青年の異世界珍道中〜ONE PIECE〜 作:クロイツヴァルト
俺はカイト。転生者というか様々な世界を渡る者って感じかな?で、今回は冒険を楽しみたいって事でこのONE PIECEの世界に来てみたんだが…
「おぉ、ここに居たのか」
とある村の丘の上に立つ子供の後ろからしゃがれた声が聞こえ、振り返る。
「やぁ、ウープさん」
「全く、お前は。どこに行ったのかと心配しておったのだぞ?」
「それはごめん。この広大で雄大な海と大空を見ていたんだ」
「海に空をか…僅か五歳にして流暢に喋るわ難しい言葉を使うのはやはりカイト、お前さんは特別な者なんじゃろう」
「やめてよ、ウープさん俺はそんな大層なもんじゃないさ。しがない五歳児だよ?」
そう戯けるカイトの目が海の上を滑りある物を見つける。
「ねぇ、ウープさん」
「なんじゃ?」
「海軍の軍艦がこっちに向かってくるけど何か聞いてる?」
「なんじゃと!? ワシは港に向かうがカイトはこのままマキノの所に行っとれ!」
「あ…」
言うや否やフープ村長は足早にこの村に存在する港の方へと急ぐのであった。
「はぁ、仕方がない。ここにいても仕方が無いしマキノさんの酒場に行くか」
そして村にある唯一ある酒場のマスター兼頼れるお姉さんであるマキノの所に向かう。
「マキノさん、こんにちわ」
「あら、カイト今日はどうしたの?」
「んー、さっき港に海軍が来てちょうどウープさんと一緒だったんだけどマキノさんの所に行ってろって言われて来たんだ」
「この村に海軍がなんの様かしらね…とりあえず何か食べる?」
「そうだね…じゃあオレンジジュースをひとつ。お代はまた皿洗いとかお店の手伝いをするよ」
そうしてマキノと談笑して暫くして村長がマキノの酒場に姿を現した。…その腕に生まれて間もない赤子を抱きながら。
「ウープさん、その赤子は」
「あぁ。ガープのバカが孫を連れてきおってこっちに押しつけてきよったんじゃ、まったくあの男は…!」
村長は腕の中にいる赤ん坊をチラリと見てため息を吐きながら訳を話す。ガープ…その名は有名で英雄と呼ばれる海軍本部の中将その人で何度か姿をみた事があるが屈強かつ破天荒な人物で豪放磊落を体現したかの様な人でもある。この赤子の両親が訳ありなのか理由がありガープに預けた様だが、あの人物に子育てができるかって言われれば出来ないと即答できるほどにあの人は子育てに向かないと理解できる。そしてそんなあの人が目をつけたのがこのフーシャ村であり村長でもあるウープさんなのだろう。そしてそんな事を考えながら村長の腕の中にいる赤子を見ていると
「なんじゃ、カイト…この赤ん坊が気になるのか?」
俺が考え事をしている所にウープ村長が尋ねる。ジッと赤子を見つめていたからなのか興味があると思ったのだろう。正確には赤子の裏事情を考えていたのだが…そんな事を言える筈もなく。
「うん、俺も抱いてみたい」
そう告げる俺に対してフープ村長が少し考えて「そこのソファに座りながらなら大丈夫じゃろ」と答える。それは至極簡単な話で五歳児の子供が赤子を抱えようと言うのだから立ったままなのは不安が強いのだろうと理解する。そして施されるままにソファに座ると村長が自分の膝の上に赤子を差し出す。
「抱く時には首と尻をしっかりと支えるんじゃぞ?」
村長のそんなアドバイスを聞きながら差し出された赤子をそっと抱える。
「…こんなにも重いんだね」
抱き上げた時に感じたのは柔らかな赤子特有の柔らかさ…そして両腕に掛かるズシリとした重み。命の重みのように感じてそう堪らずに俺はそう呟いていた。
「ウープさん、この子の名前は?」
「ルフィじゃ」
ウープ村長の告げた名前に表情には出さずに驚く。この赤子があのルフィなのかと
「ルフィ、これからよろしく」
「あう!」
俺が呟くと理解している訳ではないだろうに満面の笑みが返って来た。この無邪気さが赤子が可愛いところでもある。
「ルフィ、俺がルフィのお兄さんだ。よろしくな」
それからと言うものの俺は片時もルフィを離すこと無く村で生活をしていた。
「お腹が空いたのか? む、良い飲みっぷりだな。しかし焦らなくてもミルクは逃げないぞ」
腹を空かして泣くルフィにその度にミルクを飲ませたり
「マキノさん、ちょっとルフィ抑えるの手伝って!オムツ変えてるんだが活きが良いのか暴れるんだ!」
「こら、ルフィ!大人しくしなさい!」
