この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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第二章開幕です。


第二章:魔法の目覚め
第十七話


 

インフルース王国とのひと悶着から落ち着きを取り戻す程度に時間が経った今日、俺はまた商会の宣伝……出店の為にクミル村まで来ていた。

 

いつもの場所に場所を取り、同じように販売を始める。この時間帯に同じ場に居るという印象はすっかり付いた様で、今ではちょくちょく子供や待っている人まで居る程度には周知されてきた。

 

一応村なのでお金だけではなく物々交換も頻繁にしている。基本的に俺が造ったものは物々交換が多い。だって価値つける程職人でも何でもない。そこは村人とのフィーリングで何とかしてる。たまに善意で貰うのでこちらも色を付けて渡したりと結構緩い感じである。二人にも今の所は問題無いと言われているのでこれで良いと思う。

 

あれから、女神から魔力貯蓄可能な指輪を貰ってから魔法の練習を始めている。アヴァロにわざわざ練習場まで作って貰っているが、今の所これと言って使えていない。出来たのは手から少しパチパチするレベルの放電が出た程度で髪の毛など逆立てたり、マッサージに役に立ったくらいである。なぜかフィアからは絶賛だったが……。本人曰く、『人の役に立てる使い方のほうがずっと良いことだよ!』との事。なんとも、らしい台詞であった。

 

「俺は戦闘に活かしたいんだけどなぁ……。」

 

手からパチパチと光が走る。これでも成長した方と言うのが悲しい所。しかも使い続けると指輪からも消費していくという……。

 

「暫くはエネに育ててもらうしかないか。」

 

そうしたいが、最近は時間が足りていない。アヴァロ達の手伝いで村人からの修繕やそれの素材集め。城砦のインフラ整備や内部の調査。やる事はあり過ぎる、商会の名が広まるのは良い事だが三人でやりくりしていくのはこの先厳しい。一応二人もそれは考えていたようで出来れば人手も集めよう程度には探していたりする。

 

商売を続けていると、少し離れた場所に目立つ格好の子が居た。ここ何日かで村でよく見かけるが外部の人だと一目で分かる容姿をしていた。何と、耳と尻尾が付いているのであるっ!天使とエルフに続き獣人が居るのだこの世界は!フィア辺りが見つけたら襲い掛かりそうなくらいには可愛い見た目である。

 

何かに失敗したのか、少し落ち込んで歩いている様に見えるが……。

 

「………。」

 

あまり見過ぎるのは良くないと分かっているが、耳と尻尾が珍しくついつい見てしまう。すると、ふとこちらを見て目が合う。

 

咄嗟に顔を逸らすのはまずいと思い、笑顔で返す。目が合った少女は、一度下を向き顔を上げると気合を入れた表情をしてこちらに向かってくる。

 

「い、いらっしゃい。何かお求めで……?」

 

内心焦りながらも営業スマイルで何とか声をかける。

 

「あ、あの。貴方はこのお店を持っている方でしょうか……?」

 

「……ん?ああ、まぁ責任者は私ではありませんが、一応任されている感じですかね?」

 

今日この場は一応俺の采配で良いと言われているので責任者と言えばそうなんだが、代表では無い。

 

「お願いがありますっ!わたしを雇ってください!お仕事何でもできます。」

 

なんか切羽詰まった様子でこちらに頼みを入れてくる。仕事を探しているのか?

 

「職を探している……で良いのかな?」

 

「はいっ!何でもしますので雇ってはいただけないでしょうか!」

 

……こんな子がそこまで言うとは、自力で生きて行かないといけない生活でも送っているのか?

 

「えっと、俺の判断で直ぐには雇う事は出来ないから代表の人の意見を仰がないといけないんだけど……。」

 

「それはいつごろになりそうでしょうか……?」

 

「そうだな……早くて明日にまたここで、って感じになるのかな……?」

 

「雇ってもらえるのでしょうか……?」

 

「……大丈夫だとは断言できないけど、君の人柄とか何が出来るかまだ分かっていないから何とも言えない……かな?」

 

「わ、わたしは魔法が使えます!これっ!魔法書です!それに人格者です!良い人ですよ?」

 

自分で良い人とか言っちゃうのかー。てか、魔法が使えるのか……?

 

「魔法が使えるのか……?」

 

「えっ?は、はい!それは勿論です。魔法書を持ってますから!」

 

……個人的に凄く雇いたい。そして魔法とやらをこの子から学びたい。触媒みたいな感じで魔法書が無いとダメなのか?

