この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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イオル再来。

幽霊イベントはスキップさせました。


第二十一話

 

「………。」

 

 お互いに口を開かずに黙り合う。

 

「サイトウさん?試験しても大丈夫ですよね?」

 

「あ、ああ……。その子がミケユが前から話していたイオルって子で……良いのか?」

 

「え?はい、そうですよ。前に話した私の家族です。」

 

この場合に、目の前の暗殺者がこちらに接触する為に取り入った説は薄いだろうな。向こうも俺を見た時動揺してたし……。ミケユがグルで引き連れて来たってのも可能性としては無いだろうな。

 

つまりお互いにとって想定してない再会ってことになる。隣もアヴァロも警戒するように俺を見る。

 

「アヴァロー?どうしたの?ミケユちゃんがまだこっちに来ないよー。って居るじゃんっ!モフモフがもう居るじゃん!」

 

こちらに来たフィアが二人を見て抱き着きにかかる。

 

「おい!?フィアッ。」

 

「ミケユちゃんおはよ~。あ、こっちの子もおはよ~。んんー、モフモフ。」

 

「フィアさん!?挨拶代わりに触るのやめてください!?」

 

「っうぐ……。」

 

「いいじゃない減るものじゃないし。」

 

「減りますよ、乙女心がゴリゴリと。」

 

「二人ともそろったなら、早速はじめちゃお!二人とも、こっちこっち。」

 

「ああっ、引っ張らないで下さい!?ほら、イオルもいこ。」

 

フィアに手を引っ張られながら部屋へ入って行く。

 

「……どうする?」

 

「今のとこ危害を加えそうな気はしないが……。半分フィアに押されてる気もしてるけど。」

 

「話は聞いておく?……一応。」

 

「そうだな、何か事情があるのかもしれない。」

 

念のためエネを呼んでおこう。自己防衛の為に……。

 

 

 

 

「ちっちゃくて可愛い……ぎゅ~。」

 

「うぐ。」

 

エネを連れて部屋に戻ると、無抵抗の暗殺者……イオルをフィアが撫でまわしていた。

 

「えっと、試験は……?」

 

「私は採用でっ!」

 

「って、感じで採用一択しか言わない。」

 

困ったような顔でアヴァロがこっちを見る。

 

「まぁ、それは予想通りなんだが……。」

 

イオルの隣に座っているミケユからは悪意や罪悪感が見られない。もしかして知らないのか……?

 

「あー…、一応自己紹介しておこうか。」

 

「私はフィア。縁を司る神様だよ、よろしくー!」

 

頭にスリスリと頬を当てながら自己紹介をしている女神さま……。

 

「俺はアヴァロ。一応ミケユが働いてるこのグアラクーナ商会の責任者って形だ。」

 

「えっと、斎藤です。ミケユと同じく雇われている……で良いんだよな?三人とは仲良くさせてもらってます。」

 

「あなたが、サイトウ……。」

 

え。なんで俺の名を既に知ってるみたいな言い方してんの?

 

何か知ってるのかとミケユを見る。

 

「ええっと、イオルによく話すんですよ?お世話になっていますし。」

 

「ええ!?なにそれ、私やアヴァロの名前は出してくれないのー?」

 

「確かにお二人にもお世話になっていますが……その。」

 

「ん?ああ、サイトウには色々貰ってるから名前が出る機会が多いのか。」

 

「あ、それでなのかー。サイトウさん優しいからよく帰り際にミケユちゃんにあげてたもんね。」

 

「お二人は……気づいていたんですか?」

 

「うん。」

 

「まぁな。」

 

「そんなことよりか、採用の話に戻そう。」

 

脱線し始めているので話を戻す。

 

「アヴァロ、説明をお願い。」

 

「了解。」

 

ミケユにも説明した事を更に詳しく話していく。

 

「と言うのが現在商会でしている仕事なんだ。」

 

「わたしでも出来てるから、イオルも直ぐに出来る様になりますっ。」

 

個人的にはまだどうかと思うが、フィアはもう採用確定みたいだし、アヴァロも様子見をしようと言っている。多分最終的な意見はフィアのが優先されるから、採用になるんだと思う。

 

「よろしくね~。イオルちゃん。」

 

既に決定事項のようだ。まぁ、二人が良いというなら反対とは言えないが……。

 

「すまん、最後にイオルと個人で面談させてほしい。」

 

「面談ですか……?」

 

「ああ、ミケユが推薦しているから問題は無いと思うが、あまり感情を表に出さないタイプに見える。だから二人きりで少し話しておきたい。」

 

アヴァロから『大丈夫なのか?』と視線が来るのを頷いて返す。

 

