リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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始まりましたねアニメ四話編。
ただ戦闘シーンが真島さんしかなかったり、千束とたきなのデート回なので、一話一話が少し短くなりそう。
ちょっと短いから書き上げたもう一話を繋げるか迷いましたが、切りをよくする為に短いままにしました。


第十七話

ある日の休み時間。

少しの間だが店を閉めて、俺たち三人は店の地下で訓練中である。

今は射撃訓練でたきなの実力を確かめた後だ。今日はたきなが千束の特殊弾を使ってみたが、特殊過ぎて命中力が著しく落ちていた。だが、たきなは射撃の腕前だけならファースト級のため今まで通りで問題ないとなったのだ。

そして次は体術訓練である。

 

「えぇ……シュウ、それ使うの?」

 

「この間、DAで鈍っているのを確認したからなぁ。少し相手してくれ」

 

「えぇ……」

 

「えっと、珍しい格好ですが、そんなに嫌なんですか?」

 

「アレの相手をするなら、たきなもすぐにわかるよ」

 

俺はいつもの男版のリコリス制服を脱ぎ、先生が使っている戦闘服と同じような格好。少し違うところは左腕、前腕に巻かれた紐だろうか?紐は手首付近で戦闘服と繋がっており、邪魔にならないように固定できるようになっている。

使用する時は、肘の部分に付いている金具を外す事で解ける様になり、紐の先端に錘がついている為、相手にぶつけたり、武器を絡め取ったり、拘束したりできる。

アレだ!この間クルミとやったゲームに、似た様なのが出て来たな。ハゲの筋肉男が神様を倒して行くゲーム。アレは紐ではなく鎖で、先端には剣が付いていたが……。

 

「それ嫌いなんだよねぇ。シュウの操作で軌道が変わるから身体がついていかないし」

 

「そういうな」

 

「それになんの繊維で出来てるか知らないけど切れない。めっっちゃ丈夫。一回ナイフで切ろうとしたけど無理」

 

「それは、すごいですね」

 

「でしょう!?電波塔事件の時、シュウが私を庇って下に落ちかけたんだけどさ。あの紐を柱に引っ掛けて戻って来た時は言葉が出なかったもん」

 

「百キロ以上耐えるらしいぞ」

 

「いや、本当に何でできてるんですか」

 

何でできてるとかしらん。

俺の相手を嫌がる千束に呆れたのか、たきなが相手をしてくれることになった。

 

「たきなぁ、すぐやられない様にねぇ」

 

結果がわかってるとばかりに千束は言う。

ものすごくやる気のなさそうな声だった。

対してたきなはこんな装備にやられないとばかりに気合が入ってる。

 

「ペイント弾とかじゃなくて良いんですか?」

 

「防弾だしね。頭とかはやめてね?」

 

思わず本気になってしまうし。

 

「それはまぁはい」

 

「それじゃあ始めるよ〜!……はじめ!」

 

千束の掛け声で勝負が始まった。

たきなは俺の方に銃を構えて撃ちだした。

俺はそれを防弾の紐を巻いた左腕で弾く。

 

「くっ!」

 

接近されると思ったのか、たきなはバックステップで距離を取ろうと銃を撃ちながら後退するが、俺が早く一歩を踏み出す。そして腕に巻きついた紐を外し、たきなの方へと伸ばした。

 

「えっ!?」

 

「あー。勝負ついたかなぁ」

 

紐は銃に絡みつき、スライドが戻らない様に固定されている。俺はそのまま引っ張り銃を取り上げて接近。紐を操作して紐が絡んだ銃を解き、手に取ってたきなへと突きつけた。

 

「勝負有り」

 

「……やっぱり人間じゃないです」

 

「人間だよ!?」

 

「……千束も戦ってください」

 

「やだぁ!と言う事で今日は終わり!解散!」

 

元気よく断った千束は上の階へと走っていき、それをたきなも追いかけて行く。俺だけ残るのも嫌だし今日は切り上げようか。

そして店に戻り更衣室で着替えようとした俺にクルミが一言言って来た。

 

「修哉、お前……スパルタ人だったのか?」

 

「日本人だよ!!」

 

俺の生まれとか知らないけど、どっからどう見ても日本人の顔だろ!?

