【ポケモン二次創作】ポケットモンスター Soul Divide   作:伊崎つりざお

121 / 134
【第121話】預ける背中、がら空きの頭上(vsCC)

「行くわよジャック!」

『ああ、高度あげるぞ!しっかり捕まってろ!』

「まねねっ!」

お嬢の掛け声と共に、レイスポスは再度地面を蹴り上げる。

 

 

 

 上空に高く舞ったその姿を、当然CCは見逃さない。

〔蟇?カ翫○鬟溘o縺帙m雖後□豁、譁ケ縺ォ譚・縺?擂繧九↑!!〕

全身からまるで体毛を伸ばすかのように、数多の植物の弦を生やし始めている。

恐らく、最初に食われたバドレックスの力だろう。

あの日実際に攻撃を受けたマネネには、確かに見覚えがあった。

 

 

 

『所詮は普通の攻撃か。大したこと無いな……マネネッ!』

「まねねっ!」

マネネが魔杖を横に倒すと、レイスポスの翼が細長く伸長する。

そして瞬く間に凍りつき、まるで刃のような形状を取ったのである。

「回るぞッ……お嬢様を落とすなよッ!」

「まねっ!」

 

 

 

 そう言うとレイスポスは、スクリューのように胴体を回転させながら突き進んでいく。

その回転を活かし、差し迫る植物の弦を片っ端から叩き切っていったのだ。

「ッ………!」

苛烈すぎるその回転に、お嬢は目を回しかける。

だがマネネの加護がある以上、決してそこから墜落することはない。

 

 

 

 寧ろお嬢は、振り回される中で自身のやるべきことをしっかりと把握していた。

「アンタ達!アタシたちへの支援は不要よ!出し惜しみせずにCCの胸を目掛けて攻撃を叩き込みなさいッ!!!」

彼女が指示を出したのは、ダイマックスをしているポケモン達だ。

「指示を待たずして動け」という旨を、今のうちに伝えたのである。

それは彼らを信頼しているがゆえの、お嬢の決断であった。

 

 

 

「よし……これでもう支援は期待できないわ。ジャック?覚悟は出来ているかしら?」

『愚問だッ!お嬢様こそ、舌を噛み切るんじゃないぞ!』

「まねねねっ!」

短い言葉のやり取りの後、レイスポスの身体が更に速く数十回の回転を遂げる。

彼らを飲み込んでいた植物の弦は、一瞬のうちに粉々に砕け散った。

 

 

 

「よしっ……突破したな!」

ようやく開けた視界と空気に、お嬢は軽く息を吸う。

ふと周囲を見渡すと、ダイマックスしたポケモン達が同じく弦の郡と激闘しているのが見えた。

攻撃を仕掛けようとしても、すぐに新しく弦が生えて阻害されてしまっているのだ。

ひとつひとつは大した強さではないのだが……いかんせんその数が万単位を軽く超えてしまっており、対処が極めて困難となっている。

今までの戦法に比べたら些か地味な手段では在るが、「手を塞ぐ」という目的に限定すれば非常に効果的な戦法であった。

『なるほどな……こりゃどのみち奴らも手一杯だろう。おのれCC……中々にやるじゃないか!』

「えぇ。結局の所、主砲はアタシ達が担わなきゃいけないってことね……!」

「まねねっ!」

そう言っていた直後である。

 

 

 

〔縺ゅ▲縺。陦後¢鬟溘>縺溘>遏・繧翫◆縺?ッ?カ翫○譚・縺ェ縺?〒!!!〕

再び正面から、無数の弦の郡が差し迫ってくる。

先程よりもいくらか数が増えており、どうやら向こうも翼獣の対処に本腰を入れ始めた……という感じだ。

『チッ……だが全然対処は可能だ!マネネ!さっきの奴だ!』

「まねっ!」

マネネは再び魔杖を真横に構え、翼の斬撃を用意する。

直後、そのままレイスポスはスクリュー回転で弦の郡を斬り捨てた。

 

 

 

 ……と思ったその時であった。

「違うジャック……!この弦……!」

『なっ……再生している……だとッ!』

そう、斬り捨てられた植物の破片が、まるで羽虫のごとく飛び交っているのだ。

新たな生命が、往生際悪くいくつも誕生しているのである。

『ダイワームの応用だな……クソッ、厄介な!』

 

 

 

 羽虫は執拗に、マネネやお嬢を攻撃しようと差し迫ってくる。

「まねねねっ!」

しかしお嬢にだけは手を出させまいと、マネネは魔杖を縦に構え直す。

すると翼獣の周囲から、超低温の突風が放射状に解き放たれた。

羽虫は見事に凍りつき、その場で失墜していく。

 

 

 

「ッ……!よくやったわマネネ!」

「まねっ!」

『……いや、駄目だ!また来るッ!』

ジャックはすぐさま、羽虫の残党が周囲に群がり始めたことに気づく。

その数は、最早数えるのも馬鹿らしくなるレベルのものであった。

 

