「ピカピ……(サトシ……のピカチュウに転生した件)」   作:堅焼き醤油煎餅こそ至高

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匿名なので処女作。



1.ピカチュウ(偽)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○月○日 天気:晴れ

 

 

 日記を付ける事にしてみた。

 

 

 此処のところ色々ありすぎたので、頭や心の整理のためにも文字として書き出してみるのは効果的なはずだ。

 取り敢えず、博士の机の引き出しから未使用のノートを見つけたので、これを日記帳とする。許可は取っていないが、まあ別に構わないだろう。

 

 

 それはそれとして、まずは何から整理していくべきか。

 一気に書き出しても分からなくなりそうだし、一つ一つ順を追っていくのが無難というものかな。

 しかし、やはり人間の手じゃないからボールペンを持ち難くて仕方がない。本来は野生の世界で獣の如く暮らしているのが普通だし、日記は疎か文字を書くための機能なんてこの身体にはないのだ。

 

 

 さて、まず俺には前世の記憶がある。

 これに関しては特に問題はないだろう。今世の身体との変化に戸惑う事はあったが、それも既に慣れたので思いつく限りでデメリットはない。

 

 

 次に転生なのか憑依なのかは不明だが、もし憑依だった場合に良心の呵責があるだけでそれ以外に特筆する事はないかな。どちらにしても俺に何が出来るという訳でもないし、精神衛生的には気にしない事が一番だ。

 強いて言えば、今居る世界が前世とは異なる世界だと言う事が問題かもしれない。この世界は色々と危険も多いのだ。

 

 

 そして、次こそが本題なのだが……。

 改めて文字にすると頭が可笑しくなりそうだが、今の俺は前世の日本で国民的人気を誇ったマスコットキャラクターの電気鼠になっている。

 全国図鑑No.025。分類はねずみポケモン。タイプはでんき。高さ0.4m。重さ6.0kg。特性はせいでんき。隠れ特性にひらいしん。CV大谷育江。デザインにしだあつこ。序でにZワザとして“ひっさつのピカチュート”を使う事が出来る例の奴。

 

 

 

 

 

そう、ピカチュウとは俺の事である。

 

 

 

 

 

 はい。……いや、はいじゃないですけど。

 転生直後は本当に混乱したものである。夢だと言われた方が現実味があるような状況だったからね、仕方ないね。

 目覚めれば知らない場所。何処となく見覚えのある変化した自分の身体に驚いて、そんなまさかと、馬鹿げていると、自分に言い聞かせながら見知らぬ森を彷徨っては小川を見つけて大慌てのまま覗き込んだ。

 黄色い小さな身体。短い手足。ほっぺに赤いチークみたいな電気袋。兎によく似た円筒形の耳。背中の縞模様。電気マークのようなジグザグ尻尾が水面に映りまして。

 どう見てもピカチュウです。本当にありがとうございました。

 

 

 そんなこんなで俺はピカチュウになった訳だが。

 やっぱり意味わからんね。でも、どうしようもないから受け入れましょう。俺はこれからピカチュウとして生きていく! 

 という感じで、初日こそ森の中で無意味に右往左往したり、色々と爆発して一晩中号泣し続けたりしたけどね。持ち前の楽観思考で翌日にはもう殆ど適応してたよね。

 あれ、俺って無敵か? これ日記書く必要なくね? 

 

 

 まあ、何はともあれ。

 前世で流行ってた某小説投稿サイトの作品みたいに神様にあった記憶もないし、死の間際に不思議な声が聞こえた訳でもない。

 どうして転生したのか。何故ピカチュウなのか。誰か何かの思惑があるのか。この記憶は本当に自分の記憶なのか。知らない事、わからない事は数えきれない程にある。

 

 

 でも、そんな事はどうでも宜しい。

 結局のところ、日記は書いて正解だったのだろう。前言を翻してばかりだけど、きっとそうなのだ。

 何故ならば、自分で思っていたよりも俺が現状を悲観していない事がわかったのだから。なんだかんだと今を楽しむ事が出来ているのだから。

 

 

 恐らく、もうこの日記を開く事はないだろう。

 突如として転生したポケモンの世界で生きるにあたって、俺は最も大切な答えを手に入れる事が出来た。

 前世と同じようにとはいかないけれど、折角ピカチュウになれたのだから楽しまなければ損と言うものだ。今ならそう思える。

 日記を書く前は不安だった明日が、早く来ないかと待ち遠しく感じる。ポケモンとして生きる世界はどんなものなんだろう。どんな景色が見えるんだろう。どんな出会いが待っているんだろう。

 

 

 ああ、楽しみだ。

 明日のために、今日はもう寝ることにしよう。

 

 

 おやすみ、俺。

 今日はとっても素晴らしい一日だったね。

 明日からはもっと、もっと楽しい日々が待ってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○月□日 天気:曇り

 

 

は? 待って? 

