この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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雪だるま職人のこと、ミケユの採用試験です。




第十八話

 

 

「それではアヴァロさん、よろしくお願いします。」

 

知り合ってから次の日、城砦まで足を運んでもらった少女ミケユと自己紹介を済ませ、早速魔法の試験をするということになった。

 

「よし、それじゃ試験開始しよう。城砦肩部に付着している結晶を魔法で破壊してくれ。物理的な攻撃には強いが、魔法なら簡単に破壊出来るはずだ。」

 

アヴァロが指差すものは以前俺が破壊出来ずにエネが粉砕した練習台である。確認の試験にはピッタリなんだろう。

 

「は、はい。頑張ります!」

 

「あれ?ミケユちゃん緊張してたりする?」

 

「そ、そそそんなことは。だってわたし魔法使えますしっ。」

 

「……なんだか怪しくなってきたが大丈夫か?」

 

慌てるミケユに二人が疑わしい目を向ける。

 

「大丈夫です!わたしは絶対に合格して見せます!」

 

まぁ多分ここで魔法が駄目でも雇う事は決定しては居ると思うけどな。魔法で駄目なら俺は落第しているし。

 

こうして魔法の試験が始まったんだが……。

 

「ぅう~……。」

 

魔法書と結晶を交互に睨めっこし合い、魔法を撃つが一向に壊れない。

 

「ま、まだまだっ!」

 

「何度か撃っているが壊れる気配はないな。」

 

「ああ、今のだといつまで経っても壊れはしないと思う。」

 

アヴァロから、『これ以上は意味が無さそうだな……。』と呟く声を聞き、試験は終了となった。

 

「お疲れさま、これで大体の実力は把握できたよ。」

 

うなだれているミケユがビクリと反応する。

 

「じ、じつはまだ魔法書を持ったばっかりで……い、いや、今日は調子が悪かっただけなんです!これからいっぱい魔法を使えるようになるのは間違いないんですよ?」

 

「ああ、分かっている。だけど試験の結果は正しく評価しないとな。」

 

まるで不合格みたいな言い方に聞こえるなぁ……。

 

「で、ですよね……。」

 

アヴァロの言葉を聞き、耳と尻尾がしょんぼりとしている。

 

「ねぇアヴァロ、ミケユちゃんは良い子だよ?」

 

しょんぼりとしているのを見てフィアからフォローが入る。

 

「分かってる。悪い様にはしないさ。……さて、試験の合否を伝えよう。」

 

「……不合格、ですよね。イオルになんて言おう……。」

 

「早とちりするなって。安心して良いぞ、合格だ。」

 

「え……や、雇ってくれるんですか!?」

 

アヴァロからの想像とは逆の結果を聞き、驚愕の顔をしている。ついでに耳と尻尾元気になっている。

 

「ああ、とは言っても魔法だけじゃ賃金を渡せないから色々手伝って貰うことになるぜ?」

 

「で、ですよね?」

 

「最初は雑務を手伝って貰いながら空いた時間で自分を磨くってことで。」

 

「私と一緒にガレキとかお掃除しよう。大丈夫、綺麗にするのも楽しいよ。」

 

「う、力仕事ですか……でも働けるだけでも十分ですよね。うん、頑張ります。」

 

「それか、素材集めや村への販売と宣伝、畑仕事に城砦や村の修繕と依頼もある。」

 

「やる事が沢山あるのですね……。分かりました!」

 

「こっちのサイトウは主に、販売と宣伝……こっちは昨日手伝って貰ったから大丈夫だと思う。それから畑関係とかか。」

 

「逆にアヴァロは修繕と依頼を受けたりとかを中心にしているな。素材集めや修繕は皆でしたりもしているからやってもらう事も多いと思う。」

 

「これからよろしくね、一緒に楽しくお仕事しよ~っ。」

 

「はいっ!あ、そういえば来た時に気になったんですが、この城砦って色んな文字が書いていますよね?」

 

「ああ、ここは知識の宝庫だぜ。折角城砦で働けるんだ、興味があるなら勉強してみると良い。」

 

「したい、けどわたし、少ししか読めないんです……。」

 

