ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
身体あっつ!朱雀てめぇ、ちょっとは加減しろや!
そんなふうに思ってた時期が俺にもありました。まぁ、超最近の話なんだけどな。
麒麟「目、覚めた?よかった、無事で…長いこと眠ってたから、心配したよ?」
そんなこんなで、目を覚ますと、目の前には麒麟の顔が。あぁ、コイツも改めて見ると、綺麗な顔してんな。
「おぅ、心配かけて悪かった…そういや、白虎は?青龍、朱雀ときたら、次は白虎が来るもんかと思ってたけど。」
俺が尋ねると、麒麟は意外そうな顔をした。
麒麟「え?あぁ、お兄さんは知らなかったっけ?白虎はわたしだよ?」
え、どゆこと?俺は思わず目が点になる。
麒麟「あ、ええと…なんて言えばいいかな、たしかにわたしは麒麟なんだけど、白虎という存在は元々、わたしの人格の一部なんだ。」
白虎が、人格の一部?未だに腑に落ちない顔をしているであろう俺に、麒麟は説明を続ける。
麒麟「えっと…つまりね、白虎という存在は、麒麟という本体から分裂した分身体?みたいな感じ。なんとなく、イメージできるかな…?」
「へ、へー…まぁ、なんとなく言わんとしてることは分かった。とりあえず、死んでないみたいで安心したわ。」
マジか、ここにきて衝撃の事実発覚。要するに、白虎と麒麟は元々は同一の存在だったらしい。
この比較的内気な性格の麒麟から、あの天真爛漫な白虎が生まれようとは…神様って何でもありだよな(思考停止)。
麒麟「うん…その点は大丈夫。朱雀や青龍には劣るかもだけど、彼女も立派な四神の一員だから。そう簡単にくたばったりしない。」
あぁ、そうだよな。最初、四凶に襲われた時に真っ先にボロボロにされてたから、心配だったんだ。本当に無事でよかった。
「あー…てことは、西門の守護は…」
麒麟「そう、元々わたしが任されてた。でも、黄龍ちゃんが『お屋敷の真ん中で一人は寂しい!』って言い出して、それで…」
なるほど、それでわざわざ自分を分裂させて、本体は屋敷中央の守護にまわったと。器用なことをなさる。あと黄龍は黄龍らしい。
「なるほど…お疲れだったな、麒麟。ご褒美にツノをなでなでしてやるよ。」
麒麟のツノをひとしきり撫でる。すると、彼女は気持ちよさそうに目を細めた。
麒麟「んっ…/// ありがとう、お兄さん/// 頑張った甲斐、あった…イェイ。」
ははは、調子のいい奴め。本当の妹みたいで可愛いな、おい。本当の妹いたことないから、知らんけど。
「あ、なぁなぁ。今から白虎と話せたりする?中にいるんだろ?」
麒麟「…いるよ。やっぱり根暗なわたしより、人懐っこい白虎と話したいよね…」
あ、なんか急にジメジメしてきた。そういうつもりで言ったんじゃないんだが…
麒麟「…冗談だよ。お兄さんはわたしたちを平等に愛してくれるもんね?」
「あ、あぁ、もちろんだ。今さら、差別なんてするかよ。」
俺の答えを聞いた麒麟はニッコリ笑っていった。
麒麟「うん…それじゃあ、白虎に代わるね?」
たちまち、麒麟の姿が白虎に変わる。あ、分裂するんじゃなくて、そのまま交代すんのね。
白虎「あ、おにーちゃん…その、大丈夫だった…?」
顔を合わせるなり、おそるおそる尋ねてきた白虎。そんな彼女を安心させるように、俺は大きく頷く。
「あぁ、大丈夫…俺はここにいるよ。」
白虎には一番嫌な思いさせちまったからな…自分のせいで連れ去られた~、とか思い悩んでなきゃいいけど…
白虎「ごめんね…四凶が攻めてきたときは、西門を守り切れなくて…おにーちゃんが奴らの手に堕ちたのは全部あたしのせい。本当にごめん…!」
土下座しそうな勢いで謝られた。待て待て、そこまで罪悪感を持つんじゃない。あれは俺も悪かったから…
「あー、いや…俺の方こそ、悪かったな。アイツらの洗脳にあっさりかかっちまって…でも、こうして無事だったから、いいじゃん。他ならぬ、白虎のおかげで助かったことだしな。助けてくれて、ありがとう。」
なお、実際に助けられたときの記憶はなかったものとする。だってあんな荒療治されたら、ねぇ?
「ううん!あたしが悪いの!西門さえ突破されなければ、おにーちゃんが苦しむこともなかったのに…!全部、あたしが悪いんだ…!」
あっ、やっべ。まーた女泣かしちゃったよ…最低すぎて、草も生えん。
「あー、大丈夫…大丈夫だから…俺はここにいる。だから何も心配すんな。それに今回はダメだったかもしれないけど、次またしっかり守ってくれればいいから…な?」
彼女を抱きしめながら、できるだけ優しくそう言い聞かせる。今の俺にはこれくらいのことしかできん。許せ、白虎。
白虎「うん…わかった。次こそは絶対失敗しない。死んでもおにーちゃんを守るから…!」
死んだらダメだろ、という野暮なツッコミをグッと飲み込む。場の雰囲気は大事……というより、これに反論したら、彼女の地雷を踏み抜いてしまう気がする。決して、彼女の愛の重さが怖かったわけではない……ッ⁉
白虎「えへへ…大好きだよ、おにーちゃん♡ そろそろ麒麟に戻るけど、白虎のこと、忘れないでね…」
そう言い残すと、即座に麒麟へとフォームチェンジを果たす。おいおい、不意打ちのキスは卑怯だろ…
麒麟「…お兄さん、照れてる?顔、真っ赤だけど…」
くっ、俺の顔を見るな、麒麟…!今は全身火照って、大変なんだからよ…!
麒麟「まぁとにかく、白虎は無事だから…会いたいなら、わたしにいつでも言って?身体の主導権は自由に交代できるから。もちろん、分裂も。」
そっか…それを聞いて安心した。とりあえず、麒麟にはもう一つ聞きたいことが。
「了解。それはそうと、もう一個聞いていい?麒麟お前、こんな身長高かったっけ?」
そう、麒麟がデカいのだ。俺の身長を優に越してる。え、獣神体の時はともかく、獣人体の時はそこまでデカくなかったよな?
「あぁ、お兄さんは本来のわたしの姿を見るのは初めてだっけ?元々こんな感じだよ、わたし。」
そっかー…元々こんな感じかー。白虎と分離したことで、力だけじゃなくて、身長も半分こしたってことか。いや、身体の構造、どないなっとんねん。
「ふふっ…でもこうして、お兄さんを見下ろすのはなんだか新鮮。すぐ頭なでなでできそう。あ、頭も鷲掴みにできそうだね…こうやって。」
ぐぉぉっ⁉ なんかいきなり頭を片手で掴まれたんだが⁉ いでで、頭が割れる!バカになる!
麒麟「ふふっ…わたしの半身を泣かせたお仕置き。ついでに今まで脱走しようとした分も兼ねてるから、そのつもりでね?」
おいおいおい、死んだわ俺。結局こうなる定めか……って言ってる場合か!誰か助けてぇぇぇ!
麒麟「大丈夫…頭が弾け飛んでも、お兄さんへの愛は変わらないから。わたしも、貴方のことが大好きだよ♡」
俺が最期に見た景色…それはハイライトの落ちた目をした、麒麟の美しい顔だったーー