リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

24 / 35
遅くなり申し訳ない!!
これでアニメ四話編は終わりです!


第二十一話

しばらく水族館の中を歩き回り、一休みついでに大きな水槽を眺める。いまだに千束はチンアナゴのマネをしながら水槽を見ている。なんだろうか?自分も水槽の中にいる様な感覚でもあるのだろうか?

 

「あの、千束」

 

「んー?なぁに?たきな」

 

「あの弾って、いつから使っているんですか?」

 

「おっとぉ?たきなさんも私に興味が出てきたのかなぁ?」

 

「まぁ、はい。旧電波塔からですか?」

 

「そう、あの時に先生に作ってもらったのよ。ふふふ、あの時のシュウの顔を思い出しちゃうね」

 

「あの弾を喜んで使うのはお前ぐらいだ」

 

初めてあの弾を使った時を思い出す。

千束に影響されて不殺を心がける様になり、あの弾を使う様になった。だが最初はぜんっぜん上手く使えず苦労したのだ。そのせいで電波塔の時は無駄に接近して戦闘をすることになり、大人の腕力で担ぎ上げられて外に投げられたりと散々だった。あれはヒヤリとしたなぁ。

他にも千束を庇って落ちかけたりと、あの時は何回も落下死をしかけた。

とにかく!俺があの弾を初めて使った時は、思いっきり顰めっ面だった事だろう。

 

「な、なんかすごい顔ですよ?」

 

「いや、昔を思い出してついな。たきなも、いきなりあの弾を使えって言われれば困るだろ?それはもう、あの時は嫌な思い出が多い」

 

「あー、なるほど。気持ちはわかります」

 

「ありがとたきな。この変態は超近距離での戦闘ができるから、あの弾の使いにくさを俺たちよりはわかってないんだ」

 

「だぁれが変態じゃい!このぉ!」

 

チンアナゴのマネをしたまま千束が戯れついてくる。

おいやめろ。お前、本当のチンアナゴみたいに気性が荒くなるな。

 

「んふふ〜。それにしても、こうやってたきなから私たちに興味を持ってくれるのは嬉しいなぁ」

 

「まぁ、たきながウチに来てから、季節が変わるほどには一緒に居るからなぁ。仲間としても、今日の魚以上には興味を持ってもらいたい」

 

「お?いいねぇシュウ。そうだなぁチンアナゴよりは興味持ってほしいなぁ」

 

「チンアナゴ?どちらかと言うと食べれるタツノオトシゴの方が、たきなの食いつき良かった気がするぞ?」

 

「二人して茶化さないでください」

 

「「ごめんごめん」」

 

たきなから話を振ってくる事は、最近まではあまりなかった事だ。俺も千束も、なんなら常連客含めて他のリコリコのメンバー達も、ついつい嬉しくなって可愛がってしまうのだ。

たきなには悪いが、これはしばらく続きそう。

そして、千束があの弾を使う理由を話し始めた。

 

「気分が良くない。誰かの時間を奪うのは気分が良くないってだけだよ」

 

「気分?」

 

「そう!悪人にそんな気持ちにさせられるのは、もっとムカつく!だからあの弾でぶっ飛ばす!あれ当たると痛いんだよぉ?シュウは平然とするけど」

 

「俺でも痛いわ」

 

千束の理由を聞いたたきなはクスクスと笑った。

まぁ、今までDAの方針ばかりだったたきなからしたら、少しおかしいのかな?

 

「もっと、博愛的な理由かと思っていました。修哉さんも同じですか?」

 

おっと、次は俺のようだ。

だけどなぁ。理由、理由かぁ。

 

「んー……。まぁ、結果はそうなのかなぁ?気分が良くないってのは同意だし」

 

「結果?」

 

「千束が言った気分云々は置いといてさ。不殺をする様になったのは千束の影響なんだけど、俺からしたらこいつの生き方ってのは、それはもう衝撃的でね。色々と勉強させてもらったんだよ」

 

「はぁ……?つまり?」

 

真面目に話すのは初めてかもしれない。

少し恥ずかしいな。

 

「リコリコで色々な人たちを見た。俺はさ、知ってる人みんなが笑顔でいてくれると嬉しい。俺を嬉しい気分にしてくれる人達の前に、人を殺した後に顔を見せたくない。うーん、あんまり言葉にしたことがないから、説明が難しいな」

 

「誰かを殺した手で料理とか出したくないもんねぇ。それで笑顔になられても、自分が嬉しくないんでしょ?」

 

