リコリス・リコイル 平和を守る物語   作:クウト

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最新話でこう、心臓がグッとなるというか。
正直に言うと泣いた。


第八話

〜千束サイド〜

 

たきなと話しながら駅に向かい、特急に乗る。

売店で駅弁や飲み物にお菓子と、色々と買ったので電車内でプチパーティーのように楽しむつもりだ。

さてさてぇ、早速だがたきなと任務の事について話しながらお弁当を開ける。おぉ、久しぶりに食べるけど美味しそう!やっぱり任務前には腹ごしらえをしなければ。腹が減ってはというやつだ。

……だというのにこの子は。

 

「たきなさーん。お昼それだけで足りるの?」

 

「十分です。他にも持っていますので」

 

「え?そーなの?ならいいけど。せっかくの特急なんだからたきなもお弁当買えばよかったのに。ほらこれ美味しいよ?」

 

「別にいりません」

 

「えぇ?そんな事言わずさぁ。ほらほらぁ煮卵おいしいよ?ほら、あーん」

 

「……あーん」

 

私はお弁当の煮卵をゼリー飲料を飲んでいるたきなの口へ持っていく。

最初はしぶられたが食べてくれた。

どうだ?美味しかろう?

 

「おいしい?」

 

「おいしいです」

 

「はい!美味しい!」

 

私はたきなが煮卵を食べ終わるのを待ってから任務の話をする事にした。

このまま遊びに行けたら楽しいんだけど、お仕事はしっかりしないとシュウと先生に怒られるからね。

 

「それはそうと依頼主ってどんな人かな?あ、そうそう!昨日見てた映画にもハッカーが出てきてさ。こう眼鏡で痩せて小柄な男の人だったんだけどね。こう、キーボードをカタカタ、タッーン!ってしててね」

 

「映画の見過ぎですね。それで遅刻したんですか?」

 

「あぁん。たきなさーん、それは言わない約束でしょう?」

 

「そんな約束はしていません」

 

ん?たきなが鞄の中を探り始めたぞ?

まだ何か買ってたのかな?

そうしてたきなが取り出したものはすごく見覚えのある袋。んん?あれってこの間、シュウと買い物に行った時に買ってたような?

どこか嬉しそうな表情だがいったい……ってそれは!?

 

「た、たきなそれって!!」

 

「これですか?今朝、近衛さんから頂きました」

 

袋の中から出てきたのはマカロン。

これ、絶対にシュウが作ったやつじゃん!

って、たきなもシュウから貰ったって言ってるし確定じゃん!?

おっと、慌てるな私。優しいたきなさんなら、きっと分けてくれるはずだよね。一個ぐらいくれるよね。

 

「おひとつくださ「絶対嫌です」いなー……。えぇ!?なんで!?」

 

めっちゃ食い気味で拒否するじゃん!?

 

「これは私が頂いたものですから。千束さんも近衛さんから貰ってください」

 

「えぇ!?今日持ってきたってことは、営業中になくなってるかもしれないじゃん!?シュウのお菓子ってレアだから無くなるの早いんだよ!?」

 

「そうですか。美味しいですもんね」

 

「そう!そうなんだよ!美味しいの!!」

 

「ならまた今度作ってもらってください」

 

「えぇ!?」

 

マカロンを一つ口に運び、笑顔になるたきな。

え?ちょっと待ってよ。その表情初めて見るんだけど!?シュウの力でそれを引き出したとなると少しどころか、すごく悔しいんですけど!?

いや、そのお菓子食べたらそうなるのわかるんだけどぉ!!

私が頭を抱えていると、電車内にアナウンスが鳴り始めた。

 

「あ、次で降りますよ」

 

「えぇ!?もう!?」

 

「十分程しか乗りませんよ?やっぱり聞いてなかったんですね」

 

「だってぇ……。お腹空いてたしぃ」

 

「早く片付けて降りますよ」

 

「え、ちょ!手伝ってくださいぃ」

 

呆れた顔でため息をつかれてしまった。

こ、これは……!先輩の威厳が本気でヤバいのでは?というか、地味にポイントを稼いでいるシュウに負けているのでは?

私は地味なダメージを受けつつも電車を降りたのだった。

……ちなみ、マカロンは一個だけくれた。

たきなさま優しい。

 

〜千束サイドアウト〜

 

 

 

俺はある程度の敵を片付けた。

今は千束たちに合流するために待ち合わせのポイントへと移動中。そして時間通りにその場所に着いたのだが……。

何やってんだあいつ。

 

「スーパーカーじゃあん!!すっげぇ!すっっげぇ!!」

 

ガニ股でフェンスをガシャガシャしている糞ガキがいた。というか千束だった。

もう一度言うが何やってんだあいつ?

