リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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今回からアニメ二話に突入です。
中の人ネタ?ってほどではないと思いますが、入れてしまいました。


第六話

カーテンを開ける。

うん。今日もいい天気になりそうでありがたい。

朝ごはんとコーヒーを用意して、テレビをつけてニュースをチェック。

なんだこれ?ガス爆発?

とあるマンションの一室が吹き飛んだらしい。

最近は本当に多いよな。DAが関わっている事件かただの事故かわからんが……。

そういえば、この間の銃取引の事件はDAがガス爆発にしていたが、今回も何かしらあったのだろうか?

毎回思うけどガス爆発って都合良過ぎない?多少銃でぐちゃぐちゃな部屋になっても銃弾を回収後、適当に火をつけて偽装してってやり過ぎでしょう。DAってそういうところあるよね!!

 

「あー。コーヒーうめぇ」

 

ともかくだ。

今日は千束もいないし、久しぶりにゆっくりとした朝である。実に清々しいいい朝だ。

……もう一杯飲もうかな。

そう思った時、スマホが鳴り始めた。

 

「嫌な予感。……うげ」

 

楠木さんだ。

今度は一体なんだ?

やっぱりさっきのニュースがDA絡みとか?

うわぁ……。ちょっと嫌だわ。

 

「あ、切れた。ってかけ直すの早くない?……もしもーし」

 

着信音が止まった瞬間にまた電話がかかってきた。これは俺が出るまで止まらないやつだなぁと思いながら電話に出たが、いつも通りの冷たさが目立つ楠木さんの声だ。

 

『一度無視するとはいい度胸だ』

 

「いや。ちょーっとタイミングがよろしくなくてですね?」

 

『まぁいい。お前が使う武器や弾薬、他にも必要な物はリコリコに送っている。ミカから受け取りなさい』

 

「え?それだけ?」

 

『そうだが?』

 

「いや、なんでもないです。ありがとうございます」

 

この人、それだけのために朝から電話してきてくれたのか。荷物がミカ先生の元にあるなら先生から聞けばいいだけなのに。

この人はめんどくさい事してるなと思っていると、ではな。と言い、電話が切られる。

 

「なんだったんだ?」

 

楠木さんはたまにこうやって俺の様子を伺う。

内容は今回のように物資の補充や、千束の様子を聞いてきたりと色々だ。

 

「って、そろそろ出ないと」

 

今日はミズキさんが迎えにきてくれる。

バイクが壊れている間だけだが、朝は迎えにきてくれるらしい。待たせるわけにもいかないので急いで用意を終わらせる。

準備を終わらせて時間通りに外に出ると、リコリコの車が止まっていた。

 

「おはよう。待たせたかな?」

 

「今来たところよ。……ねぇ、普通これ、男女逆じゃない?」

 

「それは……たしかに」

 

「やり直す?」

 

「嫌です」

 

俺が助手席に座ったのを確認し、ミズキさんは車を走らせる。

早朝だからかあまり話す気にもなれずしばらく黙っていたが、ミズキさんが話しかけてきた。

 

「そういやさぁ。あんたウォールナットって知ってる?」

 

「ウォールナット?……クルミ?」

 

「有名なハッカーらしいわね。それでね、実は依頼が来てるのよね」

 

「ん?ウォールナットから?」

 

「そう。緊急で」

 

緊急ねぇ。

そんな有名なハッカーなら色々と巻き込まれるのだろうな。この時点で俺はだいたい察している。

 

「今回の依頼、金払いめっっちゃいいから受けるわよ。相場の三倍よ三倍!しかも一括前払い!」

 

「三倍?すごいな……内容は?」

 

三倍かぁ。

それは中々……。ミズキさんがやる気になるのもわかるな。ただでさえうちは千束のおかげで金がかかるのだから。

 

「ウォールナットの保護。死んだように見せかけてウチで身柄を隠すの。今回は私も命張るわよ」

 

「おぉう。やる気だね。それにしてもウチで保護ねぇ」

 

「千束には黙っておきなさいよ?たきなもでしょうけど、隠し事しながら依頼をこなすなんて出来ないだろうし」

 

……たしかに!

千束はなぜなぜと色々と聞き出そうとするだろうし、井ノ上さんは結構脳筋だからボロが出やすいだろう。こうしてみると、ウチって工作とかその辺弱くない?

まぁ今更言っても仕方ないか。

依頼内容に戻ろう。

 

「ほーん。とりあえず俺はどうするの?」

 

「ウォールナットを追っている武装集団の排除。これが結構いるのよね。多すぎて邪魔だし、依頼をしやすいように片付けておいて。全滅しちゃったら偽装工作もできないからコレを五〜十人ぐらいまで減らしておくのが理想ね」

 

「なるほどねぇ」

 

……無理だな!!!

