青年の異世界珍道中〜ONE PIECE〜 作:クロイツヴァルト
その後、浜辺からフーシャ村へと移動するカイト達はルフィの我儘によりシャンクスの冒険譚を聞きながら移動していた。
「スッゲー!村の外にはいろんなすげ〜奴がいっぱいなんだな!」
「ははは!ルフィは好奇心旺盛だな」
「確かに聞いているだけでワクワクするのは確かだな。」
そしてフーシャ村に着いたカイト達はその足でマキノが営む酒場に行く。
「あ、シャンクス!どこに行ってたのよ!」
そしてその酒場から飛び出して来たのは確かにシャンクスの言う通り小さなお姫様が大層お怒りになってシャンクスに詰め寄る。
「ははは、すまんな。“ウタ”」
赤と白のツートンカラーの髪の少女“ウタ”とシャンクスに呼ばれた少女は喜色満面の笑顔でシャンクスの腕に抱き着く
「それでその子達は誰?」
満面の笑みから一転し、訝しげな表情でシャンクスの後ろに立つカイトとルフィを見る
「確かに可愛らしいお姫様だな。」
「俺はルフィ!こっちはおれのにーちゃん!」
「カイトだ、よろしく。」
「ふーん、アタシはウタ。赤髪海賊団の音楽家よ!」
自己紹介をするカイト達に自身の腰に手を当てて自慢げにそう少女は宣言する。
「へぇ、カイトにルフィね…よろしくね」
「それよりシャンクス!おれに冒険の話を聞かせってぇぇっ!?」
「全く…ルフィは少し落ち着け」
ウタの挨拶をよそにルフィは先程の様に騒ぐが横からカイトのゲンコツが頭に落ち、痛みのあまりに蹲る。
「すまない、シャンクス。ウチの弟が騒がしくて」
「気にするな、騒がしいのには慣れている」
「お詫びと言ってはななんだが後でルフィに案内させるからこの子も連れて来てほしい。」
「ほぉ、何か面白い物を見せてくれるのか?」
「あぁ、世にも珍しい物さ…。ルフィ、俺は準備があるから2、3時間後に例の丘にシャンクスとウタちゃんを連れて来てくれ」
「わかった、いつもの丘だな!」
カイトの言葉に興味深いとばかりの表情をするシャンクスとテンション高めに返事をするルフィ
「一体何を見せてくれるの?」
「どんな物かは見てからのお楽しみだ」
不思議そうな顔をする歌に対してカイトは不敵な笑みを浮かべてその場を後にする。そして
「にーちゃん、二人を連れてきたぞ〜!」
「カイト、何を見せてくれるのか楽しみだ」
「ツマラナイ物だったら承知しないわよ!」
「おぉ、来たか。じゃ、今から少し時間を貰う二人に感謝を…では今から魅せるのは唯一の奇跡の魔法をご覧あれ」
そう言ってカイトは両手から色とりどりの光の玉を発生させる
「「ッ!?」」
「にーちゃんの魔法はいつ見てもスッゲーな!」
息を呑む二人とは対照的にルフィは目をキラキラさせながらそんな感想を漏らす。
「魔法…?」
「そう、俺は人とは違う異能がある。それは悪魔の実とは違う異質の物だ。」
ウタの呟きに応えるようにカイトは手の中にある光源を空に浮かべ不規則な動きをするのを見上げながら応える。
「悪魔の実を食べないでそんな能力があるのか」
シャンクスは感慨深げにそう呟きカイトの浮かべた光源を見上げる。
「これは能力の一部に過ぎない…ここで一つ、ウタちゃんにプレゼントだ。杖よ」
空を見上げていたカイトは振り返りながらその手に自身の丈以上にある杖が姿を現す。
「…それもお前さんの異能の一部か?」
「そうだ。簡単に物ならこれ無しでも使えるが、高度な物や複雑な物は発動媒体たるこの杖が無いとキツいけどな」
シャンクスの疑問にカイトは杖の具合を確かめるようにその場で舞うように演舞を披露しながら応える。
「うん、これなら問題ないな…。ウタちゃんこっちに来てもらえるか?」
「え?」
「あ、ずりー!にーちゃんウタだけ連れて空旅する気だな!」
困惑するウタをよそにルフィが抗議の声を上げる
「空旅…?」
「まさか…飛べるのか?」
