この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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暗殺者のご登場です。


第十三話

 

「うわああああぁっ!!」

 

突如夜の森に悲鳴が響く。大きな音に反射的に体を硬直させてしまう。

 

「っうお!?ビックリした……。なんだ?魔物にでも襲われたのか?」

 

夜の道は危険が危ない。1人ではなるべく出歩かない様にと二人から言われている。が、エネが居るのでこの辺りの生き物なら大抵完封できる。

 

「多分この辺りからだよな。」

 

悲鳴が聞こえた地点と思われる場所に向かうと、そこには人影が二つあった。

 

「頼むぅ、話を聞いてくれよぉ!」

 

「聞かない。」

 

どうやら男の声と大きな影がなにやら懇願している様に見える。

 

「アレが動くなんて知らなかったっ」

 

「イオも知らない。」

 

相手の小柄な……子供か?自らをイオと名乗る子は冷たい声で相手に告げる。

 

様子を伺っていると、何かに失敗して怒られている様にも見えるが……男の方の必死さから危ない雰囲気を感じる。

 

「……エネ。」

 

もしもの時の為にエネを袋から出す。

 

「欲しいの……ある。」

 

「な、なんだ!?金かぁ!?言ってくれ、何でも直ぐに用意してやるぞ!」

 

「いい。もう……欲しいのはここにある。」

 

そう言って背中から自分より大きな剣……肉切り包丁と思われるのを抜く。……これは、まずい流れだな。

 

「首、もらうーーー。」

 

「や、やめてくれ、まってくれよぉ、ぎゃあああぁっ!」

 

「……ッ!エネ、あの剣を撃ってくれ。」

 

振りかぶった剣目掛けてエネから水弾が飛ぶ。大柄な男に振り下ろされる前に剣を弾く。

 

「ーーっ!?だれっ?」

 

剣に当たった衝撃で少しよろめくが、直ぐに体勢を立て直し、こちらを睨む。

 

「痴話げんか……では無さそうだよなぁ。」

 

姿を隠す意味は無いと思い茂みから出る。男の方は、炭鉱夫の様な見た目の……かなり大柄な人だ。もう一人は外套を付けている為よくわからないが、明らかに危険だとは持っている剣で理解できる。

 

「こんな夜道で一体何しているんだ?」

 

明らかに後ろめたい事なんだろうな……と首を突っ込んだことに後悔し始める。

 

「あ、あんたは……!?アヴァロの所の!」

 

「……?おっちゃん、アヴァロの知り合いなのか?」

 

「そうだ!丁度良かった。これ、これだ。あんたに渡すぞ!アヴァロとあの嬢ちゃんと一緒に居るんだろ?それなら関係しているよなっ!?」

 

急にでかい身体を近づかせ、何かの一部を渡してくる。

 

「受け取った、受け取ったよな?これで俺はもう関係ねぇからよぉ!」

 

そう叫んで、俺を置いて一目散に逃げだす。

 

「いや、よくわからんが無関係は俺だろ。勝手に置いてくな。……エネ、捕縛してくれ。」

 

状況も分からずに放置されそうなので男の方を捕まえる。

 

「うわぁ!?なんだよこれっ!離せ!何なんだよぉ!!」

 

喚く男を無理やり目の前まで引きずり込む。

 

「えっと、あんたの方が話通じそうだから聞くけど、何があったんだ?」

 

「それを、渡して。」

 

話し合いかと思えば、急に剣を振りかぶって来た。咄嗟に後ろに下がると同時にエネが剣を弾く。

 

「待て待てっ、事情を聞こうとしているだけだ。理解出来ればそっちに渡しても構わない。」

 

恐らくこれはグアラクーナ城砦の一部かなんかだと思う。アヴァロとフィアが関係しているのならそれ以外考えられない。

 

「言わないし、知らない。」

 

「話し合いの余地なしかよ……やっぱり関わるべきじゃなかったな。」

 

恐らく目の前のこいつは俺が持っている部品を求めていた。それをそこに転がっている奴が城砦から持ち出しここで渡そうとしたんだろう。何かしらのアクシデントがあったか知らないが、部品を渡した後に始末しようとしたって所か?……あれ、これ目撃者の俺も消されるパターンじゃ……?

