この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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橋を繋げよう。ついでに縁も。


第十一話

 

今日はアヴァロと一緒にクミル村に立ち寄っていた。その目的は、クミル村の人達が湿地森に用がある際に川があるため遠回りをしないといけない。これをどうにか改善出来ないか?そこでアヴァロから川に橋を掛けようと提案が出た。

 

「それで、その川に設置する為に人手が必要と……?」

 

「ああ、それを村の人に手伝って貰おうかと考えててな。」

 

村の人なら喜んで参加するだろ。なんせ自分たちに得しかない話だ、無償で設置してくれるのだから。今後も考えると自分たちで橋の場所を確認出来ていた方が良いだろう。

 

「じゃあ、早速村の人達に声をかけよう。」

 

村に入り、代表と思われる人に提案を持ちかける。アヴァロだけの話でも充分魅力的だが、安全を考えて俺からもし今回ので怪我を負っても多少の怪我までならこちらで治癒の水を出し、なおかつ水の提供も行う条件を追加した。

 

「良いのか?それってサイトウが作った奴だろ?」

 

治癒の水を出すの事に聞かれるが問題無いと返す。どのくらいの効力とか実際に他の人でも試しておきたい……という邪な考えの為に出した案だが、それは言わないでおく。水に関しては幾らでもどうぞって感じだ。

 

こちらからの提案を乗り気で快諾してきた。寧ろ村の者たちで率先して設置するのでアヴァロには監督と周囲の警備をお願いされた。俺?俺は食料や物資を渡したりと簡単なお仕事を任されたよ。

 

話がまとまり、早速湿地森へと向かう。物資を荷車で村人が運び先頭にアヴァロ、最後尾に俺とエネが警戒する形で進んでいく。

 

「ここが橋を設置する場所だな。」

 

目的地に着き、荷車から物資を下ろし運んでいく。俺は必要な道具を袋から出し適当に置いていく。

 

「それじゃあまずは一か所目から設置していこうと思う!俺に付いて来てくれっ。」

 

アヴァロ先導の元近くの川まで村人を連れて行く。そうなると俺は完全に暇人である。しかし持ち場を離れる訳にもしかない。

 

傍にいるエネに、散歩がてらそこら辺の魔物を適当に間引きしてきてくれと指示を出して作業現場の見学しに行く。

 

現場ではアヴァロの指示の元手際よく作業が進められていた。下手に手を出すのは良くないだろうと考え周囲の警戒をしておく。

 

作業が中盤を過ぎた辺りに一人の村人がこちらに来る。どうやら設置しようとしてた木材が上手くハマっておらず落下して足を痛めたらしい。

 

「お、お金を取らないと聞いたんだが、ほんとうか?」

 

「今回でこちらから治療のお金を取るつもりは無いから安心して利用してくれ。あと、使用後に怪我や体調におかしなところがもしあったら遠慮せずに言ってくれ。」

 

治癒の水を飲むと、怪我をしていた足が元通りになった。逆再生かよ……こわっ。

 

どういった原理でそうなったのかよくわからないが、とても便利なアイテムだと思う。現代にもこれあれば億万長者間違い無しだな。

 

自分で造ったのがちゃんと効力を発揮したのを確認できたのでこちらとしては満足である。欲を言えばもう少しパターンが欲しいが事故は無い方が良いだろう。

 

その後は特に問題は起きずに無事一か所目は完了し終えた。一度休憩を挟み、二か所目の作業に取り掛かる。一度目で慣れたのか今度は一度目より早いペースで進んでいく。

 

「やっぱり大量に携帯出来る水って便利なんだな……。」

 

休憩中に村人たちに俺の瓶から水を支給した。大抵の人達が『貰って良いのか!?』と驚いていた。過去に水不足に陥った事で大切さが良くわかるのだろう。崇められるような態度を取られたので今回は城砦に居る女神フィアのご慈悲です。と吹聴して行く、これで信仰が多少は高まってくれるだろう。

 

二か所目の橋も無事完成した。今後はこれで水確保の手間が大分短縮出来ると皆で喜んでいた。自分たちで造ったのもでかいだろう。

 

「少し休みを挟んだら、村へ帰ろうか。」

 

使い終えた道具や余った資材を荷車に戻していく。そういえば、エネがまだ帰って来ていないな……。

 

「すまんアヴァロ、エネがまだ戻って来てないから少し探してくる。」

 

「わかった。気を付けてくれ。」

 

アヴァロに一言断りを入れその場を離れる。多分向かうなら北の水源地辺りだと思うのだが……。

 

ここからも近いので取りあえずそこに向かう。

 

「……あ、居た。」

 

向かおうとしていた道中でこちらに戻ってくる姿を見つける。

 

「遅かったな、お帰り………って言いたい所なんだが、その後ろの水精たちは何なんだ?」

 

エネの後ろには、三匹程知らない水精が付いて来ている。仲間にしたのか?

