ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
玄武「…そろそろやって来る頃だと思ってたわよ?陛下…」
三苗「陛下…なんで、なんでわたしから逃げたの?ずっと一緒にいてくれるって約束したじゃん、ねぇ…」
北の大地へ向かったら、もう待ち構えてましたね、はい。こっちの動きはとっくに予測済みってか。あと三苗、俺はそんな約束をした覚えは一度もねえ。
麒麟「…どうする?玄武もやっぱり操られてるみたいだけど…」
「決まってる…殴ってでも、目ェ覚まさせるんだよ。」
そう、ここまできたら、お約束の展開を守るしかない。戦って、少しでも正気を取り戻させるしかねぇ。
それにここが最後の下界に降りるための道筋なんだ、もう後には引けない。そのためには…
「なぁ、麒麟…あとで俺のことは蹴り殺していいからさ、顔貸してくれ。」
麒麟「…?お兄さん?いきなり何言って……ッ!?」
俺は、いつの間にか人型に戻ってた麒麟の唇を奪う。あ、今は同一化してるから、白虎にもキスしてることになるのか。
麒麟「ンッ、ハァ…♡ おっ、お兄さん…/// その、敵の目の前で、こんな大胆な///」
許せ、麒麟…これは仕方のないことなんだ。お前の力を効率よく吸収できる方法が、これしか思いつかなかった。というわけで…
「よし、麒麟…と、白虎。お前らはあっちの三苗を頼む。俺は玄武の相手をする。」
彼女(たち)の返事を待つことなく、俺は玄武に向かって駆けだす。そう、アイツの超重力に対抗するには…!
玄武「…真っ正面から突っ込むの?舐められたもの、ねっ!」
瞬間、俺の身体にとてつもない重力がかかる。気を抜くと、一気に地面に陥没しそうだ。だがっ…!
「ふんっ!ふぐぐ…!おぉぉっ!」
自分の脚に、先ほど吸収した麒麟の霊力を纏わせる。そして再度、地面を蹴って走り出す。
玄武「…ッ!まさかわたしの超重力を…!」
その通りだ、玄武…!麒麟の瞬足で、お前の超重力を振り切るのさ!
一気に超重力の範囲外に抜け出た俺は、脚に雷撃を走らせ、彼女に渾身の飛び蹴りを放つ。
「『飛雷脚』!!!」
先ほど麒麟が使った『豪雷脚』の飛び蹴りバージョン…的な?今、名付けたんだ…がっ!
玄武「甘く見られたものね…これでも、四神の中では一番防御力が高いのよ?」
俺の渾身の蹴りは、玄武の持つ巨大な盾に阻まれていた。マジかこいつ…反応速度、速すぎだろ…!
当然、俺のひ弱な脚でこの堅牢な盾を蹴り砕くことは不可能。仕方ない、ここは一旦仕切り直して…!
玄武「うふふ…させると思う?『重圧殺法』。」
先ほどまでとは比べ物にならないくらいの重力が、俺の身体を襲う。
頑張って踏ん張るも、あっさり地面に倒れてしまった。
つか、なんだこれ…!全然動けねえ…!全身どころか、指一本動かせね…!
玄武「つ~かまえた♡ 陛下、自らの課せられた役割から逃げ出すのは、メッ!よ?」
…役割から、逃げ出す?この俺が?はは、笑わせる…
玄武「何がおかしいの?笑ってられる状況じゃないと思うのだけれど?」
「いや、だってさぁ…あの聡明なはずの玄武さんが、あまりにも見当違いのことをおっしゃるもんで。俺は自分の役割から逃げたことなんて、一度もねえぞ?」
しゃがみこんだ状態で俺の目を覗き込んでくる玄武にそう返す。彼女はその端正な顔を歪ませる。
「意味が分からないわ、陛下…貴方の役割は、天帝としてこの天界を統治することでしょう?わたしから見た陛下は、その役割から逃げているようにしか見えないけど?」
「あぁ、そうかい…言っとくが、俺はお前らを解放することを諦めてねえぞ?」
俺の役割は最初から決まっている…この天界に連れてこられた時から、ずっと。
麒麟「お兄さんっ!今、助け…!」
三苗「よそ見をするなっ!お前の相手は、このわたしだっ!」
麒麟と三苗が交戦しているのがチラッと視界に入る。あの様子だと、助けは期待できそうにないな……!?あれ、この感覚は…!
