魔法少女まどか☆マギカ×超・電王トリロジーEpisodeyellow 時間遡行者と時間警察 《凍結》 作:ガルウィング
第二話
「G電王……!?」
彼女はいま自分が見て聞いて感じたもの全てを疑った。何故なら目の前に突然現れた黒崎レイジと名乗る男が未知の戦士『G電王』に変身したのだから。
彼女の脳内では様々な考察が飛び交っていた。まずこの黒崎レイジという者、こいつは¨彼¨ではなく¨彼女¨ではないかと、
何故そんな考察をするのか、答えは彼女の経験にあった。彼女は今まで出会った「普通の人間」ではできないことをやってのけるのは彼女と同じく魔法少女か魔女だけだった。しかし今目の前にいる仮面の戦士はどうみても男。まず魔法少女説は除外だろう。
様々な考察が頭を過るが一番有力と思われる魔法少女説が消えたので彼女の結論は「この時間軸にだけ存在する極めつけのイレギュラー」に至った。
まあ誰もがそういう結論に至るであろうが今まで何度も夢と疑うような体験をしてきたほむらは今までの戦いのなかで相手の能力を過剰に分析してしまうクセが付いてしまっていた。それによって紆余曲折した結果このような「たったひとつのシンプルな答え」にたどり着くのに時間が掛かってしまった。
考えをまとめたあと、彼女はハッとし、魔法少女へ変身した。今無抵抗で話を要求すれば少しくらいは此方の事情を理解し、見逃してくれるかもと思ったが。ほむらは「警察」という単語に敏感になっている。それは時を止めるという強力な能力を持つほむらだが、攻撃手段がまるでないのだ。だからいつもはお天道様に顔向けできないような連中のアジトに忍び込み重火器を盗む……もとい拝借しているので、自然と体が反応してしまうのだ。
ほむらは盾の中から拳銃を取りだし臨戦態勢になっていた。するとG電王の胸部にある顔のような装飾品が光り、喋りだした。
『暁美ほむら、これは警告だ。今おとなしく我らに連行されれば私とレイジで『万年服役』までになら罪を軽くしてやろう。』
「ッ!何ですって!?」
ほむらは今の言葉を聞いて驚愕した。彼女にはやるべきことが、救うべき友達がいるのだ。それなのに時間警察等という訳のわからない物に無駄足を喰らいたくないのだ。ここでほむらは強気に出ることにした。
「申し訳ないけど、貴方たちに構っているほど私は暇じゃないわ。友達に危険が迫っているの。それも人生を左右するようなね、悪いけど、ここで失礼させてもらうわ。」
それをきいてG電王は「ほう…」と何かを考える仕草をとった。するとG電王の胸部がまた点滅し淡々と語り始めた。
『暁美ほむら。本来の時間軸で異生物インキュベーターと接触し魔法少女になり、ワルプルギスの夜と呼ばれる超大型魔女を撃墜するため時間を繰り返している重犯罪者だ。彼女によって動いた歴史の影響で改変された世界はお世辞にも少ないとは言えない。この責任は重い。レイジ、こいつを再起不能にして牢獄にいれるぞ。』
「ああ、わかった。」
相棒に肯定の意を示すとG電王は銃撃を始め、ほむらに顕性する。するとほむらは時間停止能力でG電王の背後にまわり銃を何発か打つ。もちろん時の止まった世界では弾丸は動かない。彼の至近距離で五~六発銃弾を浮遊させる。そして極めつけに手榴弾を一つ安全ピンを外して投げ込み時を再び動かす。
バグオオォオォォオオォォォン!!
手榴弾が醜い花火を派手に放ちG電王の姿は砂塵に包まれた。ほむらはしばらく相手が出てこないことを確認するとその場を後にしようとする。
「この程度…?時間警察が聞いて呆れるわね…」
最後に皮肉を残しキュゥべぇ捜索に戻るほむら。流石にこの格好は目立つので変身を解除しようとしたその時
『右175.2度』
ズギュウゥゥン!!
