ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
驩兜「さてさて~、陛下?今からわたしと…」
「ちょい待て。問答無用でベッドの方へ連れて行こうとすな。まだ昼間だぞ。」
なんだよ、なんなんだよ。四罪ってのは、どいつもこいつも肉食系なのか?
この子も見た目のゆるふわさとは裏腹に、獲物を見るような目つきをしてやがる。俺の貞操はそんなに安くないぞ。散々搾り取られてはいるけどさ。
驩兜「ん~…それじゃあ、本番は夜まで待ちますね~。でも~…」
んぉっ⁉︎ いきなり唇塞がれたぞ⁉︎ ちょ、待て、呼吸が…!
驩兜「ンッ、ハァッ♡ ンッ、ンンッ♡ ハァ~…ンッ♡」
苦しい…でも、気持ちいい…このままこの子に全部委ねてしまいたいな…
驩兜「…いいんですよ~?わたしに全部委ねて…この驩兜が、陛下の全てをキレイキレイして差し上げますからね~♡」
すげートロトロした声…耳が孕んでしまいそうな、そんな心地よさが彼女の口から発せられる。思考力、全部奪われちまうよ…
驩兜「うふふ♡ お目目、とろ~んとしてきましたね♡ そんなに驩兜の声が気持ち良かったですか~?」
女の子に囲まれた生活で、女性耐性はついたものとばかり思っていたが…よく考えたら、こんなゆるふわタイプは今までいなかったな。つまり、こっちの耐性はなかったってことだ。
あ〜…でも、このままじゃいかん。俺にはやらなきゃいけないことが…
「なぁ…一個聞かせてくれ。俺はいったい、何の罪を犯した…?」
少し驚いた表情を見せた驩兜だったが、すぐに柔らかく微笑んでみせた。
驩兜「それは貴方が一番ご存知のはずですよ、陛下。四神に対して、陛下がお感じになっている後ろめたさ…彼女らが、いくら愛を囁いても決して消えることのないそれは陛下の心と身体を徐々に蝕んでおいでです。」
…!あぁ、クソ、嫌になっちまうな…これまで目をそらしてきた自分の感情を正面から突き付けられると、こうも不愉快になっちまうのか。
俺自身が自由になりたいというのは、きっとただの建前。俺はあいつらにどうしようもなく負い目を感じていた。
特段、これといった取り柄のない俺に依存・執着しているあいつらを見るのが辛かった。
四凶の事件でわかった。四神が身体を張って、命を賭してまで、俺を愛してくれているってことに。
あの事件で、それがはっきり証明されてしまった。そして、アイツらにつまらないことをさせてしまった自分が憎いし、今でも許せない。
それでも心のどこかで期待していた…いつまでも外に出たいって駄々をこねていれば、いつかは俺を見放してくれるんじゃないかって。
でも、あいつらは決して俺を見放したりしなかった。むしろもっと、より深く俺を愛してくれようとさえした。
やり方は暴力的そのものではあるが…そんなあいつらを、俺も好きになりかけてる。いや、すでにもう好きかもしれない。
だからこそ、俺は俺自身を嫌悪する。あいつらの人生を縛ったくせに、まともに突き放すことすらできず、逆に異性として好きになっちまってる自分に…
驩兜「えぇ、えぇ…♡ とーっても良いお顔になってきましたね、陛下♡ それこそ、わたしがもっとも見たかった、陛下の素顔♡」
さっきまであんなにとろけそうな声に聞こえていたのに、今はとっても耳障りに聞こえる。コイツは…
驩兜「…ご自身の罪を自覚したところで、わたしを突き放すことは不可能ですよ~?なんせ貴方は~、わたしたち無しでは生きられない身体になっちゃったんですから~♡」
人の心に土足で上がりやがって…でも、コイツの言うとおり、今の俺に四罪を突き放す力はない。なぜなら…
驩兜「…四神と離れ、別の女とイチャイチャしているこの状況そのものが、貴方の望みでしたもんね?陛下…♡」
そうだ…俺はあいつらに見放されたいんだ。愛されたくないんだ。
あの日、俺と出会いさえしなければ、今ごろ四神は四神としての役割をきちんと全うできていたはずなんだ。
あいつらはあんなちっぽけな屋敷と、俺という矮小な人間を守るべき器じゃない。
天界の四方を全て守護する、前天帝選りすぐりの精鋭部隊…それが四神といった存在であるはずだった。それを俺が台無しにした。
驩兜「だから変えるんです、貴方が…天帝としての権力を使い、彼女らを元の鞘に収めるんです。そのためならば、わたしたち四罪は力を惜しみません。陛下のために、全力を尽くしましょう。」
四罪の目的がそれだけじゃないのは分かってる。きっと何かしらあくどいことを企んでいるんだろう。けど、それでも俺はこいつらを拒めない。
「…わかった。悪いけど、よろしく頼むぞ、驩兜。」
俺は四門の攻略に失敗した。四霊としての強化体もある今のあいつらと馬鹿正直に戦っても絶対に勝てない。もちろん、逃げることも不可能だ。
それなら…今のこの状況を利用するしかない。たとえ、敵に利用されていたとしても、あいつらの気持ちを踏みにじっていたとしても、それでも俺はあいつらを解放してやりてえんだ…!
驩兜「本当に…良いお顔をされるようになりましたね、陛下。それでこそ、わたしだけの陛下…♡」
人の罪悪感に付け込むたぁ、いい趣味してやがる…ま、それに乗っかろうとしてる俺も俺か。
「なぁ…そろそろ最後の一人を紹介してくれ。そいつとも会って、話がしたい。」
驩兜「は~い、了解しました~♡ すぐに呼んでまいりますので、今しばらくお待ちくださ~い♡ うふふっ♪」
俺の頼みを快く受諾してくれた驩兜は、部屋を出て行った……あぁ、まったく、最悪の気分だな。こんちくしょう。
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驩兜side
ようやっと彼の決意も固まったみたい。あとは彼に真実を告げるだけ…まぁ、その役割はそこに隠れている彼女に任せるとしましょう。
「三苗ちゃ~ん?そろそろ出番よ~?」
三苗「…もうみんな挨拶終わったの?早くない?」
黒くて長い前髪が特徴のこの女…わたしよりも、女としては圧倒的に格下だけど、四罪の中で最も彼に遠慮のない物言いができる。きっと最後の大役を果たしてくれるでしょう。
「えぇ、みんな終わったわ。後のことはよろしくね?三苗ちゃん…」
三苗「…わかった。話すのは得意じゃないけど、できるだけやってみる…」
どこか気乗りしない様子で彼の部屋へ向かう三苗。そんな彼女の背中を見送って、わたしはひとりほくそ笑む。
「ふふっ…さぁて、あの男はわたしたちの誰を真の側近として選ぶかな?もちろん、最有力候補はわたしだけどね♪」
『新帝独占計画』は着実に進んでいる。四神への後ろめたさを抱えたまま、わたしたちを…いいえ、わたしを愛しなさい?今の貴方は、そうすることしかできないのだから…
なんか主人公がめんどくさい奴な気もする