ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない   作:松平 蒼太郎

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我々は忘れていた…この物語はヤンデレな人外女子に囲まれる異世界ハーレムモノであるということを…


八雄激突〜五神集結とヤンデレ覚醒〜

三人称視点

 

 

四凶の毒に侵され、すっかり闇堕ちした男は容赦なくかつての守護獣をその手で貫く。

 

 

麒麟「ぐぅっ…うっ…」

 

 

苦しそうにうめき声を上げる麒麟。そんな彼女に男は冷たく呟く。

 

 

男「まずは一匹…」

 

 

そのまま彼女を地面に乱暴に下ろした男は、目の前のもう一体に照準を定める。

 

 

霊亀「ご主人様…貴方は、もぅ…」

 

 

力なく呟く霊亀。かつて彼女が愛した男の姿はどこにもなく、そこにはただ、憎悪と悪意に支配された何者かが立っているのみであった。

 

 

男「次は、お前だ…」

 

 

霊亀にゆっくりと歩み寄る男。彼女を葬ろうと、その手に持った刃を振り上げーー

 

 

応龍「させないっ!はぁぁっ!」

 

 

気合いと共に、颯爽と現場に駆け付け、霊亀の前に立つ応龍。そのまま彼女は、男の振り下ろした刃を己の剣で受け止める。そしてーー

 

 

黄龍「…さっきぶりだね?お兄さん?」

 

 

男の背後から黄龍が手にエネルギー弾を構え、ためらうことなく放つ。

 

 

男はすぐさまその場から離脱、攻撃の射線上にいた応龍も棒立ちしている霊亀を抱え、エネルギー弾を回避。彼らが先ほどまで立っていた場所に、巨大なクレーターが出来上がる。

 

 

男「ようやく全員揃ったか…四神。いや、今は四霊か?」

 

 

男があたりをぐるりと見渡す。男に刺された麒麟を治癒している鳳凰、霊亀を庇うように立つ応龍、男の動きを注意深く見守る黄龍…かつて彼が従えていた守護獣たちが、今ここに終結した。

 

 

男「ちょうどいい…お前らには生贄になってもらう。あいつらを蘇らせるための生贄にな。」

 

 

男の放った言葉に、その場の誰もが疑問を持つ。応龍が反射的に口を開いた。

 

 

応龍「生贄…?それは一体どういうことです?主…」

 

 

男「決まっている。俺の大切な眷獣…四凶を復活させる。お前らの身体を依り代にしてな。」

 

 

黄龍「あ~…なるほど?つまりは、あたしたちを新たな四凶にするってことね?その薄汚い霊力を流し込んで…」

 

 

鳳凰「ふっ、ざけんな…!いくらご主人でも、あんまふざけたこと言ってっと、怒るよ⁉︎」

 

 

男の狙いを理解した黄龍と鳳凰がそれぞれ声をあげる。そんな彼女らを意に介することなく、男は続ける。

 

 

男「それがお前たちにできる唯一の償い…俺の大切な仲間を奪った罰だ…」

 

 

男はそう言って、全身から巨大な霊力を噴出させる。彼のあまりの霊力の巨大さと冷たさに、霊亀と応龍は思わず呟く。

 

 

霊亀「嘘…これが、ご主人様の霊力…?これじゃあ、いくらなんでも…」

 

 

応龍「こんなにも冷たくなってるなんて…主…」

 

 

彼の本来持つ温かさが失われたことへの絶望感が、彼女らを支配する。しかし…

 

 

黄龍「ふふっ…はは、あははははっ…!」

 

 

突如、高笑いを上げる黄龍に全員の注目が集まる。

 

 

男「…何がおかしい?」

 

 

黄龍「いや〜、おかしいっていうか…ねぇ?なんかイタイなーって思ってさw」

 

 

尚もおかしそうに笑う黄龍。彼女は男を真っ直ぐ見据えて言った…目のハイライトをオフにした状態で。

 

 

黄龍「今のお兄さん、すっっっごく、イタくてダサいからさ…さっさと正気に戻してあげるね?」

 

 

そう言うや否や、彼女は黄金色の短刀を手に携えて、男に襲いかかるのだった…

 

 

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応龍視点

 

 

…黄龍が、キレた。あんな彼女を見るのは初めてというべきか…

 

 

ただ、気持ちは分かる。今の主はあまりにも、元の主とかけ離れすぎている。そもそも主に復讐とかそんなのは似合わない。

 

