リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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今日は早いところでは最新話かぁ。
不穏な空気で不安だけど結果幸せになってくれ本当に。


第二話

少し煩い目覚ましの音で起きる。

時刻は早朝の五時。まだ少し肌寒いなと思いながら運動用の服装に着替えて軽く準備運動。うーん。今日は三十分程走るかな。

 

「ふわぁ〜。よく寝た後の朝は空気がうまい」

 

折り返し地点の公園までそれなりのペースで走り出す。朝のお散歩をしている爺さんや、俺のようにランニングをしている人と軽く挨拶をしながらペースを上げていく。よく会う人から相変わらずの速さで驚かれるがこれも慣れたものだ。

ランニングを終えて、特に何事もなく帰宅。

 

「さて、と。六時半までにご飯作るとして、軽く汗を流しておこう」

 

サッとシャワーを浴びて朝ごはんの用意。

簡単にスクランブルエッグに、昨日のご飯の残りのサラダ。あとハムを用意してトーストを焼く。

コーヒーの準備をしたあと、俺は自分の寝室へと向かう。

 

「おい、千束。朝だぞ?起きろ」

 

ここ数日、俺のベッドを占領して寝ている千束の肩を揺すりながら声をかける。こいつのおかげで俺はここ最近、ソファで寝ることになっていた。

というか、こんなにぐっすり寝てます感を出されると腹立つな。

 

「うーん。あと十六分」

 

「微妙すぎる時間を言うな。起きてるだろ」

 

「えぇ〜起きてるけどー。もちっと寝たいです」

 

「じゃあ寝てていいけど、朝飯抜きな」

 

「それはダメでしょ!?」

 

俺の脅し?に千束は布団を蹴り飛ばしながら飛び起きた。やっぱお前、ちょっと前から起きてるだろ?腹立つな。

 

「ごはんなにー?」

 

「トーストに好きな具材詰め込んでいいサンドイッチ」

 

「いいねぇ。楽しそうで美味しそうじゃん」

 

「調子に乗ってバカほど食うなよ?」

 

「わーかってるってー」

 

美味しいコーヒー飲みたいなぁ!なんて楽しそうに言いながらリビングに向かう千束を睨む。

……ふぅ。

 

「おいバカ。下着で歩き回るな服着ろ」

 

「えぇ?……あ」

 

沈黙。

気まずい雰囲気が寝室を支配する。

 

「み、みるなぁ!」

 

「はぁ……。着替えてから来いよ」

 

俺はすごい速さでベッドに潜り込んだ千束を置き去りにして、朝飯を食べることにした。

はぁ、未だにこんな時どうしてやればいいかわからんな。千束と出会ってもう十年が経つ。お互いに距離が近い異性だし、仕事をする上で危ない橋を渡ることもある。正直に言って俺たちの信頼関係ってのは親友?というか恋人?というか家族?まぁそれ以上のものなのだろうとお互いに漠然と思っているのだ。だからこんな珍事もよくある事。

 

「だから気になら……ないわけねぇよなぁ」

 

ため息一つ。

千束の下着姿を見てから、少し落ち着きのない心臓を気にしないように誤魔化しながらコーヒーを飲んだ。ったく、こっちも健全な男だって事わかってるのかねあいつは。

 

「うま」

 

飯を食って千束が出てくるのを待ちながら、この間の事を思い出す。

それはこの間、リコリコで働いているときに先生に言われた事だ。

 

 

 

お店のピークも落ち着き、俺はお茶を飲みながらカウンターでゆっくりとしていた。

千束は配達。ミズキさんは休憩中。俺とミカ先生は二人でちょっとしたティータイムをしている時に、急に先生が近いうちに新人が来ると話しだした。

 

「え?新人?」

 

「そうだ。DAからうちに転属してくる」

 

「え?この時期に転属って……もしかして」

 

「この間の機銃掃射の子だ」

 

