リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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話の切りどころを逃しそうで、長くなりそうだったから短めです。


第七話

調子がいい。

新しいバイクに乗り武装集団を相手にしていく。

とは言ってもだ。単純だが、移動手段を無くしてやれば足止めはできる。例えば車を壊すとか。

まぁここは依頼主であるウォールナットにも、意見を聞いておこうか。

 

『聞こえるか?』

 

「良好。いつでもどーぞ」

 

『自動音声の為、聞き取りにくい部分があれば遠慮なく聞き返してくれ。では誘導を開始する』

 

インカムから聞こえる指示。

俺はその言葉を頼りに移動を開始する。

どうやらウォールナットが敵を把握しているようで、俺をそいつらの元へと誘導してくれるようだ。

うーむ。こいつがウチに保護されるのか。

リコリコメンバーはバックアップが足りなかったから、これからも手伝ってもらえるとありがたいな。

 

『そこを右に曲がって、公園の横に止まっている白いバンが標的だ』

 

「はいよ。車を壊して、敵と武器を壊せばいいんだな?」

 

『あぁ、最悪移動手段をなくすだけで構わない。君がいる場所から最終地点までは距離があるからな。武器を隠しながら移動するなら辿り着くまでに全てが終わるよ』

 

「そーかい。まぁ今回は確実に潰しておくよ」

 

『その辺は任せる』

 

ウォールナットとの通信が切れる。

さて、やりますか。

俺は見えてきた白のバンに近づいていく。

今回の武器はいつものグローブと、実弾が入ったコンバットマスター、千束が使っている非殺傷弾が入ったMEUピストルを改良した物。後ナイフ。

今回は銃を二丁使っていく。

理由としてはバイクの収納から取り出したりと、一連の動作に慣れておきたいのだ。

 

「失礼しますよっと」

 

「おい、なんだお前!」

 

「銃持ってやがるぞ!」

 

まずは車の前に塞がるようにバイクを止めて、コンバットマスターをバイクの収納から取り出して撃ち、車をパンクさせる。

この日本で、予告もなしにいきなり撃たれるとは思っていなかったのか、慌てた見張りの二人がこっちに銃を向けてくる。だが先に非殺傷弾が入ったMEUで無力化。

 

「そんな慌てないでくれよ」

 

コンバットマスターを戻し、MEUで車内の敵も牽制。近づいて窓ガラス越しに頭を狙い撃ち気絶させる。

 

「やっぱりこの弾、使いにくいよなぁ」

 

それにしても相手はプロじゃないから制圧が楽だ。うぎゃあ!なんて言いつつ気絶していった四人は縛っておいたり、指を折っておいたりしてから車内に詰め込み放置。

叫ばれないようにガムテープも用意していてよかった。治療にも使えるし便利だよね。

 

「悪いねぇ。別に恨みとかないけど、こっちも仕事だからさ。殺さないだけマシと思ってくれ」

 

「むー!んむー!!」

 

「ん?起きたのか?」

 

うるさいからもう一発撃ち込んでおく。

さて、こいつらは後で警察かリコリスでもいいから回収してもらえればいいしとりあえず放置。あとはこいつらの銃の一部を壊しておき、使用不可の状態にしておく。

ここまで五分程しかかかっていない。

 

「こんなもんか?まだ何組かいるし、あんまり時間もないからこのぐらいにしておこうかな」

 

ウォールナットに通信。

また無機質な自動音声が流れてくるが、それの通りに動いていく。どうやら向こうはミズキさんと合流したらしい。

目標地点までにあと三組潰しておくらしい。

次は少し距離があるな。急ぎますかね。

 

 

 

〜たきなサイド〜

 

時刻は八時が過ぎた頃。

千束さんは寝坊のようだ。

私達が動くのはまだ先で余裕があるとはいえ寝坊とは、本当に優秀なのだろうか?あの日の動きは確かに凄かったが……。

 

「たきな。依頼内容に質問はあるか?」

 

「いえ、大丈夫です。それにしても今日も営業するんですか?四人も居なくなっちゃいますけど」

 

「あぁ、午前の間だけな。それぐらいなら一人でも大丈夫だ。最悪メニューも絞るしな」

 

「そうですか。……それにしても、千束さん。遅いですよね」

 

「修哉に電話で起こされたようだからもうすぐ来ると思うが、まぁたまにあることだ。そのうち慣れるさ」

 

「慣れていいものなのでしょうか?」

 

あまりよろしくないと思いますが……。

依頼内容を聞いた私はお店の奥で装備のチェックをしていく。メンテナンスはこまめにしている為、問題は特にない。千束さんもこっちに向かっているようだし、予定時刻までに待ち合わせ場所に到着するのは問題はなさそうだ。

銃のチェックも終えて、手持ち無沙汰になった頃ホールの方から話し声が聞こえてきた。どうやらお客さんのようだ。

……私も何か手伝ったほうがいいのだろうか?