 

霊亀「ねぇ、応龍ちゃん…わたしたちは、どうしたら元のご主人様を取り戻せる?」

 

 

わたしの後ろにいた霊亀がポツリと問いかけてくる。主が闇堕ちしたのが余程ショックだったのだろう、声に覇気がない。

 

 

それも致し方のないことかもしれない。彼女は元の主を一番可愛がっていた節があるから。

 

 

応龍「そうね…二度と立ち上がれないように、ボコボコのボコにして、ついでに手足もへし折って、屋敷に閉じ込めたらいいんじゃない?」

 

 

冗談混じりにそう言うと、霊亀が何かを堪えるように、笑い声を漏らす。

 

 

霊亀「くっ、ふふ…そうね、その方がいいわよね。やっぱりシンプルなのが一番よね…♡」

 

 

…ん?霊亀から、何やら怪しい雰囲気が…

 

 

霊亀「応龍ちゃん…わたし、決めたわ。ご主人様を、元のご主人様として取り戻す…全身の骨をへし折ってでも。」

 

 

そう言って、わたしより一歩前に出る霊亀。そして…

 

 

霊亀「うふふ…それじゃあ、始めましょうか?イタ〜い言動ばかりするご主人様にはお仕置き、してあげないとね?『重地解放』」

 

 

ズズンッ!と大きな地響きが起こる。どうやら、主に照準を絞って、超重力を発生させているらしい。しかし…

 

 

男「…小賢しい奴め。」

 

 

なんと霊亀の重力操作を受けながら、獣人体・黄龍の攻撃を捌いている。なんという肉体強度…!

 

 

応龍「わたしも参戦するしかなさそうね…今の主はとても強いみたいだし。それに…」

 

 

自分がわたしたちより格上だと思い込んでるおバカさんを、ぶん殴ってあげなきゃ気が済まないから。

 

 

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麒麟視点

 

 

…あれ?ここは…

 

 

鳳凰「…気がついた?アンタ、ご主人に刺されて気を失ってたんだけど…身体、痛くない?」

 

 

あぁ、そうだ…頭のおかしくなったお兄さんの目を覚まさせてやろうと思って、特攻を仕掛けて、それで…

 

 

鳳凰「今は応龍たちがご主人と戦ってる…もうみんな暴走したみたいになってるけど。」

 

 

この断続的な爆発音はそういうことか。みんな、お兄さんを取り戻すために戦ってるんだ。だったら…

 

 

麒麟「わたしだけ呑気に寝てるわけにはいかないね…」

 

 

上体を起こし、身体の様子を確かめる。

 

 

刺された部分の傷はすっかり癒えている。戦闘に支障は無さそうだ。

 

 

麒麟「ありがとう、朱雀…ううん、今は鳳凰だっけ?わたしの傷を治してくれて。」

 

 

先ほどまでわたしを治療してくれたであろう鳳凰に礼を言う。彼女はニッと笑って答えた。

 

 

鳳凰「ひひっ、どういたしまして♪ それじゃあ、行こっか…絶賛、黒歴史量産中の、イタ〜いご主人を助けに、ね?」

 

 

鳳凰から差し出された手を取り、立ち上がる。全てはお兄さんとの、甘いイチャラブ生活を取り戻すために…!

 

 

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天帝視点

 

 

ようやく始まったみたいね。四神と四凶との、本当の戦いが…

 

 

「四凶の毒……と、いう名の寵愛を一身に受けた男と、彼を愛する守護獣たち。果たして、どちらがどちらを所有することになるのかしらね?」

 

 

四神は元々わたしの持ち物だったけど、それを人間の彼が掻っ攫っていった。

 

 

本来なら、窃盗罪による懲罰モノだけど…彼が以前の戦争で果たした役割はあまりにも大きい。

 

 

彼が四神を適切に導いたおかげで、地上に暮らす愚かな人間たちとの戦いに勝利することができた。

 

 

だから、彼が天界で暮らすことを許し、不老不死としての身体も与えてあげた。その時すでに、四神の心は彼に奪われてたみたいだし。

 

 

そして今回。彼女らの主人である資格があるのかどうか、今一度しっかり見極めさせてもらうから…せいぜい頑張ってちょうだいね?




天帝陛下は黒幕ではなく、傍観者なので悪しからず(ただし、人間を見下してる節はある模様)
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