頭を抱えた。

あーくそう。この程度は当たり前だろ?これで許してやるから大人しく受け入れろみたいな顔をした楠木さんの顔がよぎった。武器商人確保の失敗は先生のおかげでお咎めなし。だがあれだ。これは絶対に押し付けだ。

 

「ぜっっったい何かあったじゃん。DAにとって都合の悪いこと絶対あったでしょ?あの時って、なんか通信にノイズ走ったよね?絶対に何かあって真実を隠すための尻尾切りでしょこれ」

 

「詳しいことは言えんが、現場指揮官が扱いきれんとさ」

 

「うへぇ」

 

あの時、チラッとだけ見えたけど現場指揮官ってのはたぶんフキだったろ。自分のチームぐらいしっかりと制御し……てほしいが、うちも千束が居るからあまり強く言えんか。

 

「一応俺、あれに殺されかけてるんだけど」

 

「決まった事だ。文句言っても変わることはないぞ。それに結果はリコリス含め無事だ」

 

「そうは言ってもなぁ。……まぁ千束は喜ぶだろうし、いいんじゃない?」

 

「フッ。相変わらず千束中心の考えか?」

 

「中心ってわけじゃないけど、まぁあいつは恩人でもあるからそれなりにね。あとは、機銃の子も気になる」

 

今だからこそ思うんだが、あの時の行動はぶっ飛んでいるが、あの子はしっかりと現場が見えていたと思う。

機銃掃射の行動は俺の突入とほぼ変わらないタイミング。だけど俺の進行方向の邪魔はしなかったし、もし俺が居なくてもセカンドさんが倒れているなら、機銃掃射でもあのセカンドさんは射線にギリギリ入らなかったと思う。

だがしかし司令を無視したのは事実だし、危険行為でもあるから、そこを突かれて尻尾切りとして使われたのだろうか?可哀想に、同情はしよう。

 

「なんだ、タイプか?千束が妬くぞ?」

 

先生が少し楽しそうな顔で言ってくる。

まぁチラッと見た顔は可愛かったな。

 

「可愛い子だったと思うよ?でも機銃掃射は脳筋すぎて文句言いたいってのが一番」

 

「可愛いか……相変わらずよく見えているな。まぁそう怒らずに仲良くやってくれ」

 

「コーヒーくれたらいいよ」

 

「はは。お任せあれだ」

 

先生に言ったわがまま。

淹れてもらったコーヒーはやっぱり美味しく、それを飲んだからには黒髪さんと仲良くぐらいやろうではないか。

 

 

 

なんてことがあったなぁ。

 

「おはよ」

 

少し顔が赤い千束がリビングに入ってきた。

今度はしっかりとリコリスの制服に着替えているようだ。

 

「おはよ。コーヒー冷めるぞ」

 

「えぇ〜。こっちあげるから淹れなおして」

 

千束のマグカップを無理矢理俺の方に置いて新しいのを要求。さっきの事に対して、せめてものやり返しだろうか?

 

「わがままだなぁ」

 

「これでさっきのチャラにしてあげるよ」

 

「はいはい」

 

なんだろ多少は納得してやろうと思ったが、押し売られた上に理不尽をぶつけられた気がしてくるのだが?まぁ大人しく聞くことにしよう。

席についた千束のためにコーヒーを淹れなおす。

 

「あんまりゆっくりできる時間はないからな?」

 

「わーかってるー。あ、卵美味しい」

 

「そりゃよかった。ほら、さっさと食べちゃえ」

 

「あ、マヨネーズとってぇ」

 

「ん」

 

「ありがと」

 

楽しそうにサンドイッチを作っていく千束。

俺はもう食べ終わる。ヨーグルトを流し込み食事終了だ。

 

「ごちそうさま。洗濯物干してくるから、皿は流しにつけててくれよ」

 

「はいはーい」

 

