リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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リコリコロスが酷すぎるのに毎日は忙しくて辛い。


第二十四話

北押上駅へと到着。

DAの職員にバイクを預け、案内されるままについていく。あれから一ヶ月が経つがいまだに復旧されていない。その理由の一つが崩壊したホーム内でばら撒かれた弾丸を探す為だ。今回に関してはクリーナーを使っても時間がかかりすぎている。

 

「お疲れ様です。忙しいのにすみません」

 

「いえいえ、今回の件は相当酷いですから。こちらからも協力をお願いしたかったところです」

 

「じゃあ少しお邪魔しますね」

 

俺はホームの中を歩き回る。

幸いもう崩落の危険性はないらしく、安心してぐるぐると歩き回る。崩落したのは主に片側だけで犯人は失敗した場合を想定していたのだろうと感じる。爆破しているのだから多少の破損はあれど、これほど綺麗に被害の差がでるのは用意周到な証拠だろう。

 

「あの日の人物の死体が出てないし、爆破して反対のホームの線路内へと逃げたとしか考えられないよなぁ」

 

ん?

考え事をしていると話し声が聞こえてきたが、これは階段からか?

クリーナーの人達は離れたところの瓦礫を撤去中。これ以上の動員がいると聞いていないし、今回は部外者と判断。表向きには学生である俺は面倒ごとはごめんなので、線路内に入り込み隠れる事にする。

しばらく息を潜めていると、声の主が現れた。

 

「こりゃ酷いもんだなぁ」

 

「阿部さん気をつけてくださいよ?まだ瓦礫だらけなんですから」

 

阿部さんだ。

は〜……。何と言いますか、仕事熱心な刑事さんにはお疲れ様です!と言いたい。だが、こんな所まで入ってこなくとも……。

 

「よっこいせ」

 

「いよっと。あれから一ヶ月ですが、不法侵入をすることでやっと中を見れますね。どうして刑事が現場を見れなかったのだか」

 

「おめぇが一ヶ月もの間うるさいから連れてきてやったんだろ?いいからちょっと待ってろ」

 

あー。なるほど。

若い刑事さんは勿論、阿部さんですらリコリスやリリベルの事はわからないだろうからなぁ。警察署長は多少の事は知ってはいるみたいだけど、ベテランである阿部さんでもなんとなくヤバイ組織が絡んでるなって事ぐらいしか察していないだろう。

それより、さっきから阿部さんが瓦礫を投げ捨てている音が……あ〜うん。見つかるだろうなぁこれ。

 

「お!あったぞ!」

 

「え!?弾丸!?」

 

あ、見つかってしまった。

阿部さん絶対に仕事できる人だもんなぁ。いつもリコリコでは調子のいい親父風だが、俺たちの存在にも気がついているあたりすごいと思う。

 

「じゃあこれ全部弾痕ですか!?」

 

「探せばあるだろうが、大体の弾は回収されているだろうな」

 

「こんなのテロじゃないか!署長に報告しないと!」

 

「無駄だ。これはテロではなく、事故ってことになっているだろ?あの旧電波塔テロからずっとそうだ。この国にいる何らかの組織が事件を事故にして隠し続けているんだよ」

 

「はぁ!?そんなの!テロを隠し続けることができる組織って……そんなの映画の中だけでしょう?」

 

「現にこうして事件は事故になっている。うちの署長は何かを知っているだろうが、黙っていなければならないほどの存在がいるって事だ」

 

「放っておいていいんですか!?」

 

いやぁ、その通りなんだけどさ。

今の状況で警察が介入するとなると面倒と言いますか……今回の事件を引き起こした奴との戦いに入られると正直に言って邪魔だ。

 

「何でも隠蔽しちまうんだぞ!?んなの相手にできるわけねぇだろうが!このタコ助!」

 

「な!?じゃあ警察は何のためにいるんですか!?」

 

あーもう。ヒートアップしすぎだって。

 

「誰だぁ!おめぇら!!」

 

「逃げろ!」

 

「何で刑事が逃げなきゃいけないんですか!」

 

ほら見つかった。

阿部さん達は暗い中走り出し、転びそうになりながらも逃げ切っていく。さすが現役刑事、足速いなぁ。

俺も隠れていた線路内から出てホームへと戻る。

 

「近衛さん!誰ですかあいつらは」

 

