リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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第二十三話

気を取り直して、千束が今回の依頼内容の説明を開始する。二階席の方にはクルミ、座敷にはミズキさんとたきな、カウンターには新聞を読んでいる先生と無理矢理座らされた俺。

そして千束はというと。

 

「あの、千束?そこで説明するんですか?」

 

「チッ!イチャつきやがってこの!!」

 

「んふふ〜。羨ましい?羨ましいのかぁ?ミズキぃ?」

 

「んだとぉ?こっの!小娘ガァ!無駄にスペック高い修哉が相手なのもまたムカつく!」

 

「落ち着いてくださいミズキさん」

 

「無駄て……」

 

千束は俺の膝の上に座っているのだ。

あの、別にいいけど身振り手振りはやめてね?手が当たるから……。てか本当に千束とミズキさんは落ち着きがないな。二人を除いた他の人は、無視して新聞読む人とヘッドギアをつけてゲームする人。あとミズキさんを止めようとするたきな。

……あれ?まともなのは、たきなと俺だけじゃない?

 

「ほらほら、始めるから静かに〜。…………はい!みんなが静かになるまでえっと〜…十秒ぐらい?かかりました」

 

「うっざ!」

 

「なんだとぉ!?」

 

「グハッ!」

 

「あ、ごめん」

 

なんかすごくイラッときて、思わず文句を言ってしまった。それに反応した千束が勢いよく振り向いたのだが、俺の膝に座っていたこともあり千束の肘が腹に直撃……痛いです。

 

「あ、あー……コホン!さぁ!気を取り直して最初から依頼内容を説明しまぁす!とっても楽しいお仕事ですよ〜」

 

「あいだ!」

 

「あ、ごめん!」

 

腕を振り回すものだから、次は俺の顔に千束の腕が当たる。いや、俺も話を聞いていなくて呆けているからこそ当たっちゃうんだけどさ?それでも人の上に乗って身振り手振りはいかんよ。

 

「お前降りろ!」

 

「え?嫌に決まってるし、断固として降りませんよ?全くなにを言い出すかと思えば……はぁ、これだからシュウは……」

 

「こ、こっの!」

 

「あ、ちょい!タブレット取るな!」

 

イラッとした。

俺は千束が持っているタブレットを取り上げてしまう。そしてそのタブレットを俺が持ち、千束が読めるように持ってやる。はぁ、保育園のボランティアに行って絵本を読む時ぐらいしかしないぞこれ。

 

「ほら読め」

 

「ひゃい」

 

「……ねぇたきな?銃貸してくれない?」

 

「実弾だからダメです」

 

「そこは入れ替えるから、ね?私にアレを撃たせなさい。あの真っ赤な顔を撃ち抜いてやるのよ」

 

「ゴム弾でもダメですし、ゴムなので撃ち抜けません」

 

「チッ!」

 

ほらほらうるさいよ。

さっさと説明させて終わらせないと一向に進まんだろう?ほら、はやく内容を読め千束。

 

「え、えっと〜。い、依頼人は、七十二歳の男性で〜ですねはい。日本人です。過去に、ですね?妻子を何者かに殺害されて……だぁああ!離せぃバカシュウ!!」

 

「あだぁ!!」

 

千束の後頭部が俺の鼻に激突。

え?なんなのコイツ?さっきから俺に嫌というほど被害を出しやがるんだけど?え?なにこれって鼻血出そう。

 

「た、たきな〜ティッシュちょうだい。鼻血出そう」

 

「はぁ、すぐに取ってきます」

 

「アンタねぇ……依頼内容ぐらいスパッと説明しなさいよ。一向に進まないじゃない」

 

「だ、だってシュウが取るんだもん!」

 

「だもんじゃないわ!!」

 

「おいミカ、こんなんで大丈夫なのか?」

 

「……まぁ、優秀だからな。うん大丈夫さ」

 

「ボクも助けてもらった立場だから優秀なのはわかっているが……ミカ、自分に言い聞かせてないか?」

 

「そんな事はない」

 