時にはマキノさんとオムツを替える途中で逃げるルフィを捕獲したり、
「こら!スリッパなんて口に入れたらダメだぞ。あぁ、もう泣くなって、代わりにこのおしゃぶりでも咥えていろ」
赤ん坊特有の好奇心からなのかなんでも口に入れようとするのを阻止したりとルフィとの攻防をしたりと赤ん坊の面倒を見るのは普通とは違う疲れを感じる…けどそれ以上にルフィの笑顔を見ているとそんな疲れも感じる暇もなく忙しなく月日は経っていく。そして、
「なぁ、ガープの爺さん」
「お、カイトではないかどうしたんじゃ?」
「いえ、いつも一緒に無茶な虐待もとい修行のような事をしては一緒に帰ってくるのに今日は一緒じゃないのか?」
俺が十歳になりルフィが五歳なって暫くしていつもの修行と称した虐待のような物が終わって帰って来た筈なのにルフィがいない事に嫌な予感と警鐘がなっているが本人に聞くしかない俺はそう聞くしかなかった。
「あぁ、ルフィならジャングルに放り込んできた」
「…あ?」
ガープの爺さ…糞ジジイから出た言葉に俺は一瞬絶句し、次の瞬間には怒り心頭で糞ジジイに詰め寄る。
「なぁ、ルフィはまだ五歳になったばかりだぞ?そのピーマンみたいにスッカスカの頭に何が詰まってるかカチ割って見てもいいか?よくそんな事を五歳児にできるな?ヒトデナシの上に人殺しか…ん?」
静かに怒る俺にタジタジの糞ジジイに周囲にいた何人かの海兵も思わず頷くほどである。
「…もういい、とにかくこんな所で口論している場合じゃない。『杖よ』」
「…はっ?」
俺が片手を虚空に手を向けて言葉を紡ぐと何処からともなく身の丈以上にある長杖が現れ、それを見ていた周囲の人間は呆気に取られ、唯一反応したのは目の前にいた糞ジジイだけ。
「俺はルフィを迎えに行く!」
「ちょ、待つんじゃ!」
ガープの制止の声を聞かずに俺は杖を宙に浮かせ、その場で飛び乗り空を飛ぶ。
「「飛んだ〜〜!?」」
周囲の驚きをよそにカイトはルフィがいると思われる木々が鬱蒼とした島に辿り着き
「ル〜〜〜〜フィ〜〜〜〜〜〜!!!!」
「にーーーーーーちゃーーーーーーん!!!!」
森の上を飛びながら名前を大声で叫べばちょうどその真下から声が聞こえてそこを見ればちょうど大きな虎に追いかけられながら俺を呼ぶルフィの姿が見えた。
「俺の弟に何してるこの駄猫がぁ!!!!」
「ギャン!?」
裂帛の声と同時にその場から急降下して虎の頭に魔力強化した拳を叩き込む。その一撃で虎が悲鳴をあげてその場に沈む。
「無事か、ルフィ!?」
「にいちゃん、おれはにいちゃんがいなくてさびしくてこわかった!けど、ジャングルですげ〜冒険したんだ!」
地上に降りた俺はルフィの安否を確認しようとしたらルフィは勢いのままに俺の懐に飛び込むと涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながらもいつも見せる満面の笑みを見せるのでなんだか力が抜けてしまった。
「まったく、こっちは心配してすっ飛んできたのにお前と言う奴は…将来は大物になるな」
そう呟き、そろそろ海岸にあの糞ジジイの船が来ているだろうと思い向かうと、
「おぉ、カイトやはりここにおったか!」
「おったかじゃないわ!このスットコドッコイが!危うくルフィが大怪我じゃ済まなくなる所だっただろうが!」
能天気なガープについカイトはキレてしまう。
「しかし、カイトよ。お主の先程見せたものは悪魔の実の能力か?」
戒翔の怒声にタジろぐかと思いきやいつものおちゃらけた様子を見せずに真剣な表情で聞いてくる。
「悪魔の実?そんな物は食べてない。これは俺自身が元々に持つ特異な能力だ」
そう告げるとガープは目を見開く。
「悪魔の実も食べずに持つとはお主はいったい」
「さあね、俺自身が知りたいよ。物心ついた時には既に自覚はしていたから本当に緊急事以外は使わないようにしていたんだから一部の人以外は知らない筈だ」
「知っているのは誰じゃ」
「マキノさんとウープ村長の二人だけだ。大恩ある二人には隠し事はあまりしたくはないからな」
「ふーむ、カイト。お主海兵になるつもりは」
「今の所はその気はない。俺はルフィを見守って行くつもりだからな。ルフィの行くところが俺の行くところだ」
「はっはっは、そうか残念じゃな。じゃがワシは諦めんぞ」
ガープの言葉に即答で返すが、ガープは豪快に笑うのであった。