前話の後半です。お仕事のお話を適当に書いています。
村での仕事も終わり、城砦へと帰還し二人の場所へ向かう。
「ただいま。」
「あ、サイトウさん。おかえりー。ミケユちゃんもおかえりっ。」
「……はい、ただいま戻りました。」
「お疲れの様子みたいだから休ませてやってほしい。」
「おおー…、よしよし、頑張ったねぇ、お疲れさま。」
「あ、あの、フィアさん?どさくさに紛れて耳を触らないで下さい。」
「バレたか。」
「バレバレですよ、もう。」
「お、二人とも帰ったのか。」
「今、ちょうど帰って来た。後で今日の分提出しておくよ。」
「そういえば……ま、まだお仕事終わっていませんでした……。」
ぐったりとしているミケユから枯れたような声が漏れ出る。それをフィアが撫でまわしている。
「どうする?一応今日は終わりってことで良いけど……後はそんなに無いし。」
「い、いえ!最後までちゃんとこなします!お金を頂いているのですから。」
「ミケユちゃんは偉い!しっかりものだよー。」
「当たり前です!わたしは大人の女性なのですから。」
死にそうな声で言われてもな。
「了解、それじゃあ五分だけ休憩してから再開しようか。」
「わ、分かりました。」
休憩と聞いて再び溶け始める。ぐにゃぁっと。
「少し、無理させたかもしれないな。」
「あれは流石に疲れるだろ。」
「……実は少し減らした。」
「……サイトウはもっと数を減らした方が良い。」
次からは気を付けようと決め、工房に向かう。
「休まないのか?」
「物を置くのと数を確認してくるだけ。直ぐに戻るよ。」
小声でそう告げて工房と保管場所に向かう。
「あれ?サイトウさんは休憩しないの?」
「今日の分の物だけ置いてくるってさ。直ぐに戻って来るよ。」
「あ、あの……、サイトウさんっていつも今日みたいなことをしているのですか?」
「そうだねぇ……いつも頑張っているね。」
「そうだな……。正直に言うけどな、今日のは数を減らした方なんだ。」
「え……、今日ので、ですか?」
「ああ、多分ミケユが初めてという事もあって余裕を持たせていたんだと思う。」
「あ……あれでまだ全力ではない……がくっ。」
「ああっ!?ミケユちゃんが!」
「現実を受け入れられなかったみたいだな。」
「でも、私ももう少しゆっくりでも良いと思うな。すっごく助かってるのは分かっているんだけどね。」
「そうだよな、本人は問題無いって言っているけど。かなり詰め込んでいると思う。」
「この後も、畑の様子見して……後は自分の鍛錬をしているしなぁ。」
「私も負けてられません!もっと頑張ります。」
「おおっ、ミケユちゃんが復活した。」
「俺も負けない様にして行かないと。それとは別にミケユだけでは無くて更に人手が必要になるな。」
「あ、それならわたしの方から一人雇って欲しい子が居るのですが……。」
工房から戻ると、三人でワイワイと話している場面に遭遇する。いや、正確にはフィアがミケユに絡みそれをアヴァロが止めている場面なんだが……。
「あ、サイトウさん。おかえりー。」
「またミケユを撫でまわしてる……で良いのか?」
「そうだよー?やっぱりモフモフは正義だよね!」
その意見は激しく同意。とだけ言っておこう。
「最後の仕上げがあるから少し離して貰ってもよろしくて?」
「お仕事ならしょうがない。許してあげよう。」
「ははっ、フィア様の寛大なお心遣い。このサイトウ、深く感謝いたします。」
その場のノリで片膝を床に付ける。
「それじゃ、許可も貰ったし最後の一仕事としようか?」
「え?あ、はい。分かりました。」
今の悪ノリを見て混乱している様だ。それを見てアヴァロが苦笑いをしている。
「と言っても最後は帳簿して終わりなんだけど、これはある意味一番大事な仕事だから。」
「一番大事なお仕事……!」
「ああ、城砦で持っている物資、金銭、その動きを簡単にだけど記録しているんだ。商会だからな。一応残しておこうかと。」
「た、大変な役目ですね。」