わちゃわちゃと一向に話が進まない中、千束への説教をするミズキさん。それを眺めながらたきなが持ってきてくれたティッシュを鼻に詰めてお礼を言っておく。

 

「ブッ!ブワッハハハ!両方に詰めてる!」

 

「…………」

 

イラっとするなコイツ。

ちょっと無理矢理にでも関節技決めて泣かせたい。まぁやらないけど。

 

「千束はこっちにきて説明してください」

 

「あらたきな?そんなに私の隣がいいのかなぁ?」

 

「シバきますよ?」

 

「しばく!?珍しく過激……珍しくはないな」

 

「は?」

 

「説明始めまぁす!」

 

一瞬たきなの顔が怖かった。数秒もかからずに場を凍りつかせたのは才能である。すごいなアラン機関にでも支援してもらう?……ごめんなさい。

悪い事を考えていたと思われたのか、たきなにすごい睨まれた。俺ってそんなに表情に出やすい?あいつエスパーだろ……。

ともあれ、千束がたきなの隣に移動したことにより、スムーズな内容説明が行われた。

 

「というわけで!私たちが!みんなで!ボディーガードしまぁす!」

 

「あ、俺途中までいないから」

 

「「え!?」」

 

「なに?アンタ言ってなかったの?」

 

俺の発言に千束とたきなが驚いている。

ミズキさんに言って無いのかと言われたが、すぐに終わる予定だしなぁ。その後合流するから言わんでも良いかなって。ちなみ先生とクルミは知っています。

 

「まぁすぐに終わる用事だし合流もすぐにできるからね。千束達が観光でどこに行くのか知らないけど、場所さえ教えてくれれば何かあれば急行するよ」

 

「ちょちょちょちょい!!話を進めるな!え?いないの!?」

 

「おう」

 

「なぁ〜んでだよぉ〜!」

 

「絡みつくな鬱陶しい」

 

ウザ絡みしてくる千束を離す。

たきなに千束の手を掴んでもらい拘束をする。その間に納得してもらおうと思ったのだが、なぜかワガママモードに入ってしまい千束は聞く耳を持たない。……ふぅ、先生お願いします。

 

「千束、修哉はDAからの依頼で少し外すだけだ。何時間もかかるものじゃないからすぐに合流する。あまり困らせてやるな」

 

「ということだ。すまんな」

 

「うぇぇだってぇ〜。せっかくの観光だしみんなで回りたかったなぁって」

 

「言っときますけど遊びじゃないですよ?」

 

あ、たきなが地雷原に踏み込みやがった。

これはスイッチ入るぞ?

 

「甘い!甘いよたきな!」

 

「な、なにがですか?」

 

「いい?観光したいって依頼だよ!?つまり楽しんでもらわなきゃいけない!」

 

「は、はぁ。ですが護衛ですよ?いつ襲撃者がくるかわかりませんし、しっかりと気を張っていないと」

 

「それはそう!だがしかし、観光を楽しんでもらうのも仕事!楽しんでもらうためにはまず、私たちが楽しんでいないと良い仕事ができません!つまり良い仕事をする為には楽しめないといけないんだよ!!」

 

「……なるほ……ん?あれ?……修哉さん、助けてください」

 

「たきな、アンタ良い感じに混乱させられてるわよ?」

 

はぁ……。

たきなの救援要請を断るわけにもいかず、なんとか千束を落ち着かせた。そしてクルミの提案により、旅のしおりを作ることになったのだが……。

なぜ俺の部屋でやるのだろう?

やっとベッドに入れたのは深夜の二時。

おまえ、明日は色々動き回るんだからな?あんまり寝不足だと、いざと言うときに体が動かなくなるぞ?はぁ、言っても無駄だろうから言わないけどさ。

はぁ、それではお休みなさい。

 

 

 

起床後、俺達はリコリコへと出勤。

いつもの流れならリコリコの制服へと着替えるのだが、今日は依頼があるため臨時休業である。

千束とたきなと俺は各自武装を整えて待機中。

今回、ミズキさんはバックアップの為に車で移動してついてくるようだ。

先生は足が悪いのもあり、クルミと一緒にリコリコからこちらのサポートをしてくれるらしい。そのサポートのおかげで、後から俺の合流もスムーズにできるだろう。クルミ一人入ってくれただけでもバックアップが厚くなりありがたい。

