お待たせして申し訳ないです。
久しぶりに駆け足気味に書いたので前の感覚が掴みきれてないです。
うるさい目覚ましで目を覚ます。
昨日の営業も色々あったせいで、なかなかハードだったよなぁ……と思い出しながらもベッドから抜け出し、コーヒーでも用意しようと動き出す。
「はぁ、お客さんはいつも通りだけど……千束のやつのせいでなぁ」
この間京都へと日帰り旅行をしてからだが、千束のやつは少しでも隙があれば日帰り旅行を敢行しようとしてくる。それをたきなと一緒に阻止をしてリコリコへと縛りつける毎日が続いているのだ。
おかげで最近は営業中に千束の監視という要らなすぎる業務?が追加されている。先生も一回ガツンと言ってくれればいいのに……。甘いんだからなぁ。
「とりあえず千束を起こすか」
あと、これもだな。
京都に行ってからコイツ我儘過ぎるだろ……。
千束は俺の家にもう何日泊まっているんだろうか?はぁ、とまたため息。最近増えてます。
「千束、起きろ?」
「……や」
寝てる時は騒がしくないから可愛いよな。
そんなことを言ったら調子に乗りながら起きるから言わないけど。もし言ってしまえば一日は調子乗ったままになるだろうし、それは俺も疲れるのだ。
「……もう少し寝ていいけど、あんまり長い時間は寝れないからな?」
「ん」
とりあえず放置決定だ。
その時だった。
千束のスマホに着信が入り鳴り始める。
俺も寝起きだったせいだろうか?超絶にバカなことだが、たきなからの電話だしいいかと思い電話に出てしまう。
「もしもし」
『千さ……ん?修哉さんですか?あれ?千束のですよね?』
「あ、ごめん。普通にでちゃった」
『千束は居ますか?……いえ、修哉さんでもいいです。次に電話しようと思っていましたので』
「それじゃあ俺が伝えとくよ」
『はい』
たきなから伝えられた事は、寝起きに聞くには少々インパクトがあり過ぎる話だった。
リコリスが四人、単独任務中に襲われているらしい。ついにリコリスも狙われるようになるとは、物騒な世の中になってきたな。って、この間の地下鉄ではそれ以上の被害だったけど。
「ほーん。こわい世の中だよなぁ」
『いや……修哉さん。もう少し大きく受け止めてくださいね?……まぁいいです。それより千束と一緒って事は、今も修哉さんの家に泊まってるままなんですね?』
「それよ。あいつ、京都に行ってから我儘モードで一向に帰らないのよ。そろそろ追い出そうと思ってたんだけど」
『いえ、ちょうどいいです』
ん?なにが?
『今日からわたしも泊まることにします。今から向かいますね』
「は?」
『……え?まさか、千束は良くてわたしはダメとか言いませんよね?ね?修哉さん?』
「コーヒー淹れて待ってるね!」
こっわ!!
え?こんなに冷たい声出す子だっけ!?
『では冷める前に着くように急ぎますね』
プツンと電話が切られた。
それにしてもリコリスが狙われているねぇ……。
これは後で楠木さんにでも電話で聞いてみるかなぁ。現状俺に指名依頼も来ていないし、あんまり答えてくれそうにないけど。
それよりたきなが泊まるのか……。
千束は俺のベッドで寝てもらって、たきなは千束のベッド使ってもらって俺は……。
「布団、干しとくかな」
流石にソファで寝ることになるのは勘弁願いたいのだった。
しばらく待っていると家のインターホンが鳴り始める。たきなが来たようだ。
「はいはいっと」
セーフハウスのこの移動って面倒なんだよなぁ。
隠している梯子を登り、一応家具だけ置いていて居住空間の程を取っているだけの、モデルハウスのように家具だけを置いている上の部屋へと向かう。そしてその部屋の扉を開けるとたきながいた。
「おはよう。とりあえず入って」
「おはようございます。お邪魔します」
「荷物持つよ」
「あ、はい」
俺の家には何度か遊びに来ているたきな。
初めて来た時はセーフハウスの仕様に驚いていたなと懐かしみながらも、たきなの荷物を貰う。
……いや、重くね?