一応機嫌はなおしてくれたみたいだ。

ずっと臍を曲げられるのも困るし、よかったとしよう。洗濯物も干し終わり、食事が終わってコーヒーを楽しんでいる千束に気になったことを聞くために声をかける。

 

「千束。新しいバイク買わないの?いつまでもここに居座られても困るんだけど」

 

「へ?とっくに買ったよ?」

 

「え?……は?」

 

「ん?あ!買ってないよ!」

 

「お前、今日から自分の家に帰れよ?」

 

「えぇー!まだしばらく黙ってるつもりだったのにぃ!」

 

こいつ!わざと黙ってやがったな!?

 

「じゃあじゃあ、せめて掃除手伝って」

 

「数日こっちにいたぐらいじゃ酷い状態にはなってない。自分でやれ」

 

「うへぇ〜。ケチかよ」

 

んだとコイツ。

思えば千束が家に泊まりだしてからというもの俺は毎日コイツのご飯を作り、コイツが散らかしたゴミを捨てたり、箱に入れ違いになったBlu-rayを整理したりと仕事が多い。家事分担というものを知らんのかコイツ。

ついイラッとしてしまった俺は、自分の荷物を掴んで家を出る準備を始めた。

 

「え、え?もう出るの?私まだ準備終わってないんだけど!」

 

「新しいバイクの乗り心地を楽しめ」

 

「いやいやいやいや!ここから私の家まで少し距離あるから!あ、ちょっシュウ!ちょいちょいちょい!玄関行くなぁ!あだっ!小指がぁ!」

 

バタバタと急ぎ出す千束を放って玄関を出る。

今日は普通にエレベーターを使って下に降りバイクを用意。

 

「あ、ちょっ!もうバイクに乗ってるじゃん!すぐ降りるから待ってて!」

 

上から駐輪場をみて叫ぶ千束。

はいはい待ちますって。というかまだ早い時間だからね?近所迷惑だからね?

今日こそは千束を家に帰らせる決意をしつつ千束を待つ。バタバタと階段を降りてくる千束は走りながらヘルメットをつけている。

ちゃんと持ってきてるようでよかった。忘れてきてるとまた叫びながら蜻蛉返りするところだ。

相棒にエンジンをかけてすぐ、千束がバイクの後ろに乗り込む。

 

「おっまたせ!出ていいよ」

 

「しっかり掴まれよ」

 

「はいはーい。ぎゅぅぅ」

 

「ぐぇっ!絞まる絞まってる!」

 

「置いていくからだバカ」

 

腹をぐっと強く絞められた。

バタバタとしたがほぼ時間通りに家を出れた。

さてと、今日もしっかり平和のために働きましょう。今日は新人もやってくるしな。

 

 

 

飛ばせと言う千束を無視して、安全運転を心がけながら喫茶リコリコへと到着。

 

「おはようございます」

 

「おっはよー!看板娘の千束が来ましたよー」

 

店に入ると仕込みを始めているミカ先生と、机を拭いて開店準備を進めるミズキさんがいた。

俺も準備しないとな。

 

「おはよう千束、修哉」

 

「まーた今日も仲良く二人で出勤か!ガキがイチャイチャしやがって!あ、おはようございますぅーチッ!」

 

落ち着いた先生の声と、逆に朝からうるさいミズキさん。てか挨拶しながら舌打ちすんな。

 

「昨日もお泊まりだったからね。あ、シュウ。私が先に更衣室使うね」

 

「なにぃお泊まりぃ!?千束、あんたバイク買いに行ってたのに、まぁだ修哉のところに泊まってるの!?ハレンチ!不潔よ不潔!!」

 

更衣室へと向かう千束はミズキさんに向かって舌を出す。そんな二人のじゃれあいを見ながら衝撃的な事を聞いてしまった俺だった。

 

「え?バイク買ってたのミズキさんも知ってるの?俺だけ知らなかったの?嘘だろ?」

 