 

「……連れて帰るつもりか?」

 

恐る恐るそう聞くと、顔を上げ、うんうんと頷く。マジですかい……。

 

「わかった、でもアヴァロとフィアさんに許可取れたら、だからな?」

 

何があって仲間になったが分からないが、取りあえず連れて帰る。と言うかよく捕食しなかったな……いつもなら即喰らい付いていたのに。

 

アヴァロ達の場所に戻ると少し驚きと困った顔のアヴァロがこちらを見ている。

 

「なぁ、サイトウ。エネは分かるが、その後ろの水精達は何なんだ……?」

 

「こいつが連れて来たんだが、城砦に持ち帰っても大丈夫か?」

 

「うーん。俺は特に無いが、一応フィアにも確認はとっておこうか、城砦はフィアの一部だし。」

 

「そうだな。そうするよ。」

 

多分あの女神なら快く受け入れてくれそうだが。

 

こうして行きは一匹、帰りは四匹に増加した精霊たちを連れて村へ戻った。村に着き、最後に怪我人は居ないかチェックを行なったが大丈夫だった。……が、先ほどから何か言いたそうな女性が一人こちらをちらちらと見ていた。

 

アヴァロも気が付いていたらしく俺に視線を向けて頷くと声を掛けに行った。話を聞くとどうやら娘が一人居るのだがその子が少し前に怪我をしているらしい。今回の件を聞いてどうにか治せないかと様子を見ていた。との事。

 

「アヴァロ、良いか?」

 

「そう言うと思った。それじゃあ、その子の様子を一度見てみたいので、案内してもらっても良いですか?」

 

「本当ですか!?ありがとうございますっ!!」

 

こちらに頭を何回も下げながらお礼を言ってくる。いや、まだ治療してないんだが……。

 

家に着き、中に入る。中には一人の女の子が横になっていた。

 

「これは……酷いな。」

 

服か何かの布で応急処置はされているが左顔中心辺りに裂傷が多くあり、左腕は骨折していた。そのせいで布は赤く染まっている。

 

正直、そんなに酷くない軽めの傷を想定していたんだが……。

 

「なぁ、アヴァロ。率直に言って欲しんだが……俺ので治るのか?」

 

「……正直、少し厳しい。軽いけがは治ると思うが顔の怪我と、腕は出来ない。」

 

それを聞いて、横に居た女性が顔を伏せる。

 

「このままだと傷口が悪化して病気に繋がる可能性も十分に考えられる。フィアなら何とかましには出来ると思うけど……多分治っても顔の跡は残ることになる。」

 

それでも腕は治らないと……。めちゃくちゃ重症だな。でもこのまま放って置くわけにはいかないと。

 

「現段階はどうしようもないのか?」

 

最後の確認でそう聞く。

 

「……さっき言ったのが限界だと思う。」

 

それを聞いて迷いに迷ったが、ここまで来て見捨てるという判断は出来ないと決めて、袋から一つの瓶を取り出す。

 

「……それは?」

 

「これでどうにか出来たりしないか?」

 

ディートヘルムさんに売った内で返された残りの一つである。あの二つが高く売れたんだ。ディートヘルムさんの言葉を信じるならこいつは俺が持っている物よりか上位の物になる。それなら何とか出来るかもしれない。

 

「……っ!?サイトウ、良いのか?これを使って……?」

 

「それなら治せるのか……?」

 

「ああ、これなら治せる。お釣りが来るぐらいだ。」

 

「なら遠慮なく行ってくれ。」

 

そこまでの物だと分かってから勿体ない気持ちが出てくる。少女レベルの怪我をお釣りが来るレベルで治せる代物とか……そりゃディートヘルムさんも返してくるわけだ。くそぉ……。

 

