この世界を生き抜く為に出来ることは……。   作:コクーン√

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新技(ご褒美)を獲得。



第二十九話

 

 

「はぁい、いらっしゃい。」

 

「……ああ、ここか。」

 

目が覚めると例の部屋と例の女神が居た。つまりそう言う事だ。

 

「ここに呼んだってことは前の件の事なのか?」

 

「そうね、貴方にご褒美をあげるって話の続きを今からするわ。」

 

さて、今回は何が貰えるのか。貰えるなら何でもありがたいのだが。

 

「今回は物とかでは無くて貴方に知識を与えることにするわ。」

 

「知識……?」

 

「ええ、ちょっとこちらに来なさい。」

 

何をくれるのかと思い近づく。目の前まで行くと此方に手を向ける。……っ!?これは!まさか!?

 

咄嗟に離れようとしたが既に体が言う事をきかなかった。

 

「あががががっっ!!??」

 

脳内に直接何かが捻じりこまれる様な痛みが走る。学習しろよ俺……。

 

「っ!はぁはぁ……。」

 

「今回はちょっと痛かったかしら?色々理解してもらう必要があったから。」

 

「まいっ、かい……痛いのは変わりないんだが……!」

 

頭が揺れる様に痛む。暫く我慢していると次第に痛みは引いていく。

 

「さてと、今回貴方にあげたのはそうねぇ、貴方が理解しやすい様に言えば……魔法陣?いえ、トラップと言うべきかしら?」

 

「魔法陣……?」

 

「実際に見せながら説明していくわ。」

 

そういうと、片足を上げつま先で地面を二回叩く。すると、女神を中心に大きな模様が広がる。

 

「どう?貴方の想像しているのと似ているかしら?」

 

「確かに……これは魔法陣だな。」

 

綺麗な模様が規則よく並べられている。

 

「説明していくとね、こうやって展開した陣に魔法を付与することが可能なの。」

 

「……?後から魔法を追加するのか?」

 

「そうね、例えばこれに貴方と同じ電撃の魔法を入れてみるわ。」

 

地面に手を付けると魔法陣が光り輝く。

 

「後はこれに設定を入れて……今回は任意で発動にしておきましょ。」

 

魔法陣から手を放し、指を鳴らす。すると地面から巨大な電撃が上に向かって走る。

 

「っうお!?」

 

当然自分もその範囲に居たが食らうことなく通り過ぎていく。

 

「とまぁこんな感じかしら。」

 

「……魔法陣に魔法をセットして、それを自分のタイミングで撃つことが出来る……感じか。」

 

「今のはそういう風に設定してみたわ。他にも色々発動条件は弄れるわよ?後は内部に込められる魔法も自由だわ。」

 

なんだって……!?好きな魔法を使えるようになるのか?

 

「ただし、込められるのは貴方が使用できる魔法に限るけどね。今は電撃系のみかしら?」

 

「……そうだな。」

 

淡い期待は即座に消えました。

 

「今のをまとめておくとね、この魔法陣はあくまで入れ物みたいなもんだわ。そこに魔法を詰め込む、後はその魔法がどの様な条件で発動するか条件を決める。踏む必要なプロセスはこんなもんかしら?」

 

「思ったより自由度が高いんだな。」

 

「あはっ、分かるかしら?貴方が今回の防衛戦で必要かつ発想の自由が高めの物を用意したの。どう?ありがたいでしょ?」

 

気づいて貰えたのが嬉しいのか、楽しそうに話す。

 

「わざわざこっちに合わせてくれたのか。」

 

「あら?それは別に今回に限った事では無いはずよ?まぁ、今回は更にご都合な物を渡したとは思うけどね。」

 

……そう言われれば確かにそうだな。渡されたのは毎回役に立つものばかりだ。

 

「今回のはこの世界にも既に存在している技術を私の方で好きに弄っただけだからそこまでおかしく見られることは無いはずよ?好きに使いなさい。」

 

「こっちの背景にも配慮してもらって色々助かるよ……。」

 

「気にしなくて平気よ。変に周囲に気を遣って貴方の行動が縛られる方が退屈だもの。」

 

あくまで自分の楽しみの為か。

 

「それじゃ、防衛戦までに上手く使いこなして見せてね?楽しみにしているわ。貴方がどんな守りを見せてくれるか。」

 

「そうだな、相手のボスを倒すほどの活躍をしてみせるさ。」

 

「へぇ……それは見逃せないわね。特等席で楽しませてもらうわ。」

 

パチンッ。と指を鳴らす音が聞こえたと認識した時には女神の姿は消え、白い空間が崩れ始めていた。

 

今回の貰い物は防衛戦の為に使えと言わんばかりの力だ。お陰でやれる幅が大分広がりそうだ……。

 

白く染まっていく中、既に居なくなった女神の方へ向けて頭を下げた。

 

 

 

 

目を覚ます。起き上がり外を見ると太陽すら見えていなかった。まだ夜中なのだろう。

 

「………。」

 

二度寝をしようとしたが、今手に入れた力を試したい欲が出てくる。つまりうずうずしているというわけだ。

 

「……ちょっとだけ。少しだけ確認したら戻ろう。」

 

誰に言い訳をしているのかよくわからないが、どんなものか試しに使うだけなのでそんなに時間はかからないだろう。

 

普段着に着替え、練習場に向かう。外に出たが勿論誰も居ない。暗く静かな城砦を一人で歩き目的の場所に着く。

 

「使い方は……。」

 

使ったこと無いはずなのに使い方や原理が何故かすんなりと理解できる。代償にあの痛みを味わうのだが……。

 

「発動。」

 

何となく掛け声を出して発動してみる。すると半径1メートル程度の円が広がる。

 

「こんなもんか。」

 