「ふむ、ファスティナ神聖語(現代魔法語)が読めれば色んなことへの理解も深まるだろうし、魔法だって上手く扱えるかもしれない。作業の合間にはなるだろうけど、俺で良ければ読み方をおしえてやろうか?」

 

「ぜひご教授を。色んなこと出来る様になりたいです。」

 

めっちゃ向上心ある子だな。雇って正解みたいだ。

 

「俺以外には、サイトウも読み書きどっちもいけるから俺が出来なさそうならそっちに頼んでくれ。」

 

「ん?俺か?」

 

「ああ、どっちも難なく出来るだろ?」

 

「一応……出来るが、俺で良いのか?」

 

女神からこの世界のは一通り教えて貰っているが……。

 

「いつものを見ていれば問題無い事くらいわかるさ。何なら俺より大丈夫なくらいだぜ?」

 

「そうか……?それならいつでも言ってくれ。時間見つけて教えるよ。」

 

「はい!お願いします。」

 

「さて、まだまだやる事は山ほどある、ミケユにも早速働いて貰うぞ?」

 

「どんとこいです。むしろ手加減なんかしないで下さいね。私は大人ですから!」

 

流石にその容姿では無理があると思うんだが……。魔法と同じで今後に期待しておけってか?魔法に関しては人に言えたことじゃなんだが……。

 

 

 

 

 

「今日はサイトウさんとですね?よろしくお願いします!」

 

「ああ、よろしく。今日の流れを確認しておこうか?」

 

「はい、お願いします。」

 

「ええっと、最初に城砦内の探索をしようかと思う。これは素材集めをだな。ある程度集めたらそれらを工房に保管しておいて、クミル村へ物を売りに行く。これは前にも一緒にしてもらった奴ね?」

 

「前の時のですね?大丈夫です、ちゃんと覚えています。」

 

「流石。大人の女性というだけはあるな。」

 

「え、そうですか?それほどでも無いですよ……えへ。」

 

自分で宣言しているのに褒められると照れるんだな。

 

「ここはある程度で見切りを付けて終わろうかと思う。それが終わったら、近くの湿地森へまた素材集めだな。」

 

「また素材集めですか?」

 

「ああ、今ある木材とかの建築物資じゃ少し心許ないからな。今の内に蓄えようかと思う。」

 

「わ、分かりましたっ!」

 

「そこもある程度で終わって村へ戻って今度は村人との交流だな。これは相談事や依頼が無いか適当に聞いて回るだけなんだが……。」

 

「お、終わりじゃないんですね……。」

 

「その後は……」

 

「そのあと!?」

 

「え?ああ、城砦に戻るんだけど……。」

 

「ああ、そうなんですね……。よかった。」

 

「城砦に戻って今日の素材を保管して、売り上げのリストをまとめてアヴァロ提出します。」

 

「了解です。」

 

「その後は、城砦の畑仕事したり、身のまわりの事をして終わりって感じかな?」

 

「け、結構ハードなスケジュールなんですね。」

 

「ま、今は忙しい時だろうな。もう少し落ち着いたら楽になると思うよ。んじゃ、まずは探索に行こうか。」

 

「分かりましたっ。……一つ良いですか?」

 

「ん?何でも聞いてくれ。」

 

「サイトウさんって戦えるんですか?」

 

……やっぱり俺って弱く見えるんかな?いや、知っているけどさ。

 

「そこは問題ない。俺の代わりにこいつが戦うから、エネ。」

 

名前を呼ぶと、グローブから出てくる。

 

「うわっ、え……精霊ですか?」

 

「そうそう、相棒って奴だ。名前はエネと言う。」

 

「初めて見ました……。確かにここには水精達が居るなとは思ってはいましたが……。」

 

「一応皆仲間的な感じだな。」

 

「そうなんですねっ、わたしミケユって言います。よろしくね?」

 

ミケユから握手と手を伸ばされ、一瞬不思議そうに見たが握手をし返す。おお、ちゃんと出来る様になっている。

 

以前からの成長を感じて頭を撫でると、いつも通りにこちらに抱き着いてくる。

 