後ろの井ノ上さんの目とか見たほうがいいんじゃね?呆れてるぞ?

 

「近衛さん。お疲れ様です」

 

「おつかれ。それにしてもあれは?」

 

「スーパーカーにテンションが上がっているようで」

 

俺が来ているのにも気づかず、興奮している千束だった。二人でため息を吐いてしまうが、アレをなんとかしなければ。

 

「千束!」

 

「ん?あ!シュウじゃん!」

 

「おまえさん、もちっとなんとかならん?井ノ上さん呆れてるよ?」

 

俺の呼びかけに我に帰った千束。

ガニ股をなんとかしなさい。君、一応女の子だからね?かっこいい車に興奮する男子小学生みたいな反応しないでくれよな。

あとそれたぶん一般人ので、うちらの物じゃないからね?いくら金払いがいい依頼が入ったからといっても、ミズキさんがそんな高級車を用意するわけがない。……報酬をちょろまかしてるとかないよね?してたら今後お酒は取り上げだからね?

 

「えぇ!?たきなもスーパーカーに乗りたいでしょ!?て言うかシュウ!それ新しいバイク?なんで?買いに行く暇なかったよね?あと、私にもマカロンプリーズ!!」

 

「……うるさくてごめんな」

 

「いえ、近衛さん。苦労されてたんですね」

 

「ちょいちょい!なぁに共感しあってんの君達は!?」

 

「だって、ねぇ?」

 

「ですね」

 

「えぇ〜?何その感じぃ、なんかずるいんですけどぉ?」

 

ずるいとはなんだずるいとは。

これはお前のペアになった人間にしか分からない事だよ。そんなふうに雑談をしている間、千束が俺のバイクについて話してきたりとあったがそれを打ち切るように軽自動車が突っ込んできた。

 

「うぉお!?なんだ!?」

 

「え!?なになに!?」

 

俺と千束が驚いているとその車が俺たちの前に止まる。そして、その車の中から何かのキャラのパチモンのような着ぐるみが叫ぶ。

 

『ウォール!』

 

「ナット」

 

冷静だった井ノ上さんが合言葉を返す。

いや、ちょっと待ってほしい。パチモンはミズキさんだよな?千束と井ノ上さんとは違い、俺は色々と聞いているから察することが出来るが、それにしてもその着ぐるみは何さ。

てか合言葉がダサい。

 

「え、ちょっとそれ合言葉?かっこ悪ぅ」

 

「早く行きますよ千束さん」

 

「え?いや、スーパーカーは?」

 

「早く乗れ阿呆」

 

「えぇ!?スーパーカー乗れないの!?この車に乗るんだったらバイクの後ろがいいんだけど!」

 

駄々をコネ始める千束。

こいつ、今にも追っ手が来るかもしれないことを分かっているのだろうか?まぁ、ウォールナットの誘導でわかっている範囲だけは排除したが新手がいつくるか分からないんだぞ?

 

「井ノ上さん扉開けて」

 

「はい」

 

「うわぁ!?ちょっ!そんな雑な抱え方ある!?って!放り投げるな!」

 

「じゃあ俺は後ろからついて行くから」

 

「お願いします」

 

井ノ上さんに車の扉を開けてもらい、喚く千束を小脇に抱えて車内に放り込んだ。

ぶつくさと文句を言ってはいるが、乗せてしまえばこちらのもの。ミズキさんも分かっているのか車を走らせた。

 

「はぁ、これからもしばらくはフォローがいるなこれ」

 

俺もバイクに跨り、後ろから追いかける。

それにしてもミズキさんの横にあった大きめのキャリーバッグ。あれの中に何かいる気がする。ウォールナットが入っているのだろうか?そうだとすれば結構小柄なんだな。ネット黎明期から活動しているらしいからそれなりの年齢だと思うのだが……。小柄な女性なのか?

 

「まぁ、今日の依頼を片付けたらわかる事だな」

 

見失わない一定の距離で車を追いかける。

にしても追っ手が来ない。いくつかある予定ポイントのどれかに入って、特性防弾着ぐるみに入っているミズキさんが撃たれてウォールナットが死んだように見せる予定なのだが……。

追っ手が来なければ羽田まで行ってしまうぞ?