 

 

 

アレから時間が経ち夕方。

俺は先生と一緒に店番をしていた。

千束はコーヒーの配達に行き、たきなにはいくつか買い物を任せている。クルミは押し入れの中だろうし、ミズキさんは裏で作業中。俺たちが使う備品やリコリコで使う物の発注など事務仕事をしながら呑んでいると思う。

 

「静かですねぇ先生」

 

「あぁ……コーヒーでも飲むか?」

 

「いただきます」

 

二人でゆっくりした時間を楽しんでいるとお客さんがやってきた。俺は久しぶりに会う、吉松さんだった。

 

「いらっしゃいませ」

 

「やぁ、お邪魔するよ。おや、久しぶりだね修哉くん。それと、会えて嬉しいよミカ、とりあえずコーヒーをもらおうかな」

 

「わかった。修哉、何かお菓子も出してやってくれ」

 

「はい。吉松さん、大福か、羊羹どっちが良いですか?」

 

「そうだね。羊羹をもらおうかな」

 

「はい。では少々お待ちください」

 

先生に指示されてお菓子を出す事になった。

すぐに出せるのは千束が食べたがった大福と、作っておいた羊羹ぐらい。吉松さんって滅多に来なくて、来てもコーヒーと何かを食べてすぐに帰るような忙しそうなイメージがあったし、あまり待たせない様にしよう。帰ってほしいわけではないけどね。すぐにでも何かを出して、少しでも長く落ち着いて癒されてもらいたいのだ。

 

「お待たせしました」

 

「ありがとう」

 

吉松さんは先生の友達なのだろう。

いや、なんていうか、先生の雰囲気がいつもより柔らかくなるから親友と言った方がいいのだろうか?

……吉松さんは、いい人だ。先程思っていた癒されてほしいのも本当。

だけど、なんだろう?この違和感は……。

千束も懐いている。……まぁ、アレは大体の人には懐くけど……。たきなも初めて接客した人とあって、悪い感情は抱いていない。ミズキさんなんかも普通だと思う。

けど、俺への視線。それを何処かで感じた事がある気がするのだ。例えるなら、俺を烏に育て上げたときの爺さんの様な……。

 

「修哉くん」

 

「はい?なんでしょうか」

 

「少し、相談があってね。千束ちゃんの事だ」

 

「千束の?といいますと?」

 

「君とは、どんな関係なんだい?」

 

ど、どんな関係?

いや、いきなりすぎて答えに困るのだが。

 

「あぁ、すまない。私にも娘がいて、まるで千束ちゃんの様な子でね。彼氏でも連れて来たときどう対応するべきか……とか色々と悩むわけだ。だから千束ちゃんと仲がいい君に色々と聞きたいと思ってね」

 

「は、はぁ」

 

「はは、すまない。いきなりすぎたね」

 

「いえ、そうですね。うーん。なんで答えればいいんだろうか……千束は、大事な人ですかね」

 

「大事な人?」

 

「えぇ、今の俺を作ってくれたと言ってもいいといいますか……。ずっと一緒にいたら楽しいだろうなと。……すみません。答えになってませんね」

 

「今の君を作った……いや、私も急に変なことを聞いてしまった」

 

吉松さんは少し笑っていた。

急に聞かれた内容にはうまく答えられなかったが、何かを掴んでくれていたら嬉しい限りだ。

 

「じゃあ修哉。すまないが、あとは頼む」

 

「はい先生。楽しんできてね」

 

「すまないね。少しミカを借りて行くよ。一緒に呑みたいと思ってね」

 

「いえいえ。先生が潰れたらリコリコへ連絡してください。迎えに行きますので。……では、またの来店をお待ちしてます。吉松さん」

 

吉松さんはコーヒーとお菓子を楽しんだ後、先生と一緒に出かけていった。いい時間だし、先生も出かけたので今日は店を早めに閉める事にした。

 

「じゃあ私は、もう上がるわね」

 

「お疲れ様です。帰り、あんまり呑みすぎない様にしてくださいね?」

 

「そのときはぁ、迎えに来てね?」

 

「嫌です」

 