大きさは込めた魔力や自分である程度微調整出来るらしい。

 

「次は、取りあえず電撃でも入れるか。」

 

毎回使っている稲妻をイメージして魔力を込める。すると魔法陣が光る。

 

「後は設定をして発動か。」

 

女神は発動条件は好きに出来ると言っていたが、今回はベターに任意で設定しておく。入力を終え魔法陣から離れる。

 

「……起動。」

 

発動すると、魔法陣が光り電撃が飛び出す。放たれた電撃は天井の障壁にぶつかり消える。

 

「おおお……!」

 

なんだか感動する。本当に使えることが純粋に嬉しい。

 

「これ……楽しいかも。」

 

一回分の魔力を消費して魔法を貯めて置ける。つまり事前に準備をすれば魔力の少ない俺でも疑似的に魔法の連続使用が可能と……。

 

「はは、漲って来た。」

 

楽しくなり他にもどの様な条件が可能か試してみることにする。女神が言うには発想次第で色々出来る感じの言い方だったし……。

 

夢中になり設定を弄りながら魔法を試してみる。魔力が足りなくなれば指輪から少しずつ補給し、闘技の水も使って試行回数を増やす。

 

そうなれば当然家には戻らず、結局朝までやり続けるのだが彼の頭の中には既に魔法の事で一杯だった。

 

 

 

どうも、朝を迎えた斎藤です。出来ることが増えるって楽しいよね?って言い訳をさせてください。

 

「誰か居るのかー?ってサイトウ?」

 

「あ……、アヴァロ……さん?」

 

「なんでさん付けを……?どうしたんだ朝早くから魔法の練習を……?ん?朝から……?」

 

俺の周辺に転がっている瓶を見て朝からではないと見抜かれたご様子。くっ!勘の良いガキは嫌いだよっ。

 

「もしかして、朝からじゃないのか…?何だか目に隈もあるし……。」

 

「いや、その……魔法の練習を……ね?楽しくてつい……。」

 

「その気持ちは分からないでもないけど、何をしていたんだ?」

 

「新技を……少々。いえ、申し訳ございませんでした。」

 

言い訳より先に謝るべきだと思い取りあえず土下座をする。足元に転がっている瓶が体に当たり音を立てて倒れた。

 

 

 

「あははっ、それでサイトウさんは寝不足なんだねー。」

 

あの後、練習場の片付けをし皆と合流した。どうやら他から見ても俺が睡眠不足なのが分かるらしい。

 

「駄目ですよサイトウさん、確かに上達していく楽しさは私も分かりますが、睡眠はきちんと取らないと。」

 

「寝不足、頭回らない、判断鈍る。」

 

ミケユとイオルからごもっともな意見が出る。

 

「俺も夜遅くまで工房に籠ってしまうから気持ちは凄くわかるんだけどな。」

 

「それでそれで?サイトウさんはどんなのが新しく使えるの?」

 

フィアが目をキラキラさせて聞いてくる。

 

「えっとだな、簡単に言うと……魔法を魔法陣に一時的に保管しておいて、自分の任意のタイミングで撃つことが出来るんだ。」

 

「魔法を……保管?」

 

ミケユが不思議そうな顔でこちらを見る。他の3人も似たような表情だ。

 

「実際に見せるよ。」

 

皆を連れて練習場に来る。

 

「まずは好きな場所に魔法陣を置くんだ。続けて発動したい魔法をこの中にセットする。」

 

手順を説明しながら進めていく。

 

「後はどの様な条件で魔法が発動するか決めて、準備完了。今回は俺の言葉で起動するように設定してみた。」

 

魔法陣から離れて皆の横に戻る。

 

「起動。」

 

魔法陣が光り電撃が出る。

 

「とまぁ、こんな感じの魔法なんだが……?今回の防衛戦でかなり役に立てると思っている。」

 

「すごいねこれ!今回のにすっごく必要だよ、ねっ?アヴァロ。」

 

「あ、ああ……確かに今のだけでも守りの時にかなり有用性が高いのは理解できるが……。」

 

あれ?アヴァロの表情が困惑している様に見えるが……あとミケユもだな。

 

「サイトウさんの今のは……魔法ですよね?」

 

「え……?そうだと思うけど?」

 

当然何を言い出すのだこの子は?

 

「一度魔法を別の魔法に保管してそれを好きな時に使う事が出来る……そういう魔法があるのですね。知らなかったです。」

 

「俺も初めて聞いた。普通は一度発動したっきりだと思っていた。どこで習得したんだ?その魔法は?」

 

「あ、えっと、一応この世界に存在する魔法なんだと思うんだが……。」

 

「なるほど、サイトウさんは旅人でしたからわたしたちが知らない方法を知っていても確かにおかしくは無いですね。」

 

「そうそう!昔立ち寄った場所でこういうのを見た事があったから何とか再現出来ないかなって頑張ってみたんだっ。」

 

「確かに北東には魔法が盛んな国があるって聞いた事があるな。」

 

「北東だったかなー?正確な位置はもう覚えてないけど、タシカニマホウガサカンダッタキガー。」

 

おい女神、この世界に現存してるんじゃなかったのかよ!?あれ?でも好きに弄ったって言ってたよな?つまりその時点でオリジナル?

 

「でもまあ、サイトウの魔法が今回の防衛に役に立つ事には間違いないな。」

 

「そうですねっ、かなり便利な魔法ですし。」

 

「ミケユがそう言うなら確かに便利そう。」

 

……な、なんとか乗り切ったか?

 

「これについては防衛設備とも合わせて色々話し合おう。それじゃあ、今日も皆で頑張っていこう!」

 

アヴァロの開始宣言と共に今日も仕事が始まった。

 

 




北東の魔法が盛んな国……何公国なんだろうか?次回作に出て来そうな国だなー()

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