ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない   作:松平 蒼太郎

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できたてホヤホヤの新作、お食べ?


新帝即位〜南方の朱雀編〜

麒麟に乗せられ三千里(くらい)…俺は南の島もとい、朱雀の住む南方の地に辿り着いていた。

 

 

いやぁ、流石にここまで南だとかなりあったかいな。このままバカンスと洒落込むか?

 

 

麒麟「…大丈夫?お兄さん…すごくグロッキーみたいだけど…」

 

 

地面に両手と両膝をつき、動けないでいる男が一人。というか、俺だった。

 

 

「だ、大丈夫…とりあえず生きてるから、問題なし……うおぇっ。」

 

 

麒麟「ごめん…ちょっとやりすぎたね。」

 

 

なんてこったい。これじゃ、全く格好つかねえ。

 

 

せっかく麒麟と二人で天界で起こっている異変を解決しようというのに。先が思いやられる…

 

 

麒麟「お兄さん…次はわたしもついていこうか?お兄さん一人だとなんだか不安…」

 

 

「あ、いや、大丈夫。多分だけど、俺一人の方が余計な敵意持たれずに済むし…気持ちだけありがたく受け取っておくよ。」

 

 

そう言って、麒麟の頭部にある角を撫でてやる。すると、彼女は嬉しそうに目を細めた。

 

 

麒麟「ん…/// そう/// なら、お兄さんを信じて待ってる。また四罪が来たら、知らせるね?」

 

 

よ、よし…これでいい、これで。

 

 

万が一、俺がこの異変にかこつけて、下界に降りようとしてるのがバレようものなら、監禁コースに逆戻りだ。ここは何としても、俺の腹の中を悟られぬよう、気をつけねば。

 

 

麒麟を近くに待機させ、俺はデカい鳥居の下をくぐる。さて、朱雀の奴はどーこかなっと…

 

 

??「…あれ?そこにいるのって、陛下?」

 

 

不意に声をかけられ、声のした方向を見る。するとそこには…

 

 

朱雀「あ、やっぱり陛下じゃん。やほやほ〜。おっひさ〜。どったの?こんな辺境の地まで…もしかしてバカンス?」

 

 

…特に変わった様子のない、いつも通りの朱雀がいた。強いて言うなら、ご主人呼びが陛下呼びになったことぐらいか。まぁ、でもいつも通りの朱雀である。少なくとも、ぱっと見は。

 

 

「よ、久しぶり。朱雀の顔が見たくなってな、ちょっと仕事を抜け出してきたんだよ。」

 

 

朱雀「へ、へー?/// そうなんだ…/// ふふ、陛下ってば、寂しがりさんだなー/// 仕事を抜けてまで、あたしに会いに来るなんて///」

 

 

…俺への好意は健在のようで安心した。いくら下界に降りたいといっても、明確に嫌われると俺のガラスの心が粉々になるからな。我ながら自分勝手な、最低のクソ野郎だ。

 

 

さて、ここからどうしたもんか…真正面からお願いしてもいいが、さっきの青龍みたく、いきなり襲い掛かられても困るしな…

 

 

朱雀「…っていうのは建前で、ホントはここを突破したいんでしょ?下界に降りるために、ね?」

 

 

手元に自らの武器である火炎槍を顕現させ、俺に突きつける。いや、なんでよ。

 

 

「…なんでそう思うんだ?別に俺は下界に降りるなんて一言も…」

 

 

朱雀「青龍から聞いたよ?あたしたち四神は、元々一つの存在…いくら物理的距離が離れてようと、互いに連絡を取り合い、連携を取ることができる。陛下ならその程度のこと、知ってるはずだよね?」

 

 

ご存じないですねぇ、はい…完全に初耳だよ、こんちくしょう。あのトラップ屋敷以外にも、その法則適用されるんすか?

 

 

にしても…四神が元々一つの存在って、なんだ?四人で合体して「フュージョン!」とかできんのか?謎が深まる。

 

 

いや、それより今は目の前の朱雀をなんとかしないと……どぅわっ!?

 

 

朱雀「あ、避けられた。ほら、ドンドンいくよ〜。」

 

 

朱雀から連続で繰り出される槍による突き。明らかに手加減されてるけど、俺は避けるので精一杯……なーんてなっ!

