ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない   作:松平 蒼太郎

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第三話、白虎編。若干グロ描写あり。


西門攻略〜西方の白虎編〜

次に俺が目を覚ましたのは夜中だった。隣では朱雀が可愛らしく寝息を立てている。

 

先ほどの朱雀とのキス合戦のせいか、唇がヒリヒリ熱い。火傷してないだろうな、これ。

 

とりあえず朱雀を起こさないように、俺はホールドされていた腕をそっと外し、身体を起こした。

 

さて、これからどうするか…大人しく部屋に戻ってもう一度作戦を立て直し……あれ?今朱雀寝てんじゃん。じゃあ今南門出ればいいじゃん。余裕じゃね?

 

よ、よーし…!ビッグチャンスが目の前に転がってる…!これを逃す俺ではない!いざ、南門攻略へ!

 

勝利を確信した俺は、心の中で四神たちにさよならの挨拶をしつつ、悠々と門をくぐった…

 

 

ーーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

 

…あれ?俺、今南門をくぐったよな?何でまた目の前に門が現れてるんだ?てか、ここって…

 

「おにーちゃん。こんな時間にどこ行くの?」

 

突然、後ろから声をかけられた。俺をお兄ちゃん呼びする奴なんてこの世で一人しかいない。恐る恐る振り向くと…

 

「おにーちゃん♪ どこに行こうとしてるのかなぁ?ねぇ、教えてよ?」

 

ガキンチョ…もとい白虎がいた。彼女の色白い肌が月明かりに照らされて妙に輝いて見える。

 

いや、それよりなぜだ?俺はさっきまで南門にいたはず…なぜ西門にいる?

 

「ふふふっ…不思議そうな顔してる。なんで自分がここにいるか分からないんだ」

 

分からねえよ。理解不能だ。まさか南門に転移の術式でも組まれていたというのか?そんな馬鹿な…

 

「おにーちゃんの疑問に答えてあげる前に…正直に答えて。おにーちゃん、さっきまで南門にいたよね?そこから外に出ようとした?」

 

どうやら全部お見通しらしい。俺は観念して正直に答えた。

 

「あ、あぁ…朱雀が寝てる隙に俺は南門を出ようとした。なのに、気がついたらここにいた。これってどういうことだ?」

 

白虎は面白くてたまらないというふうに笑いながら、種明かしをしてくれた。

 

「このお屋敷ね、門を守ってる四神が寝てたり不在だったりした時におにーちゃんが門を出ようとした場合は、おにーちゃんを門を守ってる四神のところに強制的に転移させる仕組みが施されてるんだ。あたしたち四人で話し合ってそういう仕組みを作ろうって決めたの。すごいでしょ?」

 

……言葉が出てこない。そんな…それってつまり、俺が今までやってきたこと全部無駄だったってことじゃねえか!そんな殺生な話あるかよ…!

 

い、いや落ち着け俺。今の白虎の言葉をもう一度整理してみよう。強制的に転移させる仕組みというのは、『門を守ってる四神が寝てたり不在だったりした時に俺が門を出ようとした場合』に発動する。

 

…え?それって要するに、屋敷を門から出るには、四神の誰かと正面から戦って打ち勝つしかないってこと⁉︎無理ゲーにも程があんだろ!

 

言うまでもなく、四神は天地の四方の方角を司る、最強と言っても過言ではない霊獣たちである。天帝陛下が直々に任命した実力者揃いだ。俺如き普通の人間が正面から戦って勝てるわけがない。

 

あれ?でも四神が起きている状態でその横をすり抜けて門を出たらどうなるのか?転移は発動するのか?でも条件は満たしてないみたいだし…やってみる価値はあるな。

 

「つーかさぁ、それ無茶苦茶じゃね?俺、一生外出れねぇじゃん」

 

まずは会話だ。会話でなんとか隙を作り出して逃げる!今はこれしかねえ!腹括れ、俺!

 

「なんで?おにーちゃんを逃がさないための当たり前の措置でしょ?大体、おにーちゃんが悪いんじゃん。すぐ脱走しようとするから…ここで大人しく暮らしてくれれば何も問題ないのにね」

 

人を監禁しておいて、いけしゃあしゃあと勝手なことをのたまうクソガキ。大人の恐ろしさを分からせてやりたい。

 

「ね、おにーちゃん…外に出て何するつもり?まさか他の女に会いに行くとかじゃないよね?」

 

いきなりそんなことを聞かれても…図星だったから、思わず黙り込んでしまった。

 

「へぇ〜…あたしたちっていうものがありながら、浮気しに行くんだ、おにーちゃん。そんなの許されないよね?ガブっといっとく?」

 

目のハイライトを落とした白虎が迫ってくる。いかん、これは逃げられなi……

 