「分かりました。イオルも良いよね?」

 

「う、うん……。」

 

「もしかしたら個人的な事も聞くかもしれないから聞き耳とか立てない様にな。」

 

「二人きりだからってモフモフしちゃダメだよー?」

 

「フィアさんじゃあるまいし。許可なしでしないよ。」

 

許可が出ればやるけどな。

 

部屋を出て、俺の家へ招き入れる。多分、ここが一番安全だ。

 

「さてと……、そこに適当に座ってほしい。出来れば武器を手の届かない場所に置いて貰えると助かる。」

 

俺の言葉に大人しく従って武器を壁に置く。

 

「イオルで良いんだよな?あの日森で出会った。」

 

「うん。あってる。」

 

「そうかぁ……、色々気になる事はあるけど、今俺を含めてこの城砦に危害を加える気はあったりするか?」

 

「もうない。」

 

「それはミケユが居たからか?」

 

「そう。」

 

「なるほど……。確認で聞くけど、ミケユには知られてないんだよな?」

 

「言ってない、知られてない。」

 

後ろめたい仕事だしな、家族に暗殺を生業としているとか一番知られたくないよな。

 

「今も続けているのか?」

 

「依頼があれば……。」

 

「それを辞めてここで働く気はあるか?」

 

「うん、ミケユと一緒なら。」

 

思ったより依存性高いのか?唯一の家族って話だったか。

 

「……わかった。もう足を洗って此処で働くと誓うなら俺からは特にない。」

 

「……いいの?」

 

「良いも何も、もうフィアさんが雇うって言っているからな。あれを覆すとか神への反逆になる。それに俺も人手が増えるのは賛成だ。イオルなら即戦力間違いない。だから採用に賛成しようと思う。昔の事はその内忘れるさ。」

 

味方になってくれるなら心強いしな。身をもって体験済みだ。

 

「その、ごめんなさい。」

 

「えっと、それは殺そうとしたことについてか?」

 

「それもある。あと、たくさん食べ物もらったから……。」

 

「ああ、それか。俺が勝手に善意を押し付けただけだから気にすんな。」

 

まさか俺を殺そうとしていた奴にもとは思わなかったが。

 

「話も済んだし、みんなの所に戻ろうか。」

 

 

 

「あ、二人ともおかえりー。お話は終わった?」

 

「ああ、イオルの考えは聞けたし俺も採用には賛成だ。」

 

「ほんと?それじゃあ満場一致でイオルちゃんも今日からここの仲間だね!」

 

「よかったねイオル!」

 

女子三人で話しているのを見ながらアヴァロに小声で話しかける。

 

「なぁ、フィアさんってイオルの事気づいてないのか?」

 

「俺も気になってさっき聞いたんだが、最初から気づいていたらしい。」

 

「は?それであの接し方してたのか?」

 

「そうなるな。」

 

恐れ知らずかよ。流石は神としか言えない……。

 

「それじゃあ、どうしよっか?イオルちゃんにも早速お仕事してもらおっか?」

 

「どうする、イオル?」

 

「ミケユ、ごめんなさい。」

 

「このあと、やる事がある。」

 

「あ、そうだったの?」

 

「うん、だから今日、遅くなる。」

 

小さくそう呟くと、席を立ち外へ消えていく。

 

「ああっ!?行っちゃったよぉ……。」

 

「この後用事があったみたいです。仕方ないですね……。」

 

「ぅう~、ミケユちゃん慰めてー。」

 

……今の覚悟を決めたような目、わざわざ謝ってから遅くなるって発言。

 

「すんなり抜けれれば良いんだけどな。」

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、今の所何とも……。」

 

アヴァロの質問に、何でもないと返した。

 

 

 

 

その日の仕事を終え、ミケユを外まで送り届けた後、一人で考える。

 

今日のイオルのあの目は、多分だけど殺しから足を洗うための話をしに行くことを決意したんだと思う。問題はそれがすんなりと通るかだ。実情は知らないが普通なら、裏切り者には死を!みたいなパターンが想像できる。

 

多分それも想定込みであんな目をしたんだろうと……。イオル自身は結構強い。暗殺を生業と出来る位には。そうなると定番なのは身近の知り合い、家族を狙うのが手っ取り早い……俺ならそうする。つまりどちらかと言うとミケユの身の方が危ない事になる。あと可能性としてはこの城砦にも及ぶだろう、そうなれば俺単体が一番危ない事に……なるな、うん。

 

「何か考えておかないといけないかもな……。」

 

下手な心配はさせたくないが、一応アヴァロだけでも伝えておこう。

 

 





次回は雨の日です。はい。

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