「そう!そんな感じ!結局変に嫌な気分になるのは嫌だからな!」

 

「なるほど」

 

ついつい語ってしまったが、あれだ。リコリコで料理を作りながら俺自身が、あー今すっごい平和だなぁ。世間は色々と過激な所はあるけども、俺の周囲は平和で何よりですって思えたらそれでいいんだ。

千束が調子に乗って笑って、たきなが呆れつつも楽しんで、先生と新しいメニューを考えて、ミズキさんの愚痴を聞きながら辟易として、クルミとゲームで騒いで、常連さん達が癒されているのを見る生活が守られれば、それでいいんだ。

 

「もし、誰かを手にかけちゃったら千束がうるさいぞぉ?たきなも気をつけろよ?」

 

「あぁ、それは確かに。面倒なので気をつけます」

 

「えぇ〜?まぁその時は、泣き喚きながらでも困らせてやろう」

 

そんな千束の言葉に、三人で一緒にクスクスと笑ってしまう。

 

「まぁシュウは語ったけど、結局はね〜」

 

「したい事最優先?」

 

「お?やるなぁたきな。私の事が分かってきてるねぇ」

 

今のは純粋にビックリだ。

まさか千束の考えている事を当てるとは。いや、案外わかりやすいから、たきなならわかるかもしれない。人の事をよく見てるからなぁ。

というか千束!語ったとかいうな顔熱いわバカ!

 

「DAを出た理由は?殺さないだけならDAでもできたと思いますが」

 

「あー、それはねぇ」

 

「千束?」

 

「隠す様な事でもねぇだろ?」

 

「そだね。……うん、人探しがしたいんだ。どうしても会いたくて、だからDAから出たんだ」

 

千束はアラン機関に認められたアランチルドレンである証、フクロウのペンダントを見せた。

 

「喉渇いたね。ちょっと場所を変えようか」

 

立ち上がり、飲み物を買える休憩スペースに移動をする千束。それを追いかけながらたきなは俺に聞いてくる。

 

「千束はアランチルドレンだったんですか?」

 

「まぁ、あれを持ってるからな。でも俺が出会った時はすでに持ってたから、誰からもらったとかわからないんだ。だから千束の探している人物が誰なのかもわからん」

 

「それを手伝うために、修哉さんもDAを出たんですか?」

 

「人探し?……それを手伝おうと思ったのは、DAを出てからだなぁ。元々俺は、あいつの護衛だったんだよ。俺もそれほど詳しくはないが、千束にはちょっと色々とあってな。その辺はまた今度ね?今は話していると長くなりすぎちゃうし」

 

「そう…ですね。わかりました」

 

ジュースを頼み、席に座って話を再開。

たきなは千束のペンダントを持ちながら、スマホでアランチルドレンについて調べている様だ。

 

「それで、千束にはどんな才能があるんですか?」

 

「え〜?わからなぁい?」

 

ポスターの水着モデルのポーズを真似する千束。

 

「それじゃないのはわかります」

 

「はっ!ねぇよ」

 

「たきなはともかく!シュウは後でぶっ飛ばす!」

 

「はっはっは。やれるものならやってみな」

 

「こっの!」

 

「はぁ、またこの人達は」

 

しばらく俺と千束は言い合っていたが、少し騒ぎすぎたようでスタッフに睨まれ、たきなに注意されて少し反省。

とりあえず話を戻そう。

 

「まぁ結局、それをもらって十年経つけど私の才能は何かわからないし、未だに探している人には会えてない。……もう、会えないのかもなぁ。ただありがとうって、言いたいだけなんだけど」

 

千束を救った人が、どんな人なのかわからない。

たしかに普通に考えれば、十年という期間は少し長すぎる。病気、事故、人間なんて簡単に死んでしまう。

そんな簡単に誰かが死ぬ世界で生きている俺たちは、その辺のことをよく知っている。そのせいで千束の少し諦めてしまいそうな気持ちもわかる。

こんな時、どうしてやればいいのだろうか?

少ししんみりとした雰囲気。だが急にたきなが立ち上がり、走り出してしまった。どうした?

 

「さかな〜!!」

 

両手を合わせてピンと伸ばし、片足も上げて伸ばし、魚の真似と……。かわいいなぁ」

 

「おい、言葉が漏れてるぞ?」

 

「あれ?でも、可愛いだろ?」

 

「まぁ、それはそう」

 

「……お前の才能は人助けだろう?お前の周りではみんな笑顔が多い」

 

「……ありがとうね。いよっし!たきなぁ!私もやるぅ!」

 

チンアナゴ〜!