 

「一つだけ聞いて良いか?」

 

「……なに。」

 

「この場合、首を突っ込んだ俺も殺されたり……?」

 

「目撃者は消す。これは鉄則。」

 

「マジかよぉ……。」

 

今すぐお家に帰りたい。てか絶対こいつ暗殺者だろ、何だよ鉄則て……。

 

「だから……死んで。」

 

「エネッ!逃げるぞ!」

 

男の拘束を解き放置する。自業自得だ、せめて俺が逃げるまでの時間稼ぎになってくれ。

 

「まっ!?まってくれ、置いて行かないでくれ!!」

 

こちらに助けを求める男の声を無視してきた道を全力で駆け抜ける。

 

道に出た辺りで、後ろから断末魔が響き渡る。

 

「次は俺だろうな……。」

 

ここからだと城砦の方が近い、向かうならそっち方面か。

 

「逃げ切れると良いんだけどな……。」

 

夜の道を全力で走る。女神から貰った装備のおかげで想像以上に体力が続く。

 

「ーーー見つけたっ。」

 

そう冷たい声が聞こえた瞬間、エネから水弾が飛ぶ。後ろで金属音が鳴り響く。

 

もう追いついたのかよっ!!?早すぎんか?あの男殺してから放置したってことだよな?

 

あんなデカい獲物担いでるのにも関わらず、素早い動きでこちらと距離を詰めてくる。

 

「持っている物、渡して。」

 

「うおっ!?」

 

俺の体に暗殺者からの手が伸びてくる。それを咄嗟に横に避けたが、動きが止まり追いつかれてしまう。

 

「ふぅ……、城砦まではもう少しか……。」

 

逃げ切ればアヴァロとフィアが居る。三対一なら何とかなるはずだ。それまで逃げ切れればいい。

 

「……エネ、デカいのをかますぞ。」

 

袋から水を取り出し、エネに渡す。

 

「今回は特別サービスだ。好きなだけ飲んで打ちまくってくれ。」

 

エネが瓶を体に取り込む。すると体から大量の水弾が発射される。しかし目の前の暗殺者は獣の様な俊敏性でそれを躱し、剣で弾いていく。

 

その隙にまた距離を空ける。が、それに気づいて更に距離を詰めてくる。

 

「……近距離まで来たら、デカいのをぶちかましてくれ。」

 

エネに指示を出し、背中を向けて全力で走り出す。後ろでは水弾が弾ける音と、金属音が鳴り響く。

 

「ーーー捕まえた。」

 

すぐ後ろで、小さく聞こえる。

 

「エネッ!!」

 

咄嗟に前に飛ぶ。その瞬間俺が居た場所に巨大な水弾が落ちてくる。

 

「ーーっ!?」

 

俺を捕まえようとした暗殺者は危険だと判断し咄嗟に後ろに下がる。地面に直撃した水弾は激しい音を立てる。

 

「地面がえぐれる威力って……避けれてなければ俺も死んでたな……はは。」

 

間一髪、だがもう追いつかれてしまった。さっきの様な手は通じないはず。

 

「くそ……城砦は目の前なのに……。」

 

一回、あと一回隙が出来れば……。

 

「早く渡して。」

 

「……そうするよ、命が惜しいしな。」

 

なるべく持ち帰りたかったが、背に腹は代えられない。後で二人には謝っておこう。

 

「これだよな?求めている物は……?」

 

「それ。」

 

「そんじゃあ、渡すから……取ってきな!」

 

城砦の部品をエネに入れ、高速で打ち出す。飛び出した部品は暗殺者の遥か後ろに飛んでいく。

 

「!!?」

 

「目的はあの部品だろ?良いのか?あっちを取りに行かなくて……。」

 

一瞬迷った末に、後ろに走って行った。

 

「今の内に城砦まで逃げるぞ。」

 