アヴァロが少女に飲ませると、みるみる傷が癒え怪我が消えていく。いつ見ても気持ち悪い光景である。

 

「………ぅん?ママ……?」

 

怪我が治ったのか、目を開ける。それを見て母親が泣きながら抱きしめる。

 

「よかったぁ……。娘を助けていただきありがとうございます!ありがとうございます!」

 

「礼なら横の彼にお願いします。彼の持っている薬が無ければ治すのは困難でした。」

 

「ありがとうございますっ!助けていただき……!」

 

泣き叫びながら俺の両手を掴んで礼を言ってくる。少し怖いので手を……離して頂けると助かるのですが……。

 

「……怪我は治りましたが、少しの間は安静にさせてやってください。」

 

何とかそれだけを絞り出して家から出ていく。至近距離であんなのに耐えられるかっ!!

 

外ではエネ達が大人しく待機しており、俺を見つけるや近寄ってくる。

 

「おお~、大人しく待ってくれててありがとな。今から家に帰るぞ?」

 

エネたちと遊んでいると、家の中からアヴァロが困った顔で出てくる。

 

「お、出て来た。」

 

「俺を置いて逃げなくても良いんじゃないか?おかげでその後の対応困ったとこになったんだが。」

 

「それについてはすまん。あまりにも狂乱している女性が怖くてな。」

 

「まぁ、娘の命を助けて貰ったんだからああもなるさ。」

 

「確かにひどい怪我だったが大袈裟じゃないか?」

 

「そんなわけ無いからな?普通辺境の村で大怪我を追ったら命に直結しても何らおかしくない。今回もそのまま放置してたら傷口から悪化して死んでいてもおかしくなかった。」

 

そこに怪我を少しでも良くできるかもしれないと頼って来たらまさかの完治という事か……確かに親なら狂喜乱舞だわ。

 

「まさかあそこまでの品だったとはなぁ……。」

 

アヴァロと城砦へ向かいながら、片手で顔を覆いながら愚痴を零す。

 

「効果を知らずに持っていたのか?」

 

「いや、高級な物だと言われてたから俺が造ったのよりは良くしてくれる程度の気持ちだったんだが……まさかあのレベルでも完治してしまう奴だったとは。」

 

やっぱり使ったのは失敗だったかもしれない。これでもしもの時が無くなったのだから。

 

「後悔してるのか?」

 

「そりゃ少しはね?……でもあそこで見捨てるのはあり得なかったし、未来ある少女の顔をキズ物にしなかったから良しと考えよう。うん。」

 

無理やり自分の中で落としどころを付ける。

 

「それじゃあ、あれの価値を理解していたら使わなかったのか?」

 

「……使ったんだろうなぁ……。」

 

多分だけど、効果を知っていても結局はあの子の為に渡していたと思う。それも人助けになるから。

 

「ははっ、結局かわらないんじゃないか。」

 

「価値を知っていて使うのと、知らないで使うのではその後の後悔が違うと言う意味で……。結局あれはどれくらいの物だったんだ?」

 

「……正直に言うが、多分死ぬ以外の大抵の怪我なら治せる品物……だったんだと思う。ちゃんと調べてないから確証は無いけど。」

 

オーマイガー。女神はそんな上物を俺に渡していたのか……!

 

「……最悪。聞かなければよかった。」

 

「そう言うと思った。それをお金も取らずに渡して颯爽と去って行くもんな。」

 

「あーもう知らない。早く帰ろう。寝て何もかも忘れたい気分だ。」

 

聞けば聞くほど後悔してしまうのでさっさと城砦に帰ることにした。

 

その姿を、後ろからアヴァロが面白そうに見ていた。

 

城砦に着いてフィアに許可をお願いすると、『もちろんだよ!むしろこっちからお願いしたいくらいっ』と予想通りの回答が返ってきた。





~城砦帰還時~

「二人とお帰りー!…ってエネちゃんが増えてるぅうう!!??え、何この子たち!?お持ち帰りしてきたの?きゃわわわ……。」

「フィアさん、この子たちを城砦で世話してm」

「勿論だよっ!寧ろこっちからお願いしたいくらいっ!!!何なら私がお世話しちゃうっ。」

「うおっ!?あ、ありがとう。」

「えへへ~……沢山増えて嬉しいなぁ。」

「……良かったな、お前ら。」

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