 

 

「…こい!『青龍剣』!」

 

 

俺は自分の中にある青龍の力を引き出し、彼女の使う剣(のレプリカ)を召喚。朱雀の槍を受け止め、鍔迫り合いに持ち込む。

 

 

朱雀「へぇ〜?陛下ってば、別の女の力使うんだぁ…ちょっと妬けちゃうなぁっ…!」

 

 

朱雀の槍を包んでいた炎が激しさを増す。

 

 

あちっ、あちち!物理的に焼けてんのはこっちだよ!もうちょっと温度下げて!お願いだから!

 

 

仕方ないので、燃えさかる槍を剣の切先で払い、一度距離を取る。さて、こっからどう巻き返す…

 

 

朱雀「ならっ!これは、どう!?」

 

 

槍を振りかぶり投擲しようとしている朱雀の姿が視界に入り、思考が中断される。ヤッベ、アイツまじか…!

 

 

朱雀の手元から放たれた槍は、俺の心臓目掛けて一直線に飛んでくる。これを防ぐには、こうするしかっ…!

 

 

俺は自分の胸あたりに剣を構え、衝撃に備える。すると、ものすごいとしか形容のできない衝撃と熱波が俺を襲う。

 

 

「ぐっ…!が、あっ…!」

 

 

俺の身体は投擲された槍に押され、かなりの距離を飛ばされる。そして…

 

 

ドゴォン!と、背中に大きな衝撃が加わる。どうやら、壁に激突してしまったらしい。肺の中の空気が一気に口から外に押し出される。

 

 

「がっ、は…!」

 

 

壁に激突したと同時に、投擲された槍も至近距離で爆発し、俺の身体はズタボロだ。いって〜…

 

 

朱雀「…これで終わりかな?さ、大人しく引き返しなよ…今なら傷は浅くて済むよ?」

 

 

あー、クソ…不老不死になっても、肉体強度が上がるわけじゃないから、普通に痛えんだわ。つーか、立ち上がるのすらつらい。もう泣いていい?

 

 

「悪りぃ…今日の俺は、ちょっとばかし諦めが悪くてな…残念ながら、ご期待には添えねえんだよ。」

 

 

漢村角、涙を堪えて立ち上がる。なんというか、今のコイツにカッコ悪い姿を見せたくない、気がする。

 

 

朱雀「そっか…でもなんで?そこまでして、なんで『あたしたち』を助けるの?」

 

 

…え?今、なんて…

 

 

朱雀「だってさ、あの時と同じだもん…あの時だって『ご主人』はあたしを…!」

 

 

??「おっと、お喋りはそこまでだ…『お前』は陛下の忠実なしもべだろ?」

 

 

な…!なんでコイツがここに…!?まさかあらかじめ、待機してやがったのか…!?

 

 

共工「ったく、自力で洗脳に抗うたぁ、いい度胸してんじゃねぇか…朱雀ちゃんよぉ?」

 

 

プツンと糸が切れたように、突然動かなくなる朱雀。その耳元で囁く共工。そして、俺の方にその憎たらしい笑顔を向ける。

 

 

共工「陛下ァ、ダメじゃねぇか、勝手に抜け出しちゃあ…陛下が失踪したせいで、また天界が混乱しちまうぜ?ほら、コイツのことはいいから、あたしと一緒に来な?」

 

 

俺に向かって手を伸ばしてくる共工、ろくに身体を動かせない俺。クソッ、万事休すか…!

 

 

麒麟「お兄さんっ、こっち!」

 

 

近くで待機していた麒麟が助けに来てくれた…これで二度目だな。後で何かお礼しなきゃ…

 

 

「ッ、朱雀!あとで絶対、助けてやるからな!絶対だ!」

 

 

俺の声はおそらく届いていないだろう。だが、それでも構わない。勝手に俺がそうすると決めたから。

 

 

獣神体となった麒麟の背に飛び乗り、俺はその場を後にするのだった…少しの間待ってろよ、朱雀。

 

 

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朱雀side

 

 

あぁ、まただ…せっかく光を見出したのに、また闇の中に逆戻り。もう少しで、ご主人の本当の気持ちを聞くことができたのになぁ…残念。

 

 

共工「…おい、聞いてっか?次、勝手に離反しようってんなら…完全にお前の意識、ぶっ壊すからな。」

 

 

黙ってコクンと頷くあたし。今のあたしがこの女に抗う術はない。だけど…

 

 

『ッ、朱雀!あとで絶対、助けてやるからな!絶対だ!』

 

 

彼の声が、想いがあたしの中に溶け込んでくる。だから、きっと大丈夫。

 

 

ご主人…散々ボロボロにしといてアレだけど、早くあたしを助けてね?




朱雀のヒロイン適性アップ
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