「このカバン……ガチャガチャなってるけど……装備?」
「はい。家にあるものを持ってきました」
「まぁ、うん。リコリスが泊まるもんね……」
千束のせいで忘れかけてしまうが、俺たちにとっては普通?なのだろう。長期で家を空ける場合、装備やらは持っておかなければ補充もできないしな……うん。着替えは?
「着替えって、持ってきてる?」
恐る恐る訪ねる俺。
少しズレたところがあるたきなだ。装備だけ持ってきて、着替えを持ってくるのを忘れていたとかありそう。
着替えを持っているのなら、布入ってるのにこれだけガチャガチャなるカバンなんてないだろ?つまり忘れている可能性が高いのではないか?という考えだ。さっきの電話でも少し焦っている感じだったしな。
だが、たきなは俺の想像の上を行くことがたまにだがあるのだ。それを忘れていた。
「大丈夫です」
カモフラージュ用の部屋。その中で使っていない一つの部屋の中に入るたきな。なんだ?そこは物置なんだが……?
後ろから覗くと、置いてある箪笥を開け始めた。
そして出てきたのはセカンドのリコリス制服。
「置いてますので」
「なんで?」
「?」
え?なんで?
そんな、なに言ってんだコイツ?みたいな感じで首を傾げられても困るのだが……?あれ?俺がおかしい?ここ俺の家のはずなのに、なんで俺が知らないの?
「千束が置いておけって」
「千束ぉ!!」
「ダメでしたか?」
「いや、いいんだけどぉ!使ってないし!!」
いやぁ。まってくださいよ。
この間といいさ?俺の部屋の中に、俺の知らないものが多くないですか?いや、いいんだよ?別に使ってない所に関しては常識の範囲で好きに使っていいよ?
でも知らずのうちに掃除をして、見つけた時の恐怖も考えてほしい。てか最近、上の部屋の掃除は千束がやっていることが多かった理由はこれか?あいつできるだけ隠そうとしてやがったな?
……下着とか見つける前でよかった……。
「とりあえず、コーヒーでも飲むか」
「はい。いただきます」
たきなを引き連れて下の居住空間へと戻る。
眠気が飛んで覚醒しつつある俺は、たきなの分のコーヒーも用意しながら朝ごはんの用意を開始。たきなも泊まるのならと、布団を干したりしていたせいで他の支度が遅くなってしまったのだ。
「たきなはご飯食べた?」
「はい。軽くですが」
「なんか食べる?」
「いえ、大丈夫です。それより千束はまだ寝ているんですか?」
「あー……起こしてきて」
はぁ、とため息をついて呆れながらも千束を起こす為に寝室へと入って行く。……迷いなく寝室の場所行っちゃうよね。まぁ、何回か泊まってるしおかしくはないか……?
