上級悪魔カノン、無事撃破……と。φ(._. )カキカキ
「……んっ、んん。」
目が覚める。知らない天井……では無くて俺が寝泊まりしている家の天井だ。
「あ、……ああ。」
物凄く体がだるい……。喉も乾いて空腹の様な、体の中に何も栄養が残っていない感覚と言えば良いのだろうか?
何とか体を起こし、状態を確認する。
「魔力切れ……だっけ?」
あの悪魔に隙を作ろうと全力で魔法をブッパして意識が切れたんだっけか。
城砦に居るという事は誰かがここまで運んでくれたんだろう。
袋から水を出し一気に飲む。水分を求めていたのか急激に体が楽になって行くのか分かる。
「……ぷはっ。生き返るわ……。」
寝床から起き上がり、家を出る。どうやら外はすっかり夜になっていた。
「アヴァロ達は……ここか?」
人の声が聞こえる場所に向かう。明かりが点いているので誰かはいるだろう。
「お、アヴァロか。」
「サイトウ!?起きたのか!」
「ついさっきね。」
「体調は大丈夫かっ?」
「だるさは残ってるけどそこまでじゃないかな?」
「わかった、今フィアも呼んでくるから待っててくれ。」
そう言って部屋を出ていく。その後の状況を知りたかったんだが……まぁ、すぐわかるか。
「サイトウさん!!良かったっ、起きたんだね!」
「どうも、ご心配をおかけしました。」
「ううん、無事なら良いんだよ。ほんとに魔力切れになっちゃうから驚いちゃったよ。」
俺の魔力切れによる気絶を楽しそうに語る。
「他の二人は……?」
「一旦家に帰ったよ。明日また来るはず。」
「一緒に住むことにしたんだー!」
「一緒に……?ミケユとイオルとか?」
「そうだよっ!また家族が増えて嬉しいな!」
「今回みたいなことがもしかするとまた起こるかもしれない、それなら目の届く場所に居た方が安心できるだろ?」
「確かに……そうだな。」
「家は以前に手直しした場所を使って貰おうかと考えてるから特に問題は無いと思う。」
「了解、既に決まった事だし、特に文句はないさ。……それより、あの後どうなったんだ?」
結構良い感じのが出たと自分の中で思っていたからせめて隙は作れたかと思うんだが……。これで無駄撃ちなら魔法を諦めるレベルだ。
「あー、サイトウは見て無かったのか。」
「すまん、自分の光で目がやられててさ、その後はお察しの通り。」
「うんとね、無事悪魔を倒すことは出来たよ?」
「お、マジか。役に立ったんだな。」
「いや、役に立ったどころか……。」
「……ん?どころか?」
「サイトウの一撃が決定打になったんだ……。」
「……マジか?」
「すごかったよねっ!あの部屋中を大きな音と光がドーンッってなって目を開けると体の半分なくなっちゃってたし。」
「どちらかと言うと、その後の脱出の方が大変だったよ。」
「……詳しく説明をお願いしても?」
二人から聞けば、俺が撃った一撃が悪魔の半身を消し飛ばしたらしい。そこでイオルがダメ出しで仕留めた。までは良かったんだが、その余波で天井やら壁が崩れ始めて危なかったとのこと。何とか無事に城砦まで帰って来たとか。
「ほんとご迷惑を……!」
恥ずかしさのあまりに二人に頭を下げる。
「全然、気にしないで?寧ろサイトウさんのおかげで楽に倒せたんだから。」
「そうだな、あのまんまだと1人落とされてたらどうなっていたか分からなかったしな。」
二人の慰めが……胸に刺さるぅ……。
「それよりも!お腹とかすいてないかな?一応まだご飯はあるよ?」
「折角だし貰おうかな、確かにお腹空いてたかも。」
「わかったー、それじゃあパパッて用意してくるから待っててねっ。」
夕食を運ぶために一時離脱していく。フィアが居なくなったことで部屋に静寂が訪れる。
「なあ、サイトウ。質問良いか?」
「ん?どうかした?改まって。」
「悪魔に向けて最後に撃ったあの攻撃なんだが、どうやったんだ?」
「……ああ、あれか?」
「正直、今までのサイトウに撃てると思えなくてさ。あの時もフィアの焦る声に振り返ったらサイトウの周りに膨大な魔力があったから咄嗟に避けたんだけど、今に爆発してもおかしくない量だった……。」
アヴァロ視点からだとそう見えたんか。
「普通だとあれだけの魔力量、サイトウには無かったからさ。どうやって補ったのか気になったんだ。」
どうして補えたか……。さて、どう説明したものか。
「おまたせー、持ってきたよ!……あれ?何か真面目な話をしていた?」
悩んでいると、俺の晩御飯を持ってフィアが戻って来た。
「いや、サイトウが悪魔に撃った魔法の話をしていただけだぞ。」