 

「とにかくいくつかポイントを経由して、車も乗り換える予定だけど……ん?高速に乗らない?」

 

『急にすまない。ハッキングで車を乗っ取られた』

 

「あー。なるほど」

 

『このままだと海に突っ込む事になる』

 

だんだんと速度を上げて行く車。

にしても海に突っ込むか。千束たちは車から降りれれば助かるが、キャリーバッグが沈んでしまうな。そうなればおそらく、キャリーバッグに入っているウォールナットが水没して死ぬ。

 

「まぁ落ちたらなんとかして引き上げてやるよ」

 

『落ちる前になんとかしてほしいんだけどな?』

 

そりゃそうだな。

さて、パンクさせるのも手だが、車内にいる奴らが怪我をする。これは最終手段にするとして、俺はあたりを見回した。俺のヘルメットは特別性でバイザー部分に、後ろの景色が小さく表示されるようにできる。確認してみるとドローンが飛んでいるのが見えた。

 

「ウォールナット。後ろにドローンを確認した。アレがこちらの様子を把握して車を操っていると思うんだが……。千束達に伝えてくれ」

 

『おそらくそうだ。わかった伝えておく』

 

「俺からじゃ狙いにくいからな。井ノ上さんに撃ち落としてもらってくれ」

 

車は暴走を続け、土手を乗り上げていき河川敷までたどり着いてしまう。だがその時、車の窓ガラスから井ノ上さんが出てきてドローンを撃ち落とす。

 

「はぁー!流石だなぁ!」

 

まだ出会って短いが、射撃が上手いとは思っていた。できるか賭けではあったが暴走中でまともに狙いをつけられない状態にも関わらず、ドローンを撃ち落として見せた腕前は真似できない。

 

「いよっと!!新しいバイクでこんなに粗い運転をする事になるとはな!!」

 

猛スピードで暴走する車に、追いつく為に俺も河川敷へと突っ込んでいく。車体が飛び上がってしまうがなんとか着地。

ドリフトでバイクを止めて川に落ちるギリギリで止まっている車の元へと走る。

 

「無事か?」

 

「そっちから助けれる?」

 

「動くなよ?……ふんがぁ!!おっっも!」

 

俺は車体を持ち上げて、落ちかけている車を陸にあげる。だが、それを見た車内にいる人達が騒ぎ始めた。

 

「おぉ!さすがゴリラ!」

 

「化け物ですか!?」

 

『こいつ本当に人間か?未来から来たロボットか何かだろ?』

 

「誰がゴリラで化け物で未来のロボットか!」

 

なんとか全員が無事に車から出られた。

だがハッキングが原因なのか、暴走で酷使されてしまったからか、車のエンジンがつかない。

 

「ここからは徒歩だな」

 

「うん。少し場所を変えよっか」

 

「そうですね」

 

橋の上にいるのは敵だろう。

俺たちを確認した後、車に乗って走り去っていった。それではお芝居を本格的に開始しますかね。

 

「俺はミズキさんに連絡するよ。新しい車を用意してもらう」

 

「お願いするね」

 

「一応、この近くに廃墟になったスーパーがあるけど、そこに待避して時間を稼ぐか?」

 

「そうですね。急に襲われるより、何処かで待ち構えて迎え討ちましょう」

 

千束も井ノ上さんも乗ってきてくれた。

ハッキングで暴走した時は焦ったが、結果的に複数用意していたポイントのうちの一つに近い場所に出れた事は幸いだな。

 

「俺が先行するから二人はウォールナットの警護を。それじゃあ行くぞ」

 

それにしても、着ぐるみを警護するとか周りから見ればシュールすぎる光景なんだろうな。

目撃者が出ない内に移動を開始する。

バイクを置いて行く事になる為、橋の下に隠しておき、装備も全て回収してある。

リコリスのカバン一つでは、いくつかのマガジンとコンバットマスターの収納場所がなくなったせいで銃は手に持って、マガジンは雑だが服のポケットに入れての移動になるが、見た目モデルガンにしか見えないだろうし、もし見られても遊びだと思われるだろうな。

 

「うーん。日本って平和だわ」

 

「何言ってんの?普通に襲われてるんですけど?」

 

「そだなー」

 

「ついに頭が壊れたか」

 

「千束お前、あとで覚えておけよ?」

 

本当に追われているのだろうか?

と思ってしまう空気感を千束は出しているが、本当に追われている為、俺たちは急いで廃墟になったスーパーへ向かうのだった。

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