だってバイクないもん!!

こんな事ならもっと早く用意したのに!!

 

「それよりあんた、楠木司令の何?」

 

「は?何って何?……小さい頃に少し面倒見てもらったぐらいだけど?」

 

「ふーん。その程度ねぇ……。前から思ってたけど、アンタ特別扱いされてるわよね?」

 

「そうかな?まぁたしかに特別任務とか放り投げられるよね」

 

「それ以外もよ。まぁリコリコに着いたらわかるわ」

 

なんだぁ?

たしかに今朝連絡があったが、内容はあの人が押しつけた任務で消費した武器弾薬の補充だろ?これは別に、俺が依頼を受ける条件の一つだから特別扱いでもないだろうし。なんだ?

まぁそれは置いておこう。

えっと、まとめると……。

依頼内容はウォールナットの保護。

俺の仕事は、数が多い襲撃者を千束達が動きやすい人数まで片付ける事。

これは囮になるミズキさんの安全の為でもある。

ウォールナットを死んだように見せかけるって事は、千束達を任務失敗へと誘導するわけか。

 

「考えたの先生?」

 

「と、ウォールナット本人」

 

「失敗させるなんて意地悪な内容だなぁ」

 

「敵を殺せるなら、別の手段もあるけど?」

 

「それは無しだね」

 

「うるさいのが居るしね。まぁ、私もあんまりしたくないし」

 

お、リコリコについた。

結構話し込んでたな。

先に車から降りて店内に入ると、先生が武器の確認をしていた。

 

「きたか。おはよう修哉」

 

「おはようございます。それ、楠木さんから?」

 

「あぁ、確認しておいてくれ。後は、これだ」

 

先生が何かを投げてくる。

それをキャッチして確認する。

受け取ったものは何かの鍵。

 

「鍵?……え、うそ!」

 

「見てこい」

 

「はーい!!!っと!ごめんミズキさん!」

 

「あっぶないわね」

 

ドタバタと店の外に出ようとするが、ちょうど店に入ってこようとしていたミズキさんと衝突しかける。ミズキさんを転ばさないように避けて支える。ちゃんと無事を確認してから店の裏へと俺は走った。店裏のそこには、大きな黒い乗り物が鎮座していた。

 

「うぉお……。うぉおおおお!!!」

 

バイクだぁ!!!

え!?うっそ!楠木さんが!?

これは特別扱いと言われても仕方ないわな!!

色もいいよぉ!黒を基調に赤と青がセンス良く入っている!

 

「修哉は遊撃になるからな。移動手段はあったほうがいいだろうと楠木が送ってきたぞ」

 

「ま、マジでぇ!?」

 

「後でお礼の電話でもしておけ」

 

うぉぉおおお!するする!いくらでもする!

たぶん壊れたのを聞いて、緊急の任務の時に俺が動きやすくなるよう最速で送ってくれたのだろうが、ありがたい限りだ。

楠木さんが今回の依頼のことを把握しているのかは知らないが、なんにせよタイミングバッチリでありがたい!!

 

「今回の依頼はまっかせて!確実に片付けるから!」

 

俺は先生にそう言ってリコリコ店内へと戻る。

さてさて!今回は準備万全で行きますよぉ!

武装集団がなんだ。新たなバイクの慣らし運転ついでに片付けてやりますよぉ!!

 

 

 

あれから一時間が経ち、時刻は七時。

銃の整備を終えて、銃弾やその他の装備も準備完了。そこまで終えた俺に、先生が新しいバイクのマニュアルがあると言った為、現在はタブレットでそれを読み込んでいる。

スペック面はだいたい同じだが収納ができたようだった。予備の銃を詰め込めるスペースとか、マガジンを置いておけるスペースとか。取りやすい場所に配置されているが、これが巧妙に隠されている。作ったやつは変態だな。

 

「おはようございます」

 

「お?おはよう井ノ上さん。コーヒーとか飲む?ちょうど淹れようか迷ってたんだけど」

 

「いいんですか?いただきます」

 

「はいはい〜。美味しく淹れますね〜」

 

井ノ上さんが出勤してきた。

俺は座っていたカウンターから立ち上がりコーヒーを出す事に、千束と違い井ノ上さんとは一緒にいる時間が少ない為、この辺でコミュニケーションを取っておこう。

 

「砂糖とミルクは?」

 

「ブラックで大丈夫です。ここのコーヒーは美味しいですから」

 

「嬉しいこと言ってくれるね。まぁ俺は先生ほど上手く淹れられないけど」

 

ブラックコーヒーを井ノ上さんに出し、今日は機嫌が最高潮な上に、嬉しいことを言われた俺はとっておきを出す事にする。

袋に包んでいたお菓子を取り出して、小皿に三つ乗せたものを二つ用意した。井ノ上さんには感想も聞きたいし、淹れたコーヒーと一緒に出してみよう。

 

「おまたせ。あとこれ、良かったら食べて。朝イチで要らないなら包むけど」

 

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。えっと、これはマカロン?ですか?」

 

あれ?食べたことない?