「そこはほんと助かってるよ。サイトウが数字に強い人で。」
「私とか全然だからねっ!」
堂々と言う事なんだろうか……?まぁ女神に経理とかなんかシュールだけどな。それは下々の役目だーってなりそう。
「そんな大したことはしてないから全然だぞ?ただ数の確認と出し入れした物の記録を残すだけだし。」
「それを頭の中で計算している時点で大した事だと思うんだがな……。」
「サイトウさんって以前に商人とかされていたりしたんですか?」
「えー、旅人って言って無かった?」
「以前か……。何してたんだろうな?強いて言うなら色々?」
「色々ですか……?」
「商人もしてたし、国に従えてたりもあったし。後は研究とかもしてたぞ。そして少し前までは旅人だ。」
「随分と濃い人生を送ってたんだな……。」
「その計算力はこれまでの仕事で会得したのか?」
「ん?いやこれは子供の時に学んだ結果だ。大人になっては大して活躍しなかったけどな。」
学生の時に学んだことは基礎以外はあまり使う場面は見出せなかったな……。専門なら話は違ったかもしれないが。
「へーー、それじゃあ色んな場所を旅してきたってことだね!」
「かもな。そして今もそれは続いてる。女神さまに同伴する形でだけど。」
皆と会話しながら用紙に今日のを記入していく。……後で木材と石材、粘土辺りはまた調達しておかないと。
「と、まぁこんな感じで書いているんだが……。」
一通り書き終え、ミケユに紙を渡す。
「確かにこれは一目で分かりますね……。」
「最後にミスが無い事を確認したら、これをアヴァロに渡す。」
「ああ、これを見て今後の計画とか進捗を調整していくって感じだな。」
「なんだか……凄くお仕事をしているって感じですね!」
「はは、そうだな。流石にミケユにここまでは求めてないけど、いつかしてもらうかもしれないから頭の片隅に置いといてほしい。」
「はいっ、分かりました!」
「おわった?それじゃあ、ご飯にしよ!今日も野菜をたくさんもらってるから豪華になりそうだね!」
「調理技術はそんなに無いから上手くいかせないけどな。」
「後は調味料があれば革新を起こせるんだけどな……。」
「お料理でしたら、イオルが得意ですよ?」
「ミケユの家族の子か?」
「はい。たまに作って貰っています。」
「是非ともその子もここで雇いたいね!」
「今度連れて来るので、その時はよろしくお願いします。」
どうやら、もう一人もここで雇う話になっているらしい。話を聞く限り悪い子でも無さそうだし大丈夫だろう。人手欲しいし。
その後、ミケユを途中まで見送り、城砦へ戻る。今回も俺からおまけで野菜を少し分けておいた。
「ただいまっ。」
「ミケユ、お帰り。今日はどう?」
「うん、ちょっと疲れたけどちゃんと終えたよ!」
「さすがミケユ、お疲れ。」
「うん、ありがと。それでね、今日はお野菜貰ったの。」
「今日も?」
「そう!サイトウさんって人がいつも帰り際に分けてくれてるの、『二人でたべてくれ』って。」
「おお、もしかして神さま?」
「だよね!多分だけど、内緒でくれてるんだと思う。こっそり渡してるから。」
「イオはもう、その人に足を向けて寝れない。」
「ふふ、ほんとにね。あの時に声をかけて良かった……。あ、それじゃイオル、これお願いね?」
「任せて。」
「あ、あとね。そこでイオルも雇って貰えないかって相談してみたの。」
「イオも?」
「うん!今度連れて来て欲しいって。もしかしたら一緒の場所で働けるかも。」
「……分かった。ミケユと一緒になら。」
「えへへ、それじゃこっちは問題無いって伝えるね。」
「うん。」
二人同じ職場で働けるかもしれないと期待しながら、イオルの作る料理を楽しみに待つミケユであった。
徐々に不穏が……。
因みにですが、本来なら原作でアヴァロが狙われており、依頼主にアヴァロの情報が渡っていますが、今回は『男に目撃された』としか情報は無いです。依頼主から追加で来ていないので基本放置。見つけたら始末しよう程度の考えです。