 

 

 博士ってこれ、オーキドじゃね? 

 もしやもしや、ポケモン界の権威とか言われてるオーキド・ユキナリさんではあーりませんか? 

 

 

 ちょっと待って。待ってください、お願い。

 聞いてない。それは聞いてないよ。

 だって、オーキド博士でピカチュウって……それはダメでしょ。ライン超えてるって。

 いやいや、まだ勘違いかもしれない。偶然符号が少し揃っただけだから。オーキドの孫がちょうど今年で10歳らしいけど、名前はシゲルって言うらしいけど…………わかるよ、うん。俺以外のピカチュウが居るんだよね? 

 

 

 あー、なんか眠くなってきた。

 色々と考えてたら猛烈に眠くなってきたわー。

 と言うことで、もう寝る! 問題も解決したし、俺は明日の昼まで爆睡するぞ! 

 

 

 んじゃ、おやすみ! 

 

 

いや、眠れる訳ないじゃん! 

馬鹿なの? 俺は空前絶後の超絶怒涛の馬鹿なんですか? 

何も解決してないし、なんならシゲル君(仮)の友人とやらにサートゥシクン(仮)なる存在が居るって、それもう確定だよ! 

この研究所来てから順風満帆過ぎて気にしてなかったけど、何処からどう見ても博士はオーキド博士だったのに、なんで俺は気づかないの? 馬鹿で阿呆なだけじゃなくて、節穴だったとかたまげたなぁ〜。

 

 

しかも、ピカチュウは俺以外の個体はこの研究所で見掛けてないし……あー、ダメだねこれは。なんて事だ、もう逃げられないゾ♡

いや、本気で逃げるなら逃げれるだろうけど、散々世話になっといて都合が悪くなったら逃げ出すなんて恥知らずな真似は出来ないんだよなぁ、これが。損な性分とまでは思わないけど。

 

 

仕方ないから覚悟決めるかー。

まあ、これも巡り合わせって奴なのかな? 

 

 

 

 ○月△日 天気:雨

 

 

 この世界アニポケなの? 

 サトゥーシクン(仮)とか、シゲル君(仮)とかいるけど。ナナミさんも居るんだよなー。博士もアニメっぽい見た目してるし。

 

 

 でも、それにしては今のチャンピオンの名前がね。レッドってお前……ゲームなのか? それともポケスペってパターンもあるかな。

 アニメでもサトゥーシクン(仮)は結構ダイレクトアタック食らってたし、アレは普通なら死んでるだろうし、現実に落とし込むと必然的にポケスペの世界観が一番リアルっぽいんだよね。

 まあ、どれか一つじゃなくて全部複合されてるんだろうけど。この世界は現実で、アニメでもゲームでも漫画でもないんだから。

 

 

 ってな訳で、この間サトシ君(真)を発見してしまいました。

 何があったかは知らないけど、泥んこの傷だらけ(絆創膏)でトボトボと歩いてるのを見掛けましたね。あの後ろ姿は間違いなくサトシ君(真)ですわ。

 そんでやっぱり、研究所には俺以外のピカチュウはいなかった。俺のモンスターボールには電気マークみたいなシールが付いてるし、人間の記憶がある所為かボールの中には余り入りたくないんだよねー。

 

 

 …………さて、寝よ寝よ。

 もうそろそろ新10歳児の旅立ちの日が来るっぽいし。具体的に何時になるかまでは調べが付かなかったから、早めに準備はしておかないとね。

 

 

これ実はモンボの中って結構広い空間なんだよね。

それで、ゲームでは持ち物の類をポケモンがずっと所持している訳だけど。うん、もうわかったかな? ボールの中に持ち込めるよね、アイテムとか。

アニポケでもギャグ描写だとは思うけど、初期のピカチュウが何処からともなく取り出した布団で眠り出した事があったんだよね。アレって恐らくピカチュウがモンボに仕舞ってたんじゃないかな。

 

 

そんな訳で、検証してみました。

はい、出来ました。余裕ですわ。なので、色々と入れておきました。

大変な旅になるだろうし、ちょっとくらい持って行っても……バレへんやろ。すまん、博士。ありがとう、博士。

 

 

 

 

 

 ○月✖️日 天気:雷雨

 

 

 はい。生存。

 

 

 マジで死ぬかと思った。

 でも、想像してたよりも余裕はあった。事前準備のお陰かな。

 それもあるけど、やっぱり俺ってば強い……強いよね? 目の前で比較出来ないから実際のところはわからないけど、もしかしてピカチュウ(真)よりも強いかもしれない。

 

 

 もっと書きたい事は滅茶苦茶あるけど、今日は疲れたからもう寝る。

 おやすみ。また明日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 続く?
▷続かない?


習作です。
試験的にハーメルンの機能を幾つか使ってみました。
気になる人は探してみてくださいね。
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