ヤンデレな神々に愛され過ぎて自由が手に入らない 作:松平 蒼太郎
「主。お食事をお持ちしました。どうぞお召し上がりください」
部屋でくつろいでいると、青龍が食事をお盆に乗せてやって来た。
「ありがとう。一人で食うのも寂しいし、せっかくだから青龍も一緒に食おうぜ」
「…ッ、あ、ありがたきお言葉…!では、わたしの分の食事も持って参りますので、今しばらくお待ちください!」
感極まったように言いながら、俺の部屋を出て行く青龍。さて、今のうちに…
「あ、ご主人じゃん。ヤッホー。遊びに来たよ♪」
と、そこに朱雀が現れた。まぁなんとなくやって来そうな気はしてた。
「よっ、朱雀。遊びかぁ…じゃ、鬼ごっこでもしようぜ。俺が鬼でいい?」
「へー、珍しいじゃん。ご主人が逃げる側にまわらないなんて」
「たまにはな。じゃ、十数えるから好きに逃げていいぞ」
「へへーん♪ ご主人にあたしが捕まえられるかな〜?」
そう言って朱雀は駆け出す。その後ろ姿を見送った後、俺は行動を開始するのだった。
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長い廊下をひたすら進んでいく。心なしか前より長くなった気がする。気のせいか?
「おにーちゃん!みーつけた♪ ねー、一緒にお昼寝しよー!」
突然、背中から白虎にのしかかられる。バランスを崩しそうになるが、そこは男の意地と気合でなんとか立て直した。
「お、白虎か。いいぞ。俺も眠くなってきてたとこだし、一緒に昼寝するか」
「ホント⁉︎ やったー!じゃ、さっそく西門まで行こ!」
白虎に手を引っ張られながら、俺は西門へと向かった。
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「はい、どーぞ!あたしの隣においで?」
白虎は俺を寝室に招き、布団の片側を空けておいてくれた。
「おう。んじゃ、失礼っと…」
寝床に入った瞬間、白虎にしがみつかれる。
「ギュー…おにーちゃんの感触だぁ。えへへ♪」
満足気に笑いながらも、その目はウトウトしている。もうすぐ寝てしまいそうだ。
「ほら、無理すんな。寝たいんなら寝ろ。俺も一緒に寝てやるから」
「うん…ご飯食べた後だから眠たいや…ふぁ…」
ひとしきりあくびをした後、白虎はそのまま寝入ってしまった。それを確認してから、俺は白虎を起こさないようにそっと布団から出た。
…ま、この際だし、西門でもいいか。
俺は西門へとゆっくり近づいていく。すると…
「ご主人様?お部屋にいると思ったのに…どうして西門に?」
今度は玄武が現れた。俺はちょっと驚きながらも、玄武の問いに答える。
「まぁちょっとな。この門スゲー頑丈だなって。こないだの騒動ん時も全然壊れなかったじゃん?どんだけ丈夫なのか、直接触って確かめたくなったんだよ」
「そうね、この門は屋敷を囲む結界の役割を果たしているから。ちょっとやそっとじゃ壊れないのよ?」
ふーん、なるほどねぇ…ちょっとやそっとじゃ壊れない、か…マジで硬いんだな、これ。それはそうと…
「あ、そういや玄武。青龍がお前のこと呼んでたぞ。料理、味見してほしいんだってさ」
「あら、そう?青龍ちゃん、美味しいもの作れるようになったかしら?ご主人様もあとで食べに来てちょうだいね」
そう言って玄武は去っていく。よし、これで完璧…!今現在、門を守ってる四神は一人もいないはず…!
そう確信した俺は西門の外へ一歩踏み出した…
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…気がついたら、見慣れない部屋にいた。え、どこ、ここ?
「あっ、お兄さん…ここに来たってことは…」
「おっ?ついに隠し扉の在処に気づいたってことかなー?さっすが〜♪」
部屋の中央で麒麟と黄龍が椅子に座り、寛いでいた。テーブルにはお茶とお菓子が並んでいた。
「お兄さん、せっかくだから一緒にお茶でも…」
「そーそー!あたしたちの居場所を探り当てたご褒美ってことで!はい、お兄さんの席用意したからどーぞ♪」
黄龍に勧められるまま、俺は席へと座る。それにしてもまぁ、こんな部屋があったなんてな。この二人の自室に入ったのは初めてだわ。これも一つ収穫だな。
テーブルに出されていたお茶に手をつける。うん、美味い。コイツら、俺に隠れてこんないいものを飲んでたなんてけしからんな。まったくもって羨ましい。
……あれ?なんか身体が動かなく……
「…わたしたちが気づいてないとでも思ってた?お兄さんが脱走しようとしてるの…だから、痺れ薬入れておいてあげたよ」
「バレバレなんだよねー。自然体装って、みんなの目を避けてるの。四神全員を門から遠ざけたら、門からそのまま出られるんじゃないか…そんなとこでしょ?お兄さんが考えてたの」
え……なぜバレたし⁉︎ 俺の行動は自然かつ場の流れに沿っていたはず…!なのになぜ…⁉︎
「ここに来た時点で、あっ…(察し)ってなったよ。だってこの部屋、『四神が全員門から出払っているときに脱走しようとする者を強制的に転移する部屋』なんだから」
そんなバカな…!ここまできてこの展開はありえねえだろ!ここは俺が無事、脱走に成功してハッピーエンドを迎えるところじゃないんですかね⁉︎約束破りにも程がありますよ!