「あがっ……!?」
風穴、その言葉が似合うくらい綺麗に
ほむらの右肩に穴が貫通していた。
「うぐっ…あぁッ…!そんな、どうして!」
ほむらは何故かいくら回復しようとしてもしない傷を左手でおさえ、今まで魔法少女として感じたことのない激痛に目を細めた。
かのG電王というと砂塵の中から悠々と姿を現し淡々とこう告げた。
「無駄だ、貴様の攻撃パターンは」
『全て検索済みだ』
この時ほむらは二人…なのかは解らないが自分に風穴を開けた本人はまた訳のわからないことを抜かしているのかと思っていたが、一番引っ掛かるのは
「何故『あれだけ』の『攻撃』を受けて無事でいられるのッ…?」
するとG電王の胸部の顔がフッと皮肉じみた笑いをし、ほむらにさらに皮肉を叩き込む。
『あのようなローテクな重火器ではG電王システムにはくすみ一つつけられないだろうな。』
「そういうことだ、」
そして、と彼は続けた
「貴様がいま行った『時間の操作』、これはデンライナーや時間警察にしか使用を許可されていない。ましてや特異点でもない貴様が時を越えるなど許してはならない行為…俺が今ここで処刑しても良いのだが……」
そう羽切の悪い区切り方をしたレイジはデンガッシャーをガンモードから十手モードへ変形させ、ほむらの首筋にそっと当てて話を続けた。
「俺も、過去にとある泥棒によって『人を信じること』を教えてもらった。そして時間警察も今までの横暴とも呼べる行動を見直し、時間犯罪者に何かしらの目的があった場合その事情を聞きそれに見合った処遇を取るつもりでいる。俺もこんな年行かぬ少女を血の色に染め上げたくない。だからこそ、今ここで投降してくれないか。これは『最後の警告』だ…!」
レイジは十手を握る力を強め、ほむらに問う。
しかし彼女の回答は……
「断る。今はアイツを探して叩き潰さないと……この世界は……まどかは!」
完全なる揺るぎない「NO」だった。
それを聞いたレイジはすこし考えた後溜め息をつきこう答えた。
「残念だ、だが君を俺の手で殺すのは忍びいる。実力行使だ、君を再起不能にし時間警察で拘束させてもらう」
するとレイジはバックステップで後ろに飛び退いた後、とんでもない速度で急接近、右手には十手デンガッシャー、ほむらを文字通り「再起不能」にするつもりだ。
「ッ!速いッ!?」
ほむらは時間停止を諦め横に飛び退く、しかし十手はリーチがある、逃げた方向に十手が勢いよく振り翳され、ほむらの脇腹を切り裂く、
「アァァアァッ!!」
痛い、
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
おかしい、魔法少女はソウルジェムに魂を保存してあるので痛みはある程度軽減される。なのに今の痛みは
「生身で受けたような…ッ!?」
なんのフィルターも掛けられていない純粋なる激痛。この痛みに理性を失いかけたほむらだったが、すぐに立ち上がり時間停止で彼の背後にまわり逃げの体制を取った。
(悔しいけれど、この人には勝てない。時間が止まっている間にできるだけ遠くに!)
そうほむらは考え、彼の背中から約100mほど離れた時に彼女は左足に表現できない痛みを味わう。
『左124.7度、下に0.2度!』
「ハッ!」
ガギュウゥウウゥゥウン!
「アァッ!」
なんと、時が動き出した瞬間G電王は背後、正確には左に向かって逃げていたほむらの左足を的確に撃ち抜いたのだ、ほむらは声にならない絶叫を上げる。止まらない血、ここで彼女は一か八かの賭けに出る!
「これ…でも…ッ!」
「!?」
『レイジ、あれはロケットランチャーだ、あれは元々人体に当てるための武器ではない、いくら強化スーツの上にオーラアーマーを装着していてもダメージは大きいぞ。』
「ああ。ワールドパニッシュだ」
ほむらは一か八か、盾からロケットランチャーを取りだし、この足ではまともに撃てないと判断したのか石像に寄りかかりロケットランチャーを放つ。それを見たG電王はライダーパスを取りだしベルトにもう一度翳す。
『perfectweapon!』
胸部についた顔から必殺技発動の音声ガイダンスが発動され、G電王の回りにフリーエネルギーのバリアーが張り巡らされロケットランチャーを無効化する。
「そんなッ!?」
ほむらは驚きを隠せなかった、最後の最後で放った渾身の一発が意図も簡単に防がれ、もう逃げるすべを無くしてしまったのだから。G電王はというとフリーエネルギーをチャージし、ほむらに静かに銃口の標準を合わせて引き金を引く。
ズガアァァァァァアァアアアァァアン!!
銀の光線とその回りを取り囲むように紆余曲折しながら迫る赤の青の光線。それがほむらに一斉に襲いかかり、ほむらは叫ぶことも許されず、地に沈んだ。
「ぁぁ…ぅぁぁ」
ほむらは変身を強制解除され、満身創痍で横たわっていた。それを見たG電王はパスを取りだし何か番号を打ち込む。
するとほむらの手首に光る拘束具が出現し、ほむらを拘束する。それを合図にほむらの回りを時計を模した結界が出現しほむらを取り囲む。
「ぁぐ…ゃ、めて…ッ」
痛々しい姿をしたほむらを仮面の奥からレイジは見つめる、そのとき思ったのは、なんて悲しい目をしているんだ、ということだけだった。
「……暁美ほむら、確保。」
その言葉に慈悲はなかった。段々薄れていく景色のなかで、少女は一人の『守る』と約束した友達の名を呟く、まるで届かない相手に助けを求めるように、悲しく、弱々しく、
『まどか…』
その名を、呟いた。
結局連載しました。
ハッピーうれピーよろピクねェん