ルフィの言葉に疑問の声をあげるウタだが、シャンクスはその意味をいち早く理解して驚愕の表情をする
「全く、ルフィはもう少し黙るって事はできないのかね。そうだよ、シャンクス。ウタちゃんを空の旅にご招待って訳だ」
そう言ってカイトは杖に跨るのと同時に地を蹴るとそのまま空中に留まる。
「浮いた!」
「ははは、にわかには信じがたいが…目の前で見せられたら信じるしかないな。」
カイトの見せた光景に先程よりも興奮するウタに自身の知らないことが目の前で起きているという状況にシャンクスも笑うしか無かった。
「では、お姫様…お手をどうぞ」
浮いたままのカイトは少し位置を下げてウタの手が届く距離に近づくと手を差し伸べる
「えっと…」
「ウタ、行ってこい。空の旅なんてそうそう経験できるもんじゃないからな」
戸惑うウタに対してシャンクスはこの短いやり取りでカイトの事を理解したのかウタの背中を押す
「じゃ、じゃあお願いします」
初めての空の旅におっかなびっくりのウタは借りて来た猫のように大人しくカイトの手を掴む
「きゃっ!」
「よっと、しっかり掴まってろよ。じゃ、シャンクス、娘さんを少しの間借りるぞ」
「あぁ、素敵な空の旅を頼んだぞ?」
「あぁ、任された。」
そう言ってその場にルフィとシャンクスを残してカイトとウタは空の旅へと繰り出す
「うぅ〜、結構怖いかも」
「はは、最初は怖いもんさ…さ、ウタちゃん目を開けてご覧。船から見る景色とは一段と違う景色が見れるぞ」
カイトの背中に必死にしがみ付くウタを見て苦笑する。ルフィを乗せた時は逆にはしゃぎ過ぎて落ちないようにする方が大変だった記憶が蘇る。そんな事を思い出しながらこの素敵な景色をウタが見えるようにカイトは声をかける。それに従うように目を瞑っていたウタは恐る恐る目を開ければそこに広がる景色に言葉を失う
「うわぁ〜、スゴイスゴイ!空から見る景色ってこんなにもすごかったの!?」
「ふふふ、喜んでもらえて何よりだ。」
喜ぶウタの様子にカイトは笑みを浮かべる。
「ねぇ、なんでアタシにこの景色を見せようと思ったの?」
「さぁ、なんでだろうな…さして理由は無いがウタちゃんにはこの景色を見せてやりたいと思ったではダメか?」
「それは理由にならないんじゃ無いの?」
疑問の言葉をウタがカイトに問うがカイトは特に理由も無い為に尤もらしいことを言うがウタは納得がいかないようだ
「なら、将来美人になるウタちゃんの為になるからか…もしくは一目惚れしたからかな?」
「なっ、何を言うの!」
納得のいかないウタの言葉にカイトは歯の浮くようなセリフを吐き、ウタを赤面させる。そのお返しとばかりにウタはカイトの脇腹を抓る
「それは地味に痛いのだが…?」
「ふん、女誑しには丁度いいんじゃないの?」
「まったく、手厳しいなウタちゃんは」
「アタシの事はウタでいいよ。アタシもカイトって呼ばせてもらうから」
「そうか?なら今後はウタって呼ばせてもらうが…ちゃん付けは嫌だったか?」
「いやっていうかなんかむずむずするの」
カイトの疑問にウタは気恥ずかしいのか顔を背けてそう告げる。海賊の仲間には呼び捨てにされる事がほとんどな為にカイトから敬称を付けて呼ばれる事に慣れない様であった。
「さて、空の旅もそろそろ終わりだな…」
「…もう?」
「暗くなるとシャンクス達も心配するだろうしな。それに空の旅ならウタが行きたいならまた乗せてあげるよ。」
「ほんと?」
「あぁ、約束だ。」
「約束だからね?破ったら許さないからね?」
空が茜色に染まるのを見ながらカイトがこの空の遊覧飛行の終わりを告げると残念そうなウタの声に苦笑しながら次回以降も約束をすると期待に満ちた声が返ってくる。
「さ、シャンクス達の所に帰ろうか。」
「うん!」
そうしてウタとカイトはフーシャ村へと帰るのであった。