「仕事熱心な正義の味方ですよ。放っておいていいです」

 

「はぁ、警察ですか。上はともかく、下の奴らにも勘がいいのはいますからね。こうして何度か現場に入られることもありますが……」

 

騒いでいた阿部さん達を追いかけてきたクリーナーさん。この人達も警察が来る前に事件の隠蔽をしなくちゃいけないし、警察はある意味厄介な相手なのだろう。

 

「まぁまぁ、ウチが関わっている以上は手出しできませんから放っておいても大丈夫ですよ。それより、やっぱり俺がきても意味がないですね。なにもわかりません」

 

「やはりですか」

 

「俺がこの事件を起こすなら、こっち側の線路内から逃げます。ですが、どの地点から地上に出るのかまでは流石にわかりません」

 

相手は国内外問わず活動しているテロ組織。

これだけの事件を起こすなら、逃走経路もきちんと用意しているはずだ。それにリコリスと埋まっていた死体から身元の判明もできなかったらしい。クルミならとも思うが、楠木さんはそこまでの情報はくれないだろうな。

ハッキングしてもらうほどでもないし、今回はスルーでいいや。DAに任せよう。

 

「とりあえず俺はこれで。楠木さんには後日連絡を入れておきます。お忙しいところお邪魔してすみませんでした」

 

「いえいえ、これも仕事のうちですから」

 

「ははは。ではまた、うちのバカがお世話になると思いますが、その時はよろしくお願いします」

 

「ええ勿論。報酬さえもらえればしっかりと元通りにしますよ」

 

さすが裏社会の職人。

ここら辺はしっかりとしていたのだった。

俺も暗い地下鉄内から外へと出る。DAの職員からバイクを受け取り、クルミへと通信開始。

 

「聞こえるか?」

 

『あぁ、そっちはもういいのか?』

 

「大丈夫。これから合流するから今どうなっているかだけ教えて」

 

『今は三人でお祭りを楽しんでいるみたいだが、合流できそうか?』

 

そうかぁ。

ちょっとバイクだけ何とかしないとな。

ただお祭りのせいで停めるところがあるかどうか……。

 

「空いてそうな駐車場ってある?」

 

『はぁ、少し待ってろ』

 

その後、クルミから少し遠い場所の駐車場を教えてもらいバイクを停めに行ったのだった。

はぁ、松下さんを迎えるためにDAからの依頼時間ギリギリまでリコリコにいたが、もう少し計画的に行動するべきだったな。

 

 

 

少しばかり移動に時間がかかってしまい、結局お祭りは楽しめなかった。水上バスの乗り場で千束達を待つことでやっと合流ができた。

 

「お待たせ」

 

「本当に待ったよ!まぁ私達は楽しんでたし、もっと時間かかってもよかったけどねぇ」

 

「お疲れ様です修哉さん」

 

「意地悪な事を言う千束は放っておいて、たきなは今度、俺と一緒にお祭り巡りしてくれよな。様子を見るに楽しかったみたいだし、正直羨ましいし」

 

「はい是非」

 

「おいおーい!私をおいていくつもりかぁ!?」

 

本当は俺も七夕祭りに行きたかったのだ。だが千束が自慢してきたのがイラっときた為、たきなだけを誘うことにした俺だった。

おっと、うるさいのは置いといて松下さんに挨拶をしなければ。先程は調子が狂ってしまったが合流するからには引き締めなければな。

 

「っと、松下さん。ここからは俺も加わって護衛をします。よろしくお願いしますね」

 

『えぇ、こちらこそよろしくお願いしますよ。いやぁ、可愛いガードマンが二人もいるのに頼もしいガードマンが更についてくれるとは、安心しますよ』

 

「それは良かった。では、次の場所へ移動しましょうか」

 

「無視すんなぁ!」

 

松下さんは騒がしい千束にも笑いながらも付き合ってくれているようで少し安心した。とりあえず俺たちは水上バスに乗り込み、移動を開始することになった。

 

「観光はどうでしたか?」

 

『すごく楽しめてますよ。彼女達はとてもいいガイドだ』

 

「それは良かった。これからもまだまだ行く場所はありますから、色々な意味で飽きる暇はないかと」

 

「あ!松下さん!アレが延空木ですよ!十一月には完成らしいです」

 

「ほらね?」

 

『ははは、賑やかでいいじゃないですか。そうそう、アレの設計には私の知り合いが関わっているんですよ』

 

すごいな。

松下さんは少し楽しそうな口調で説明をしてくれていると、後ろからたきなが俺の腕を引っ張ってくる。どうした?