 

「店長。私も何かお手伝いを」

 

「いや、これから忙しくなるからゆっくりしていてくれ。千束もまだ来ていないしな」

 

「わかりました。では奥にいる事にします。何かあれば言ってください」

 

「あぁ、ありがとう」

 

手伝わなくていいようだ。

座布団に座り直し、待機する事にする。

 

「あ」

 

その時、視界の端に近衛さんから頂いた小袋が目に入った。小さな袋の中を確認するとマカロンが三つ入っている。

 

「う、うーん。今食べるべきか……。いえ、我慢しましょう」

 

あの優しそうな人はまた作ってくれると思う。

だけど、たまにしか作らないそうだし次がいつになるかわからない。ダメ元でお願いしてみようかな……いや、まだそれほど親しくないのに手間を取らせるわけにはいかない……でしょうね。

 

「がまん……。我慢です」

 

鞄の中へ潰れないように入れておく。

 

「お待たせー!千束が来ましたー!」

 

どうやら千束さんが到着したようだ。

荷物を持ち、更衣室へ移動する。制服よし、荷物も大丈夫。店内に出ると私が初めて接客した吉松さんが帰るところだった。軽く一礼してお見送りをする。

 

「お!おっはよ〜たきな!」

 

「おはようございます。遅刻ですよ」

 

「えへへぇ。ごめんね?」

 

そう言って千束さんは笑っている。

……この余裕は見習うべき、なのでしょうか?

近衛さんはこの人と長年ペアをしていたようだし、そのうち聞いてみよう。それがきっかけでお菓子の話をできれば、マカロンを作ってもらえるかもしれない。

うん。我ながら悪くない作戦だと思う。

今度それを実行する事を誓いながら頭を切り替えていく。これから護衛任務なのだ。

前回のように失態をすれば私の評価が上がらないし、マカロンも作ってもらえないかも……。

おかしい。切り替えができない。

うまく切り替えができていない事を自覚し、少しだけ近衛さんを恨んでしまった。

 

〜たきなサイドアウト〜

 

〜千束サイド〜

 

朝、スマホの音で目が覚める。

うるさいなぁ。この着信音はシュウの〜……。

はっ!?何時!?七時二十分!?遅刻!!

 

「寝坊ですごめんなさい!迎えに来てくだあぁあ!シュウのバイクないんだったぁ!!」

 

迎えに来てもらおうと思ったのにぃ!

その後、シュウいくつか話をしたが新しいバイクを手に入れたとか。おい、経緯を教えろ経緯を!せっかく私がついて行って良さげなバイクを選ぼうと思ってたのにぃ!私も乗るんだぞ!?

 

「あーもう!さっき梯子から落ちた時に打ったお尻が痛いなぁ!」

 

昨日はたきなに貸してあげる映画を厳選している途中、ついつい映画を見てしまい寝落ちしてしまった。ほら、部屋の整理をしてたら偶然見つけた懐かしい物に惹かれるじゃん?その現象が起きてしまったというか……怒られるかなぁ。

少し手間取ったが部屋を飛び出してバイクにたどり着いた。あとはできるだけ近道を使って急ぐだけって。なんか忘れてるような。

 

「ん?……ヘルメット!あーもう!」

 

部屋に蜻蛉返りした。

結局、リコリコに到着した時間は遅刻だが、逆にいいこともあった。ヨシさんが一ヶ月ぶりに来ていてくれたのだ。

ロシアからのよくわからないお土産をもらってしまった。どっかに飾っておこう。

今日は依頼があって時間もないのについつい話し込もうとしてしまったが、先生に止められてしまった。もーシュウも出ているなら、ちょっとぐらい遅れてもフォローしてくれるってぇ。声に出したら怒られるから言わないけど。

 

「たきなー。仕事の話もう聞いてる?」

 

「はい。一通り」

 

あ、ちょ、遠いな。よいっしょ!

思ったより遠いところにあったマガジンを取り弾を詰めていく。私の身体が固いわけではない。

 

「あ!そうそう!昨日話していたブツ。そこに置いてあるから帰りに持って帰ってね?また感想聞かせてよぉ」

 

「はぁ、わかりました」

 

私が寝坊してまで厳選した逸品だ。

きっとたきなも気に入ってくれるだろう。

それはもう、千束さん!原稿用紙で感想を書いてきました!みたいな?いや……それはちょっと、読むのめんどくさいな。

 

「あ、ミズキは?」

 

「すでに逃走ルート確保に動いている。シュウもその手伝いだ」

 

「シュウはともかく、ミズキが張り切ってるなんて珍しいね〜」

 

「報酬は相場の三倍、一括払いでな」

 

「どうりで〜。にしても今回からはシュウとは別行動かぁ」

 

たきなと組むのは後輩ができたみたいな嬉しさがある。だがシュウと離れるのも少し寂しいな。

今日家に泊まってやろうか?

たきなも連れて親睦会とかどうかなぁ?シュウいいところに住んでるし部屋も多いし。誘ってもまだ来ないだろうなぁたきなは。

 

「これからは基本的に遊撃だからな。千束とたきなで仕事に慣れていってくれ」

 

「おっけー」

 

「はい」

 

「依頼主は危機的状況に置かれている。シュウが敵を排除していっている。全部は無理だろうが五人から十人程度まで減らす。敵はプロ寄りのアマだ」

 

「さっすがだねぇ。新しいバイクも手に入ったみたいだし、絶好調でしょう?」

 

「あぁ、やる気を漲らせていたよ。……今回はライフルも確認している。気をつけろ?」

 

「了解」

 

準備完了!

たきなを連れてリコリコから出発する。

それにしても少しお腹が空いたな。寝坊しちゃったから、朝は何も食べれてないし……。

 

「ところで、お腹空いてるんだけど。どっか寄ってかない?」

 

「そんな時間はありませんよ」

 

「えぇ〜……」

 

たきなはクールだなぁ。

でもそうだな。特急に乗るんだから駅弁もいいかもしれない。うん、そうだよ。これは私に駅弁を食べなさいという事だよ!

確か美味しい煮卵が入ったやつがあったよね?

朝ごはん兼お昼ご飯としてすごくいいのでは!?

よっし!決まり!それじゃあ駅にレッツゴー!

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