玄武「まぁ、とにかく…陛下、貴女の身柄を拘束するわ。悪いけど、少し眠ってもらうわね…」
トドメといわんばかりに、玄武の手刀が俺の首に振り下ろされ……
「……来いっ!黄龍!!!」
俺は突如、体内で繋がった『彼女』の霊力回路を引き出すべく、叫ぶ。すると…
黄龍「おっまたせ~♪ 主役は遅れて登場するもの、だよね?ひひひっ♪」
まばゆい光の中から現れたのは、四神を統括する我らがリーダー・黄龍。玄武の放った手刀は、彼女によってあっさり防がれた。
「おせえぞ、黄龍…マジで死ぬとこだったわ。」
黄龍「あはは…死なない人間が何言ってるの?それより準備が整ったよ…この異変を終わらせる準備が、ね?」
そう言うや否や、黄龍は玄武を拳でぶっ飛ばす。ぶっ飛ばされた玄武の身体は、麒麟と交戦中だった三苗におもっくそぶつかる。
三苗「ぐえっ…!?」玄武「がっ…!?」
…すげえ鈍い音したな。大丈夫?二人とも死んでない?
黄龍「さて…お兄さん。それから麒麟も、方角巡りお疲れ様。二人が天界の果てをまわってくれたおかげで、天界中の神々にかけられた洗脳術式を解除できるようになったよ。あ、本物の陛下もすでに宮廷内を掌握してるから、安心して?」
あ、そうなんだ…全然姿が見えないと思ったら、陰でコソコソ準備してたのね。でもそれなら、俺か麒麟に一報くれれば…
黄龍「いや、二人に連絡したら、あたしと陛下のやろうとしてることがバレるかもしれないじゃん。これは敵の目を欺くために必要なことなの。」
俺の心を読むんじゃねえ、まだ何も喋ってねえだろうが。
麒麟「そ、そっか…でもそれじゃあ、今回の件はこれで一件落着ってことで…」
黄龍「いや~…それがさ、もう一個、面倒なことやらないといけなくて…お兄さんも、協力してくれる?」
なんか意味ありげな、それでいてどこか危険な視線を向けてくる黄龍。なんだろう、背中を悪寒がゾワッと駆け抜けていったよな…
「あ、あぁ…俺にできることなら。それで、何をやるおつもりで…?」
おそるおそるそう尋ねると、彼女はニヤリと笑って答えた。
黄龍「とりあえず、残りの二人も呼んで?今のお兄さんなら、簡単に呼び出せるはずだよ。」
なるほど。白虎はすでに麒麟の中にいるし、玄武もあそこで伸びてるから…朱雀と青龍を呼び出せば、四神終結ってわけだな。
けど大丈夫か…?青龍は敵意むき出しだし、朱雀は洗脳されて…いや、でも、どっちにしろ、あのままの二人を放っておくわけにはいかねえか。
黄龍が何をする気かさっぱりわかんねえが…まぁ、信じてみるしかなさそうだ。さっきの悪寒は気のせいだということにしておこう、うん。
「おっしゃ、そういうことなら任せとけ……来い!青龍!朱雀!」
腹を括った俺は、黄龍と同じく、霊力回路が繋がったであろう二人の名を叫ぶのだった…
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玄武side
はぁ…わたしったら、とんだかませ犬みたいな役割を…ご主人様に迷惑をかけてしまったわね。
にしても…ちょっと驚いた。まさか麒麟の力を利用して、わたしの能力に対抗するなんて。しかも、わたしの盾に傷までつけて…
前から思っていたけど、ご主人様ってかなり戦闘センスが高いんじゃないかしら?普段は逃げてばかりだから、分かりにくいけど。
けど、その過程で麒麟ちゃんにキスするのはちょっと…ねぇ?あれ見た時は、洗脳中だったにも関わらず、嫉妬しちゃった。
どれだけ操られても、わたしのご主人様が好きって気持ちに変わりはないのね。ちょっとだけ安心した。
さて…青龍ちゃんと朱雀ちゃんも合流するなら、わたしも起きなくちゃね…