この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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本日は魔葉の河畔林に来ています。と言っても川の前までしか来ませんが。




第二十七話

 

 

「結構奥まで来たな……。」

 

今日は依頼の為に木材系を取りに来ていた。今使っているのではなく違う木を取りに来たのとアヴァロから弾力性のある蔦とかがあればついでに持って来てほしいと言われた。なので今回はいつも訪れている湿地森から場所を外して奥へ来てみた。

 

「とは言っても、これだ!って分かるのが見当たらないな……。」

 

ここに来るまでに何体か木精ドリュアスを狩ってはいる。蔦や枝を幾つか取れたが目的の木は見当たらない。

 

そしてここで分かった事が、あいつら電撃系に強かった。何も食らってないんじゃないかなと思えるほどにダメージが通らなかった。なのでいつも通りエネにごり押しで殺してもらった。

 

「もう少し奥に行って見当たらなかったら帰るか。」

 

これ以上は迷子になる自信しか無い。この辺りで一度引き返そう。

 

「一目で分かる程度の目印でもあれば……ん?」

 

周囲を見ていると、離れた場所でドリュアスを見つけた……のと更に奥に何か居る。……あれもドリュアス?いやでも、人型だよなあれ?弓とか持っているし。

 

明らかに別個体と思われる生き物が居た。例えるなら水精の木精版みたいな見た目だ。人型の身体に足辺りが木になっている。手には木で出来た弓を持っている。

 

「精霊の類か……?」

 

隣のエネを見る。もしかするとこいつと同じタイプかもしれない。ワンチャン仲間に出来ないか?

 

淡い期待を持ち、まずは邪魔なドリュアスを消すことにする。

 

「エネ、あの手前に居るドリュアスだけを倒してくれ。」

 

戦闘音で気づかれるとは思うが、余計な邪魔は入れたくない。

 

エネからの水弾であっけなく沈んだドリュアスを見て奥に居た精霊を見ると、やはり音で気づいたのかこちらに向かって来ている。

 

どう出るかと待ち構えていると、手に持っている弓に矢をつがえこちらに向ける。……ああ、敵対心満々なんですね。

 

「えねえもん、あいつ敵だってさ。やってくれ。」

 

半分投げやりな気持ちでエネに任せる。俺に弓が当たらない様に後ろに隠れておく。

 

戦闘が始まるが、向こうの弓はエネが弾き、こっちの水弾は向こうの足の枝が弾くという攻防が続いている。接戦している感じなのか……?

 

痺れを切らしたのか向こうの精霊が足元から石の塊を出しこちらにエネに撃ちだす。触手部分で弾こうとすると直撃した場所がはじけ飛ぶ。

 

「まじかよ……。」

 

食らうのはまずいと感じたのか、エネも少し後ずさる。

 

「あんまし意味は無いと思うが……。」

 

同じ木だからダメージは見込めないけど取りあえず一発俺からも撃っておく。

 

「稲妻っ。」

 

手から放たれた電撃が精霊に直撃する。すると、電撃が全体を駆け巡り弓から手を放す。よく見ると苦しそうな表情をしていた。

 

「……もしかして、ダメージ通ってる?」

 

さっきまでエネを見ていたのに完全に俺に敵意が向いている。

 

「もう一回試すから、相手に隙を与えない様にしてほしい。」

 

再度相手に当てる為にエネに攻撃をお願いする。水弾が連続で放たれ、それを相手は弾く。その攻防の間に電撃を放つ。

 

「……ッ!?」

 

警戒していたのか体勢を崩しながら咄嗟にそれを避ける……が、避けられる可能性を考慮して既にもう一発放っておいた。

 

「ーーー!ーーっ!」

 

声にならない悲鳴をあげ体から黒い煙が上がる。完全に力が抜け弓から手を放し、項垂れている。

 

「決まったか……?」

 

若干フラグみたいな台詞を吐きつつも闘技の水で魔力を回復する。これ一本で全回復するので楽である。

 

エネを前に出しつつ精霊に近づく。目の前に着くと顔をこちらに向ける。

 

「おっ?………えっと、これは……?」

 

顔を向けた精霊は、何だか……俺に懇願するような、酷く言えば媚びを売るような態度をしていた。

 

「降参……で良いのか?」

 

負けを認めたかと聞くと、それに全力で首を縦に振る。必死だなおい。

 

「いや、もしかしたら油断を誘っているのか?」

 

よくある奴だ。自然系の敵は油断した辺りで花粉とかでこちらを……みたいなお決まりのパターンがある。

 

「やっぱりとどめを刺すか……?」

 

俺の言葉を聞いた精霊は目を見開き、腰に縋り嫌だと言わんばかりに首を横に振る。

 

それを見たエネが『触るな』と精霊を俺の身体からどける。

 

「……どうしようか。」

 