「はへぇ!?な、なんでたきな!?」
どうやら千束が起きたようだ。
無駄にテンションが高くなる予感を感じつつ、朝ごはんの準備を急ぐのだった。
「ほぉーん。なんで特定されんだろうね?」
「さぁ?よっぽど下手な行動をしたとか?」
「楠木さんがそんなリコリスを外に出すわけないでしょ?なに?シュウさんってばバカなの?」
「ハム抜き!!」
「あぁん!それは勘弁!」
「まぁ可能性があるのは、先日のラジアータハッキングの件で情報を抜き取られていたのかも知れませんね」
「ハム返してよ」
「ダメ」
「たきなぁ!シュウが虐めるんですけどぉ!?」
「千束。今は真面目な話をしているんですよ?ちゃんと聞いてください」
「えぇ〜……」
俺と千束は朝食を、たきなはコーヒーだけではあるが食卓を囲みながらの会話中。議題?はリコリスが襲撃されているというちょっと問題な件について。
たまーにあるんだけどねぇ。やけに勘のいいというか、頭が回るのかリコリスを嗅ぎつける奴ってのが。
一人いやぁな人物の顔が浮かぶが気のせいだろう。
「とりあえずさっさと食って出勤だな」
「今すぐどうにかできるとこじゃないしね」
「そうですね。リコリコに行ってクルミに調べてもらいましょうか」
「そだねぇ。楠木さんが情報くれるとは思えないしぃ。あ!シュウが聞けば一発じゃない?」
「適当な時に連絡は入れてみるよ」
話をしつつもテキパキと食事を終わらせて食器を片付ける。千束は自室になっている部屋に向かい準備中だ。
「あの、修哉さん」
「ん?どした?」
少しソワソワしていたたきなが声をかけてきた。
千束が居ないタイミングって事は、何か聞かれたくないことでもあるのだろうか?
「えっと、しばらく厄介になってしまうので、何か手伝いをと」
「あぁ、別にゆっくりしてくれればいいぞ?普段千束の面倒見てもらってるし」
事実、俺はずいぶんと楽が出来ている。
たきなが居なかった時はもっと酷かった気もするし……。
だがしかし、そんな事でたきなは納得しないだろうな。ならば……。
「あー、じゃあ家事分担でも決めるか?」
「それです!!」
勝手知ったるというか、人の家なのに何故そんな簡単に紙とペンの場所がわかるのだろう?と言いたいスピードでたきなは行動を開始。あの速さを出せるあたり、足の怪我はもう平気そうだな。
「できた!どうですこれ!」
キラッキラな目をしながら作ったのは家事分担スケジュール表。料理、洗濯、掃除をローテーションでできるようにしたものだ。
「わたし達の人数は三人!三つの仕事を公平な家事分担で回せるようにしてみました!」
「お、おう。いいんじゃないか?」
「なになにぃ?どったの?」
着替えを終わらせた千束がリビングに戻ってきた。
俺は何が起きているのか把握できていない千束の軽く説明をする。そして全てを理解した千束は一瞬だが悪い顔をしたのだ。
あ、嫌な予感。
「わかってない!わかってないなぁたきなは!」
「は?えっと、何がですか?」
「ここの家主はシュウだよ!?つまり私達はもっと働く必要がある!つまり!もっと家事の負担を私たちで負う必要があるのだよ!!」
「どの口が言って……なぁたき」
「はっ!?なるほど!!」
「なんでさ」
たきなさん。千束の勢いに飲まれたな?
こいつロクでもないことを考えてるって少し冷静になればわかるだろうに。
「つまり!わたしと千束だけで家事をするって事ですね!」
「そう!さて、ここでじゃんけん大会をしまーす!」
「へ?じゃんけん?」
あ、こいつ。
「おいちさ「シュウは黙ってて!」むぐっ!」
こいつ!!!
俺の口を塞ぎにきやがった!
たきな!こいつの口車に乗るな!!!
「シュウはどれだけ疲れていても私達を気遣ってくれるよね。つまり私たちが自主的に負担を軽くしないといけない。じゃんけんならほぼ公平に家事も分担できるでしょう。つまりじゃんけんこそ正義な訳よ」
「な、なるほど。では千束、早速」
「行くよたきな」
まるで闘いに向かう戦士のような空気感が二人を包む。
「「最初はグー!!」」
結果は言うまでもないだろう。
たきなで埋まってしまったスケジュール表。
満足そうにアイスコーヒーを楽しむ千束。そしてスケジュール表を見つめて愕然とするたきなは哀れすぎた。
「な、な、なんで……」
「料理は、俺がやるよ」
「修哉さん!!」
まぁ、料理ぐらいはね。
すまんが他は頑張ってくれ。