あー。そう言えばリコリスのお菓子の代表はかりんとうだったな。あれもすごい美味しいんだけど……ん?もしかして井ノ上さんってあんまりお菓子とか食べない?

 

「うん、マカロンで合ってる。たまに作るんだけど、結構評判いいんだよね。昨日家に帰ってから久しぶりに作ったのを持ってきてたんだよ」

 

「いただきます」

 

「どうぞー」

 

俺も一口。

うん。コーヒーに合うように試行錯誤しただけあって美味しい。

たまにこうして、焼き菓子やケーキなんかを作っているが中々好評なのだ。まぁ自宅で気分転換に作っているだけだから量は少ないし、常連さんへのサービスだな。

 

「美味しいです!」

 

「そう?よかった」

 

「私、コレ、初めて食べたんですけど、すっごく好きです」

 

「お、おう。後でいくつか包んでおくよ」

 

「お願いします!」

 

少し興奮した井ノ上さんの声に気がついたのか店の奥から先生が出てくる。今日の任務内容を話すようだ。

さてと、俺はそろそろ出ようかなって……あれ?千束のやつ遅くないか?時刻は七時十五分。騒がしい声があってもおかしくないが……。

一応、電話してみる。

 

「……でない」

 

そう言えばあいつ、井ノ上さんへオススメの映画を貸すとか言ってたな。厳選している途中に映画を見だして止まらなくなってしまい、夜更かしからの寝坊パターンか。

 

「千束はまだか?」

 

「うーん。多分寝坊じゃないかな?」

 

「……あの人、大丈夫なんですか?」

 

大丈夫じゃないかもしれない。

すまない千束。フォローはできない。

井ノ上さんの疑問に俺と先生は答えることができず、俺は厨房に逃げてマカロンを何個か包む。

 

「じゃあ先生。俺は先に出るよ」

 

「手筈通りにな」

 

「了解。あ、千束には何回か電話してみるよ。起きたら依頼が入ってるから急いでリコリコへ向えって言っておくし、あと井ノ上さん、これ移動中にでもどーぞ」

 

「ありがとうございます。気をつけて」

 

「そっちも気をつけて。アイツ、一応戦闘では頼りになるはずだから……大変だろうけど千束のお守りよろしく」

 

「はぁ……。まぁ頑張ってみます」

 

気が重そうな井ノ上さん。

まぁフォローは先生に任せよう。

俺は新しいバイクに跨り、目標の武装集団を排除するために動き出すのだった。

……その前にもう一度だけ電話しておこうか。

 

「……あ、もしも『寝坊ですごめんなさい!迎えに来てくだあぁあ!シュウのバイクないんだったぁ!!』うるっさ!」

 

一息に謝罪をしたのはお寝坊千束さん。

なんというか、想像通りで本当に面白いやつだよな。

 

「とりあえず急げ。今日は緊急の依頼が入ってるし俺はもうそっちに行くし、千束も急げよ?」

 

『え!?そうなの!?さらにヤッバいじゃん!』

 

千束の叫びを聞きながら、俺は新しいバイクを目覚めさせる。

おぉおお!!いい音だ!!

身体に響くエンジンの音がたまらない。

 

『ん?やけにバイクの音が近くない?』

 

「ふふん。新しい相棒だ」

 

『え!?じゃあ私を迎えに来てくれるの!?』

 

「さっきも言ったろ?俺は今から仕事だから無理です。諦めて大人しく急いでください」

 

『うぇええ!?ケチ!』

 

「うるせぇ。さっさと来ないと井ノ上さんに呆れられてたぞ?これは先輩の威厳が消えるな」

 

そんなもん元から無いけど。

だがそれを聞いた千束はさらに焦っていた。

 

『えぇ!?嘘でしょ困るよそれ!急いで行かないとアダッ!』

 

ダダンと落ちたような音。

あー。あいつハシゴから滑り落ちたな?

焦りすぎだ。

 

「怪我すんなよ?それじゃあまた後で」

 

『あ、ちょっと待っ』

 

「さて、これから頼むぞ」

 

今度こそ俺は目標に向かっていくのだった。

井ノ上さん。本当に大変だろうけど、頑張ってくれよな!!

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