「あー!それ私も気になってたっ。サイトウさんってそんなに魔力無いよね?」
どストレートに言ってくるなぁ……。まぁその通りだけど。
「……うーん。」
「もしかしてあまり人に言えないとこなのか?」
「ああっ、それだったら無理して言わなくてもいいよ?助けてもらったっていう事実だけで平気だから。」
「……いや、2人には言っておくよ。」
その前に、飯を持ったままのフィアからご飯を受け取る。
「詳しくは話せないんだが……今回俺が許容量より多く使えたのはこれのおかげなんだ。」
指に填めている指輪を見せる。
「……指輪の装備か?」
「何だか凄く綺麗だね~。」
「これは持ち主の魔力を予備として溜め込むことが可能な指輪なんだ。悪魔に撃てたのはこの指輪に貯蓄していたのを使ったから出来た芸当だったって訳。」
「へ~、そんなのがあるんだね!」
「魔力を溜め込む……?」
二人の反応は面白い位に逆に見える。アヴァロはそれを聞いて不思議に思うらしいが……。
「そんな装備があるって言うのは初めて聞いたな。どの程度貯めれるんだ?」
「いや、どの程度貯めれるか正直俺も分からないんだ……。でも、俺みたいなのが二人が言ってたレベルのを使えるってことは相当貯めれるのかと思っている。」
「それは凄いな……。」
「そうなの?たくさん魔法打てる指輪ってことだよね?」
「そうだな、戦闘能力を少し上げるとか、魔力の量を高めるとかなら俺も聞いた事はある。けど、その魔力を指輪に貯めれるって聞くとどんな構造をしているのか気になるな……。」
なんだがアヴァロの目が怪しくなってきている。
「……貸さんぞ?」
「ちょっと、構造を見るだけは……?」
「却下だ、これは俺の生命線だからな。それに貰いもんだから可能な限り手放したくない。」
「残念だ。」
「それにしても水が沢山出る瓶もそうだったけど、その指輪も凄く便利だよね!」
「……実は、もう一つあるんだ。」
「え!?そうなの?今度はどんな凄いのがあるの!」
「これなんだが……。」
そう言って足についてあるアンクレットを見せる。
「それにはどんな効果が……?」
「疲れにくくなる。」
「え?」
二人から疑問の声が出る。
「いや、だから疲れにくくなる。疲労回復の効果があるんだ。長旅にも使える……ぞ?」
俺の回答に二人はお互いに顔を見合わせる。
「た、確かにサイトウにはピッタリかもしれないな。」
「うんうん、疲労が残らないって良い事だよね~。」
「なんか微妙な反応だな。」
「いや、すまん。前のが凄かったからさ。どんなのが出て来るのかってハードルを上げてたら……。」
どうやら、そこまでレアな物では無いらしい。個人的には物凄く助かっているんだが……。
「つまりサイトウさんはそれがあるから毎日頑張れているってことだね!」
「そうだな、逆に無ければ人並以下ってことだ。」
そう考えると補助なしで平気に探索とかしているこの世界の住人って割と化け物では?基本スペックが違うんだろうか?
悲しくなることを考えながら、冷めないうちに晩御飯を食べた。
飯後、アヴァロ達と解散し俺は魔法を撃つために練習場に来ていた。
手を前に出し、感覚的に魔法を撃とうとする。すると、手の平から電撃が走り障壁に直撃し、音を立てて弾ける。
「……やっぱりか。」
手をグーパーしながら確かめる。起きてから何故か魔法が使える……と言うか感覚的に理解出来ていると確信があった。今までならか細い光が出るだけだったが、今なら攻撃と呼べるレベルの電撃なら少しは出せると分かる。
「とは言っても、結局俺の魔力が全然だから使えないのには変わりないんだけど……。」
正直、今ので体内の三割は消費したと思う。実際に使えるのはさっきレベルが三発程度である。
「いや、これでも劇的な成長と見て良いだろう。」
今までがゴミ過ぎたのか、あの攻撃を経て急激に目覚めたのかは不明だが……。
試しにもう一発。人差し指を前に出す。
「……うーん、
すると、小さいが指先から電撃が走り障壁に届く。
「おお、調整も出来るな。」
出来ると分かるとこう……やる気が出るというかワクワクするな。カッコよく技名とか叫んでみたいという少年心が……。
「……その方がイメージとか作りやすいしな、うんうん。」
明日からも大変だが、自分の可能性を感じた事で気持ちよく寝れそうだ。
練習場から出て家に帰り寝床に付く。
……なんで今まで碌に使えなかったんだろうか……?やはり思い切りが大事だったんだろうか?
ミケユの言葉を思い出し、確かにあの一撃はそうだったな。と思い返しながら眠りに付いた。
???「その疑問にお答えしましょう!!!」