仲間になりたい……で良いのかこれは?命だけはお助け下さい……!みたいな感じだよな。

 

「なぁエネ、こいつもう戦う意思は無いで良いんだよな?」

 

隣のエネに確認すると、問題無いと頷く。

 

「了解。もう敵対しないなら命は取らないでおくよ。」

 

こちらの答えに顔を上げ、嬉しそうに頭を下げる精霊……精霊ってこんな感じだっけ?イメージが……うん。

 

「それじゃあこいつを連れて帰るか。」

 

一旦この辺りで城砦に戻ろう。目的も多分達成出来るだろう。

 

俺の後ろを嬉しそうに付いてくる木精。こいつならアヴァロの要求に応えられそうだ。いつものとは違う木材のはずだ。

 

自分の運命を知る余地もない木精は吞気に城砦まで付いて来たのであった。

 

 

 

 

「今戻ったぞー。……?」

 

城砦に戻ると、皆が居た。居たんだが何だか少し雰囲気が……悪い?ピリピリしている感じだな珍しい。

 

「何かあったのか?」

 

その中でも一番ピリピリしているイオルに話しかける。

 

「あ、サイトウ。おかえり。」

 

「ただいま。何だか空気が良くないみたいだけど、悪いことでもあったのか?」

 

「うん、ミケユを攫った元雇い主がきてた。」

 

「はぁ!?よく堂々と来たもんだな。」

 

敵陣に自ら乗り込むとか正気とは思えない。

 

「よく戦闘にならなかったな。」

 

「話し合いに来たって言ってた。それも一人で。」

 

更に一人でとは……よほど自信があるのか?

 

「なるほど、だからみんなこうなってるのか。理解した。」

 

そりゃ、警戒心も出るわな。

 

イオルと話し終え、アヴァロの方へ向かう。

 

「サイトウか、おかえり。」

 

「ミケユを攫った奴らのボスが来たんだってな?イオルから聞いたぞ。」

 

「ああ、仲良くしたいとか言っていたが信用できないって追い返したよ。」

 

「それは正しいと思うぞ。……因みになんだが、そいつの名前に『ガイダル』とか入っていたりするか?」

 

「入っていたぞ。確か……ヴァーツラフ・ガイダルって名乗っていたな。」

 

「やっぱりか……。そいつは断って正解だったな。」

 

「何か知っているのか?」

 

「いや、ミケユを攫った商会の名前がガイダル商会ってだけ最近分かったからもしかしてと思ってさ。」

 

どうやら向こうから接触してきたらしい。目的はどうせこの城砦だろう。実物の様子見とこちらに取り入るためとかか。

 

「サイトウの方でも調べてたんだな。」

 

「半分無駄足になったけどな。まぁいいや。それより今日頼まれた物だけど……。」

 

「もう終わったのか?」

 

「いつも通りの木材と、頼まれていた蔦系は。後普段とは違う木材の件なんだが……。」

 

「あれか。少し質を上げたいと考えていたんだが上手く行けそうか?」

 

「多分お眼鏡に叶うと思う。エネ、連れて来てくれ。」

 

エネにお願いし木精を連れて来て貰う。

 

「……サイトウ?そいつは……?」

 

「湿地森の奥で捕獲したんだが、こいつはどうだ?」

 

後ろに隠れている木精を前に出す。

 

「いや、どうだって言われても……こいつ『木精ユイチリ』だろ……?仲間にしたのか?」

 

「いや、殺そうとしたら殺さないでくれって懇願されたから連れて来たんだが。」

 

「それを差し出すって……。」

 

呆れたような表情でこちらを見る。駄目だったか。

 

「残念だけど、そいつは無理だと思う。連れて来たのは嬉しいけどさ。」

 

「駄目かー。まぁ、それなら仕方ない。他のはまた置いておくから好きに使ってくれ。」

 

「わかった。いつもありがとな。」

 

アヴァロから却下を貰い、回収した木材系を保管場所に置く。

 

「それだとこいつの境遇どうしよう。」

 

水精は水回りだし、それなら畑とかに置いておくか?

 

よく分からなかったので取りあえず畑方面に行く。

 

「取りあえず一旦はここに住んでいてくれ。この城砦の主に許可を貰って来る。」

 

俺の言葉に頷き、畑の端に根を張り始める。害鳥除けとかに良いかもしれないな……弓だし飛ぶ奴らに有利なタイプかもしれない。

 

今後の活躍方法を考えながらフィアの元に許可を貰いに行く。聞いてみると、『そんなのもちろんだよっ!』とこっちは快く許可を頂いた。

 

 

余談なのだが、木精が根付いたおかげで周囲の木に魔力が帯び、アヴァロからの頼みが簡単に解決してしまったのはまだ先のことである。

 

 




あ、新しい仲間がゲットできたよ……良かったね、、。

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