ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
あいてて…腰が、現在進行形でヤバい。
霊亀のやつ、最高にヤバい重量プレスかましてきやがって。冗談抜きで、腹上死しかけたわ。幸せな死に方といえば、それまでなんだが。
黄龍「あ〜、なんかやらしいこと考えてる〜。お兄さんの、えっちっち〜♡」
おいおい、黄龍のやつ、いつの間に俺の近くに…もしや、俺と霊亀との大人の時間を見ていたのではあるまいな?
「くふふっ♪ な〜に?その気まずそうな顔♡ まるで見られちゃいけないものを見られちゃった〜、的な♡」
くそっ、こいつめ…!人の足元を見おってからに。やっぱ見てたんじゃねえか、大人の時間。
「そ、そんなことより、今回は助けてくれてありがとな。お前がみんなを取りまとめてくれたんだろ?流石、四神のリーダー。」
黄龍「ふふっ、どういたしまして♪ ま、あたしにかかれば、お兄さんを助けるなんて、朝飯前だけどね♪」
相変わらず調子がいいこって。まぁ、変に病まれるより、こっちの方がいいか。
しかし、ふむ…黄龍をよく観察してみるが特段、容姿に関する変化は見られない。
他の四神はなんだかんだ見た目が変わっていたというのに、コイツはお子ちゃまのままのようである。
黄龍「あ、今、失礼なこと考えたでしょ~?怒らないから、正直に言ってみなよ~?ね~?」
やっべ、顔に出てたか。なんて勘のいいやつなんだ……って、いでで!腕を!腕を締め上げるな!なにしれっと拷問しようとしてんだよ!
黄龍「お、いいねいいね~♡ こうやって痛めつけられている時ほど、良い顔するよね♡ お兄さんって♡ ほら、もっと腕をいっぱい捩じ上げて~♪」
「いっでぇ⁉︎ 黄龍お前、自分のバカ力分かってんのか、あぁ⁉」
こいつ、もしや本気で俺の腕を持っていこうとしているのではあるまいな?何かイケナイ扉でも開いた?もしくは…
「お、怒ってんなら、謝るからさ…!とりあえず、俺の腕を放せぇ…!」
黄龍「あ、やっとわかった?もー、お兄さんってば、相変わらず鈍いんだからさー。」
そう言って、あっさり俺の腕を解放する黄龍。
あー、クソ…腕が変な方向に曲がっちまったかもしれん。まぁ、それはそれとして…
「し、心配かけて悪かったよ…その、俺にできることがあれば、何でもするからさ…」
あっ、やべ。思わず何でもするって言っちゃったよ。何でもはいかん。やらかしたンゴ。
黄龍「ふーん?何でもする、ねぇ…」
黄龍は何か考え込むような素振りを見せた後、なぜか顔を赤らめて、モジモジし始めた。なんだなんだ。
黄龍「じゃあ、さ…二人きりの時だけ、お兄さんのこと、名前で呼んでいい?///」
「ん?あぁ、別にそれくらいなら、全然問題ないけど…」
思ったより可愛い…じゃなくて、生易しいお願い事でビックリした。もっと何かしら、無茶ぶりを要求されるかと…
黄龍「え、えっと…じゃあ遠慮なく呼ばせてもらうね?て、鉄之助くん///」
うおっ…なんか思ったより恥ずいな、これ/// ビックリするくらい、こそばゆい///
つーか、いきなり下の名前呼びか…なんかこう、心にくるものがあるな。
例えて言うなら、これまで失った青春を取り戻してるような、そんな感覚…
黄龍「あの…何か反応してくれないと、恥ずかしいよ///」
えっ?なにコイツ、可愛すぎ。その上目遣いは卑怯だろ。
え、黄龍って、こんなに可愛かったっけ?胸の動悸が全くおさまらないんですけど。
「あ、お、おぅ…/// その、思ったより破壊力すごくて、ビックリした///」
返し方が童貞臭くて、泣ける。もっと気の利いた返事の仕方あっただろ、俺。
自分の情けなさに内心落ち込んでいると、彼女はそっと俺に抱きついてきた。
黄龍「…村角鉄之助。お兄さんの、本当の名前…四神の中で知ってるのは、唯一あたしだけ。二人だけの、秘密だね?」
そうだったんだ…黄龍だけが、俺の名前を…
そう考えると、コイツは俺にとって特別な存在なのかもしれない…
…いや、あれ?待てよ、俺って黄龍に自分の名前教えたっけ…だって、初めて会った時からドタバタで、まともに自己紹介した記憶なんて…
黄龍「…その顔、もしかして気付いちゃった?教えてないはずの自分の名前を、どうしてあたしだけが知ってるのかって…」
……どうやら俺は、気付かなくていいことに気付いてしまったらしい。
真実は必ずしも人を幸福にするわけではないというのは、どこかで聞いた話だが…今の俺の状態が、まさにそれらしい。やっべ、どうしよ()
黄龍「あたしはずっと前からお兄さんのこと、認知してたよ?『天地大戦』が起こるずっと前から…ね?」
天地大戦…言わずと知れた、天上の神々と地上の人々との間で起こった戦争。あれを経て、俺と四神は知り合ったわけだが…それより以前に、俺を知っていた?ってことは、つまり…
黄龍「まぁ、色々思うところはあるだろうけどさ…今は余計なことは考えないで、あたしのことを好きになってよ。二度とこの屋敷から出ようと思わなくなるくらい、ね?」
真実にたどり着きかけた俺の天才的頭脳は、それを上回る超常的な存在によって、闇に葬り去られることになるのだったーー
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。四凶編はこれにて終了、次回から四罪編となります。それはそうの、中国神話って創作の題材が豊富でいいよね…