【ポケモン二次創作】ポケットモンスター Soul Divide 作:伊崎つりざお
『貴様が余に並び立つなど烏滸がましい!散れッ……!!』
CCの周囲から、黒い植物の弦が生える。
その数100本オーバー……普通のポケモンとしては規格外の力だ。
お嬢とマネネを押し潰さんと、差し迫ってくる。
しかしその弦へ、お嬢は右腕を前に翳す動作を取る。
SDの意識共有を使った、言葉を介さないコミュニケーションだ。
「まねねっ……!」
それに呼応するように、マネネも手に携えた魔杖を掲げた。
正面に展開されたのは、巨大な氷の障壁だ。
衝突した弦は、木っ端微塵に砕け散る。
その直後、そこに居たお嬢の髪の色は水色に染まっていた。
凍雪のSDを本格的に起動したサインだろう。
『凄い!SDの力をもう使いこなしています……!』
『それも……俺の時より格段に高い精度でだ……!』
全ての攻撃を凌いだと判断したお嬢は、次に翳した右腕を畳んで左胸の前に置く動作を取った。
瞬間……展開していた障壁が、突風とともに四方八方に飛び散る。
内部から意図的に爆発を起こしたのだ。
そしてその風乗り、マネネは魔杖を居合斬りの如き軌道で突進する。
直後には、CCの懐に飛び込んでいたのだった。
「まね……ねっ!」
しかしだ。
CC側もその手を読んでいたのだろう。
同じく黒い剣を取り出し、鍔迫り合いの形でマネネの攻撃を受け止めたのである。
『甘いッ!!この剣は決して折れぬ鋼鉄……!凍雪の力では押しきれんわッ!』
そしてCCは、マネネを魔杖ごと跳ねのける。
「まねっ……!」
弾き飛ばされるマネネ。
だがお嬢は焦らない。
『あっそ!力が無理なら……こうするまでよッ……!』
彼女は右拳をそのまま、ぎゅっと握りしめる。
その時、魔杖から紅い炎が放たれた。
同調して、お嬢の髪の色も水から赤に変わる。
『あ……アレは獄炎の秘鍵ッ!?』
そう、本来であれば使えない獄炎の力だ。
しかし彼女は今やマスターキーたるCCと同一の存在だ。
使えるSDは、最早凍雪のみに収まらなくなっている。
加えてマネネは多種多様な技能をコピーできる万能の器。
本来なら対象外の属性にも、問題なく呼応できるのである。
マネネという種族と、CCの能力を手に入れたお嬢の共鳴……2つの要因が為し、圧倒的な力がここに生まれたのだ。
「ふんっ……!」
お嬢は差し出した右手の握り拳を、時計回りに回転させる。
傾く魔杖はそのまま回転に任せて渦を形成し、盾の如き形を成したのだ。
空中に投げ飛ばされたはずのマネネはその場で停止し、V字を描いて逆方向へと突進を始めたのである。
烈火に包まれた彼の落下していく様は、まさしく流星の様子であった。
そう、この攻撃手段はエンビのカラカラが使っていたものである。
「まねねーーーーっ!」
一瞬の内に、CCが携えていた剣が溶け落ちた。
そう、硬くて砕けないのならば熱で押し切れ……というのがお嬢の考えたことであった。
『小癪なッ……!!これでも喰らえッ……!』
溶け落ちて液体となった剣は、急に体積を増していく。
形成されたのは圧倒的な物量の水流である。
おまけに超強酸や数多の瓦礫を含み、激流と化した攻撃だ。
CCが今までに飲み込んだ物質を乱雑に混ぜて行う攻撃だろう。
『この一撃でトレーナーごと潰すッ……!!死に晒せッ!!』
前方のあらん限りの方向から、超質量の攻撃が迫ってくる。
一つの災害レベルの規模……既にタイマンのバトルで行われる攻撃の域を超えていた。
『さ、流石にマネネ1匹でどうにかなる攻撃じゃない……!』
だがお嬢は、そんな状況でも策を必死に模索する。
使える脳のスペースは2倍以上……持ち前の土壇場根性で思案するのだ。
「液体……正面……防御……は、間に合わない………うっ……」
『もう遅いッ!!終わりだああああああああッ!!』
一点を目掛け、多量の砕流が押し寄せた。
「ええい、こうなりゃヤケよッ!!」
お嬢は両手の指を鳴らす。
直後、マネネの魔杖が2本に増えた。
その先端から放たれたのは、視界が明転するほどの閃光を纏った雷だ。
『じ……迅雷の秘鍵ッ……!』
それは即ち、高電圧の放電……あらゆる物質を最小単位まで分解する究極の技だ。
「まねーーーーーッ!!」
押し寄せた波は、尽くがガスや粉塵へと帰した。
「今よマネネッ!!」
手首を内側に畳むような動作を見せるお嬢。
瞬間、魔杖の放電が止まり先端が紅く染まる。
直後に発生したのは大爆発。
そう、発生したガスや粉塵を目掛けて『獄炎』の力を使い、着火を行ったのだ。
相手の攻撃を発火剤に変換した直後の反撃である。
当然、CCに対しても凄まじいダメージが入る。
『ばっ……馬鹿なッ……!!』
一瞬にして爆散した攻撃……加えて隙のない反撃。
流石のCCも予想外だったようだ。
「これで最後……決めるッ……!!」
「まねねっ……!!」
お嬢は大きく腕を振りかぶり、マネネと共にトドメの一撃を放とうとする。
その時だった。
マネネの前に、立ちはだかる者がいた。
目前にいたのは震える白い身体の主……そう、ブリザポスだ。
『おやめくださいお嬢様……!』
「ッ………!?」
彼はなんと、自らの身を呈して止めに入ってきたのだ。
「ジャック……?何を言い出すの……!?」
『それ以上SDの力を使えば、アナタは元に戻れなくなる……!私と同じようになりたいのですか……!』
「ッ……!」
彼の言葉はとても重かった。
事実、彼はSDを多用したせいで壊れた者を何度か見ている。
だからこそ、必死に引き戻すのだろう。
人の道を外れようとしているお嬢を。
『私は貴方にまで、消えてほしくはない!貴方の事が何よりも大切だ……!』
「ジャック…………」
必死に訴えるブリザポス。
その熱意は凄まじいものだった。
お嬢とマネネは、その言葉を聞いて攻撃の手を下ろす。
その動作は、目の前のブリザポスを殴り飛ばすものであった。
『がっ………!?』
なんとお嬢とマネネは、あろうことか彼に向かって攻撃を加えたのである。
『なっ……何故ですお嬢様ッ……!?』
「悪いけど、邪魔よアンタ。」