ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
玄武side
玄「…うん、怪我の方はもう大丈夫そうね。そろそろ行けそう?」
白「あたしは大丈夫…!早くおにーちゃんを助けに行こう!」
わたしの問いに元気よく答える白虎ちゃん。この様子だと、体力の方もおそらく問題ないだろう。しかし…
玄「白虎ちゃん…貴女の実力を疑ってるわけじゃないけど、焦りは禁物よ。焦ったら、ご主人様どころか、貴女自身が取り返しのつかないことになるから…」
そう。本当にわずかにだが、彼女からは焦燥感が滲み出ていた。
きっとご主人様を連れて行かれた責任を感じているのだろう。あれは白虎ちゃんだけの責任ではないのだけれど…
白「わかってるよ…でも早く行かないと、青龍たちも危ないし…あたしだけがボヤボヤしてるわけにはいかないよ。」
どこか思い詰めた表情をしながら、白虎ちゃんは言う。こうなれば、仕方ないか…
玄「わかったわ。なら、一つだけ約束して?戦場では、常にわたしと二人で行動すること。決して単独行動には走らないこと。いい?」
わたしができる限りフォローするしかない。やはり、今の白虎ちゃんはどこか危うい気がするから…
白「うん…ありがとう、玄武。あたしの背中は任せるね?」
そう言うや否や、屋敷の外へ飛び出していく白虎ちゃん。言ったそばから単独行動してるじゃないの。
玄「でも…わたしも人のこと言えないかな。わたしだって…」
…大好きなご主人様を奪われて、こんなにも心ざわついているんだもの。
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三人称視点①〜応龍vs檮杌〜
檮杌は焦っていた。今まで通っていた自分の攻撃が、ほぼ通じなくなってしまったからだ。
檮「くっ、そ…!いきなり頑丈になりやがって、よ…!」
青龍進化体−−応龍の肩めがけて木刀を打ち込む…が、応龍はそれを全く避けようとせず、肩で受け切る。
応「…その程度?さっきまでずいぶん威勢が良かったのに…まともに攻撃すら通せなくなった?」
肩にめり込んだ木刀を掴んだ応龍は、木刀ごと檮杌を投げ飛ばした。
檮「くっ…!なめん、なぁっ!」
空中で体勢を整え、着地して反撃を試みようとするが…
檮「…ッ⁉︎ てめっ、がぁっ⁉︎」
すでに目の前にいた応龍に殴り飛ばされる。投げ飛ばした隙に、着地点に移動していたのだ。
応「ハァ…次。」
応龍は殴り飛ばした檮杌を更に追撃すべく、地面を蹴る。そして未だ宙に浮いている彼女に追いつき、飛び蹴りをかます。
檮「がっ、はぁ…!」
腹を蹴られ、悶絶する檮杌。そんな彼女を見て、応龍は冷静に、小さく呟く。
応「…これで、とどめ。」
長剣を手に持ち、檮杌の首を刎ねようとする。しかし…
檮「なめてんじゃ、ねぇぞっ!この、トカゲもどきっ!」
応龍の放つ斬撃を木刀で防ぎ、押し返そうとするが…
応「…無駄。」
応龍はそのまま長剣を振るい、檮杌の木刀ごと彼女を叩き斬った。
檮「ぐっ…!が、ぁっ…!」
斬り伏せられ、倒れ伏す檮杌。そんな彼女に、応龍は無慈悲に告げた。
応「我らが主を弄んだ報い、今ここで受けろ。」
剣の切っ先を突きつけ、今度こそ首を刎ねようとする。しかし…
檮「くっ…はははっ!報いを受けろだぁ⁉︎ よく言うぜ!あの男を好き放題弄んでたのは、そっちも同じくせによぉ!」
そんな檮杌の言葉に、応龍はほんのわずかに動揺する。
応「…違う。わたしたちはそんなんじゃ…」
檮「違わねえだろ?お前らだって、アイツを監禁してまで、自分たちんとこに縛り付けてたもんなぁ?アタシらがそれを解放してやったんだから、むしろ感謝してほしいくらいだぜ。」
檮杌から繰り出される口撃に、思わず押し黙る応龍。そんな彼女を見て、檮杌はあざ笑うかのように言葉を続けた。
檮「天下の四神さまがたが、たった一人の男に執着するなんてな~…アイツも内心、うんざりしてただろーぜ?たまたま出会っただけの女どもに、どうしてこうまで行動を制限されなきゃいけないんだーって。」
応「…黙れ。」
檮「ホント、嫌になっちまうよなぁ?好きでもねぇ女から、不気味なくらい、好意を寄せられちまってんだからよぉ!」
応「黙れ…!お前に何がわかる⁉︎」
檮「わかるさぁ。アイツの心の奥底に潜む悪意…それはお前ら四神への憎しみだよ。自分の自由を奪った、憎しみってやつさぁ!はははっ!」