「凄く仲が良いんですね……。精霊とここまで仲が良いだなんて。」

 

「最早家族みたいな感じだな。手のかかる奴だけど戦いでは助けられているよ。」

 

「そうなんですね、その気持ち分かります。」

 

「ミケユにも似たような家族が?」

 

「はい、イオルという名前の仲良しの子です。一緒に暮らしてます。」

 

「その子、無口でちょっとぼんやりしているのが危なっかしくて。だからわたしがいっぱい勉強して、いっぱい稼いで、二人で豊かに過ごしたんです。」

 

「なるほど、その面倒見の掛かるその子の為に稼げる仕事を探していたのか。」

 

「はい、なのでここで雇っていただいて凄く助かりました。ありがとうございます。」

 

嬉しそうに尻尾を振っている様子から本心だと分かる。やはり感情とリンクしているのだろうか?

 

「じゃあ、その為にも頑張らないとな。」

 

「はい!任せてください!」

 

 

 

 

 

「よし、探索はこの程度で切り上げるか。次に行こう。」

 

「あ、あの数の魔物が……。は、はい!次ですね。」

 

「この工房でいつも作っているんだ。アヴァロからも許可を貰っているから問題ない。今日は保管だけで制作はしないけどな。」

 

「へぇ……ここが工房ですか。」

 

物珍しそうに周りをキョロキョロしている。

 

「一応危険な物とかもあるから、触らない様にな。」

 

「はい、大丈夫です。」

 

 

 

 

 

「時間も良い頃だし、一旦昼食にしようか。」

 

クミル村で商売をし、昼頃になったので中断する。

 

「分かりました。お昼ですね!」

 

「そうそう。あ、はいこれ。これで好きな物買って来て良いぞ?」

 

「え、良いんですか?」

 

「ちゃんと頑張っているしな。商会のお金じゃなくて俺個人のだから気にせず食べたいやつ買って来て良いぞ。俺からの正当な報酬という事で。」

 

「ありがとうございます!」

 

「俺の分も適当に美味しそうなのがあったらついでにかってきてほしい。」

 

「任せてください。選りすぐりの物を買ってきます!」

 

この村にそんな上物とかあったかな……?まぁ、嬉しそうだし良いとするか。

 

少し甘やかしている気もしないでもないが、生活に困っている女の子だ、多少はバチは当たるまい。

 

そうして昼食を食べた後、次へと向かった。

 

 

 

 

 

「今回はこの位にしてまた次に来ようか。」

 

湿地森の南に居る木精を見つけ次第狩り、ある程度集まったので撤退することにする。

 

「ここに居るのって木精ドリュアスですよね……?あんなに弱い相手じゃないと思うんですが……。」

 

「だと俺も思う。」

 

「エネちゃんが強いってことですよね。」

 

「ああ、それと対照的に俺は弱いからな。」

 

自分で言ってて虚しくなる。何が悲しくて自分より下の女の子に雑魚宣言せねばならんのだ。はぁ…。

 

 

 

 

 

「依頼は特に無さそうだな……。」

 

「改めて思ったのですが、商会って随分とこの村の人に信頼されているんですね。」

 

「まぁな、今までの積み重ねが実を結んでいるのが目に見えるよ。」

 

「サイトウさんも何人かに崇められてませんでしたか……?」

 

「……あれは村人たちの悪乗りみたいなもんだ。冗談だよ。」

 

「そうは見えませんでしたが……。特にさっきの親子なんて絶対神聖化していましたよ。」

 

「……ああ、あの人たちは、してもおかしくないかもしれないなぁ。」

 

「何故か野菜まで頂きましたし、また来てくださいって。何かあったんですか?エネちゃんと女の子は仲良い様に見えました。」

 

「少し前に困っていたのをアヴァロと一緒に助けただけだよ。そのお礼にって、ありがたいことに今でも交流が続いている。」

 

「一体何があったらあそこまで感謝されるんでしょうか……。」

 

「……すべては、縁を司る現神、フィア様の恩恵です。」

 

「……分かりました。そう言う事にしておきます。」

 

黒歴史なので突っ込まないでいただけると助かります。

 

 






後半へ続く……。

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