と、たきなの隣でチンアナゴの真似をして笑う千束。ほら、周りの客も二人を見て笑顔に……いや、なんだあれ?という困惑の方が大きいのか?

でも確かに子供は笑っているのだから、これでいいのかもしれない。

 

「ほらほら!シュウも何かやりなよ!」

 

「期待してます」

 

お?急に言われてもなぁ……。

そうだな、ちょうどよく二人がジュースを飲み終えたカップが目の前にあるし……よし!

 

「いよっと!イルカの芸〜!」

 

顔を上に向けながらカップを、一つ二つ三つと順番に放り投げる。それを口元で一つキャッチ、そのカップの上にもう一個、さらに一個!!

ドヤァ!

……拍手と歓声が巻き起こってしまった。

 

「え!?シュウなにそれスッゲェ!!」

 

「なんでそんな事が普通にできるんですか!?やっぱり修哉さんはおかしいです!」

 

「あ、ありがとう!ありがとう!……あーほら、お前らペンギン見に行くぞ!」

 

「照れるな照れるな」

 

「うるさいバカ千束」

 

調子に乗ってしまった。

歓声に少し恥ずかしくなり、俺はゴミを捨てて、千束とたきなの背を押しペンギン島へと向かうのだった。

その後も、水族館を歩いている間、俺をジロジロと見る視線を感じつつも水族館を楽しむ。

最後には売店でみんなへのお土産にお菓子を買ったり、千束が大きなペンギンのぬいぐるみを欲しがり、たきなの分も合わせて二つ買ったりとした。

そして今は両手に荷物を抱えながら、水族館から出てきたのだが……。

 

「リコリス」

 

「なんだか、多いですね」

 

「……ちょいトイレ」

 

「はぁ!?またぁ!?」

 

「悪いな。お腹の調子がよろしくない。ちょっと何処かで休んでてよ」

 

千束達に荷物を押し付けてその場を離れる。

そしてスマホで楠木さんへと連絡。

 

『どうした?』

 

「普通よりリコリスが多いですけど、一体なにが?」

 

『……北押上駅でテロの可能性がある』

 

「は、はぁ!?いや、最初は怪しいってだけだったでしょう!?」

 

『現在駅を封鎖して、サードリコリスを派遣している。今どこだ?』

 

「駅からは少しありますが、走ればすぐに着きます。武装はありますか?」

 

『ない。今回はもう間に合わない。大人しく帰りなさい』

 

「……わかりました」

 

向こうは作戦中のため忙しい。

楠木さんにはすぐに電話を切られてしまった。

これは、失敗したなぁ。

まさかテロとは思わなかった。……もしも、あのトイレでの男が関与しているのなら……。

 

「楠木さん。今回の敵は、少し厄介かもしれませんよ?」

 

「あ!やっぱりトイレじゃないじゃん!……で?楠木さんなんて?」

 

「え?司令と電話していたんですか?」

 

千束にはバレていた様だ。

まぁ、あんな風に抜ければバレバレだわな。たきなは気がついてなかったみたいだけど……。

 

「あー。作戦中だってよ」

 

「え!?行かなくていいんですか!?」

 

「もう遅い。それに今の俺たちは下手に行動できないのは分かっているだろう?あ、おい。荷物を押し付けるな千束。ちゃんと持つから!」

 

今回の俺の行動は、あまりに多いリコリスに対して思っていた以上の事が起きていると思った事と、あわよくば楠木さんが俺の武装とかを用意してくれているかもしれないと思っての電話だったが、それもないようだった。

今回は本当に外されたな。今度ペナルティとして特別任務とか言われそうだ。

 

「さて!今日はもう急いで帰ろうか。俺たちがいても邪魔だろうし」

 

「そうだね。リコリコにお土産も持って行かないとね。ほら、行くよたきな」

 

「……わかりました」

 

「駅は避けて帰るか」

 

「駅で起こるの?まぁ、そうだね。荷物も多いしタクシーでも拾う?」

 

「まぁ、この量持ってバスは迷惑だろうなぁ」

 

「それじゃあわたしが行ってきます」

 

「ちょいちょい!たきなぁ、私も行くってぇ」

 

俺たちは起こるだろう事件について気になりつつも、それを振り切る様にその場を離れた。

タクシーでリコリコに戻った後、テレビを見るとどの局も北押上駅での事件を取り上げている。

どうやらDAは電車の脱線事故にしたらしい。回送電車だった為、死傷者はないと言っているが本当は何人死んだのだろうか?そして、あの男は死んだのだろうか?