 

 

 更には追い打ちをかけるように、植物の弦が何本も迫ってきている。

『クソッ……流石に多すぎるッ!』

「ジャック、マネネの防壁は!?」

『駄目だ……!全方位に展開すると機動力が保てない……!』

そう、翼獣が先程から攻勢にしか出ていないのはそれが原因であった。

 

 

 

 飛翔しながらの防御はスピードを損ない、結果的には墜落の危険が増す。

部分的なシールド展開程度であれば問題ないが、この手の数に任せた攻撃には効果が薄いのだ。

翼獣が攻めにも守りにも転じきれなくなり、迷っていた……その時であった。

 

 

 

 

 

「Zizizizizizizi!」

「Zaggggggg!」

地上から突如、ものすごい速度で2つの球体が飛んでくる。

「まねっ……!?」

『アレは……ポケモン!?』

球形の物体はポケモンで、彼らはあっという間に翼獣との距離を詰めてきた。

すると到着後、直ちにわざを使用して防護壁を展開する。

翼獣の周囲を覆ったのは虹色のシールド……そう、『リフレクター』と『ひかりのかべ』の混合壁だ。

更にはそれを『サンダープリズン』というわざで補強してある。

並みの攻撃では破壊できないほどの鉄壁だ。

一瞬の隙を突かれた羽虫と弦は、壁にぶち当たって爆散する。

 

 

 

「はっ、速すぎる!何なのよこのポケモン達……」

『コレは……レジエレキとレジドラゴ!……まさか!』

レイスポスが何かに気づくや否や、お嬢のインカムに通信が入る。

 

 

 

『ザザッ……此方ミチユキ!悪い、地上の補佐で対応が遅れたッ!援軍っす!』

『ザッ……こちらパーカーです。私からもポケモンを寄越しました。頼ってあげてください。』

そう、此処に駆けつけたのはミチユキのレジエレキと、パーカーのレジドラゴ。

先程パーカーが言っていた、「防護役の援軍」だ。

 

 

 

『ザザッ……ただでさえ速いソイツらには「スピーダー」を大量に飲ませてある。アンタの全速力にもついて行ける筈だ。』

『なるほど!壁サポートをこのレジズに任せておけば、俺らは攻撃だけに集中できる……!』

そう、このレジエレキとレジドラゴは、翼獣にとっては最適な助けであった。

 

 

 

『よし……突撃だッ!』

「了解ッ!」

「まねねねっ!」

壁による防護壁を得た翼獣は、すぐに前進してCCの近くへと迫っていく。

「Zizizizi!」

「Zagggg!」

それに付随する形で、レジ2匹も足並みを揃えて飛び回る。

 

 

 

〔蟇?カ翫○鬟溘o縺帙m雖後□豁、譁ケ縺ォ譚・縺?擂繧九↑!!〕

CCは更に攻撃の手を激しくし、無数の弦で翼獣に襲いかかる。

しかしその尽くがレジ達の防護壁に砕け散り、偶に混ざる強撃もマネネの力によって斬り捨てられていった。

残骸の羽虫に関してもガードは完璧だ。

まさに無敵艦隊の進軍であった。

 

 

 

 間もなく翼獣とレジ達は、CCの胸の直前まで差し迫る。

こうなればもう目前であった。

『マネネッ!一気に削るぞッ!』

「まねねねっ!」

マネネは魔杖を右手に携え、脇を大きく広げる。

するとレイスポスの上両脇の空間から、巨大な人の手が顕現した。

SDマネネの使える、召喚術……氷で構成された生物を呼ぶ秘術だ。

 

 

 

 顕現した腕は正拳突きの如き要領で、CCの胸を抉り始める。

「まね……ねっ………!」

これ以上無い反発に、マネネは今まで以上の力を込める。

巨大な手は震え、力みながらもCCの肉体を掴んでいた。

『やはりだ……!パーカーさんの考察は正しいッ……!』

 

 

 

 そう……彼女の推察通り、このCCの纏っている電脳要塞は「物理的に削り取れる」のだ。

第一目標の達成まであと一歩……あと少しで、侵入経路の確保ができるのだ。

「頑張って!マネネッ!」

「ま……ねねっ………!」

感触は良い……本当にもう少し。

もう少しで活路が開ける。

 

 

 

 

 

〔縺オ縺悶¢繧……九↑譚・繧九↑逞帙>閻ケ縺梧ク帙▲縺溷・ス縺阪□諤悶>逞帙>谺イ縺励>!!!!!〕

だが、CCだって無抵抗ではない。

いよいよ自分の身に危機が迫っていると感じたのか、体表の電脳要塞を流動させている。

穴が開かないようにと、必死に抵抗をしているのだ。

『チッ……大人しくしろ……ッ!』

「まねねっ……!」

『踏ん張れよマネネッ……俺の力をいくら持っていっても構わんッ……!』

「まねっ!」

氷の手にも、さらなる力が入る。

完全に互いのせめぎ合いであった。

 