檮杌の言葉に、応龍は思わず剣を取り落としそうになる。そんな応龍の隙を、檮杌は見逃さなかった。
檮「おら、よっと…!」
突き付けられていた剣の切っ先を足で払い、あっという間に距離を取る。そして…
檮「見せてやる…アタシの本気(ガチ)の姿をなぁ!」
そう言うや否や、彼女はその姿を人間態から獣神体へと変える。
全体的な姿は虎のようであるが、しかし、その口は豚のようであり、猪のような大きな牙を持ち、更に体毛は犬のそれであった。
大きな尻尾を振るいながら、彼女は高らかに宣言した。
檮「さぁて、第二ラウンドだ…テメェが死ぬまで戦ってやるから覚悟しとけ?」
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三人称視点②〜朱雀vs窮奇〜
朱「はぁっ、はぁっ…!」
第三者の誰の目から見ても、朱雀は疲弊していた…それもそのはず、強力な範囲攻撃を何発も繰り出していたのだから。
窮「ハァ、ハァ…ふふ…♪」
対する窮奇も、朱雀の範囲攻撃の余波を受けてそれなり消耗していた…が、彼女は朱雀の攻撃をかわしながら、時折不敵な笑みを浮かべてみせた。
窮奇はチャンスを伺っていた…朱雀を必殺の矢で射抜く、そのチャンスを。
朱「しぶとい、なぁっ…!くらえっ、『炎熱衝波』…!」
痺れを切らした朱雀は、炎を纏わせた槍を頭上で振り回し、その勢いで地面に突き刺す。
すると周囲が炎に包まれ、爆発が起こる。元々草原地帯だった彼女の周りはあっという間に焦土と化した。
窮「くっ…!けど、そろそろね…」
額に汗を滲ませながらも、余裕の笑みを崩さない窮奇。そして、その手に弓を顕現させ、矢をつがえて放つ準備をする。
朱「…!ちぃっ…!」
朱雀は窮奇の狙いに気づき、大きく舌打ちしながら、後退しようとするが…
窮「絶対に外さないわよ…攻撃の反動で、ろくに身体も動かない貴女はいい的だし、ね?」
つがえた矢が放たれた。そして、矢は彼女の喉元に突き刺さった。
朱「ア…ガッ、フ…!」
血を吐きながら、地面に膝をつく朱雀。それを見た窮奇は高笑いする。
窮「あは、あははははは!残念だったわねぇ!あんなに躍起になって、わたしを滅ぼそうとしたのに!ほんと残念!あはは!」
たいそうおかしそうに笑う窮奇。喉に矢が突き刺さり、まともに話すことさえできない朱雀。勝負は決したかに思われた。しかし…
窮「…あら?あらあら?まだ頑張るつもり?これ以上は無駄だと思うわよ?だって…」
尚も立ち上がろうとする朱雀を見て、窮奇は続ける。
窮「…その矢には、わたし特製の毒が塗られているもの。もうじき貴女は死ぬ…はははっ♪」
尚もおかしそうに笑う窮奇。だが、その表情は次第に曇っていく…
窮「…おかしいわね?どうしてまだ生きているの?毒矢を喉にくらって生きているなんて、いくら四神でもありえない…」
窮奇がそう呟いた瞬間、朱雀は自身の喉に突き刺さっている矢を乱暴に引き抜く。
朱「ぐ、えっ…!ゴホッ、ゴホッ…!はぁ、はぁ…!舐めたマネ、して、くれんじゃん…!」
朱雀の喉の傷がみるみる塞がっていく様子を見て、窮奇は驚愕する。
窮「バカな…!どうして倒れないの…⁉︎ 傷の治りはともかく、体内の毒までどうこうできるわけ…!」
朱「なめんな、バーカ…そんなもん、体内で全部燃やしてやったよ…次こそ、ぶっ潰してやんよ…!」
朱雀の姿が一瞬、炎に包まれる。まるでこれから生まれ変わるぞと言わんばかりに。
鳳「…ん、こんなもんかな。じゃ、早速やろっか。」
言い終わらぬうちに、手に持った炎の槍を窮奇に投擲する。
窮「…ッ⁉︎ ぐっ、うっ…!」
炎の槍が容赦なく窮奇に襲いかかるが、彼女はすんでのところでそれを避ける。
しかし、完全には避けきれなかったようで、槍がかすった腕には、火傷の跡が残っていた。
窮「貴女…その姿は、まさか…」
鳳「んー?あぁ、これ?まぁ、奥の手ってやつだよ…アンタみたいなクソ女を潰すための、ね?」
そこにいたのは、四神・朱雀から四霊・『鳳凰』へと進化した炎の神鳥であった。真紅の槍を一振りして、彼女は宣告する。
鳳「塵も残さず焼き尽くしてあげるから…アンタは辞世の句でも詠んでればいい。無論、聞いてなんかあげないけど。」
思ったより長引くな、この戦い…
【戦況まとめ】
①応龍vs檮杌
②朱雀vs窮奇
③黄龍vsその他大勢の悪神・魔獣
④麒麟(天界軍を率いて、現地直行中)
⑤玄武・白虎(屋敷から出撃開始)
⑥渾沌・饕餮(敵陣のどこかに潜伏中)