……一緒に死んでてくれると安心だけどな。

 

 

 

次の日。

昨日は楽しんだが、最後は少し後味が悪かった。

だがそれでもリコリコの営業は変わらない。俺は厨房でお客さんのお菓子を作り終えて、ミズキさんに配膳してもらう。

 

「団子三兄弟あがり」

 

「はいよ。ねぇ、あれ何とかしなさいよ。声がこっちまで響いてるんだけど?」

 

「捨てまーす!捨てまーす!これも捨てまーす」

 

今日もリコリコ店内では千束の声が響いている。

今は更衣室にあるたきなのトランクスを捨てている様だが、お客さん達からしたらゴミ掃除でもしてると思われている事だろう。

 

「女の子が使う更衣室に入れませんよ」

 

「めんどくさいだけでしょ?それに!今日も一緒に出勤しておいてよく言うわ!泊まりか!?泊まりだったんか!!」

 

「いつもの事でしょ?ほら、いいから運んでください」

 

ん?千束が静かになった。

まぁ、気にせず厨房に引っ込むとしよう。今日は少しお客さんも多いからな。少し手が空いた間にまかないでも作っておけば、各自いつでも休憩が取れるだろう。ちょっと早いがピークに重なるよりはマシである。

 

「さてと〜「いやぁあああ!!!ハレンチぃいいいい!!!」!?な、なんだなんだ!?」

 

「違う違う違う!!ミズキやめ!ぐぇ!」

 

「修哉!ちょっとあんた!こっち来なさい!!」

 

「え?な、なに?」

 

更衣室の方を見れば、千束にヘッドロックを決めているミズキさんがいる。え?本当になに?

 

「あ、あんた達!!ついにヤッたのね!?あたしへの当て付けがこのっ!ガキのくせに充実しやがって、この!羨ま……羨ましい!!」

 

「ちぃがぁうってぇ!!私のじゃないし、シュウのでもないから!シュウボクサーだから!」

 

「あらそう?じゃあトランクスは履かないの?」

 

「いや、寝る時とかは履いてたね」

 

「履いてるじゃねぇか!!やっぱそれ!修哉のだろ!?」

 

「あ、ちょ!違うごめん違うのぉ!口が滑っただけぇ!!」

 

「いや、本当になにこれ……」

 

俺はなにを見せられているのだろうか?

困惑して呆然と見ていると、店の奥からたきながやってきた。あまりの騒がしさに気になったのだろう。

 

「何ですこれ?」

 

「わからん」

 

「あ!たきな!たきなのたきなの!!」

 

「ん?」

 

ミズキさんの目が光った気がした。

一体なにがたきなのだというのか。たきなのといえば千束が捨てていたトラン、クス……。

この瞬間猛烈に嫌な予感がした。

ミズキさんは、進行方向……いや、たきなの前にいて邪魔だった俺を押しのける。そしてたきなのリコリス制服のスカートを持ち上げ……って……。

俺、見えてないからね?角度的に無理だからね?

 

「可愛いじゃねぇか」

 

たきなのパンツを見たミズキさんの一言。

 

「み、見ましたか?」

 

「……角度的に見えないよ。うん」

 

そう。ミズキさんはしゃがみながらスカートを捲った。つまり立っている俺には見えない。ね?見えてなーい見えてなーい!!

たきなの顔がどんどん赤くなっていく。

一応見えてないアピールの為に自分の目を手で塞いでおく。下手に刺激をするよりは、触らぬたきなになんとやらです。

 

「……どこまで、見えましたか?」

 

「え?ふとも……見えてない」

 

あ、嫌な予感。

 

「ふんっ!!」

 

「グハッ!!」

 

馬鹿正直に答えた俺の脇腹に、たきなの強めチョップが襲った。

火事場の馬鹿力ではないが、なかなかの強さで食らってしまい悶絶する。悪いと思ったからこそ甘んじて受けたが……た、たきなさんって、なかなか良いの入れますよね?

しばらくその場で脇腹を押さえていたが、ホールが騒がしいのを聞き脇腹をさすりながら立ち上がり、お客さんに出すサービスでも用意することにした。

いや、本当に騒がしい店ですみません。




次回はまた一話挟んでからアニメ五話に突入します。
ですが最近少し忙しいので書く暇があまり取れません。
連休?そんなのないけど?って感じです。
申し訳ないけどもう少し待っててもらえればと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。