「ふふふっ…ねぇ、お兄さん?ついこの間、あんなに痛い目を見たのに、また脱走するなんてどういうことかなー?まさかホントに死ななきゃ治らない病気?脱走病?」
ジリジリとにじり寄ってくる麒麟と黄龍。そしていつのまにか後ろには四神が…
「主…わたしが作った食事を召し上がっていただくという約束、もうお忘れですか?いい加減にしないと襲いますよ?」
「ねー、ご主人…あたし、これでもめっちゃオコなんだよねぇ…まさか鬼になった側が逃げ出すとかルール破りにも程があるよ?マジで犯すよ?」
「おにーさん…お昼寝してる途中でいなくなるなんて酷いよ…おにーさんの温もりが無くなった時のあたしの気持ち、わかる?おにーさんはやっぱりあたしが食べなくちゃ…」
「ご主人様?青龍ちゃんの料理の腕、すごく上達したのよ?それを食べてあげないなんて、非情にも程があるわよね…ご主人様が放置プレイ趣味のドSだなんて知らなかった♪ うふふ♡」
全員、目のハイライトが落ちてて怖い。個別に迫られたことは何度もあるけど、四人…いや、六人同時なんて初めてだ。どう考えても俺の手に負えねぇ…こんなハーレム、誰が得するんだよ。人外相手のヤンデレハーレムとかマジで洒落にならん。誰か助けて、クレメンス。
「お兄さん…見ての通り、あたし含めてみんな限界だからさ…全員まとめて相手してもらうよ」
「は?全員まとめてって…冗談だよな?たかが俺一人、そんなフルボッコにしなくても…」
「ダメ。今日という今日は許さない。ずっと一緒にいるって約束、破った」
麒麟の中に存在しない記憶が……って、みんな納得したような顔してんじゃねえよ!うんうんって頷くな!少なくとも俺はそんな約束した覚えはねえ!
たしかにあの時、最後に俺は黄龍に負けた。(キスだけで)めちゃくちゃ搾り取られて死にそうになった。てか実際、三日くらい死んだように寝てた。
負けは負け。それは認める。みんなにちょっと辛い思いをさせたのは悪かったと思わなくもない。でもこんな結末はあんまりだろ!
俺が認めたのは、あくまで一時的な負け。ずっとここにいると約束した覚えはない。最後には晴れて屋敷からの脱出を成功させて、俺は自由の身になるんだよ!
「あ、ご主人。まだ脱走すんの諦めてないな〜?懲りなさすぎでしょ。やっぱ病気?」
「大丈夫よ。病気なら荒療治すればいいだけだもの。ね?」
ね?じゃねえよ、玄武さん。お前らのやる荒療治って、命がいくらあっても足りないやつじゃん。死なないけど死ぬわ。あと朱雀、しれっと人の心読むな。
「主…いい加減わたしも堪忍袋の緒が切れそうです。ぶちのめしてもいいですか?」
「おにーちゃん…調子に乗ってると、おにーちゃんのキ○タマ、噛みちぎるよ?ん?」
青龍と白虎が恐ろしいことを言ってらっしゃる。特に白虎、本気で俺の息の根を止めるつもりか?
「まぁまぁ!みんな、お兄さんは照れてるだけなんだって!いつものように逃げようとしたのもそういうこと!お兄さん、こう見えてシャイボーイだからさ!初めてを捧げるから緊張してるんだよ!ね、お兄さん?」
ちげえよ。いや、緊張とかそれ以前に命と貞操の危機をビンビンに感じてる。
てか、え?俺、マジで初めてを神様に捧げなくちゃいけないの?しかも六人同時?嘘だろ…悪い夢なら早く覚めてくれ。頼むから…
「では主…その、お手柔らかにお願いしますね…?」
「ご主人…あたしと一生忘れられない思い出作り、シよっか?」
「おにーちゃん…あたしのこと、ちゃんと可愛がってね?」
「ご主人様…お姉さんのことも満足させてね?うふふ…」
「お兄さん…このあいだは負けちゃったけど、今度は負けない…!最後まで頑張るから…!」
「お兄さんっ♪ やっぱこのあいだのキスだけじゃ足りないからさ、もっといっぱいシよ♡」
俺、ここから生きて出られるのかな…(遠い目)
まぁ、ハッピーエンドでしょう(ヤンデレから目を逸らしつつ)
とりあえず第一章はこれにて終了。第二章も多分やると思うので、今後ともよろしくお願い致します。