追手が居ない内に城砦に向かって走る。麓に近づくと、正面から人影が見える。

 

「サイトウ!!」

 

「サイトウさんっ!なにかあったの!?」

 

「はぁはぁ……二人とも、どうしてこっちに?」

 

「帰りが遅いから外に様子を見に来たら遠くで戦闘音が聞こえたんだ。」

 

「大きな音がしたからサイトウさんに何かあったかと思ってアヴァロと様子を見に来たの。」

 

「そうだったのか、マジで助かった……。」

 

「それで、何かあったのか?」

 

「端的に言うと暗殺者に追われてる。」

 

「暗殺者っ!?なんで?」

 

「城砦の部品と思われるのを受け渡ししてる現場に遭遇して、目撃者は殺すといきなり……。」

 

「城砦の一部を……?」

 

「ああ、一度は俺が所持したんだが、逃げるための囮に使った。すまん。」

 

「いや、部品よりサイトウの命の方が優先だから間違ってない。」

 

「そうだよっ、サイトウさんの命の方が大事なんだから!」

 

「……ありがと、それで、その暗殺者がもう少しでここに来ると思う。」

 

「目撃者は逃がさないってこと……だよね?」

 

「ああ、間違いなくサイトウの命を狙ってくる。」

 

「先に謝っておきたい。暗殺者が来るって事は二人も対峙することになる。対象が俺だけでは無くて二人も含まれることなってしまう。」

 

「そんな事か、気にすんな。元々城砦の問題だろ?遅かれ早かれ出くわしててもおかしくないさ。」

 

「そうだよ、寧ろここで相手が分かるんだから、相手にとっては嫌な事だと思うよ?」

 

二人の言葉に安堵する。頼もしすぎて涙が出そうだ。

 

「……いた。」

 

暗闇から姿を現すと同時に二人が戦闘態勢に入る。

 

「……三人に増えた。」

 

「よぉ、暗殺者さん。一体城砦になんの目的だ?人様の物を奪ってまでして。」

 

「知らない。言う必要もない。」

 

「確かに、ごもっともだ。」

 

恐らく依頼されただけで詳しくは聞いてないんだろうな。

 

「それに、三人だけじゃないよ?……えいやっ!」

 

フィアからの謎の掛け声とともに精霊と思われる子供が召喚される。

 

「……ん?フィア、出番?」

 

「うん、出番だよ、華燐結騎ちゃんっ。」

 

「んっ!がんばる。」

 

そう言って杖を翳すと、後ろからゴーレムが出現する。

 

「……これは流石に分が悪い。」

 

「どうする?今からでも逃げても良いぞ?」

 

「……そうさせてもらう。目的は達成できた。」

 

そう言って暗殺者は森の中へ消えていく。

 

「……無事去っていた……で良いんだよな?」

 

安心できず思わず二人に聞く。

 

「多分大丈夫だと思う。流石にここから戦うのは向こうが不利ってわかっていたしな。」

 

「……はぁーーー。これで一安心か。」

 

「何があったか詳しく聞きたいが……取りあえずは城砦に戻ろうか。」

 

「是非そうしたい。安全な場所で暖かい物でも飲みたい気分だよ……。」

 

その後、二人に慰められながら城砦へと無事帰宅し、経緯を説明した。落ち着いた後は今日の成果と、村の人から貰った野菜と種を袋から出して今後栽培をしたいと提案した。

 

「私は賛成だよ!美味しいお野菜が食べられるんだよね?」

 

「上手く行けば可能だと思う。何度か挑戦していく必要があるかもしれないけど。」

 

「俺も賛成だ、何か手伝えることがあったら遠慮なく言ってくれ。」

 

「私も手伝うよっ、皆でたべたいしね。」

 

二人の許可も下りた事だし、城砦で可能か試していこう。

 

命を狙われたのにも関わらず、頭の中はすっかりと野菜を栽培していく事に変わっていた。





何とか無事生き延びることが出来ました。

後二、三話で第一章が終わりそうです。

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