 

「一つ提案があるんだけど……。」

 

「はい!何でしょうか。」

 

「今日一日、俺と一緒にここで売り子の手伝いをしてくれないか?勿論働いた分だけの報酬は出す。それと、君が問題無いと思えば責任者に俺から口添えをしようかと思う。」

 

「えっと……こちらとしてはとても嬉しいのですが……良いんでしょうか?」

 

「勿論、ちゃんと宣伝を手伝って貰うのと……出来れば魔法について俺に色々教えて欲しい。」

 

「魔法について……ですか?」

 

「最近勉強を始めたんだけど上手くいっている感じがしなくてな。少しでも話を聞ければ良いなと考えている。と言う条件でどうだ?」

 

「えっと……はい。それで良いのでしたら、是非おねがいします!私で分かる事でしたら教えますっ!」

 

雇用については間違いなく通るとは思うが、念のためお試しはしておいた方が良いだろう。魔法については俺個人の事なので報酬はポケットマネーからである。

 

「じゃあ早速今からお願いするよ。ようこそ、グアラクーナ商会へ。」

 

「グアラクーナ商会ですね!分かりました、宜しくおねがいします。」

 

お互いに握手を交わし、日雇いのアルバイト(仮)を手に入れた。

 

 

 

 

「という事が今日あったんだが……。」

 

「へぇー、雇って欲しい人がもう見つかったんだな。」

 

その日の夜、三人で集まり今日の事を報告していた。

 

「耳と尻尾かぁ~……。ぜひ、ぜひとも!もふもふしたい!」

 

案の定フィアはこの有り様である。

 

「今日見た感じだと真面目な性格で仕事もきちんとこなしてくれたから人格面に問題は無いと思う。……少し誇張してきたりはしたけどな。」

 

あれはただ雇って欲しさで出た感じだろう。就活学生がやるのと同じ事だ。

 

「サイトウがそういうなら問題は無さそうだな。後は魔法が使えるんだって?」

 

「みたいだな。是非俺にも教えて欲しい。実際のを見たけどなんか雪だるまが湧いて来て面白い魔法だったな。」

 

「雪だるまが……?」

 

「なにそれ可愛い~。」

 

「想像していたのと違って当てが外れた感はあったけど面白かったぞ?その子の周りからポコポコと出てくるからな。」

 

あれは俺が思っていた魔法とは違ったが、あれはあれで勉強になった。魔法にも色んな種類があると知れただけでもお釣りが来る。

 

「ま、自分に活かせないのは残念だったが……。」

 

手を広げ意識すると手の平にパチパチと電気が走る。

 

「あ、それ今日もお願いしてもいいかな?」

 

「ん?良いぞ。制御練習にもなると思うし。」

 

「やったー!アヴァロは?次の日体の疲れスッキリだよ?」

 

「はは、そうだな。フィアの後にでもお願いしておこうかな。」

 

「すっかりマッサージ魔法となっているな……。」

 

「それで?明日にここに来るで良いのか?」

 

「城砦に来てくれって一応伝えてはいる。後は二人の判断に任せるよ。」

 

「了解。ま、フィアの様子を見る限り決まった様なもんだけどな。」

 

「私は雇いたい!そしてモフモフしたい!」

 

「欲望丸出しじゃないか……。」

 

「セクハラで逃げられないと良いんだけどな……。」

 

 

 

 

 

「イオル、お仕事が決まったよっ!」

 

「よかった。おめでと。」

 

「明日からたくさん稼ぐからね。」

 

「稼げる場所……?」

 

「うんっ!見てこれ!」

 

「これは……?」

 

「今日お手伝いした報酬だよ。お手伝いでこれなら雇ってもらえたらもっと稼げるかも……!」

 

「お~。ミケユ凄い。」

 

「えへへ…。それにね、ご飯も貰ったの!」

 

「すごい……。ほんとに沢山稼げる場所かも。」

 

「太っ腹だよね?今日はお仕事が決まった記念日だし、たくさん食べよう!」

 

「……いつも沢山食べているような?」

 

今日の報酬が良かったのは、あくまで支払った彼の気前が良かっただけである事を知らず、明日からの仕事について二人で話し合うのであった……。






マッサージ魔法……。雪だるま魔法……。

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