「なにぃ!?」

 

「冗談です。でも、今日は先生も呑みに行ってるんで、できれば家で呑んでくださいね?」

 

「わかってるわよ。それじゃ、あとはよろしく。あんまり遅くまで騒ぐんじゃないわよ?」

 

「はーい」

 

ミズキさんは早めに帰るようだ。

まぁこんな事たまにしかないしなぁ。

ミズキさんを外まで見送り、店の看板をOPENからCLOSEDに変えておく。

 

「今日はもう閉めるのか?」

 

ミズキさんが帰ったことを察したのか、うちのリスもとい、クルミが押し入れから出て来た。

俺が帰ったら一人にしてしまうからなぁ。今日は先生が帰ってくるまでいるとしようか。

なんて思いつつ、クルミに返事をする。

 

「先生が息抜きに行ったからね。美味しいコーヒーが、少し美味しいコーヒーになっちゃうし閉めるよ」

 

「そーか。ならテレビゲームでもするか?」

 

「んー。片付けが終わったらね」

 

「ならまた声をかけてくれ。ボクが手伝ったら仕事を増やしてしまうからな」

 

「はいよ。テレビは後で運んでやるから、他は用意しておいて」

 

「りょうかーい」

 

さて、始めますか。

洗い物からテーブル拭き、厨房を片付けたりと忙しく動いていると、千束が配達から帰って来たようだ。

 

「千束が戻りましたよ〜!!」

 

「おかえり」

 

「あ、シュウ。もうお店閉めるの?」

 

「あぁ、先生が吉松さんと呑みに行ったからな」

 

「えぇ!?ヨシさん来てたの!?うぇぇ、もうちょっと早く帰ってこればよかったぁ……」

 

ヨシさんの事好きだなぁこいつ。

とはいえ、タイミングが合わなかったのは仕方ないだろう。こっちの都合を見て来てくれるわけじゃないんだし。

 

「ほらほら、片付けは俺がやるからクルミとゲームでもしとけ。テレビ運んでやってくれ」

 

「うーい。クルミ〜!なんかストレス解消できそうなゲームやろ〜」

 

「お、千束、帰って来たのか。それならコレなんかどうだ?」

 

よし、こんなもんだな。

俺はお茶を用意して、カウンターの方へと持って行く。座敷の方では千束とクルミがゲームを始めていたようだ。

今日はFPSゲームをやっているようだ。千束とクルミは交代でプレイしながら遊んでいる。

このゲームは可愛い?キャラクターが銃を撃ち合っているのだが、二人の腕前は相当な物でマッチングする敵をドンドン倒していた。

 

「あん?こいつ!」

 

「ん?知ってるやつか?」

 

「知らないけど名前がムカつく」

 

「えぇ……」

 

千束が何かに反応して、クルミが聞き返している。ていうか、お前……名前がムカつくって。

確認してみると、敵の対戦相手の名前はFUKI。

あー。これは……本人じゃないか?

 

「はぁ!?こいつ!」

 

「相手、結構うまいな」

 

「でしょうね」

 

「ん?知っているのか?修哉」

 

「こっんの!あちょ!そこは!?やったなぁ!?」

 

俺の独り言に疑問を持ったクルミ。

騒ぎながらゲームをしている千束には聞こえないと判断しつつ、俺はクルミを手招きして耳元で小さな声で話す。

 

「DAの知り合いだと思うよ。このゲームで千束と互角になれて、これだけ上手いのも納得できるし……まぁ二人は昔から犬猿の仲みたいな感じなんだよ」

 

千束は本人の実力も勿論だが、持ち前のチート能力のおかげもありファーストになっている。だがフキは自分の努力でファーストとなった人間。

ゲームといえど、反応速度とかは普通よりも上だし、プレイヤースキルの問題もあるが千束に勝つこともできるだろう。

 

「なるほど。だから荒れているのか?」

 

「そーそー。千束には言わないようにね。面倒だから」

 

「ぬぅがぉぉああああああ!!!」

 

「うるさいぞー」

 

まだ遅い時間ではないとはいえ、近所迷惑には変わりない。とりあえず千束を落ち着かせる事から始めよう。

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