 

 

 

 

 その時、お嬢は本能的な危機を察知する。

瞬間的に向いた方向は上……そこで得られた情報を、直情的に音声として発した。

「………ッ!ジャック!上よッ!」

『!?』

しかし悲しいかな。

CCへの対応で手一杯だった翼獣に、それを防ぐ手立ては無かった。

 

 

 

 上から差し迫ってきた謎の攻撃に、彼らは防護壁ごと叩き落されてしまう。

『がッ………!?』

「まねっ……!」

氷の手も粉々に砕け散り、完全に失墜したのであった。

これほどの火力を叩き出せる攻撃など、あるのだろうか。

否、ある。

そしてその正体は、遠くからその様子を眺めていた者には一目瞭然であった。

 

 

 

 

 

 ーーーーー「あ……アレは……!」

大学の中庭からその様子を眺めていたパーカーとダフは、驚愕の表情を見せる。

「CCの喉奥から生えていやがるなァ……ありゃブリムオンかァ?」

そう、CCの開かれた口から出てきていたのはキョダイマックスしたブリムオン……スエットの情報から引き抜かれたポケモンだろう。

そして翼獣たちを叩き落としたその攻撃は、『キョダイテンバツ』……そう、物量が桁違いのダイマックスわざだ。

無数の星が、上空から無情に降り注ぐ攻撃……上への警戒が疎かになっていた彼らには、これ以上無く刺さる攻撃だったのである。

 

 

 

 周囲のダイマックスポケモン達を牽制するためにダイマックスわざを控えていたCCが、窮地に陥ったことでそれを解禁したのだ。

しかも『キョダイテンバツ』は散弾……つまりは周囲の二次被害も甚大になる攻撃なのである。

飛び散った星屑の雨は、他のダイマックスポケモン達にも間接的なダメージを与え、追撃の封印にすら貢献している。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーだがそんなこと以上に、彼らは最悪の痛手を負っていた。

『ッ……マネネッ!?お嬢様はッ!?』

「まねねッ……!」

気づくとレイスポスの背中に、お嬢の姿はなくなっていた。

瞬間、彼らは嫌な予感がして真下に目をやる。

 

 

 

 そしてその予感は、残念ながら的中していた。

「ッ……ジャックーーーーーーッ!」

「なっ……!?」

今の衝撃でマネネのサイコパワーが緩み、お嬢が振り落とされてしまったのだ。

彼女は垂直落下をしながら、ジャックの名を叫ぶ。

「お……お嬢様ッ……!」

「まねっ……!」

翼獣はすぐに高度を下げ、お嬢を捕まえに行こうとする。

 

 

 

 しかしそこを、CCの執拗な攻撃が妨げる。

突如襲ってきた植物の弦に、彼らは視界を阻まれたのだ。

お嬢の姿は、そのまま遮られて見えなくなる。

「クソッ……クソッがああああッ……!」

 

 

 

 現在お嬢が飛んでいたのは高度250m以上の地点。

いくら彼女が外傷に強い体質とは言え、この高さを生身の人間が落ちれば生還はまず不可能だ。

流石のお嬢も、地面からの空気抵抗を感じながら死を覚悟していた。

全てを受け入れる決心のついたお嬢は、ゆっくりと瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時。

お嬢の落ち行く空が、わずかに陰りだす。

円盤状の物体が、いつの間にかCCの真上に現れていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこやイオルブッ……!『キョダイテンドウ』ッ!!」

「SHARYYYYYYYYYYYYYY!」

聞き覚えのある関西弁の声が、はるか遠くから聞こえる。

瞬間、お嬢の落下速度が急激に低下する。

まるでスローモーションが始まったかのような様子であった。

 

 

 

 急に空気抵抗が消えたことに違和感を感じ、お嬢はゆっくりと目を開く。

「なっ……何これ……!?」

そんな彼女の疑問を置き去りにし、更に声が聞こえる。

 

 

 

 

 

『間に合えッ……『キョダイフウゲキ』ッ!!!!』

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

低い声とともに、強烈な横風が吹く。

その方向に目をやると、巨大な黒い鳥が羽ばたいているのが僅かに見えた。

「アレは……アーマーガア!!」

 

 

 

 そしてその足元から、白いものが風に乗って迫ってくるのが見える。

颯爽と駆けるその様子は、まるで白き彗星とでも呼ぶべき様子のものであった。

 

 

 

 瞬間、風と共に駆けてきたそれはお嬢を背中に載せる。

そしてそのままビルの壁を数度伝い、地響きとともに着地を決めたのであった。

 

 

 

 

 

『はぁ………間一髪ですね。お怪我は?』

「あ……ああ……!」

間違えるはずもない。

その声、その姿………そこに現れたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お嬢の聞き慣れた声をした、ブリザポスであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。