思わず俺の口から出てしまった言葉に反応したミズキさん。あー、矛先が俺に向いたなこれ。

 

「あんたも千束を甘やかしすぎ!あーもう!なんであの小娘には男がいて私には居ないのよ!呑まなきゃやってられん!」

 

「普通にダメだからね?」

 

酒瓶を取ろうとするミズキさんより先に酒瓶を取り上げる。返しなさいと騒ぐミズキさんをあしらいながら冷蔵庫や棚の確認。何か足りないものはあるかなぁっと。あ、白玉粉少なくね?千束のやつ昨日どんだけ使ったんだ?

作業を進めながらも俺は会話に参加する。

一人黙ってるのも寂しいし。

 

「ミズキさんは朝から元気だなぁ。外見はいいんだからさ、それ以外をなんとかすれば男の一人や二人出来そうなもんだけどな」

 

「あっはっは!無理でしょ!」

 

俺の声が聞こえたのか千束が大きな声で否定。

確かに運良く良いところまでいっても、この人はすぐにボロを出してしまうだろう。

 

「なにおう!修哉、外見だけはタイプだから中途半端にムカつかせやがってこのぉ!それと更衣室から叫ぶな小娘!」

 

「あ、先生。いくつか買い出しに行ってくるけど」

 

「無視するな!この!」

 

まだ酒を狙ってくるか。

一度本気で禁酒してみてほしい。酒から抜け出せば絶対に一人ぐらい男できるから。

 

「いや、そっちは千束に頼んで別の事をしてもらいたい。着替えなくていいから荷物だけ置いてきてくれ」

 

俺が話しかけた先生はこの騒ぎでも動じず普段通り。着替えなくて良いの?それにしても別の事か。何かあるんだろうか?

 

「はーい。千束ー!買い出し頼む!」

 

「はいはーい。メモ書いててー」

 

はいはい。えっとメモメモ。

いくつか買ってきて欲しいものをメモに書きだして、カウンターにお金と一緒に置いておく。更衣室から出てきた千束と交代して、ロッカーに荷物を置いておく。その時、俺の喫茶店用の黒い制服が目に入りふと思い至った。

そういえば新人の制服って見てないな。何色なんだろうか?って、先生の頼みたい事ってこれか?

 

「もしかして別の事って、新人用の新しい制服取りに行くとか?」

 

先生は足が悪いし、ミズキさんは飲酒の可能性。千束はバイクに乗ってきてないし、移動手段があるの俺ぐらいか。納得した。

 

「行ってきまーす」

 

俺が更衣室を出ると同時に、千束は買い出しに出かけたようだ。今から行けばスーパーの開店時間には着くし、足りない物も午後から不安だなぁって程度だから午前の営業に問題はない。

買う物の量も少ないし、千束はすぐに戻って来るだろう。

 

「修哉はこれを頼む」

 

先生から渡されたのは、それなりの大金と服屋の予約票。

やっぱり制服を取りに行くみたいだ。

 

「やっぱり。結構ギリギリになったんだね」

 

「急遽決まった事だからな。急いでもらって昨日の夜に仕上がったと連絡が来たんだ」

 

「なるほど。もう行ってもいいの?」

 

「あぁ、開店前でもいいと言ってくれている。それとこれも持って行ってくれ」

 

先生から渡されたのは挽きたてのコーヒー。

そういや今日は組長さんへの配達もあったなと思い出す。それとはまた別のようだが。

 

「急いでもらったお礼だ」

 

「おっけー。先生が感謝してたってちゃんと言っとくよ」

 

「よろしく頼む」

 

「それじゃ、行ってきまーす!あ、ミズキさんお酒は飲んじゃダメだからな」

 

「気をつけてな」

 

「はいはい。気をつけて」

 

二人に見送られ俺はバイクを走らせる。

今日も元気にお仕事開始です。




次ぐらいに主人公の設定でも書いておきます。
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