「はい、ガブっ。ふーははへた♪(つーかまえた♪)」

 

「いっ…!がぁっ…!」

 

白虎に一瞬で飛びかかられ、首筋を噛まれる俺。やべ、これは絶体絶命というやつでは…⁉︎

 

「闇夜に紛れて逃げ出そうとしても無駄。あたし、虎だから夜目も鼻も効くんだよ。知らなかった?」

 

「かはっ…!はぁっ、はぁっ…」

 

白虎が俺の血を口から垂らしながら俺を押し倒し、顔を近づけてくる。彼女の吐息が顔にふきかかる。控えめに言って怖すぎる。その目は完全に獲物を捕らえたときの狩人だった。

 

「ねぇ、おにーちゃん?あたし、おにーちゃんのこと大好きなのに、どうして逃げようとするの?ねぇねぇ、どうして?教えてよ…悪いところがあったら、直すからさぁ…」

 

こ、こえぇ〜!ヤンデレムーヴかましてくれちゃってさぁ…お兄ちゃん、危うくチビっちゃうとこだったぞ。

 

俺を押し倒し、馬乗りになっている状態の白虎はみるみるうちに、獣人体から獣神体へとその姿を変えていく。

 

人としての手足はそのまま前肢と後肢へと変化し、四足歩行ができる状態となった。同時に、前肢と後肢の爪は獲物を押さえつけることに特化したものへと変わっていた。

 

顔にも変化が生じていく。鼻面が太く短くなり、口辺にはネコ科特有の髭が生えてきたことで、顔つきが完全に虎という名の捕食者のそれとなった。

 

人間のお尻にあたるところからは尻尾が生え、身体全体の模様も白虎の名にふさわしい白色へと変化する。

 

白虎完全体ーー数多の妖魔や悪神を喰い殺し、厄を祓う神霊としての姿だ。

 

月明かりに照らされたその姿はあまりにも神々しく、俺自身が絶体絶命の危機にあることを一瞬忘れさせるほどだった。

 

「おにーちゃん…あたしがおにーちゃんのこと愛してるって今から証明するね」

 

「…それって、まさか…」

 

「うん。おにーちゃんのこと、美味しくいただくね♡」

 

四神の中で一番精神年齢が低いはずの彼女の舌なめずりしている様はどこか妖艶だった。が、彼女が口を開けたところで、俺の記憶は途切れた。

 

 

 

ーーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

 

白虎side

 

「はぁ…ごちそーさま。美味しかったよ、おにーちゃん♡」

 

おにーちゃんに愛の証を刻み込んだあたしは、すっかり満足していた。

 

しばらくおにーちゃんを味わっていなかっただけに、余計に美味しく感じた。やっぱりおにーちゃんの味がこの世で一番好き。

 

「たくさん食べちゃったけど…大丈夫だよね?だっておにーちゃんは不死身だもん」

 

あたしの下で血塗れで倒れているおにーちゃん。だけど平気。おにーちゃんは死なない。何されても最後には絶対起きるから。

 

「おにーちゃん…ずっとここにいてよ。おにーちゃんがいないとあたし、寂しいよ…」

 

だっておにーちゃんは、あたしを助けてくれて、好きだって言ってくれたから。『誰からも愛されてないなら俺が愛してやる』って言ってくれたから。

 

前の戦争のときに、守るべきはずの人たちから刃を向けられたのは辛かった。あたしの牙と爪はこの人たちに向けるものじゃないのにって、絶望した。

 

そんなあたしをおにーちゃんは救ってくれた。あたしが今ここにいるのは全部全部おにーちゃんのおかげなんだ。

 

「おにーちゃん…あたしね、昔は人も神も自分が守らなきゃって思ってたけど、今は違う。今はおにーちゃんさえ守れればそれでいい。おにーちゃん以外のモノは何も要らない」

 

仲間の四神は特別だけど…それでもおにーちゃんと比べると、優先順位は下がる。あたしとおにーちゃんの邪魔さえしなければ、敵にはならない。

 

「おにーちゃんのこと、ずっと愛してあげるから…あたしから離れようとしちゃダメだよ?」

 

そうだ。おにーちゃんの肉片にあたしの愛をもっと刻み込まないと。じゃないと、おにーちゃんはまたどこかに行っちゃう。

 

「もうちょっとだけ齧らせてもらうね…おにーちゃんをもっと感じていたいから」

 

あたしは未だ眠っているおにーちゃんをかじることにした。二人きりになれる機会もそんなに多くないしね。

 

いつもはあたしたち四神の主でみんなのモノだけど、今だけはあたしのおにーちゃん。

 

愛しいおにーちゃんを少しでも多く味わえるように、あたしはゆっくりおにーちゃんにしゃぶりつくのだった…




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