ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
応龍視点
檮杌を撃破し、ようやく主を探すことに専念できるようになった…が、探しても探しても見つからない。
応龍「どこに行ったのですか、主…こんなにも探しているのに、どうして…」
なかなか主を見つけられないもどかしさから、思わず弱音を吐きそうになる…が、いきなり背後から背中をバシンと叩かれる。
鳳凰「泣き言言ってんじゃないの!四神…いや、今は四霊か。四霊の名が泣くよ?」
振り向くとそこには朱雀…いや、この姿は…
応龍「鳳凰…いきなり背中を叩かないで。今の貴女の力、洒落にならないから。」
鳳凰「え〜?でも全然効いてる気配ないけど?そういう応龍こそ、装甲めちゃくちゃ硬くなってんじゃない?」
あっけらかんと言う彼女に思わずため息をつく。まぁ、でも…
応龍「…少し見ないうちに、いい顔になったじゃないの。」
鳳凰「へへっ、おかげさまでね。それより、早くご主人探そ?」
鳳凰に誘われるがまま、主の捜索を再開する。やはり彼女には敵わないな…
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麒麟視点
わたしのひと蹴りで岩盤にめり込んだ渾沌を見下ろす。あまり時間はかけたくないし、ここらでトドメを…
渾沌「グルッ…グルルァァッ!」
いきなり雄叫びを上げたかと思うと、その場でめちゃくちゃに暴れ回る渾沌。その行為は自傷行為にも見え、どこか痛々しかった。
渾沌「僕だって…僕だって、お兄さんを…!」
時折、唸り声の中からブツブツと独り言を言うのが聞こえる。
あぁ、きっと彼女もある意味ではわたしたちと同じだ。お兄さんに自分たちの存在を認めてもらいたかった…愛して欲しかったんだろう。
その気持ちはよくわかる。わたしもお兄さんに角を撫でてもらいたくて、ギュッとしてもらいたくて…あの人の温もりが、愛おしくて愛おしくて仕方なかった。
けど…だからこそ、お兄さんを渡すわけにはいかない。
お兄さんを悪意や憎悪といった負の感情に染め上げて、己のエサにするやり方は間違ってる…あの人がそんな冷たい感情に染まりきるのは見過ごせない。
お兄さんがお兄さんのままでいられるためには…やはり、四凶を滅ぼすしかないのだろう。わたしたちのもう一つの可能性の姿である、彼女らを。
麒麟「…『雷鳴招来』」
わたしは雷雲を呼び出し、落雷の準備をする。
攻撃方法は至って単純。雷をわたしの角に落とし、そこで一旦力を留めて、わたしの自前の霊力でさらに雷のエネルギーを増幅、そのまま撃ち放つ。
この方法なら、彼女がいかに強靭な悪獣だろうと、まず間違いなく消し炭になるだろう。
今なお暴れる渾沌を見据える。その姿はいくぶんか哀れに思えたが、同情は要らないだろう。
なぜなら…この女はわたしの大切なお兄さんを強奪しようとしたのだから。慈悲はない。
麒麟「終わりだよ…『龍王豪雷』」
雷を纏ったわたしの角が輝き、膨大なエネルギーをあたり一帯に解き放った。
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霊亀視点
饕餮から放たれる砲撃を盾で防ぐ。何度も、何度も何度も。
饕餮「ハァッ、ハァッ…!まさか、こんな…!」
息を荒らげる饕餮。度重なる砲撃により、霊力と体力を大幅に消耗しているようだ。
…仕掛けるなら、そろそろか。
饕餮「…ッ、ずいぶんと余裕そうね…!ならっ…!」
突然、饕餮が大口を開ける。すると、わたしの身体からみるみる霊力が減少していくのを感じた。
霊亀「…!霊力を、吸収されてる…?」
彼女の口にわたしの霊力が吸い込まれていく様子が見えた。このままいけば、わたしの霊力は空になるまで、吸い取られるだろう。
霊亀「仕方ないわね…『獣神変化』」
わたしの背中からは甲羅が形成され、身体全体がみるみるうちに巨大な亀のモノへと変わっていく。
完全体となったわたしは早速、彼女の動きを止めるべく、その足元に超重力を発生させる。
饕餮「…ッ!? ぐっ、がぁっ…!」
饕餮の身体が突然、地面にめり込む。わたしは容赦無く、彼女を押し潰そうとする。
霊亀「これで終わりよ…悪いけど、このまま押し潰すわ。そしてご主人様は返してもらう。」
わたしたちの大切なご主人様を奪った女に容赦はしない。その意味も込めて、更に重力を強くする。
饕餮「くふっ…はは、はははははっ!」
霊亀「…何がおかしいの?」
突然狂ったように笑い出す饕餮に、わたしは問いかける。すると彼女はーー
饕餮「貴女たちのご主人様はぁ、すでにわたしたちのモノよ?だってすでにご主人様にはわたしの毒が…」
わたしはその言葉を最後まで聞くことなく、あっさり押し潰した。
霊亀「…そんなの関係ない。貴女がどんな小細工を仕掛けようが、ご主人様はわたしのご主人様だもの。」
物言わぬ死体となった饕餮を冷静に見下ろしながら呟く。
あぁ、でも、殺すならご主人様の居場所を聞いてから、殺すべきだった。わたしとしたことが、早まったことをした。
霊亀「やっちゃったものは仕方ないわね…自力でご主人様を探そうかしら。」
?「その必要はない…俺の方から出向いてやったからな。」
背後からの、あまりに強烈な殺気に思わず身体が硬直する。いや、固まった理由はそれだけではない。この気配、この声は…
男「饕餮を殺したのはお前か?」
おそるおそる振り向いた先にいたのは、すっかり雰囲気の変わったご主人様だった…
男「そいつは俺の大切な眷獣だ…仇はとらせてもらうぞ?」
目の前の現実が受け入れられず、呆然とするわたしに、彼は容赦なく襲いかかったーー
ご主人様が厨二っぽくなっちゃった