん。ウォールナットをお願い」

 

「はい!」

 

このままじゃ何かがダメだと思い、コンバットマスターで牽制。先に井ノ上さんをウォールナットの警護につかせる。

おそらく敵は俺たちとは逆の、向こう側の扉から奥の通路に出てしまうが、そこには千束がいるだろうから大丈夫。

コンバットマスターで牽制しながら井ノ上さんに追いつこうとしたが、視界の端に小さな物が跳ねてきているのを確認。

あんの!千束に撃たれたグラサンポニーめ!手榴弾の置き土産とかやめろよな!

 

「井ノ上さん!手榴弾!ウォールナット!そこでストップ!」

 

二人、いや三人が、奥の通路に向かおうとしていた所に手榴弾が放り投げられたのだ。

俺の声で気がついた井ノ上さんが着ぐるみの方のウォールナットを引き止め、キャリーバッグが無防備な状態になってしまう。

 

「止まってください!」

 

『え?あ、ちょっと!!』

 

くっそ!

まに、あえ!!

 

『きゅ、急に言わないでくれ!って、うぇぁああぁああ!』

 

「くっそ!とど、けぇ!」

 

俺はキャリーバッグに飛びつくが、キャスターによって流される。だがなんとか地面を蹴り、体勢を変えて手榴弾を商品棚の向こうへと蹴り上げる。

ドン!と言う爆発。俺たちより奥の方で、いくつかの商品棚が吹き飛ぶが、井ノ上さんたちより奥で爆発したおかげで全員が無事だ。

 

「立てるな!」

 

「はい!いきましょう!」

 

『し、死ぬ。気持ち悪い。死んだかもしれない』

 

「気持ち悪い間は死んでません!」

 

ウォールナットが泣き言を言うが聞く暇は今はない。俺たちは急いで走り出し、千束に追いつこうと奥の通路に出ようとする。

だが、そこには手榴弾を投げたグラサンの方が早く着いてしまっていた。

 

「うぉ!あっぶちょお!!??」

 

「近衛さん!?」

 

多分この通路は一瞬、サーカス会場になっていたと思う。

アサルトライフルから放たれる銃弾。

それを見ながら避ける千束。

勢い余って通路に出てしまい、流れてくる銃弾を避ける為に通路の壁を蹴り飛び上がり、身体を捻りながら天井を蹴って、井ノ上さん達がいる通路に戻る俺。

 

「あ、あっぶぇ……!一瞬マジで死んだかと思った!」

 

後ろではまだアサルトライフルの音がする。

おそらく千束はお得意の避けを披露しているだろう。あれはとてもでは無いが真似できない。

もう少し広い場所なら俺の身体能力を最大限に使って大きく動いて避けることは出来るが、狭い通路では……いや、負けないけどね!?結果的には勝ってやるさ!なんのための防弾と特別な身体だと思ってんだコラァ!!

……誰にキレてんだ俺。

焦りで少し動転してるな。切り替えていこう。

 

「な、なんですかあれ」

 

「ん?あーあれね。見えてるんだよ」

 

「はぁ!?銃弾をですか!?」

 

アサルトライフルが撃たれる中、平然と進む千束を見ている井ノ上さんが聞いてくる。

その驚きはお前以外にも人外が居るのか?とでも言いたそうだが、あれに関してはマジで化け物だよ。十年前からファーストリコリスなのは伊達ではないのだ。

 

「千束は目がいいんだよ。相手の射線とタイミングを見て銃弾を避けれる。だからあんなふうに嵐の中でも進めるんだ。っと、終わったな」

 

『君の身体能力もそうだが、アレも、ものすごい才能だな。何者なのか調べたくなるよ』

 

「まぁ海外に行ったあとにでもお好きにどーぞ。出てくるか知らんけど」

 

『そーするよ。ボクに調べられないものはないんだ。一応最高のハッカーと呼ばれていたしな』

 

「最高のハッカーねぇ」

 

最高のハッカーか。

……なんだ、これ?少し引っかかる気がする。

こういう時は俺の直感が働いている時だ。

戦闘時は敵の存在や、違和感などを察知して身体もほぼ自動的に動いてしまう。その結果的に、ほぼ最良を引き出して行動ができているのだ。

先程の井ノ上さんを抱き寄せた時、手榴弾を蹴り返した時も直感のおかげでなんとかなった。

 

「……え、さん」

 

だが厄介な事に直感は他にも作用する。

例えば千束が何か隠している等、日常的な時だ。

その時の直感は原因が多岐にわたり、考えを整理をしてヒントを繋がなければわからない。

十年前から千束が隠し続けている何かも、いまだに分かっていないのだ。本当に日常生活では役に立たない能力だな。

 

「近衛さん!」

 

「お、おう!?」

 

「やっと気づきましたね。何を考え込んでいるんですか?それより、終わったのですし、先を急ぎましょう。時間がありません」

 

「そ、そうだなすまない。千束、先に行くぞ」

 

「はいはーい。すぐに追いつくから」

 

「置いていくのですか?敵の増援が来ますよ?」

 

その通りだが、千束は敵の一人を見過ごすことができないのだ。命大事に。

怪我をしているのが敵だろうと、助けられるのなら助ける。それが千束なのだ。

 

「行くよ。治療したらすぐに来るさ」

 

「治療って!囲まれますよ?」

 

「大丈夫大丈夫!本当にすぐに追いつくから」

 

『脱出ルートはまだ敵にマークされていない。今ならまだいける』

 

納得してない井ノ上さんだったが、ウォールナットがうまく切り上げてくれた。

俺もこれに続くか。

 

「井ノ上さん。ほら、俺たちは先に行くよ」

 

「……わかりました。行きましょう」

 

「千束。何かあったらすぐに言えよ」

 

「はーい。そっちも気をつけてね」

 

俺と井ノ上さんとウォールナットは店の裏口に向かう。さてと、ここからが大事なポイントだ。

正直に言うが、不安で仕方ない。

今ここにいる敵は、俺が知らない間に千束が倒したのを含め三人。まだ残っている。おそらく外に待機しているだろう。

現状、把握しているのかわからないが、ウォールナットからはまだ敵がいるとは言えない。作戦が崩れるからだ。

これからミズキさんは銃弾に晒される。

いくら防弾の着ぐるみとはいえ、死ぬ可能性はある。こっちが把握している以上の武器を持っているなら有り得てしまう可能性。

 

「ふぅ」

 

「どうしました?」

 

「いや、なんでも。一応俺は後ろを警戒するね」

 

「はい。私が先行します」

 

ミズキさんはその一瞬をついた。

俺との会話で気が逸れた井ノ上さん。

まさか護衛対象が先を行くとは思わないだろう。

ミズキさんは外に出てしまう。

 

「なっ!?ウォールナット!今すぐ止まってください!」

 

井ノ上さんの叫び声。

そして、着ぐるみは出口を開けてしまう。

その瞬間、俺たちにとって、聞き慣れた音があたりに響いたのだった。




次でアニメ二話の話は終わりです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。