 

「シュウはまだ出ないの?」

 

「依頼人の松下さんに挨拶だけな。後で合流するけど顔合わせぐらいはしないとダメだろ?」

 

「なるほど」

 

「それとウチの煩いのが迷惑をかけるかもしれないから、先に謝っておかないと」

 

「なるほど……ん?誰のことだ?」

 

「千束以外誰がいるんですか?」

 

「え?たきなは?」

 

「「フッ」」

 

「二人して鼻で笑うな!」

 

依頼人である松下さんがくるまでの間、それぞれリラックスしながら過ごしているのだが、そろそろ時間だな。

ミズキさんと先生が店の奥から出てきた。座敷で寛いでいた俺も荷物を持ち、服装に乱れがないか確認。そして松下さんの到着時間になると店のドアが開いてSPの方?が入ってきた。

そして続けて入ってきたのが、さまざまな機械がついた車椅子に乗っている依頼人。松下さんだ。

 

「遠いところ、ようこそ」

 

『少し早かったですかね?』

 

先生が代表して松下さんを出迎える。

千束が松下さんに、今回巡る旅のしおりを見せているが……これならデータで渡したほうがよかっただろうな。

 

「クルミ、あのしおりをデータにしてくれるか?」

 

「あぁ、千束。そのしおりをデータにしようか」

 

筋萎縮性側索硬化症の人を初めて見たのだが、しおりを持てない程のものとは……これは不勉強だったな。目にもなにかしらの異常があるのかゴーグルだし。

さて、俺は先に出ないといけないから挨拶をしておこうかな。

 

「初めまして松下さん。今回、護衛をさせていただく近衛修哉です。まぁ、私は後からの合流になってしまうのですが、先に挨拶をと」

 

『…………』

 

「ん?松下さん?」

 

どうしたのだろうか?

松下さんが俺の方に体を向けたまま黙ってしまう。リコリコ店内では珍しい沈黙が数秒続いた後、松下さんは話し始めた。

 

『……あぁ、いや失礼を。君の顔が、ずいぶん昔に亡くなった知り合いに似ていてね』

 

「そ、そうなんですか。何かとんでもない失礼をしたのかと思ってしまいました」

 

『ははは。そんな事はありませんので大丈夫ですよ』

 

よかったぁ。

大丈夫だったみたいだから、背中をつねるのやめろ千束。

 

『もう十年以上も前になるか……。ある夫婦と知り合いでね。とても残念なことに、二人は亡くなってしまったのだが、その二人に子供がいれば君のような顔になるのだろうかと思ってね』

 

「なる、ほど?」

 

『修哉くんか……後から合流という事は、今から何かあるのですか?』

 

「はい。少し野暮用がありまして、すぐに片付けてそちらに合流します。では、また後で」

 

『ええ。君と話すのを楽しみにしてますよ』

 

「はい、ではまた。じゃあ俺は先に行くから、クルミ!また後で連絡する」

 

「あ、おい。修哉!」

 

俺は松下さんから逃げるように外に出る。

何故だろうか?心臓がうるさい。何か変な感じが、違和感がすごいする。

……俺の両親って、どんな人なのだろうか?

はは、今までこんな事を思った事なんてないのにな。松下さんのせいで少し調子がおかしくなったのだろうか?

 

「しっ!」

 

パチンと頬を叩いて気合いを入れ、俺はバイクを走らせて目的地へと向かう。

目的地は、一ヶ月前の事件現場北押上駅だ。今回は依頼というほどのことではない。ただDAから事件現場をもう一度見てほしいと言われているのだが、何度見てもなにもわからないだろうに。

まぁ任されたからにはやろう。

お金も出るしね。リコリコの経営は意外とギリギリなのだ。




今日もお仕事でした。
寝不足で目が開かない。眠い。
変換ミスったり、とんでもない文章になってなければ良いな。
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