千束に松下さんを任せ、松下さんに少しだけ離れて護衛すると言いたきなのところに移動する。

 

「どうした?」

 

「あの、千束の心臓の話なのですが……」

 

「あぁ、聞いたのか?」

 

「修哉さんが先に出た後に聞きました」

 

たきなは千束の人工心臓について聞いたようだった。今思えば千束からその件についてたきなに言った様子はなかった。だがこれは俺から話すことでもないしなぁ。

 

「俺から話すのは違うってわかるよな?」

 

「はい。ですが、千束には話をしてもらえそうにないと言いますか……」

 

「まぁ依頼前ってのもあるし、本人の心の準備もあるからいきなり詳しい話はできないだろうさ。大丈夫、その辺は絶対に話してくれるから」

 

「だと、いいのですが」

 

たきなは少し落ち込んでいる様子。

今は仲が深まっているからこそ、こんな大事な事情は言ってほしかったのか?ここに来た時からは考えられない程にたきなは成長しているな。

ここは、俺も協力してあげるべきだろう。

 

「今日は少し暑いからさ。松下さんを連れて中で涼んでくるよ。その間に千束と少しだけ話しておけばいいさ」

 

「ありがとうございます!あぅ」

 

あぅって可愛いなおい。

何故かたきなの頭を撫でてしまう俺であった。

いやだってなぁ?少し落ち込んでいる風だったのに、俺の提案にパッと顔が明るくなるものだからつい撫でてしまったのだ。

とりあえずツッコまれないうちに松下さんと一緒に中へ避難してしまおう。正直に言うと、松下さんとは、あまり二人きりにはなりたくないのだが……。

少しだけ違和感がある気がするというか、何だろう?この変な感覚は……。初対面の人にここまで違和感を抱くのは初めてかもしれないな。

 

「松下さん。今日は暑いですし、少し中で休みませんか?」

 

『あぁ、それはいい。ぜひお願いします修哉くん』

 

「それじゃあ中にいるから、千束達には外の警戒を任せるぞ?」

 

「うん。ありがと」

 

「短い時間だけど、しっかりと話してやれよ?」

 

「そだね。頑張る」

 

千束の頭も撫でてから、松下さんと一緒に室内へと向かう。外の景色が見れるように窓際の席に近い場所へと移動する。この人の場合は刺客が多いせいで狙撃の可能性がある。そのため俺の感覚領域を広げて、なにがあっても対処できるようにしておくのも忘れない。

まぁ、それでも狙撃の弾が飛んできたら捨て身で庇うぐらいしか出来ないのだが……。最悪の場合、今回は腕一本は覚悟しておかないといけないだろうか?千切れない限りは治るからいいけどさ。

人間離れした回復力には、俺自身も本当にドン引きレベルだな。

 

 

「松下さん。ありがとうございます」

 

『おや?お礼を言われるような事をしたつもりはありませんが?』

 

「そうですか。なら、それで」

 

『はい。ですがそうですね……後付けのようで申し訳ないですが、お返しにあなたの事を少し聞いてもいいですかな?』

 

「俺の事?」

 

『はい。私にはどうしても、君が私の知り合いと似すぎているのが気になるのです』

 

……。

そう言われてもなぁ。

俺の家族とかは一切知らない。物心つくときにはもうあの施設にいて、爺さんには烏となるための訓練を受けさせられていた。

 

「俺は両親を知りません。俺が幼い頃に死んだと思うのですが、俺は少し問題がある爺さんに育てられましたから」

 

『なるほど。……今朝話したように、私の知り合いはもう亡くなっています。その時に子供がいればと言いましたが、彼らには息子がいました』

 

松下さんは昔を懐かしむように話しだした。

その話を聞いた俺は、松下さんをただの護衛対象として見れなくするには十分すぎた。

 

『その子の名前は、藤修哉。苗字は違いますが、名前は君と一緒ですね』

 

その名前を聞いた瞬間。

ひどい頭痛がした気がした。




さて。
ここからオリジナル設定が出始めますが、変な事になって収拾がつかなくなる……。
なんて事がないように願いながら書きます。
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